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2020年10月号特集

Vol.271 | 英語習得におけるアウトプットの果たす役割

英会話、英作文、素読、シャドウイング…結局アウトプットは必要?!

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-2010/
船津洋『英語習得におけるアウトプットの果たす役割』(株式会社 児童英語研究所、2020年)


「アウトプット」と「インプット」ではどちらが大切?

特集イメージ1 子どもの英語学習でどうしても気になるのが「アウトプット」ではないでしょうか。アウトプットがなければ、インプットされているのかしらと心配し、アウトプットがあっても発音が気になれば、正しく聞き取れているのかしらと心配する。暗唱するようになっても、間違える箇所があれば記憶が苦手なのかとやきもきする…。

 分からないでもありませんが、断言します。取り越し苦労です。
 幼児は本来、大人とは比べものにならないほどの記憶力を持っています。例えば、モスキート音(*1)が聞こえなくなるなど、大人になればだんだん音の聞こえが悪くなるのですが、幼児はそんな大人よりは遙かに優れた聴覚を持っています。
 さらに、大人になると日本語の音韻知識で外国語を処理するので、聞き取り能力に関しては絶望的ですが、幼児たちは周囲に存在する音声を、日本語や外国語の区別なく聞き取る能力を持っている(*2)のです。
(*1 私は14khzあたりまでしか聞こえませんが、倅たちは20khzでも耳をふさぎたくなるようです。気になる方はググってみて下さい) (*2 1歳くらいになると「外国語の音素に関心を示さなくなる」と報告する論文があり、それが「英語の聞き取りができなくなる」論拠として使われたりしますが、かなり意志的な曲解です。)

 そう考えると、幼児に対してのインプットの面で心配すべきなのは「インプットされているか否か」ではなく「インプットするか否か」です。つまり、インプットしていればインプットされている、逆にインプットしなければインプットされていない、ただそれだけの話です。
 外国語の音声入力に関しては年齢制限がありますが、インプットの意義に関しては成人してからも同じです。本(種類にもよりますが)をよく読む人は、一般にコンテンツ(情報量・語彙・表現力)が豊富であり、そうでない人は限られたコンテンツの持ち主となります。つまり、インプット量はその人から発信されるコンテンツに直接関係してくるわけです。

 世の中には、おしゃべりな人も無口な人も居ますが、そのおしゃべり度合で、人の思考力や言語能力を測ることは一般的にはしません。無口な小説家も居ますし、無内容なことをよくしゃべる人もいます。

 ただ、インプットとアウトプットはお互いに反語としての意味合いがありますので、どうしても「インプットしたらアウトプットがあるはずだ」と関連づけてしまう心理が働いてしまいます。
 そして、しまいには「アウトプットがないからアウトプットの練習をしよう」となります。すると、世の中便利?!なもので「アウトプット」をテーマにした英語の学習法がたくさんあります。そして「多読をしなくて良いのかしら」「暗唱は?」「シャドウイングは?」となるわけです。

 そこで、今回はアウトプットに関わる学習法と、そこから得られる英語の能力、さらにはアウトプットからは得られない英語の能力を見ていくことにします。


アウトプットには2種類。「コンテンツ」と「音声」

特集イメージ2 さて、上段で少し触れましたが、アウトプットには「コンテンツのアウトプット」があります。コンテンツとは、話したり書いたりする内容のことです。
 それに加えて「音声のアウトプット」があります。こちらは正しいアクセントとか発音のことです。一般に「アウトプットの練習」というと後者を指しており、特に「英語圏の人が話すように英語を口にする」ことがイメージされるようです。

 コンテンツのアウトプットの機会としては「英会話」、「スピーチ」や「英作文」等が挙げられます。こちらは、いかに充実したコンテンツを産出するのか、その質が問われます。
 他方、音声のアウトプットは「音読」「素読」「(音声を伴う)多読」「暗唱」あるいは「シャドウイング」等が挙げられます。こちらは、正しい音声を産出することに主眼が置かれます。

 「コンテンツ」と「音声」に関しては、いくつかのコンビネーションが考えられます。
 忘れた頃に取り沙汰される「グロービッシュ」はコンテンツ(といってもあくまで意思が伝わること)重視で、音声は二の次という考え方です。発音などどうでもよく、伝わればよいわけですね。
 逆に、内容がまるでなくても発音が素晴らしい皮肉な例として「帰国子女」が取り沙汰されたりしますが、こちらはあまりにも十把一絡げにし過ぎで少々気の毒な気もします。確かに無内容なバイリンガル青年も少なくありませんが、それはモノリンガルとておなじ事。若いというのは内容がなくても許されるのです?!

