読める。けれど、分からない。
英語を速く滑らかに読む力とは
英文を見たときに、英語の音が自然に立ち上がり、語のまとまりや文の流れを保ったまま、速く滑らかに読み進める力があります。この力が育っていないと、文字は追えていても、内容理解には進みにくくなります。このページでは、リーディング・フルエンシーと、それを育てる音読・素読の考え方を整理します。
文字を音声へ変換する処理に力を使いすぎて、意味理解に使うワーキングメモリが残らない状態です。
音声変換と意味理解にワーキングメモリを分散させず、まず、音声変換を自動化させる取り組みです。
読む処理が自動化されると、英文を読むことの中心は「内容を追う作業」へ変わっていきます。
文字から、英語の音と意味を引き出す
速く滑らかに読むリーディング・フルエンシー
英語を速く滑らかに読む力とは、英文を見たときに、英語の音が自然に立ち上がり、語のまとまりや文の流れを保ったまま読み進める力です。
これは、早口で英文を読むことではありません。一語ずつ止まらない。語のまとまりを保てる。英語の強弱リズムで読める。読みながら内容を理解できる。このような読み方ができるようになると、英文は一語ずつ処理する訳読の対象ではなく、私たちが使う日本語のように、音声を伴ったことばとして処理されるようになります
反対に、単語ごとに止まり、発音に迷い、文の最後まで行くころには最初の内容を忘れてしまう状態では、英文を読んでいるように見えても、内容理解は進みません。英語を速く滑らかに読む力は、読解へ進むための土台なのです。
流れが止まる読み方
- 一語ずつ止まりながら読む
- 発音に迷う
- 文の最後まで行くころには、最初の内容を忘れている
- 読めているはずなのに、内容が頭に残らない
英語が流れる読み方
- 一語ずつ止まらない
- 語のまとまりを保てる
- 英語の強弱リズムで読める
- 文の流れを前から追える
- 読みながら内容を理解できる
読解力を読力と理解力に分ける
「読める」と「分かる」は同じではない
英語の読解力を考えるとき、多くの人は「読んで意味が分かる力」とひとまとめに考えます。しかし、本来は二つに分けて考える必要があります。
ひとつは、文字を音声へ変換し、語や文として読める力です。もうひとつは、読んだ内容を理解し、心の中に意味として表象する力です。前者をここでは読力、後者を理解力と考えます。
読力が十分に育っていない状態で、いきなり読解力を育てようとしても、うまくいきません。なぜなら、文字を音声へ変換する作業にワーキングメモリが割かれると、意味を理解する余裕がなくなるのです。
「読めるけれど分からない」という状態は、この読力と理解力の分離を考えると理解しやすいでしょう。文字は追えている。音にもしている。けれど、その処理に負荷がかかりすぎて、内容理解まで届いていない。この状態を抜けるには、まず文字を英語音声へ変換する処理を軽くする必要があります。
読力不在のまま、いくら読解力を育てようとしても、文字を音にする作業に力を取られ、意味を理解する余裕が残りません。
ワーキングメモリをどこに使うか
読むたびに止まると、理解に進めない
英文を読むとき、頭の中ではいくつもの処理が同時に行われています。文字を見る。音声へ変換する。語として認識する。意味を取り出す。文の関係をつかむ。前後の内容とつなげる。全体のイメージを作る。これらすべてに、ワーキングメモリが使われます。
もし、文字を音声へ変換するだけでワーキングメモリの大部分を使ってしまえば、文同士の関係を考えたり、内容をイメージしたり、全体の意味を保持・統合する余裕は残りません。その結果、読んでいるのに分からない、という状態が起こります。
逆に、文字から英語音声がすばやく立ち上がるようになると、処理にかかる負荷が小さくなります。すると、ワーキングメモリ、意味理解に使えるようになります。
一語ずつ止まって読むとき
速く滑らかに読めるとき
読む力を育てる段階を分けて考える
音読・素読・多読は何が違うのか
英語を読む取り組みには、音読、素読、多読があります。これらは似ていますが、役割は同じではありません。
音読
文字を声に出して読む行為全般を指します。教科書を読む、英文を読み上げる、発音を確認する、といった取り組みも音読に含まれます。
素読
意味や文法の分析をいったん脇に置き、正しい音声に合わせて、英文を大量に声に出して読む取り組みです。英語では、発音、強弱、リズム、語のまとまりを保ちながら読むことが大切になります。
