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LANGUAGE ACQUISITION

音声分節とレキシコンの形成

一続きの英語から、どうやって単語を見つけるのか

音声知覚形成によって、その言語らしい音の聞き方が育つと、次に必要になるのが、一続きの音声から単語や句を見つける力です。

英文を文字で見れば、単語と単語の間には空白があります。しかし実際の音声には、そのような空白はありません。それどころか、音は語の境界を越えてつながり、変化し、ときには一部が脱落します。それでも英語話者には、流れてくる音声から次々と語が聞こえます。この働きを音声分節と呼びます。

1.音の流れから「同じまとまり」を見つける

赤ちゃんは、最初から単語の意味を知っているわけではありません。それでも大量の音声を聞いていると、同じような音のまとまりが繰り返し現れることに気づきます。

たとえば、まだ dog の意味を知らなくても、Look at the dog.、The dog is running.、Where is the dog? のような音声に何度も触れていると、その中に繰り返し現れる同じような音のまとまりがあることが分かってきます。

この段階で重要なのは、「dog は犬という意味だ」と理解している必要はないことです。まず起きるのは、連続した音声の中から、繰り返し現れる音のまとまりを一つの語らしい単位として見つけることです。これが音声分節です。

2.強く聞こえるところから「語が始まる」と予測する

意味も語彙も十分に持たない子どもは、音の流れのどこからどこまでが一つの語なのかを、いくつもの手がかりを使って見つけていきます。その一つが、強勢です。

英語の語には、強い音節と弱い音節があり、日常的に使われる語には、強い音節から始まり、その後に弱い音節が続くトロキー型が多く見られます。そのため英語を聞いて育つ子どもは、強く聞こえる音節を手がかりにして、「ここから新しい語が始まるのではないか」と予測するようになります。

この傾向は、幼児の発話にも現れます。たとえば banana /bəˈnænə/ は、最初の ba が弱く、真ん中の na に強勢があります。2歳頃の子どもが banana を nana のように発音することがありますが、これは単に最初の音を言い忘れたというより、強勢のある音節を中心に語の形を捉え、前にある弱い ba を落としていると考えることができます。子どもにとっては、強く聞こえる na が語の中心であり、そこから後ろの弱い音節を含む nana のまとまりの方が捉えやすいのです。

つまり子どもは、すべての音節を同じ重さで聞いているわけではありません。音同士の結びつき、強勢、音節構造、その言語で許される音の並び方などを組み合わせながら、「この強い音節から語が始まりそうだ」「ここまでが一つのまとまりらしい」と推測しています。

単語を知っているから音声を区切れるのではありません。まず英語の音の分布とリズムから語らしいまとまりを発見し、それが後にレキシコンへ一つの語形として登録されていくのです。

3.見つけた音のまとまりがレキシコンへ登録される

一度聞いた音のまとまりが、すぐに一つの語として安定するわけではありません。しかし、似た音形に何度も出会うと、「これは以前にも聞いた音だ」という記憶が残ります。

たとえば dog という音形に何度も出会えば、その音の並び自体が頭の中に残ります。この段階では、まだ「犬」という明確な意味が結びついている必要はありません。まず、/dɔg/ のような音のまとまりが、繰り返し現れる一つの語形として登録されるのです。

このように、ことばとして認識された音の情報が蓄えられていく仕組みをレキシコン、心内辞書と呼びます。

ここで大切なのは、レキシコンへの登録と意味の獲得を分けて考えることです。最初から、

dog = 犬

という完成した辞書項目が作られるわけではありません。

先に「何度も現れるこの音のまとまり」という音形のインデックスが作られ、その後、その音形がさまざまな経験や場面と結びつくことで意味が育っていきます。

4.最初のレキシコンは「意味のない見出し語」に近い

紙の辞書には、見出し語の横に意味が書かれています。しかし、子どもの初期のレキシコンを考えると、まず見出しだけが先に作られると考えた方が分かりやすいでしょう。

たとえば、ある子どもが何度も giraffe という音を聞いていたとしても、まだキリンを見たことがなく、その語の意味を知らないことがあります。それでも、同じ音形が十分に繰り返されれば、「この音のまとまりは何度も聞く」という記憶は作られます。

つまり、意味は分からなくても、語そのものは頭の中に存在できるのです。

大人でも同じことがあります。知らない外国語や専門用語を何度も耳にすると、「意味は分からないけれど、このことばは聞いたことがある」と感じます。これは、意味より先に音形が記憶されている例です。

子どもの語彙形成でも、まず同じようなことが起きます。連続音声から音のまとまりを切り出し、それを既知の音形として登録する。その後で意味が加わります。

5.音形が増えると、さらに新しい語を見つけやすくなる

レキシコンに音形が蓄積されると、音声分節そのものも進みやすくなります。

たとえば、一続きの音声の中に、すでに登録されている dog という音形が現れれば、「ここは dog だ」と判断できます。すると、その前後にある未知の音についても境界を見つけやすくなります。

つまり、音声を分節する → 音形をレキシコンへ登録する → 登録された音形を使ってさらに分節する、という循環が生まれます。

初めは音の流れにしか聞こえなかったことばが、次第に「知っている音のまとまり」と「まだ知らない音のまとまり」に分かれて聞こえるようになります。

この段階で育っているのは、まだ「意味のある語彙」だけではありません。意味を知らなくても、聞けば同じ語だと分かる音形のストックです。この蓄積が、その後の語彙理解の土台になります。

6.「聞いたことがある」が、意味獲得の準備になる

音形がレキシコンに登録されていると、その後、その語が具体的な場面に現れたときに意味を結びつけやすくなります。

たとえば dog という音形をすでに何度も聞き、レキシコンに持っている子どもが、実際の犬を指しながら Look at the dog. と言われたとします。

そのとき初めて dog という音形と、目の前の犬との結びつきが生まれるかもしれません。そして別の犬、絵本の犬、走る犬などに出会うたびに、その意味はさらに豊かになっていきます。

つまり、音声分節とレキシコン形成の段階では、まず「どんな音の語が存在するのか」を頭の中に作ることが中心です。そして、その語形に経験が結びつくことで、次の段階で意味が形成されていきます。

ことばは、最初から「音+意味」の完成品として入ってくるわけではありません。まず連続音声から音のまとまりが見つかり、それがレキシコンへ登録され、その後に意味が育っていくのです。

詳しく見る「ことばの意味はどう身につく?」

おうち英語・パルキッズとの関係

このページで説明したのは、連続音声から語らしい音のまとまりを見つけ、まず意味を伴わない音形としてレキシコンへ登録していく一般的な言語習得の過程です。家庭で英語音声に多く触れる環境を作る考え方については「おうち英語とは」を、具体的な家庭学習の設計については「パルキッズ・インプットメソッド」をご覧ください。

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