 しかし、理想はコンテンツも音声も “バッチリ” であることに間違いはありません。確かに、今日英語の発音も多様化していますが、シェイクスピアを誇りに思う英国人が多いことを考えれば、コンテンツばかりでなく、英語の音声そのものもきれいであることは理想でしょうし、「ことだま」という語に現れるように、言語は音声から発達したことを考えれば、やはりきれいに話すことの大切さにも頷けます。
 もっとも、日本人は英語に関してはコンテンツも音声も残念なので、上記の三者には当てはまりませんね。


ことばの使用のループの中でのアウトプットの位置づけ

特集イメージ4 ヒトがことばを使用するにあたって、様々な脳の機能や生理学的な器官を使っています。知覚系に関しては音声を耳で聞いたり、文字を目で読んだり、その後に理解するステージがあります。産出系では思考したイメージを、統語規則に当てはめて作文し、それを音声として口にしたり、文字に書き出したりします。
 そのようにして産出された音声や文字を、再び誰かが耳にしたり目にしたり、そして理解して思考して、何らかの考えを音声や文字として産出するわけです。

 そこで、コンテンツと音声の「アウトプット」は、上記の言語使用のループのどの位置を占めるのかを考えてみることにします。少し面倒ですが、ここが分からないと「アウトプット練習」の意義が分からないので、ご辛抱ください。ここでは、「読み書き」ではなく、「聞いたり話したり」の音声使用を中心に話を進めます。

 まずは、情報の知覚です。

 ・話し手の産出した音声は、音波となって聞き手の耳に届きます。
 ・耳に入った音波は、音声として知覚されると、語(形態素)の単位に分割(分節)されます。
 ・分節音は、統語(文法)知識に参照されて理解されます。

 次に産出です。

 ・話し手は何らかのイメージを描き(思考し)ます。
 ・イメージに合う語や句を選び統語(文法)知識に照らし合わせてコンテンツ作り(作文)が行われます。
 ・そして、そのコンテンツを音声として産出します。

 音波→分節→理解、そして、思考→作文→発話となります。

 簡単そうですか? ところが、実は言うほど簡単ではないのです。まずは知覚から、英文を例に見てみましょう。


ちょっとややこしいですが我慢のしどころです

特集イメージ5 とある音波 [əlɑɾəvɛgz](無理矢理カナで書けば「アララベグズ」)は私たちの耳には [ə.lɑ.ɾə.vɛgz] (同じく「ア・ラ・ラ・ベグズ」) の4音節として響きます(ピリオド ‘.’ と中黒「・」が音節の境界)。
 この [əlɑɾəvɛgz] を、意味のある語に分節すると/ə/, /lɑt/, /əv/, /ɛgz/ となります。これで ‘a lot of eggs’ と知覚されます。
 しかし、英語は語末子音と語頭母音の境界で、子音+母音を単位とした再音節化が行わるので、語の境界が消えてしまいます。語同士がくっついたり、語の途中で分割されたりするわけです。すると、日本人の耳には /ə/, /lɑt/, /əv/, /ɛgz/ (‘a lot of eggs’)ではなく、 [ə.lɑ.ɾə.vɛgz] (「ア・ラ・ラ・ベグズ」) としか聞こえません。ややこしいですね。
 ちなみに米語においては /t/ (「トゥ」)は母音に挟まれると、日本語のラ行の音のたたき音 [ɾ] になったりするので、さらにややこしい。

 いずれにしても、正しく分節されれば ‘a lot of eggs’ と聞こえるわけです。そして語単位に切り出された音声は、統語(文法)知識に照らし合わせて「卵がいっぱいある」イメージと変換されます。これが理解の部分です。
 日本人はまず、 [ə.lɑ.ɾə.vɛgz] →’a lot of eggs’ の変換作業ができないので聞き取りができないのですが、その後の理解のステージに関しても問題を抱えています。それは、「日本語に訳す」という、本来言語を使いこなす上では不要なひと手間がかかることです。この2つが、日本人がいつまで経っても英語ができない大きな理由です。

 次に産出を見てみましょう。

 まずは「たくさんの卵」のイメージから語を選び、統語(文法)知識に照らして ‘a lot of eggs’ というコンテンツを作ります。この程度の作文は中学生でもできますね。
 問題はここからです。
 アメリカ英語話者の場合には、’a lot of eggs’ を産出(発話)するとき、自動的に [əlɑɾəvɛgz] となりますが、これが日本人には非常に難しいのです。
 問題をややこしくしている根底に「音挿入」があります。日本語は一部を除き子音単独での発音を許していないので、子音だけの音節には母音(「ウ・オ」)を無意識に添付します。その結果、日本語話者は、’a lot of eggs’ を /a lotto ovɯ eggɯzɯ/(ア ロット オブ エッグズ)と変換するわけです。この音声が英語として伝わる場合もありますが、もちろん伝わらないケースも少なくありません。
 さらに、厄介なことに、自分で発音する英語らしき音は /a lotto ovɯ eggɯzɯ/(ア ロット オブ エッグズ)ですので、無意識のうちに、このような音声を相手にも期待しているのかも知れません。しかし、耳に入ってくる実際の英語の音声は [əlɑɾəvɛgz] ですので、このギャップに悩まされることになります。

 お気づきのように「頭の中の音」と「実際の音声」は違います。作文したときの頭の中の音は ‘a lot of eggs’ なのですが、それを日本人が実際の音声にすると /a lotto ovɯ eggɯzɯ/ (ア ロット オブ エッグズ)になり、アメリカ人が口にすれば [əlɑɾəvɛgz] になるわけです。

