10万組の親子が実践した幼児・小学生向け「超効率」英語学習教材のパルキッズです。フリーダイヤル:0120-635-080 [平日10:00-15:00]


カートを見る
ログイン
パルキッズCLUB

パルキッズ通信 特集 | , , , ,

ヘッダー

2021年4月号特集

Vol.277 | 英語を楽しく学ぶ秘訣

ポイントはたったの2つ!「正しい発音」と「強弱のリズム」で読む学習法

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-2104/
船津洋『英語を楽しく学ぶ秘訣』(株式会社 児童英語研究所、2021年)


英語は楽しまなくても身につく。しかし、楽しみながら身につける方法もある!

特集イメージ1 幼児・児童期の学習、あるいは大学生を対象にした “CLIL : Content and Language Integrated Learning、内容言語統合型学習、クリル” に至るまでも、なぜか英語を学ぶとなると「楽しむ」ことの呪縛から逃れられないのが、私たち日本人です。まるで「楽しくなければ英語は身につかない」という強迫観念の虜になっているかのようです。特に、子どもたちには「楽しく」学ばせよう!と感じてしまう親や指導者は決して少数派ではありません。
 これは察するに私たちが受けてきた規範文法教育の、絶望的な「つまらなさ」の反動とも理解できます。 ( 『パルキッズ通信2020年12月号』)
 しかし、英語学習が「楽しくなくてはならない」のかといえば、そんなことはありません。ヒトは生得的に言語を身につける能力を有しているので、その成育環境に存在する言語証拠のインプットがあれば「楽しかろうが、なかろうが」「好きであろうが、なかろうが」、そのような意識のレベルとはまったく異なる次元で、脳が勝手に言語を身につけてしまうわけです。
「楽しくなくても」云々関しては『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)の第2章で述べているので、そちらもご参照ください。

 ヒトは、ことばを身につけるプログラムを遺伝子レベルで持っているので、適正かつ十分なインプット環境があれば、言語を身につけてしまうのは厳然たる事実です。(『パルキッズ通信2019年12月号』)
 幼児期に限らず、英語を学ぼう、あるいは学ばせようと思ったら、この点を実に念頭におく必要があります。「楽しみ」ではなく、いかに「インプット」を成功させるかに、英語習得の成否がかかっているわけです。

 その英語習得に適した「インプット」の方法は、年齢別に3段階に分けることができます。
 幼児期であれば「聴覚」を通したインプット、つまり『パルキッズ』をかけ流して言語習得プログラムに栄養を与えれば良いわけですし、また小学生であれば「倍速学習」や「読解」などを通してインプットが促され英語の習得が進みます。そして、中学生以上であれば「多読」によってインプットが達成されるわけです。
 このインプットは、3度の食事や歯磨き、あるい日々の入浴のように「義務的に行われれば良い」わけで、決して「楽しい」必要はありません。

 しかし、課題も存在します。
 幼児期のインプットは別として、小学生の倍速学習や中学生以上の多読は、ある程度の達成感や「楽しさ」が伴わなければ、中断の憂き目に遭うことが往々にして起こり得ます。
 「楽しくない」なら「やりたくない」のは人の常です。学校英語や塾の英語であれば、義務なので不承不承ながらでも取り組まざるを得ませんが、学校外の英語学習法であれば「楽しくない」のひと言で止めてしまうのは極めて簡単です。そして、親の側も信念を持って臨んでいなければ、易々と投げ出すこともあるのです。

 ところで、英語の学習は本当に「楽しくない」のでしょうか。

 否、英語を身につけることは実に楽しく、上達するに連れ、その楽しさは増すばかりです。
 確かに「規範文法」の学習や単語の記憶は、ほとんどの凡庸な学生にとっては決して「楽しい」ものではありません。しかし、実際に英語を読んだり口にしたりするのは、極めて楽しい体験なのです。
 「何が楽しいものか」と訝る方もあるかも知れませんが、そんな方々はおそらく楽しい英語学習を体験したことがないのでしょう。
 ということで、今回は「楽しい英語学習法」の紹介です。

