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2023年1月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.139 | 英語を話す力を(日本語で)育てる

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2301
船津徹「英語を話す力を(日本語で)育てる」(株式会社 児童英語研究所、2023年)


 日本人が「英語は難しい!」と感じる要因の一つに「日本語と英語の文法構造の違い」があります。日本語は、言葉に助詞や接続語をつけて、永遠にセンテンスを伸ばしていくことができますが、英語は主語、動詞、補語・目的語というように、センテンスを文法ルールに則って完結させなければならず、日本語の特徴である主語を省略して責任の所在を不明瞭にしたり、言葉を重ねて論点をずらしたり、言葉尻を変えて結論を転換するということができない言語構造です。(日本語の特徴がわかりやすいように、意図的に長めの一行にしてみました)


あいまい思考から英語思考に切り替える

 英語は第二言語として話す人の割合が世界一多い言語です。「言葉や文化を共有していない人同士が意思疎通する」わけですから、メッセージをシンプルに、かつ、直接的に伝えることがルールです。英語の文法構造が「誰が・どうする」「誰が・どんなだ」「誰が・何だ」「誰が・どうしたい」というように主語と述語を明確にするのは「ミスコミュニケーションを減らすため」なのです。
 一方で、日本語は「和」と「秩序」の文化を共有する日本人同士が意思疎通するための道具です。相手を傷つけたり、不快にさせたり、人間関係を壊さないことに重点が置かれていますから、ストレートな言い方を避け、言葉をにごし、間接的であいまいな表現を用いるのが暗黙のルールです。
 日本人の多くは英語を話す時、まず日本語で考え、日本語を英語に置き換えようとします。しかし、日本語を話す時と同じ「あいまい思考」のままで英語を表現していると、相手に正しく理解してもらえないことが多いのです。英語でコミュニケーションをする時は、主語と述語を明確にする「英語思考」に切り替えることが必要です。
 親の海外転勤などで日本人の子どもがアメリカの学校に通い始めた時、最初にとまどうのがこの表現スタイルの違いです。アメリカの学校では「自分の意見や気持ちを明確に伝えること」が求められるのですが、これに不慣れな日本人の子どもが「相手に察してもらおう」ともじもじしていると「もういいよ/Never mind」とバッサリ会話を切られてしまいます。
 英語思考に切り替える訓練として有効な方法が、主語を「I」で話す「I(アイ)メッセージ」です。
 日本語では「我々は」「人々は」「弊社は」「日本人は」 など、話し手が自分であるにも関わらず、主語を「I(アイ)」にしないことが多いですね。これを「I think〜」「I believe〜」「I guess〜」「I like〜」「I don’t like〜」のように、主語を常に「I」で表現するスタイルに変えてみるのです。
 子どもとの会話でも「よくできたね」→「ママは、あなたがよくできたので嬉しい」、「がんばったね」→「パパは、あなたががんばっているから嬉しい」、「部屋を片付けなさい」→「ママは、あなたが部屋を掃除してくれると助かる」というように、「私」を主語にすることを意識すると、自分の気持ちが正しく相手に伝わりやすくなります。普段から親が「私は」を意識して子どもと接していると、子どもも「私はこうしたい」「私はこれが食べたい」「ボクはこう思う」「ボクはそう思わない」という直接思考ができるように育っていきます。