 「頭の中の音」」と「実際の音声」?それはなに?とピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、日本語を例に取りましょう。
 例えば、何かの本を「すでに読んだイメージ」を文にすると「読んだよ」となります。これは「読む(yomu)」に過去を表す「た(ta)」と感動詞の「よ(yo)」の合成で、つまりは ‘yomu ta yo’ と作文されます。
 それがいろいろ変化します。まず ‘yomu’ は ‘yomi’ に変換され ‘yomita’ となり、その後、撥音便で ‘mi’ は ‘n’ となり、連濁で ‘ta’ は ‘da’ となり、結果として ‘yondayo’ となります。
 頭の中の統語システムは、語などをどんどんくっつけていくのですが、それらを活用させたり、音変化させてその後に音声として産出されるのです。

 そんなバカな!そんな複雑なことをしている覚えはないぞ、単に耳にした語を並び替えて帰納的に作文しているんじゃないか、という向きもございましょう。ごもっとも、ごもっとも。
 ただ、幼児の言語発達の中での言い間違えを観察していると、「頭の中の音」がそのまま口に出ていることがあります。運転できないことを「運転しられない」とか、走れることを「走られる」、触ってみたいことを「(触ることを)やらいたい」などを耳にするにつけ、幼児たちの脳内では、文法を駆使してやりとりしていることが伺えるのです。

 さて、音波→分節→理解、並びに、思考→作文→発話の流れの中で、特に作文した「頭の中の音」と、発話される「実際の音声」の間に差があることがご理解いただけたと期待します。そして、その「両者の差を埋める効果」を望めるのがアウトプット練習の本質なのです。
 ただ、世間ではもう少し異なる理解があるようですので、そのあたりを順に見て参りましょう。

1.アウトプット練習の種類

 アウトプットの練習に関わる取り組みはいくつかありますが、ここではコンテンツではなく「音声系のアウトプット」、その中でもインプット重視の「多読」は省くことにして、「暗唱、素読、シャドウイング」について見ていくことにします。

絵本の暗唱

特集イメージ6 絵本の暗唱は、幼児期の英語習得の王道です。幼児たちは家族の話やテレビのコマーシャル等と同様に、英語絵本の音源をかけ流して絵本を数度見せるだけ、それこそ絵本を見せなくても、そのコンテンツを暗唱してしまいます。大人には到底できない芸当です。この幼児期の優れた記憶力を活かさない手はありません。
 幼児たちは、暗唱することで英語の発音とアクセントの両方を苦もなく身につけてしまいます。

 ここで、注意点です。
 『パルキッズ』の学習の場合、絵本の暗唱は発音とアクセントの練習とは位置づけておりません。絵本の暗唱によって得られるものはあくまでも「読解力」です。
 幼児の脳は、実に優れていて、音声と文字との間に存在する規則性を発見することができるのです。詳細は『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)に譲るとして、ざっと流れを書くと以下の通りです。

 繰り返しを音声を与えることで、幼児たちは音源を丸暗記します。何回与える必要があるかに関しては一概に言えませんが、関心や気分など絵本を与える “タイミング” と、与える絵本の内容の “理解度” のチューニングさえピッタリ合っていれば、1、2度与えただけで、かなり長い絵本でも大体記憶してしまいます。
 チューニングが合っているか否かの判断は、子どもの集中度合や読了時に「もう一回読んで」といったリクエストに現れます。「もう一回」は、丸暗記した後にも言うことがありますので、リクエストがあったとしても「まだ覚えていない」とは限りません。

 そして、ひとりでページをめくりながら暗唱するうちに、音声と文字間の規則を発見して、「ひとり読み」が始まるのです。
 その「行き掛けの駄賃」として、正しい発音とアクセントが身につくのですから、英語教育に絵本の暗唱を導入しないという手はありませんね。  
 ただし、絵本の暗唱を読解力と結びつけた指導をしているのは、我々以外に見当たらないので、正しい指導のもとで行ってください。なぜなら、“暗唱” ということばに囚われてしまって、「口にしなければいけない!」「そうでなければこの子は英語が身につかない!」とまったく見当違いの思考バイアスが形成され、ご自身とお子さまを追い詰めてしまうことになりかねないのです。

 いずれにしても、「読解力」と同時に「英語の発音とアクセント」をバッチリ身につけられる優れものの取り組みが絵本の暗唱です。


素読

特集イメージ7 素読は読んで字の如く、ひたすら読む作業です。「読む」作業には通常「理解」が伴いますし、「読んだ」と聞けば、ある程度理解していると想定されるのが自然です。ところが、素読ではその「理解」の部分が必要ありません。「読む」だけで良いのです。

 一口に素読とは「文字を音声に置き換える」練習です。
 もともと「音声」から発達したヒトの言語は、十万年とも言われる歴史を持っていますが、「文字」の歴史はたったの数千年ですね。このことからも、言語は音声がメインであることは言うまでもありません。
 しかし、失敗を記憶に留めないと人は成長しませんし、どんな優れた人もいずれは死んでしまうのですから、何らかの「記録」と「再生」をする方法が求められ、文字が作られたわけですね。
 この「文字」は極めて便利な代物で、音声から文字へ、文字から音声へと、いつでもどこでも “大抵の場合には” うまく変換できます。