 注意点がひとつ。これはある程度以上、英文を読める子(あるいは人)が対象の学習法です。幼児期のお子様には、引き続き「楽しませよう」とはせずに、義務的にインプットノルマをこなすことに注力してください。

 それでは、ことばを話すことの楽しさ、続いて、楽しさと歌う心は相通ずること、そして、ヒトに与えられた歌う楽しさを謳歌できる能力を最大限に活かしながら、インプットを実践し最終的に英語を身につけてしまう方法へと話を進めて参りましょう。


そもそも!ことばは「楽しい」のであると

特集イメージ2 ここは言い切っておくことにしましょう。「ことばを使うことは楽しい」のです。
 チョムスキー氏に言わせると、ことばほど個人を悩ませるものはないそうです。確かに言葉を持たない動物たちの悩み少なきことを考えれば、我々人類の悩みは深海のように深い。ことばがあるゆえにヒトは悩むのです。
 他方。2人集まればおしゃべりが始まる。特に何を話すわけでもなく、ただただ喋っている。女子にこの傾向が強いと口を滑らせ、社会的制裁を受けた御仁もおりましたが、喋るを楽しむのは男子も同じ。
 「親父ギャグ」などと揶揄されてもどこ吹く風。せっせせっせと「音遊び」を繰り返すおっさんたち(自戒の念を込めて)。いや、積極的にことばで遊ぼうと画策するまでもなく、ヒトの言語本能が、脳内で「勝手に」若者をしらけさせる親父ギャグを生成してしまうのです。これを本能と呼ばずになんとしましょう。
 「親父ギャグ」に限りません。「サラリーマン川柳」も言葉遊びのひとつです。五・七・五の制約に合わせようとすればするほど、これまた楽しくなるわけです。ルールがあるから楽しい。川柳・俳句に限らず、七・七・七・五の都々逸なども聞いていて心地よいし、作ればなおのこと楽しくなります。
 一度でも作詞・作曲をしたことのある方なら分かると思いますが、日本語のこの独特な五・七・五、あるいは七・七・七・五調で詩を書けばメロディーに乗せやすく、さらに頭韻や脚韻を整えれば、なにやら一丁前の詩人になった気分になれるものです。

 つまり、ことばは楽しい。ことばを発するのは楽しいのです。

たのしみ 【楽】
(1)心身が満たされて、快いこと。また、そのような状態。悦楽。歓楽。(日本国語大辞典)

 ことばを発するその行為自体がヒトを「快い」気持ちにさせてくれます。

かい[クヮイ] 【快】
(1)気持よいこと。気持にかなうこと。不快。(日本国語大辞典)

 「ことばの使用は心身が満たされて快く、つまり気持ちがよく、楽しい」ことのようです。
 確かに、赤ん坊の喃語も楽しそうですし、井戸端会議の皆さま方も楽しそう。縄文時代はもちろんのこと、旧石器時代の文字がない頃から、おそらく寄ると触るとヒトは同道する者たちと、ことばのやりとりを楽しんでいたのでしょう。
 幼児期に自然と身につけてしまったことばで楽しめるのですから、これほど幸せなこともないでしょう。ああ、ヒトとして生まれて良かった。

 しかし、これは母語に限りません。留学当初、英語が分からず静かだった留学生たちも、”GA : General American、一般米語”ならGA、”RP : Received Pronunciation、容認発音(英国)”ならRP 、あるいは南部訛りだったりスコティシュだったりと、彼のご当地のことばを身につけるに連れて、おしゃべりになるのです。少なくとも私はそうでした。
 そして必要以外のこと、つまり雑談すら楽しむようになります。これはスゴいことです。
 旅行などで必要なこと以外、外国人たちと話すことができないうちは、英語は楽しくも何ともないかも知れませんが、雑談ができるレベルになれば、この英語の楽しいことは日本語の使用と同様です。
 つ・ま・り、皆さんが英語を楽しめないのであれば、楽しめるレベルまで英語を身につけていないだけのことなのです。英語を身につけてしまえば、英語の使用は楽しさ極まりないことです。