多読
意味を理解しながら、大量の英文を読み進める取り組みです。目的は、英文をたくさん読むことで語彙、表現、背景知識、読解力を育てることです。
つまり、三つの関係は次のように整理できます。
多読は重要です。しかし、英文を読むたびに止まり、単語の音声化に迷い、意味を取る前に疲れてしまう状態では、多読は続きません。そこで、多読の前段階として、素読によって読む処理を軽くしておく意味があります。
英語を日本語の音で読んでしまう問題
英語では、日本語の音韻知識が干渉する
日本語を母語とする子どもや大人は、すでに日本語の音韻体系を持っています。これは日本語を理解するうえで不可欠です。しかし、英語を音声に解読するときに、その日本語の音韻知識が干渉することがあります。
英語には、日本語とは異なる音素、子音連続、強弱のリズム、連結、弱化、脱落があります。ところが、日本語の音韻知識で英語を読んでしまうと、子音の後ろに母音を入れてしまったり、弱く読むべき機能語を強く読んでしまったり、英語特有のリズムを日本語の拍のリズムに置き換えてしまったりします。
たとえば、英文を一語ずつ均等に、タタタタと読んでしまう。これでは、英語の文字を読んでいるようで、実際には英語の音声として処理していません。
英語を速く滑らかに読む力とは、単に文字を速く追うことではありません。英語を、英語の音韻体系に沿って、速く、滑らかに音声化できるようにすることです。
日本語の音韻知識で読むと
- 子音の後ろに母音を入れてしまう
- 弱く読むべき機能語を強く読んでしまう
- 一語ずつ均等に、タタタタと読んでしまう
- 英語特有のリズムを拍のリズムに置き換える
英語の音韻体系で読むと
- 英語の子音・母音のまま音声化できる
- 機能語は弱く、内容語は強く読める
- 語と語が連結し、滑らかにつながる
- 強弱のリズムで文の流れを作れる
意味へ進むために、まず正しく音声化する
素読は、読む処理を軽くするための取り組み
素読とは、もともと意味や内容を細かく考えず、文字を声に出して読む作業のことです。日本では、意味はわからなくてもとりあえず読む作業、「論語の素読」などという文脈でしばしば使われます。
英語学習における素読でも、英文を日本語に訳したり、文法を分析したりすることをいったん脇に置きます。まず行うのは、英文を正しい発音と強弱のリズムでひたすら音声化することです。
文字を見るたびに止まる。単語の発音で迷う。一文を読み終えるまでに時間がかかる。読むこと自体の負担が重い。この状態では、内容理解に進む前に疲れてしまいます。
素読によって、文字を英語音声へ変換する処理を何度も繰り返すことで、よく出る語や表現、文のまとまりが瞬時に処理されるようになっていきます。読む処理が軽くなることで、ようやく読力と理解力がひとつになり、読解力へと統合されるのです。
素読が目指していること
意味理解にワーキングメモリを振り分けられるように、まず音声変換を自動化するのです。
速く読む前に、英語らしく読む
素読で大切なのは、正しい発音と強弱のリズム
素読で大切なのは、可能な限り正確に英文を読むことです。ポイントは、正しい発音と、英語の強弱のリズムです。
日本語のようにすべての音を一定のリズムで発音する言語です。英語はそうではなく、強く読まれる語や音節があり、弱く読まれる語や音節があります。特に、前置詞、冠詞、助動詞、接続詞、代名詞などの機能語は、文の中ではしばしば弱化します。また、英語では語と語がつながり、子音と母音が連結したり、音が弱くなったり、脱落したりします。
そのため、英語を素読するときには、日本語のように一音一音を均等に読むのではなく、英語の強弱、リズム、連結を意識しながら読む必要があります。
音声を聞きながら、できるだけ、その音声合わせて読むことが重要です。正しい英語音声に合わせて大量に読み続けることで、英語らしい発音、強弱、リズム、音のつながりが身についていきます。
強弱のリズム
強く読まれる語・音節と、弱く読まれる語・音節がある。すべてを均等な重さで読まない。
機能語の弱化
前置詞・冠詞・助動詞・接続詞・代名詞などは、文の中で弱く読まれることが多い。
連結
語と語がつながり、前の子音と後ろの母音などが一続きの音になる。
脱落
特定の音が弱まったり、聞こえなくなったりして、滑らかな流れを作る。