 ヒトは、本性として音声言語を身につける能力を持っていますが、文字と音声との相互変換作業には、練習が必要となります。母語の場合には、比較的スムーズにこの能力を獲得できますが、外国語の場合には、ひとつ重要な課題があります。そうです、上段ですでに述べたように、外国語の「正しい音声」がなければ当てずっぽうの変な変換をしてしまうのです。
 そこで、外国語(本節の場合には英語)の文字を、正しく音声に置き換える練習をするのが、「素読」となるのです。

 知覚と産出は相互に関係していて、通常は知覚(聞いたり読んだり)ができるようになってから、産出(話したり書いたり)の順で発達しますが、素読は知覚(読む)と産出(話す)を同時にトレーニングできます。
 さらにさらに、口から発する「実際の音声」を発音とアクセントの両面において矯正することができるので、日本人の英語の聞き取りの課題である「頭の中の音」と「実際の音声」の不一致を解消できるのです。

 この素読には、ひとつだけ問題点があります。素読と言うからには「読む」ことができないことには練習が始められません。絵本の暗唱は幼児向けでしたが、素読はある程度読める子、『パルキッズ』の子なら年長や小学校低学年から、一般的には小学高学年や中学生向けの取り組みであることは付け加えておきましょう。

 素読に関しても、具体的な進め方は『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)をご参照ください。


シャドウイング

特集イメージ8 おそらく『パルキッズ通信』史上初?ではないまでも少なくともここ20年くらいは触れた記憶がない取り組みが「シャドウイング」です。ですので、少し調べてみました。

 シャドウイングとは、どうやら同時通訳者育成の世界では一般的に行われている作業のようです。耳にしながら口にする練習は有意義である、という考え方があるそうです。確かに同時通訳者は、耳にしながら次々と口にしていかなくてはいけないわけですから、ふーんと、何となく納得した気にもなります。
 しかし、少し考えてみれば当然のことですが、耳にしながら口にするというのは、ヒトが言語を使用する中で、極めて普通に日常的に行っていることです。相手の話を聞きながらも、次々と理解しているわけですし、同時に自分の考えをまとめていて、しまいには相手の話を遮って発言したりもするわけです。
 聞きながら話すというのは、言語使用においては当たり前のことですね。
 また、日本語を聞きながら、そのすぐあとについてシャドウイングするのも中学生でもできる作業なので、練習しなくてはいけないような作業ではありません。

 もちろん、これが英語を聞きながら日本語を話したり、反対に日本語を聞きつつ英語を話したりとなると、話は別です。それこそ、通訳者の腕(言語脳)の見せ所となるわけです。
 しかし、英語のシャドウイングは、英語から英語ですね。その意味では、日本語から日本語のシャドウイングと質は変わりません。

 どうにもモヤモヤします。そもそも、シャドウイングは超短期記憶である点を除けば単なるリピートです。私は、アラビア語やスワヒリ語などの素養は(も!)まったくありませんが、オウム返しならナントカできそうですし、慣れればシャドウイングもできると思います。
 しかし、それでアラビア語やスワヒリ語ができるようになるとは到底思えません。

 どうやら、英語のシャドウイングには2つの勘違いがありそうです。

 まず、ある程度以上英語ができる人でないと難しい点です。すでに述べましたが、単なる超高速オウム返しでは、言語を獲得できるわけがないので、やはりある程度以上の知識・経験がなければ、シャドウイングは意味がなさそうです。
 次に、調べれば調べるほど「テキストを読みながら」とか「正しい発音で」といった記述に突き当たる点です。音源に合わせて正しい発音でテキストを読むなら、それは単なる「素読」ではないでしょうか。
 また、同じテキストの繰り返しの使用が必要なようですので、これは「暗唱」の練習のようなものかもしれません。
 聞いた音を素早く正しく口にする練習で、英語の理解力が高まる、というのもどうにも符合しない気がします。

 ただし、これは重要な点ですので、明らかにしておきますが、シャドウイングは発音の練習になります。また、パッと英語のフレーズが口をついて出てくる、そんな瞬発力を養うこともできるでしょう。
 耳にした音をテキストを見ながら、あるいは見ずに、強制的に口にし続けるのはもちろん苦行です。ただ、素読も同じですが、その苦行の先に一筋の光明があるのです。
 意識しなくても、きれいな発音、正しいアクセントで英語を口にすることができるようになる。パッと英語が口をついて出てくる。そんなステキな果報を孕んだ取り組みが、シャドウイングです。

 実は恥ずかしながら、私も中学生の頃、当時英語の指導を受けていた先生からシャドウイングを勧められて実践したことがあります。もちろん、英語力が未熟で、根気もない若かりし頃の私には何の効果ももたらしてくれませんでしたが。
 シャドウイングや同時通訳の専門家ではないので、この辺にしておきますが、ある程度以上の英語力をお持ちの方には、是非ともお勧めの取り組みです。