 ちょっと待て。「英語ができれば英語は楽しい」などと言っては身も蓋もない。それでは「英語ができないうちは英語は楽しくない」ことになってしまうだろう。ここまで読ませておいてそれはないだろう。無駄にした時間を返せ。
 などと言われそうですがご安心ください。
 英語をまだ身につけていてない人でも、もちろん英語を楽しむことは可能です。この点に関して、引き続き考えて参りましょう。


「楽」は「うたう」

特集イメージ3 英語を身につけるということは、単に「相手が分かるような英語を話す」だけではなく、読んだり聞いたりした英語を「理解すること」も含むのは当然です。そこまでできれば、既述のように「トラベル英会話」レベルではなく、店員や隣り合った外国人たちとの「雑談」も可能となります。
 そうなれば楽しいのは当たり前ですが、その前段階でも英語を口にすることを十分楽しめます。何だか分かりますか。

 そう、「カラオケ」です。

 読者の中でもカラオケがお好きな方は少なくないでしょう。
 かく言う私も、若かりし頃はよくマイクを握ったものです。もともとロックな人間だったのかどうかは分かりませんが、小学生の時に「さだまさし」や「アリス」からギターを始め、中学には “Deep Purple” から “Rainbow” 、高校では “Van Halen” に “TOTO” とギターのスーパープレイヤーたちに憧れてギターに明け暮れ、それこそ寝食を共にするほどの入れ込みようでした。
 その後、なぜかボーカルも努める羽目になり、ついには幼児・児童向けの「○○ソング」などで作曲や歌い手を努める始末。五十になって大学に戻ったときには、なんと幼児・学童期に僕の歌を聞いて育った学生たちにも何名かお目にかかりました。
 ついでに、もちろん『パルキッズ』の数百ある楽曲の作詞作曲、あるいはコーラス(”Hello Song”, “Good-bye Song”)や、効果音(ブルーノの鳴き声など)までも担当するほどでした。
 と、自らのカラオケ好きをここで弁明するわけではありませんが、御多分に漏れずよく歌ったものです。もちろん、上手いか下手かは別として、歌うことを楽しんだものです。

 さて、何の話かというと。カラオケはあまり上手くない人からそれこそプロまで、みんなが楽しめる発明です。上手い人は上手い人なりに、そうでない人もそれなりに、それぞれのレベルの違いはあれど、みなが同じ土俵で順番を待ち、堂々と(自分が歌うことを)楽しめる仕掛けなのです。

【楽】 一①おんがく。「礼楽」②うたう。③楽器をひく。かなでる。④楽器…(新選漢和辞典 Web版)

 「楽」は日本では渡来音楽を指していたようですが、儀式のための音楽と遊びの音楽ともに指すようで、やや力業の嫌いもありますが、「うたう」ことは「楽」であり「楽しい」というのは正鵠を得ないまでも遠からずであることは間違いなさそうです。

 つまり、「歌うことは楽しい」のです。

 なにも洋楽を歌えと言っているわけはありません。もちろん、洋楽好きであればどんどん洋楽を歌っていただくことに異論はありません。しかし、歌わないまでも英文を読んで口にするだけで良いのです。

うた・う[うたふ] 【歌・謡・唄・謳】
(1)声に節を付けて歌詞を唱える。
… (ロ)詩歌を作って吟じる。また、詩歌を作る。詠じる。(日本国語大辞典)

 「声に節を付けて詩歌を唱える」だけでも歌うことになります。メロディーまでは必要ない。前述したところの、「サラリーマン川柳」や都々逸などは、聞いていても心地よいし、口にすればさらに楽しいのは、ヒトの本能であり、図らずも辞書でもそのように定義されていたわけです。