英語以前に「日本語で言語化する力」を鍛える

 日本人の子どもの多くは、英語力以前の問題として、「日本語で自己表現が苦手」です。もちろん日本人の子どもも意見や自己主張を持っているのですが、頭の中にぼんやりと存在する思考を「言語化する訓練」が不足しているのです。そのため人から意見を聞かれると、言葉に詰まったり、しどろもどろになってしまいます。
 日本の家庭や学校では「話す力」を子どもに指導することはほとんどありません。学校に通っていれば、わざわざ話し方を教えなくても、自然に「話す力」は身につく、そう考えられているのかもしれません。しかし思考を言語化して伝えるというのは、訓練しなければ身につかない高度な言語運用技術です。
 アメリカでは幼稚園から高校まで、学校教育を通して「話す力」の育成が段階的に行われています。
 まず幼稚園(アメリカの幼稚園は小学校入学前の1年間のみ)では、自分のお気に入りの物をクラスメートに見せて、エピソードを紹介する「ショウ・アンド・テル/Show and Tell」が定番です。人前で緊張せず、堂々と話す経験を積ませることが目的です。
 小学生になると「プレゼンテーション」を通して「説明する技術」を学んでいきます。たとえば社会の授業では「ジョージ・ワシントンについて」というテーマでプレゼンテーションをします。生徒は独自にリサーチを行い、パワーポイントを使ってプレゼンしたり、ジョージワシントンに扮してスピーチをしたり、歌や詩を作ったりと、個性を発揮して自由に発表することで分かりやすく説明する技術を身につけていきます。
 小学高学年では「スピーチ」を学びます。自分で書き上げた原稿を暗記して、クラスメートの前でスピーチをします。発声、声のトーン、スピード、表情、ジェスチャーなどを駆使して聞き手を引きつける話術を身につけます。
 中学から高校ではディベートで「論理的に話す力」と「説得する技術」を訓練します。ディベートは、ある議題について「賛成派」と「反対派」にグループを分けて、それぞれの立場から根拠を述べ合い、説得力を競い合うものです。ディベートは、どちらのチームが「賛成」「反対」になるか直前まで知らされませんので、賛否分かれるトピックについて、その両面の立場から議論を作ったり、反証する訓練を積むことができます。
 以上のような「話す力」の育成が日本の学校教育でも導入されれば良いのでしょうが、すぐには期待できません。というわけで、家庭でできる「話す力の伸ばし方」をご紹介します。日本語で論理的に話す力が向上すると、「英語で話す力」も上達します。


家庭でできる「言語化」の訓練

【演劇・ごっこ遊び・おままごと】

 子どもの「話す力」を伸ばす最高の習い事は「演劇」です。演劇は表現力を頼りに、見ている人たちに情景を想像させたり、信じ込ませたり、感動させたり、笑わせたりする高度な技術です。演劇のトレーニングである、発声方法、表情の使い方、身振り・手振りなどを学ぶことで、自分の思いを相手に正確に伝える技術や聞き手を引きつける話術が身につきます。
 「うちの子に演劇はちょっとハードルが高いです!」「まだ幼稚園なので演劇は無理です!」という方は、グンと身近な「ごっご遊び」や「おままごと」から始めてみましょう。
 ヒーローごっこ、お店屋さんごっこ、お医者さんごっこ、運転手さんごっこ、お母さんごっこ、お父さんごっこなどは、自分以外の誰かを演じる遊びです。子どもはごっご遊びを通して「役を演じる練習」をすることができます。
 ごっこ遊びをすると子どもの言葉使いや態度がガラリと変わります。たとえば、ファミレス屋さんごっこをすると、「いらっしゃいませ。2名様ですか?ご注文はお決まりでしょうか?」など、習ったこともない敬語を完全センテンスで使いこなすようになります。
 同様にお母さんごっこをすれば、お母さんの普段の言葉使いをそっくり真似しますし、先生ごっこをすれば、先生の言葉使いで授業を見事に再現してくれます。男の子の場合はテレビ番組のヒーローごっこ、お父さんごっこ、警察官ごっこ、科学者ごっこ、サッカーの監督ごっこなどを親子でしてみると良いでしょう。