2.アウトプットで得られる能力3つ。撮って出し(口癖)と…


撮って出しストック

特集イメージ9 さて、アウトプットの練習をいくつか見て参りましたが、暗唱にせよ、素読にせよ、シャドウイングにせよ、目的と方法を間違えなければ効果的な学習であることは間違いありません。
 ・幼児期限定で、読解力を育てつつ正しい発音とアクセントが身につく「絵本の暗唱」
 ・ある程度以上読める子限定で、正しい発音とアクセント、さらに文字を直観的に正しい音声に変換する能力(読力)が身につく「素読」
 ・ある程度以上の英語力を有する人限定で、正しい発音とアクセントを身につけられる「シャドウイング」
 がありました。

 さて、いずれも正しい発音とアクセントを身につけられる点で共通しているわけですが、さらにもう1つアウトプットによって得られるものがあります。それは「撮って出しストック」です。
 前段で「パッと英語が出てくる」と書きましたが、これがアウトプット練習の最大の効果と言えるでしょう。
 「撮って出し」とは、放送業界用語で「映像などを編集せずにそのまま出す」ことです。アウトプット練習で繰り返し同じフレーズを口にすることで、パッと口にすることができるフレーズとしてストックされていくのです。
 いくら英語を理解できても、口ごもっているようではつまりません。颯爽と英語を口にしたいものですね。

 この「撮って出しストック」ですが、思考→作文→発話のどの部分に該当するのでしょうか。「発音とアクセント」は「発話」の正確さと関係していますが、この「撮って出しストック」は文法操作(編集)をしません。つまり、作文の段階で語や句を選んだら、文法操作をすっ飛ばして発話していることになります。
 これは、私たちも子どもたちも日常の日本語使用の中で自然と行っています。みなさん、口癖をお持ちだと思いますが、そのような感覚です。文脈を理解した途端に、とっさにことばが口をついて出てしまうのです。

 日本人が英作文をすると、どうしてもまどろっこしい。まず、イメージの合う語を探し出し、意味が合うように文の組み立てをします。その後、でき上がった文を文法的に正しいかどうか検証して、発音に注意しながらゆっくり話す。これが日本人の英語の有り様です。しかし「撮って出しストック」から適宜語や句を取り出せば、そんな面倒なことは必要ないわけです。

 英語を習得中の子どもたちを見ていると、この「撮って出しストック」を上手に使っていることが伺えます。
  ‘Hello, good bye, see you, thank you, bless you, I do, maybe, let’s go, OK…’ などなど感動詞と呼ばれるような表現や教材の中でによく耳にするフレーズなどは、「撮って出しストック」からそのまま出して、そのまま無編集で口から出しているのです。超(遅)時間差のオウム返しのようなものです。

 アウトプット練習からは「撮って出しストック」の充実という効果が得られることが分かりました。それでは、前後しますが、以降「正しい発音」と「アクセント」を見ていくことにします。


正しい発音

特集イメージ10 ところで皆様、日本語を正しく発声している自信はおありでしょうか?
 いわゆる鼻濁音と呼ばれる軟口蓋鼻音の[ŋ]と、軟口蓋破裂音の[g]の区別はしていますか?あるいは、もはや同じ音になってしまいましたが歯茎破擦音のザ行の「ジ(/dz/)」と後部歯茎破擦音のジャ行「ヂ(/dʒ/)」を区別して発音できますでしょうか。日本語ではこれらの音は中和して同じ音になってしまっていますが、これらを区別する外国語もあるのです。

 また、「舌足らず」と呼ばれるようなタ行を(本来の/t/ ではなく、英語の ‘th’ のように /θ/ で)発音する方がいらっしゃいます。私も数名お目にかかったことがあります。話を聞いていて「あ、少し違う」という印象でしたが、音声学に携わるようになって具体的な違いが分かるようになりました。
 このような発音は、関東や山陰地方の一部に見られるようで、その地域の方々は一村丸々タ行を /θ/ で発音されるようです。大抵の日本人が /θ/ の発音で苦労しているのを傍目に羨ましい限りですね。
 また、特段珍しい話ではありませんが、マ行の [m] を [ɱ] で話す人もいらっしゃいます。しかし、発音にうるさいはずの天下のNHKのアナウンサーが [ɱ] を使っているのを見たときにはさすがに驚いてしまいました。
 [m]は普通に両唇を閉じて鼻への空気の道を空けながら両唇を破裂させる音です。こう書くと大変そうですが、ふつうに「ま・み・む・め・も」と言えば、そのような発音の仕方をしています。ところが、 [ɱ] は、その仲間に [f, v] がある唇歯摩擦音と呼ばれるグループに属しています。つまり、上の歯と下唇がゆるく触れあって生じさせる音です。上唇と下唇を合わせるのではなく、’f, v’ を発音する構えでマ行を発音してみましょう。いかがでしょう。うまく発音できますか。