音程の日本語、リズムの英語

特集イメージ4 ここで、日本語や英語を口にすることの楽しさについて、少し書いていこうと思います。

 小見出しにもあるように、日本語は音程が、そして英語はリズムが特徴的です。
 日本語は、音程に高低があるもののリズムは一定で、言うなれば「タタタタタ」と聞こえます。他方の英語は、音程というよりは一定のリズムで「タンタンタンタン」と強弱を繰り返す特徴があります。
 この違いには、赤ん坊でも気づいています。もしくは英語も日本語も理解しない国の人でも、聞いてすぐに分かるほど、日本語と英語のアクセントの特徴は異なります。(『パルキッズ通信2018年5月号


音程の日本語

特集イメージ5 さて、ここからの二節は少しややこしい話になります。全体の理解にはあまり差し支えないので、さっさと読み飛ばしていただいて結構です。

 繰り返し述べていますが、日本語は俳句や都々逸など「拍の数」を整えることで独特のリズムを生み出します。
 この拍とは別に、ピッチと呼ばれる音程は「箸・橋・端」の違いに見られるように、単語の意味を変えます(『パルキッズ通信2019年10月号』)が、実は語の意味だけではなく文の意味も変えるのです。

 俳句なら「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」「春の海ひねもすのたりのたりかな」、都々逸なら「立てば芍薬 坐れば牡丹 歩く姿は 百合の花」「人の恋路を 邪魔する奴は 馬に蹴られて 死んじまえ」などなど、五と七のリズムが実に心地よい。
 これは、俳句などに限ったものではありません。例えば、僕なんぞも小学生の頃に覚えた「うえのをあとに いけぶくろ はしるでんしゃは うちまわり わたしはちかごろそとまわり」で始まる「恋の山手線」もテンポがよろしい。

 落語や詩吟、ことばの芸術はこの日本語の拍を上手く組み合わせて、独特の心地よさを生み出しますが、忘れてはいけないのがメロディーです。
 もう一度、上の俳句や都々逸を詠んでいただければ分かりますが、いかがでしょう。独特のメロディーを付けて、西洋音階でいう1オクターブくらいのところを行ったり来たりしながら歌っているはずです。
 このように、日本語の詩歌にはリズム以外にメロディーも付いているのです。
 しかし、です。この歌うような音程の使い方は、詩吟や和歌に限りません。日本語においては日常会話ですから、音程を割り振って歌うように話すことが行われています。その音程を変えると意味まで変わってしまう、そんなことが起こるのが日本語なのです。

 例えば、「7日に読んだばかりの本を無くした」という文。この文には二通りの意味があります。「本を」「7日に読んだ」のか、「本」を「7日になくした」のか、見ただけではどちらの意味なのか判然としません。
 もちろん、区切ることによって意味をコントロールできますが、音程でも意味を制御できるのです。「ナノカニヨンダバカリノホンヲナクシタ」では、低く「ナ」で始めて「ノカニ」で高くなり、同じ高さで「ヨ」と言えば「7日に読んだ本」となり、「ノカニ」より「ヨ」を一段高音で言えば「7日になくした」の意味になります。(『日本語のイントネーション』郡史郎著 大修館書店)

 このように、厳密ではないにせよ、日本語には音程が存在し、少なくとも私たちは日常会話において、4つあるいは5つの音程を使い分けて「文の意味」をコントロールしています。つまり、日本語はリズムは単調ながら、音程には敏感なのです。


リズムの英語

特集イメージ6 他方の英語は、というと言語学的には日本語のような音韻的な「ピッチ」(音程を変えると意味が変わってしまう)は持っていませんが、強弱の連続を繰り返すというアクセントの形態に属しています。

 「マザーグース」の朗読や楽曲などを聴くと分かりますが、英語は一定の強弱リズムを繰り返しています。以下に1つだけ例示します。

 ”JACK and JILL went UP the HILL to FETCH a PAIL of WAter
 JACK fell DOWN and BROKE his CROWN and JILL came TUMbling AFter”