正確さ、速度、区切り、リズム、理解
リーディング・フルエンシーとは何か
英語を速く滑らかに読む力は、リーディング・フルエンシーとも呼ばれます。フルエンシーとは、単に速く読むことではありません。正確さを保ちながら、適切な速度、区切り、強弱、リズムで、滑らかに読み進める力です。さらに、読みながら内容を理解できることも欠かせません。
つまり、フルエンシーとは、正しく読める。止まらず読める。英語のリズムで読める。意味のまとまりを保ちながら読める。という力です。
この力が育つと、英文を読むたびに日本語へ訳したり、文法を一つひとつ分析したりすることが少なくなります。英語を前から、連続的に処理するようになるのです。
その入口が英文素読なのです
正しく読める
発音・語・文をおおむね正確に音声化できる。
止まらず読める
一語ずつつかえず、途切れずに読み進められる。
英語のリズムで読める
強弱・連結・弱化を含めた英語らしいリズムで読める。
意味のまとまりを保てる
語や句のまとまりを崩さず、読みながら内容を理解できる。
速さが、読み方を変える
150語/分は、英語を前から読むための目安
英文を非常にゆっくり読むと、一語ずつ日本語に訳す余地が生まれます。しかし、ある程度の速度で読み続けると、一語ずつ日本語に訳したり、文法に照らしながら後ろから分析したりする時間はありません。その結果、英語を前から順に処理するしかなくなります。
7-day English では、リーディング・フルエンシーの目標として、1分間に150語という読み上げ速度を示しています。もちろん、150語/分という数字を追うだけではなく、強弱やリズムも意識する必要があります。
ゆっくり読んで、戻って、訳して、考える読み方から、英語を英語の語順のまま、前から処理する読み方へ。英語を速く滑らかに読む力は、その転換を支える土台になります。
速く滑らかに読めるから、たくさん読める
素読の後に、ようやく多読が可能となります
多読は、英語習得にとって非常に重要なインプットです。しかし、英文を読むたびに止まり、音声化に迷い、意味を取る前に疲れてしまう状態では、多読は続きません。多読が続かない理由は、分からないからつまらない点です。読めないから、楽しくない。分からないから、続かない。一冊を読み切る前に、負荷が大きすぎる。
この状態で無理に多読へ進んでも、直に挫折するでしょう。経験された方も少なくないと思います。そこで必要になるのが、素読です。素読によって、まず英文を英語音声として滑らかに読めるようにする。文字を音声へ変換する処理を軽くする。英語のリズムで読むことに慣れる。そのうえで多読へ進むと、英文を読むことが「理解に集中できる作業」へ変わります。多読の前に素読を置く理由は、ここにあります。
音声に合わせて、大量に、一定の速度で読む
7-day English の根底にある設計
速読に特化した教材として、7-day English があります。英語を速く滑らかに読む力を育てることに特化した設計です。文字を見て、英語音声へ変換する。英語の強弱リズムで読む。一定の速度で読み続ける。何度も読む。読むことに使う負荷を下げる。その分、意味理解へ進む。この流れを教材として設計したものが、7-day English です。
中心となる取り組みは、音声と文字を頼りに、英語の発音、強弱、リズムを意識しながら、複数のストーリーを何度も素読することです。また、読み上げ速度だけではなく、読んだストーリーの内容について答える活動も用意されています。つまり、単なる音読練習ではなく、読む速度と内容理解の両方を見ていく設計です。
7-day English は、英文を大量に、音声に合わせて、英語のリズムで素読することで、英語を速く滑らかに読み、読解へ進む力を育てる教材です。
文字→英語音声
文字を見て、英語音声へ変換する。
強弱リズム
英語の強弱リズムで読む。
一定の速度
一定の速度で読み続ける。
反復
複数のストーリーを何度も読む。
負荷を下げる
読むことに使う負荷を下げる。
内容理解へ
その分、意味理解へ進む。
関連教材
7-day English — 音声に合わせて英文を大量に素読し、英語を速く滑らかに読む力を育てる教材です。
読める音は、聞き取る力にも関係する
速く滑らかに読めることは、リスニングにもつながる