 もっとも、日本語では/t/と/θ/ も/m/ と /ɱ/ も音素として対立しておらず、それらを入れ替えても意味は変わりません。つまり、心配しなくて良いんです。
 ところが、日本語以外では意味が変わってしまう音素の可能性があって、それが問題のひとつなのです。気をつけて発音しなくては別の語と取り違えられてしまうのです。そういった日本語では心配しなくてよいけれども、外国語では心配しなくてはいけない音の聞き分けが特に難しいわけです。

 ところで、アウトプットの練習は、知覚の能力の向上にも資することは分かっています。日本語には存在しない音素、あるいは日本語にもあるけれども日本語では意味が変わらない音素など、特に気をつけなくてはいけない音素を繰り返しアウトプット練習することで、それらの音素に注意が回るようになり、結果として聞き取り能力の向上につながるわけです。
 幼児たちが母語を身につける際にもアウトプットが伴いますので、その点でも少なからずのアウトプットは正しい音声の習得には必要なのです。

 もちろん、『パルキッズ』で学習中の子どもたちは、「絵本の暗唱」というアウトプットのチャンスがありますし、それを逃しても「素読」によって正しい発音を身につけることができます。
 しかも、幼児たちはアウトプットによってそれを身につけるのではありません。『パルキッズ』のインプットによって音素の違いの「知識」を身につけた上で、単に発音の区別をするだけなので、「正しい発音」の産出技術はあっという間に身についてしまうのです。


音声教材が伴わないアウトプットは避けた方が賢明

特集イメージ11 「ゴルフのスイングには正しいスイングと間違ったスイングしかない」と遠い昔どこかで聞いたか読んだ記憶があります。そして、その次に続くのが、「間違ったスイング練習では間違ったスイングフォームしか身につかない。」
 一度身についた間違ったフォームを直すのは大変な苦労が伴うようで、そんなことであれば、少しばかりの金員をけちらずに、最初からコーチについて正しいフォームを身につけさせる方が余程コスパがよいわけです。

 英語も同じ。

 でも、ですよ…間違えたフォームの反復練習をしているケースが少なくありませんね。学校や塾などで。それらは我々の問題ではないので、さておくことにしましょう。
 しかし、我々の問題である家庭学習においては、キチンとした音源を使うことを強くお勧めします。そもそも、幼児の英語習得においては、音源がなければ学習がひとつも進まないわけですし、耳からの学習だけで「正しい音声」を習得するので、「正しいフォーム」に関しては心配するには及ばないことは念のため付け加えておきます。

 さて、そのような正しい音声をお手本にして身につけるべき英語の音声ですが、既に触れているように音声ともうひとつアクセントも重要な項目の一つです。
 引き続きアクセントについて書いて参ります。


アクセント

特集イメージ12 相当勉強しない限り、あるいは留学でもしない限り、あるいは幼児期に身につけてしまわない限り、日本人は英語のアクセントが分かりません。なぜならアクセントの体系が日本語と英語で異なるからです。

 英語は強弱アクセントの言語ですが、日本語は高低アクセントで発音されます。
 英語の場合には強弱アクセントを変えても意味は変わりませんが、日本語の場合には高低アクセントを変えると意味が変わってしまいます。

 日本語のアクセントでよく引き合いに出されるのが「ハシ」です。東京方言では、ご飯を食べる「箸」は頭高で最初の「ハ」が高くてそこから下がります。渡る方の「橋」は尾高で「シ」が高く発音されます。それでは、一休さんが渡った橋の「端」はどうでしょう。「端」も「橋」と同じように「シ」が高く発音されますが、「端」の方は平板型と呼ばれ、実はアクセント核がないのです。
 これは助詞を付けると分かります。「橋を」では「シ」が高く発音されたあと「ヲ」が下がりますが、「端を」ではそうではありませんね。不思議です。
 何が不思議かと言えば、教わったこともないのに、意識することもなく同じ「ハシ」を3種類区別して発音していることです。しかも、東京方言話者であれば、おそらく全員が同じように発音します。説明しようとすれば結構面倒なことなのですが、自然と身につけてしまう。これは言語の七不思議ですね。

 また、英語の強弱アクセントは「タンタタンタ」とでも呼べるリズムで話されるのですが、日本語は「タタタタタ・・・」と一定のリズムで話されます。この点も日本人が日本語の感覚で英語を話すとうまく行かない理由です。

 中学生を指導していて特に気になるのが、この日本語のリズムで英語を読む点です。さらに、分かち書きのスペースの部分も1モーラ(「タタタ・・・」リズムの「タ」)当てているのですから、妙な感じです。
 例えばこんな具合です。カナ1文字を1単位として読んでみてください。かっこ内もスペースも1単位として同じリズムで読むと初学者の読み方となります。
 「アイ□ドント□(ウォ)ント□(トゥ)ウ□(ドゥ)ウ□イ(ッ)ト」(□はスペース)
 「ト」は/t/で子音ですので、本来アクセントは置きようがないのですが、先に挙げた音挿入によってアクセントが置く事も可能となります。