 大文字で記してある音節は強く、小文字で表している音節は弱く発音します。そして、一定のテンポで「強弱強弱」のリズムが繰り返されるのです。

 「日本人の英語」がいつまで経っても上達しない2つの理由は「英語を聞き取れないこと」と「日本語に訳してしまうこと」ですが、その「聞き取りができない」原因を作っているのが日本語と英語の音韻構造の違いです。
 この点はとても重要なのですが、私の知る範囲では学校英語において、私たちは英語と日本語の音韻的な違いを学ぶ機会がありません。そして結果として、日本語の音韻知識でもって英語を読み、さらには日本語の音韻知識に当てはめて英語を聞き取ろうとしてしまうのです。これでは、いつまで経っても英語を聞き取れるようにならないのは至極当然のことでしょう。

 本誌でも繰り返し述べている、日本語と英語の音韻的な違いには、いくつか顕著なポイントがあります。ひとつには、日本語では滅多に起こらず英語では頻繁に起こる「再音節化」と呼ばれる “くっつき現象(『パルキッズ通信2017年05月号』)” があり、ひとつには、子音連続を許さない日本語の音韻的な制約に合わせて、子音連続が許されている英語のひとつひとつの子音の後ろに母音を挿入する「音挿入」(『パルキッズ通信2020年02月号』)があります。

 それに加えて、英語では強弱リズムの「弱」にあたる部分の母音はアクセントが来ません。そして、アクセントが来ない母音は、弱化して別の発音になるのですが、それを知らない人が少なくないでしょう。
 例えば、大抵の場合、文中で発音される機能語は弱化します。機能語とは意味語に対する概念で、前置詞、冠詞、助動詞、接続詞や代名詞などです。’to’ は[tu]ではなく[tɘ]、’at’ は[æt]でなく[ət]、’can’ は[kæn]でなく[kən]となります。
 ただ、そんなことは学校では習わないので、中学生が英文を読めば、日本語のように「タタタタ」という単調なリズムで、母音に後続されない子音の後ろにわざわざ母音を加えます。それによりリンキングができなくなります。さらに、弱化すべき母音もそのまま読むわけです。つまり、本当の英語(そんなものがあるとすれば)とはまったく違う日本語的な音、つまり「ジャックアンドジルウェントアップザヒル…」が彼らの口から飛びだしてくるわけです。
 余談になりますが、日本人の英語習得に決定的にマイナスの影響を与えている要素は「機能語」の習得に力を入れていない点です。この点に関しては『パルキッズ通信2020年9月号』を参照ください。


多読の前に素読

特集イメージ7 さて、ことばを口にするのは、歌を歌うことと通じており、日本語を口にするのが楽しいのと同様に、英語を口にするのも楽しいものであることを述べて参りました。  しかし、英文を読んでみても「全然楽しくない」という方もいらっしゃるでしょう。まったくもって、ごもっともです。多読をしてみても長続きしない、1ページも進まないうちにイヤになってしまう、なんてことも珍しくないでしょう。
 多読は、英文大量インプットに他ならず、言語を身につけるには大量のインプットが必要であることから、多読が英語習得に最も効果的な一手であることは間違いありません。しかし、「多読はつまらない」。

 一体なぜでしょう。英文を読むことは楽しいのではなかったのでしょうか。

 そうなのです、英文を読むのは楽しいし、従って多読も楽しいのですが、英文多読の壁となっているのが前節で述べたところの「日本語の音韻知識」の干渉です。日本語的に「ジャックアンドジル…」と読んでは楽しくも何ともありませんが、”JACK and JILL went UP the HILL to FETCH …” と読めば、ようやく楽しくなるのです。

 つまり、英文をちゃんと英語の発音で読む。このことが、英語をカラオケのように楽しむための第一歩です。
 そこで、我々が提唱しているのが、「多読の前に素読をしよう」という考え方です。

そ‐どく 【素読】
書物、特に漢籍の意味・内容を考えることなく、ただ文字だけを音読すること。そよみ。すよみ。(日本国語大辞典)