【創作話・人形劇・紙芝居】

 子どもにオリジナルの「創作話」をしてもらうと言語化力がアップします。一から作るのは難しいですから、「シンデレラ」や「桃太郎」など、既存の物語りの「続き」を作ることから始めてみてください。また物語の結末を変えてみるのも面白いです。想像力をおもしろおかしく言葉で表現する力を身につけることができます。
 家にあるぬいぐるみや人形を使って「人形劇」をやってみましょう。子どもが知っている話でも、創作話でも、何でも構いません。ぬいぐるみや人形に役を与えて、台詞を言い合う遊びです。子ども一人でもできますが、親が一緒にやってあげると盛り上がります。
 たとえば「浦島太郎」を人形劇で演じてみる。カメのぬいぐるみがなくても大丈夫です。手元にあるぬいぐるみがうさぎであれば、うさぎをカメに見立ててやってみてください。また太郎役もスーパーヒーローの人形で構いません。仮面ライダーとうさぎで「浦島太郎」を演じれば、話がどんどん飛躍していって面白い結末になるかもしれません。
 家に紙芝居があれば、子どもに紙芝居をやってもらうのも「話す力」を伸ばす良いトレーニングです。紙芝居がない場合は、絵本を使って創作話を作ることもできます。昆虫図解や動物図鑑の写真を見ながら話を作ることもできますね。
 紙芝居遊びをやると、イラストや写真など、見たものを言葉に変換して表現する力を育てることができます。デジタル時代に紙芝居!と思うかもしれませんが、子どもは驚くほど興味をもちます。YouTubeで「紙芝居」と検索すればたくさんの動画が見つかります。

【ディベート・討論】

 小学高学年以上の子どもには、ディベートを取り入れてみましょう。その日のニュースや新聞記事などから身近なトピックを見つけて、親子で「賛成」「反対」に分かれてディベートしてみてください。
 最初は子どもに「賛成」か「反対」を選ばせます。たとえば「子どもにスマホを持たせるべきか」という議題で話をしてみます。そして、子どもが「スマホは勉強にも使えるから賛成」と言えば、親は「スマホはゲームができるから反対」と逆の立場から反論してください。
 ディベートのポイントは「賛成」「反対」、両方の立場から議論できるようにすることですが、最初は子どもが選んだ立場で立論できるように練習させてください。子どもがディベートに慣れてきたら、自分の考えとは反対の立場でも議論させてみましょう。話す力はもちろんですが、論理思考やクリティカルシンキングを伸ばすことができます。


家庭で行うディベートトピック集

・スマートフォンの学校での使用は許可するべきだ
・ゲームや漫画の暴力(残酷)シーンは子どもに見せてはいけない
・生徒の髪型(色)は自由にすべきだ
・生徒の服装は自由にすべきだ
・学校に監視カメラをつけるべきだ
・夏休みの宿題はなくすべきだ
・成績が上がったらお小遣いも上げるべきだ
・いじめはいじめた側が罰せられるべきだ
・生徒も先生の成績をつけるべきだ
・動物実験はなくすべきだ
・コロナワクチンの接種は義務にすべきだ
・原子力発電所はなくすべきだ

 ディベートの目的は議論で相手を打ち負かすことでも、揚げ足取りをすることでもありません。どんな質問や課題にも瞬時に考え、判断し、言葉で相手を納得させるゲームです。子どもの意見が突拍子なくても頭ごなしに否定したりせず、「なぜそう考える?」と質問して、理由や根拠を考えさせましょう。日本語で論理思考が鍛えられると、「英語も得意な子」になります。


英語思考を鍛えるツールは?

 子どもの英語思考を鍛えるには「英語を読む訓練」が最も効果的です。活字化された英語は「正しい文法構造」で書かれていますから、英語の思考が身につきやすいのです。特に子ども向けの英語の本は「正しい文法&シンプルな表現」で書かれているものが多いですから、英語思考を鍛える最高の教材です。
 英語を読む訓練をまだスタートしていないという方はTLCフォニックスがお勧めです。オンディマンド型の動画レッスンで「英語の本を読む力」を身につけることができます。リアルタイムの対面レッスンではありませんので、いつでも、好きな時間に英語を読む練習を積み重ねることができます。興味ある方は無料トライアルにお申し込みください。


ハワイイメージ1【編集部より】
船津徹先生の新著『失敗に負けない「強い心」が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方』(KADOKAWA)全国書店にて発売中。困難に負けない「心の強い子」の育て方を詳しく紹介する一冊です。ポストコロナを生き抜くたくましい子どもを育てる知恵が満載です。ぜひご一読ください。▶︎詳細・お申し込みはこちらをクリック
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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