 英語の強弱アクセントの特徴として、機能語(*3)にアクセントが置かれにくい点があげられます。また、フットと呼ばれる強弱のひとかたまり毎の長さがある程度揃っているのが特徴です。(*3 語には名詞や動詞、形容詞などの意味を持つ内容語と文の機能として必要な冠詞、助詞、前置詞などがあります)
 上記カナ文の英文 ‘I don’t want to do it.’ では、一般には ‘I, want, do’ に強いアクセント(「タン」)が来ます。それ以外は弱くか細く発音(「タ」)されます。
 また、ポーズにも特徴があって、不定詞のto+動詞はまとめて発音されず、want to, wish to のように、toは前の動詞と同じフット内で発音されます。
 例えば ‘I do. said the chicken.’ のような文でも ‘the chicken’ ではなく、’said the’ が塊となります。そのため ‘chicken’ の部分を他の語に言い換える遊びなどをすると ‘said the’ と言ったあとにボーズがおかれて、その間に考えたりするのです。

 「タタタタタ」と日本語のアクセントで英語を話すことを止めて、英後は英語のリズムで話す、そのためにもアウトプット練習は大切ですね。

3.アウトプットで身につかない能力。インプットで身につける


オウムはオウム

特集イメージ13 さて、アウトプットで身につくのは「正しい発音とアクセント」、さらには「撮って出しストック」でした。それでは、アウトプットでは身につかない能力とは何なのでしょう。

 撮って出しストックは、超(遅)時差のオウム返しと言いました。未だに論文でも幼児の言語習得に関して「聞いた音をそのまま使いながら言語を習得」云々の記述があることには驚かされますが、もちろん子どもたちはオウム返しからことばを身につけているのではありません。
 彼らは周囲の大人が話すのを耳にして、それを記憶して、状況に合わせてそれらのフレーズを口にしているのではありません。周囲の大人が口にしないような言葉を自分から生み出しているのです。
 最初は一語文ですが、それが二語文になります。さらに、2歳代で単文から複文を話すようになります。3歳にもならない子が「遊園地に行ったとき、アイス食べたい」など、従属節の時制を過去にするなど仮定の構文のルールも自然と身につけるのを目の当たりにするのは驚嘆に値します。
 そこから、「お母さんがしてあげた(くれた)の」「マー君がしてくれる(あげる)の」「お父さんが(を)引っ張るの」など格助詞の使い方や受動・能動やエンパシーと呼ばれる複雑な「視点」の違いなども3歳になる頃にはマスターします。実に驚くべき能力ですね。

 このような複雑な文法操作に関しては、上段の「読んだよ」の件で触れましたが、オウム返しの「撮って出しストック」をいくら充実させても、母語レベルあるいはバイリンガルレベルの使う言語に変質したりはしません。
 確かにオウムはオウムです。ことばを身につけることはできません。ヒトのオウム返しの場合には、余程高度な知的作業を伴っていますが、それでもオウム返しの域であって、ヒトの言語使用の離散無限性(*4)という考え方にはほど遠いでしょう。(*4 有限個の語から無限個の句や文を生み出せる特性)

 やはり、ヒトの言語使用のエッセンスは「作文(シンタクス)」の能力にありそうです。これが、有限個の語(語彙目録)から無限の文の組み合わせを生じさせる原動力なのです。日本語を使うなら日本語のシンタクスが、英語を使いこなすには英語のシンタクスが必要となるわけですね。
 「撮って出しストック」大活用のオウム返しではスキップしてしまった「作文」、シンタクスの能力、ここが言語本来の使用に深く関わってくるのです。


アウトプットからは「シンタクス」は身につかない

特集イメージ14 幼児たちは、大人がいままで聞いたことがないような斬新な文を口にしてくれます。これは、彼らがシンタクスを身につけつつある過程で起きることです。そして、3歳も過ぎると大体日本語のシンタクスが完成するので、大人と同じように日本語を話すようになります。

 やはり、アウトプットしながらことばを身につけているんじゃないのか?

 そのように考えることも分かります。確かに、子どもたちは1歳を過ぎる頃からことばを口にし始めます。
 ただ、ことばを口にすることによって、ことばを学んでいるのではありません。すでに身につけた語や句、あるいはシンタクスの能力があるからこそ、ことばを口にすることができるのです。
 なにやら、もっともらしく書いていますが、こんなことは、言語学者でなくても、常識で考えれば分かることですね。
 
 クラッシェン(Stephen Krashen, アメリカの言語学者)の第二言語習得仮説の中で、「モニター仮説」というものがあります。
 これは、学習者の脳が自らの発話をトップダウンで監視しているという説です。学習者は自らのアウトプットをそれまでに学習で身につけた文法や、あるいは本節のケースでは発音やアクセントも含めた知識に照らし合わせて、適宜誤りを修正しているとの考え方です。
 確かに、私も未だに名詞の数や動詞の活用を言い間違えることがありますが、それらは口にした瞬間に脳がトップダウンで「いまの間違えてるじゃん、言い直しなさいよ」と指令してくるのです。