 意味・内容を考えずに、ただ文字を音声化する。ここに「正しい発音で」と注を入れておくことにします。
 この素読は、素読の作業自体が楽しく、さらに素読が上手になるとあら不思議、意味・内容がついてくるようになるのです。つまり、英語を読んでいるだけで、その英文の意味がそのまま頭に入ってくるようになる。
 ここまで来れば、あとは多読のステージへと進みます。

 私の考えるに、中学英語を修了しているすべての日本人は、「使える英語」を身につけるに至る100の道のりのうち99まで来ています。つまり、あと一歩で英語ができるところまで来ているのです。そして、その一歩を埋めるのが、「素読」であると考えるのです。

 「素読」は、すべての日本人にお勧めする英語習得の最短ルートです。


「素読」の2つのポイント

特集イメージ8 さてそれでは、「素読」の楽しさを実感していただくために必要な、たった2つのポイントを説明することにします。
 2つのポイントとは「正しい発音」で「強弱のリズム」で読むこと。たったこれだけ。

 「正しい発音」とは前節で説明したところの「母音挿入」を避け、アクセントの来ない音節の母音は「弱化」させる点です。すると自然とリンキングとも呼べる「子音誘引」が引き起こされます(前節を読み飛ばした方は「ふーん」でOK)。そして、「強弱のリズム」とは一定のリズムで「タンタンタンタン」と、強・弱を繰り返すコトを心がけるだけです。

 ここで、「2つ」のポイントと定義しましたが、それ以外のことを “しないこと” が重要です。

 ”しないこと” 。これが大切です。つまり「意味を考えること」、あるいは英文を「日本語に訳すこと」は、素読の取り組み中には避けなければいけません。
 声をそろえて論語を読んでいる、寺小屋の子どもたちを想像していただければ結構です。意味・内容はどうでもよろしい。そんなものは、あとから付いてくるわけです。まず大切なのは、ひたすら読むことです。英語を正しい発音とリズムで読み、英文を口にすることを楽しむことに集中してください。

 カラオケもそうでしょう。意味も分からず、歌うだけで気持ちが良い。歌詞の意味などよく分からない幼児でも、カラオケや歌うことを楽しむわけです。そもそも、歌詞に意味などない楽曲も少なくないわけで、単純にリズムとメロディに乗っかっている日本語なり英語なりの言語の音声を口にすること、その作業自体が楽しいのです。
 カラオケのメロディーがなくなったバージョンが「素読」だと考えていただければよいでしょう。


楽しければ、継続できる

特集イメージ9 しつこいほど繰り返します。英語(に限らず言語)の習得には、質・量共に適当な「インプット」が必要です。

 幼児期は耳からインプットできるので、質が十分な『パルキッズ』を十分な量だけかけ流せばよいわけですが、中学生以降は耳からのインプットに効果が認められないので、耳からではなく目からインプットしなければいけません。つまり、読解を通した、多読によるインプットです。もちろん、「留学」や「院進学」などの裏技もありますが、それらも結果的には「多読」を強制する装置に過ぎないので、とどのつまり「多読」が英語習得の唯一の方法なのです。

 英語の習得には、もちろん産出能力の習得もありますが、同時に知覚能力も不可欠です。「正しく英語を喋れるが一切英語が理解できない」などということはあり得ません。知覚と産出はリンクしていると言語学では考えられています。
 言い換えれば、こうなります。英語の知覚力、リスニングの能力を直接育てる方法には、体系的に英語の音声・音韻を学ぶくらいしか方法が見当たりませんが、一見無関係とも思われる産出のトレーニングであるリーディングからもリスニング能力を育てていくことができるのです。

 つまり、「多読」は英文を読んで理解する能力を身につけるだけでなく、リスニング能力の向上にすら貢献するわけです。ただし、いきなりの「多読」は困難であり、継続に成功する者よりも挫折する者の方が圧倒的メジョリティーでしょう。
 なぜなら「楽しくない」し「分からない」からでしょう。後者の理解の部分はさておき、まずは、少なくとも前者の「楽しくない」を解決しなくては、結局「インプット」が始まらないのです。