英語を正しく読むことは、リーディングだけでなく、リスニングとも関係してきます。読むときに作っている音声の形が、日本語式の音であれば、実際の英語音声と一致しません。そこで、正しい音声に合わせて読むのです。
たとえば、英語音声の伴走がない状態で、独力で読むと、日本語の拍リズムで、子音の後ろに母音を入れて読んでしまいます。また、機能語をすべて強く読んでしまう。連結や弱化を処理できない。そのような読み方が定着すると、実際の英語音声を聞いたときにも、自分の中にある間違えた英語の音声と、聞こえてくる正しい英語の音声が一致しないのです。
逆に、英語のリズム、弱化、連結を含めて読めるようになると、耳から入ってくる英語との対応も取りやすくなります。つまり、正しく読むことは、正しく聞くこととつながっています。
英語を速く滑らかに読む力は、読解力だけでなく、リスニングも含め英語を英語のまま処理する力全体を支えるのです。
まとめ
英語を速く滑らかに読む力とは、英文を見たときに、英語の音が自然に立ち上がり、語のまとまりや文の流れを保ったまま、前から読み進める力です。
英文を読むとき、私たちは文字を見て、音声へ変換し、語として認識し、意味を取り、文同士をつなげ、内容を心の中に表象しています。このとき、文字を音声へ変換する処理に負荷がかかりすぎると、理解に使うはずのワーキングメモリが残りません。その結果、読めるけれど分からない、という状態が起こります。
英語を速く滑らかに読む力を育てるには、英語の発音、強弱のリズム、連結、弱化、脱落を含めて、英文を英語音声として読む経験が必要です。素読は、この読む処理を軽くするための取り組みです。まず音声化の負荷を下げることで、ワーキングメモリの処理スペースを理解に振り分けるのです。
7-day English は、この考え方を根底に置き、音声に合わせて英文を大量に素読することで、英語を速く滑らかに読み、読解へ進む力を育てます。
英語を読めるようにする。さらに、読んで分かるようにする。その間にある重要な橋が、英語を速く滑らかに読む力なのです。
英語を読めるようにする。
さらに、読んで分かるようにする。
その間にある重要な橋が、英語を速く滑らかに読む力なのです。
よくある質問
英語を速く滑らかに読む力とは何ですか?
英語を速く滑らかに読む力とは、英文を見たときに英語の音が自然に立ち上がり、語のまとまりや文の流れを保ったまま読み進める力です。単に早口で読むことではなく、正確さ、速度、区切り、リズム、内容理解を含む力です。
リーディング・フルエンシーとは何ですか?
リーディング・フルエンシーとは、正確さを保ちながら、適切な速度、区切り、強弱、リズムで、滑らかに読み進める力です。読みながら内容を理解できることも含まれます。
音読と素読は何が違いますか?
音読は、文字を声に出して読む行為全般を指します。素読は、意味や文法の分析をいったん脇に置き、正しい音声に合わせて大量に読み、読む処理を軽くする取り組みです。
素読では意味を考えなくてよいのですか?
意味を無視するということではありません。素読の段階では、まず文字を英語音声として正しく滑らかに読むことに集中します。音声化の負荷が下がると、その後に意味理解へ進みやすくなります。
多読の前に素読が必要なのはなぜですか?
英文を読むたびに止まったり、発音に迷ったりしている状態では、多読をしても内容理解に進みにくく、継続も難しくなります。素読によって読力を育ててから多読へ進むことで、英文を読む経験が理解可能なインプットになりやすくなります。
150語/分とは何の目安ですか?
150語/分は、英文を一語ずつ日本語に訳したり、文法を後ろから分析したりせず、英語を前から連続的に処理するための一つの目安です。ただし、数字だけを追うのではなく、正確さ、リズム、内容理解を伴うことが大切です。
7-day English は何を育てる教材ですか?
7-day English は、音声に合わせて英文を大量に素読し、英語を速く滑らかに読むリーディング・フルエンシーを育てる教材です。根底にある設計は、読む処理を軽くし、読解へ進む力を育てることです。
英語を速く滑らかに読めることは、リスニングにも関係しますか?
関係します。英語を日本語式の音で読んでいると、実際の英語音声との対応が取りにくくなります。英語の発音、強弱、連結、弱化を含めて読めるようになることは、聞こえてくる英語を処理する力にもつながります。