 つまり、「アウトプット」はすでに身につけたシンタクスや発話の腕試しの場であり、それらを腕試しを通してブラッシュアップしていく場であることは間違いありませんが、シンタクスそのものを身につける場ではないのです。

 料理に例えるとどうでしょう。まったく料理をしたことのない人が、南インドのマトンカレーを食べてみたところおいしかったので、うちで作ってみるようなものです。
 使用するスパイスの知識もなければ、道具や火、油の使い方も知らない。そんな状態で冷凍マトン肉を買ってきて何やら作っても、うまく行くわけがありません。
 まずは、臭みのあるマトンの処理方法、ホールスパイスを使う場合のガラムマサラの配合、その他カイエン、ターメリック、コリアンダーの使い方から、タマネギの甘みとトマトの酸味をどう引き出すのか、それらをどのタイミングで行うのかなどなど、配合の文法知識が必要なのです。つまり、これがシンタクスです。
 その後、この文法知識を使って、いろいろ試してみる。試行錯誤しながらサンプルの味に近づける。この部分がアウトプットなのです。
 いきなりのアウトプットでうまく行くわけがないのは、料理も言語も、スポーツも音楽も、すべて一緒です。これも、常識で判断できるので本来言うまでもないことですが、世の中が英語の「アウトプット」の合唱をしているご時世なので、せめて『パルキッズ通信』の読者の皆様には正しく理解して頂けることを願って書いているまでです。


 さて、長々と書いて参りました。今回はいつもの二三割増しの分量となってしまったことをお詫びいたします。
 最後に、「なぜアウトプットなのか」をまとめておくことにします。

 基本的に言語の習得、特に言語機能の中核を担うシンタクスという作文機能を獲得するには「インプット」以外に方法はありません。
 しかし冒頭に書いたようにやはり、インプットばかりでアウトプットがないことによって、せっかくの英語学習が中断することすらあるのです。そこで今回は、英語習得における「アウトプット」の位置づけを書かせていただきました。

 アウトプットは、ヒトの言語機能の一部の能力を向上させるのにある程度の役割を担っています。
 すなわち、
 知覚系の「音波」→「分節」→「理解」、そして、産出系の「思考」→「作文」→「発話」におけける、特に「発話」と深く関わっている「発音とアクセント」機能を磨いていくことに関しては、アウトプットが大きく貢献することが今回の考察から分かりました。
 また、作文の時に使うシンタクス(語彙目録)の一部を構成する感動詞や一言フレーズなど、複雑なシンタクスでの操作を伴わない「撮って出しストック」を充実させることができるとも書きました。

 もちろん、産出練習は知覚の能力向上にも役立ちます。しかし、それはアウトプットするから知覚力が上がるのではないと考えます。

パルキッズ通信2019年12月号』にも書きましたので詳細は省きますが、「英語ができる人はアウトプットをしていた。だから、英語を身につけたければアウトプットすべし」という考え方は少し乱暴だと個人的には考えています。

 この点に関わることで『パルキッズ通信2018年8月号』にも書きましたが、フレゲ教授(Dr. James Emil Flege)の言が示唆に富んでいました。学習モチベーションのもたらす学習効果とは?と言う問いに対して先生はざっと以下のようなことを仰っていました。 「モチベーションが言語習得にプラスに働くことには異論が無い。なぜならモチベーションが高ければ結果としてインプットが増えるからである。」

 考えてみればそうではないでしょうか。帰国子女など、親の都合で海外生活を送る者は別ですが、日本で英語習得に成功している方の多くは何らかの高いモチベーションを持っています。英語に対するモチベーションが高い人たちは、多読もするでしょうし、英語を口にする機会も多いことでしょう。そんな彼らは同時に英語に触れる機会、つまりインプットの機会が多くなることも極めて自然に行っているはずです。
 その人たち、私も含め英語ができるようなった人たちは、確かにアウトプットする傾向にあります。
 なぜ?だって、アウトプットできるんですもの。では、アウトプットで身についたのかといえば、そうではありません。やはり地道な意識下における英語の学習と、同時に無意識下におけるの英語の大量インプットがあったのです。

 長々とお疲れ様でした。
 今後とも、アウトプットを適宜考えつつ、基本はインプットに専念していただけけば幸いです。

【編集後記】

今回の記事をご覧になった方におすすめの記事をご紹介いたします。ぜひ下記の記事も併せてご覧ください。
アウトプットとストレスの関係
絵本の作法
子どもはどうしてコトバを身につける?
「対話」はもう時代遅れ?
書く学習 ただ書いても身につかない!


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業。実用英語技能検定1級取得。30年以上に渡る幼児教室・英語教室での教務を通じて幼児の発達研究に携わるかたわら、「パルキッズ」などの英語教材を始めとした幼児向け教材を多数開発。また、全国の幼児・児童を持つ親に対して9万件以上のバイリンガル教育指導を行う。講演にも定評があり、全国各地で英語教育メソッドを広めている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『どんな子でもバイリンガルに育つ魔法のメソッド』(総合法令出版)『ローマ字で読むな!』(フォレスト出版)『英語の絶対音感トレーニング』(フォレスト出版)など多数ある。

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