 そこで「素読」となるわけです。

 素読の2つのポイントに関しては既に述べました。「正しい発音」で「強弱のリズム」で音読し続けるだけです。
 もう一つのポイント「分からない」の解決策は極めて単純です。中学教科書レベルの簡単な素材を素読すればよいのです。中学英語程度の語と文法で構成されている英文ならわざわざ辞書をひくまでもなく分かるのです。
 「素読」は慣れてくるとだんだん楽しくなってきます。英文を読むことが苦にならないばかりか、読むスピードは飛躍的に上がります。そして、気づけば英文を日本語に訳さずに、英文のまま理解できるようになっているのです。
 『パルキッズ通信2021年2月号』に書きましたが、言語能力には二段階あります。日本語を例に取ると、一段階目が「日本語」のレベルで、子どもたちが読んだり聞いたりした日本語をそのまま理解する段階です。そして二段階目が「国語」のレベルで、身につけた日本語を、国語としてさらに磨き上げて行く段階です。

 「素読」はこの第一段階目を担当し、「多読」は二段階目を担当します。

 そして、「素読」をクリアし「多読」に入ると「知りたがるスイッチ」(『パルキッズ通信2021年2月号』)がオンになります。こうなれば、目にする英文はスラスラ頭に入ってくるし、英語で検索できるようになるので、知識の幅もググッと広がるのです。

 繰り返しますが、「英文素読」はすべての日本人に取り組んでいただきたい「英語習得」への「最後の一手」です。お子さまの「多読」への準備段階として、あるいは皆さまの英語力を「使える英語」に昇華させるウルトラCとして、ひとりでも多くの方が英文の「素読」を実践していただくことを願ってやみません。

【編集後記】

 素読は「正しい発音」で「強弱のリズム」を付けて読むわけですが、残念ながら、「英文素読」ができるような教材は今も昔も見当たりません。そこで、十数年前になりますが、この作業を強制的に行えるように作ったのが『7-day English』(セブン-デイ イングリッシュ)です。もともとテキスト(PDF)と音声(MP3)だった教材を、オンラインでレッスンできるようにバージョンアップし、さらに使いやすくなりました。

7-day English』の最大の特徴は「中学英語」で作られている点でしょう。語も文法も中学レベルなので、辞書をひいたり日本語に訳すなど「余計なこと」をせずに、素読に専念出来るのです。

今回の記事をご覧になった方におすすめの記事をご紹介いたします。ぜひ下記の記事も併せてご覧ください。
倍速学習の効果
幼児はメロディで英語を聞き分ける
素読で育つ「英語の読解力」
いま始めるのには理由か゛ある
『パルキッズ』インプット・メソドの徹底解説


【注目書籍】『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)

特集イメージ9 児童英語研究所・所長、船津洋が書き下ろした『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)でご紹介しているパルキッズプログラムは、誕生してから30年、10万組の親子が実践し成果を出してきた「超効率」勉強法です。書籍でご紹介しているメソッドと教材で、私たちと一緒にお子様をバイリンガルに育てましょう。


アマゾンで本を購入する


次の記事「子どもの英語力を見誤ってないですか?」


まずは資料請求
今なら3つの特典つき

プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業。実用英語技能検定1級取得。30年以上に渡る幼児教室・英語教室での教務を通じて幼児の発達研究に携わるかたわら、「パルキッズ」などの英語教材を始めとした幼児向け教材を多数開発。また、全国の幼児・児童を持つ親に対して9万件以上のバイリンガル教育指導を行う。講演にも定評があり、全国各地で英語教育メソッドを広めている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『どんな子でもバイリンガルに育つ魔法のメソッド』(総合法令出版)『ローマ字で読むな!』(フォレスト出版)『英語の絶対音感トレーニング』(フォレスト出版)など多数ある。

この記事をシェアする

関連記事