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2020年8月号特集

Vol.269 | パルキッズお悩み解決夏休みスペシャル

知っていれば迷わない!取り組みがうまくいかないのはこんな時

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-2008/
船津洋『パルキッズお悩み解決夏休みスペシャル』(株式会社 児童英語研究所、2020年)


『パルキッズ』の学習とそれ以外の英語学習の関係

特集イメージ1 『パルキッズ』は「家庭学習」の「英語教材」です。しかし、なぜ英語を「家庭学習」するのでしょう。詳細に関しては拙著『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)に譲るとして、ざっと結論を言えば「家庭学習」なくして「英語の習得」はあり得ないからです。

 「家庭学習」に対する概念として、パッと思い浮かぶのは「学校英語」をはじめとして「学習塾」「英会話スクール」などが挙げられます。もちろん「インター」や「留学」などもありますが、こちらはそれほど一般的ではなく、誰でも手軽に利用できる対象ではないので、ここでは論じないことにします。

 さて、学校・塾・英会話の英語学習とパルキッズの学習では何が決定的に異なるのでしょうか。

 こちらも結論から言えば、「インプット」の量です。
 もう少し詳しく見てみましょう。学校英語では文法学習・訳読が中心で「英語の入力」はほとんど成されません。少し前の数字ですが、中学3年分の教科書の地の文に使用される単語が、延べ7000語前後(オクスフォードなどの超初心者向けの副読本1冊分程度)という点からしても、入力量の乏しさは覆いようがありません。そして、「インプット」がないのですから、外国語が身につかないのは当然の結果です。

 では、塾はインプットするのでしょうか。残念ながら、塾も学校の補習ですので、これも「英語の入力」ではありません。文法・訳読の理解が追いつかない子のための補習、あるいは学習ペースの遅い子に合わせて遅々として進まない学校英語の学習を補うためにあります。つまり、学校英語の補助サービスです。

では、英会話はというと、これはもう趣味の範疇で、英語で話すことを求める人たちの集まる場です。「英語を話すこと」の学習効果に関しては、繰り返し書いているので、『パルキッズ通信2020年1月号パルキッズ通信2019年6月号』などをご参照ください。

 それでは、学校・塾・英会話の学習で英語が身につくのでしょうか。繰り返しますが、インプットがないので、英語が身に付くはずがないのです。仮に学校や塾、英会話がインプットを試みても、その量は限定的にならざるを得ません。やはり最も多くの時間を過ごす家庭でのインプットが重要なのです。

 しかし、インプット重視のパルキッズですが、「文法を勉強しないといけない」などとの考えに惑わされてしまう方も少なくありません。そこで、学校英語が本質的にどのようなバイアスを孕んだ学習法なのか、いかに英語習得の本質とかけ離れたことを学習しているのかをご理解いただくために、学校教育の一例を提示しておくことにします。何事かをご理解いただけるはずです。


学校英語の特殊性

特集イメージ2 問題です。
 問1)下線の音と同じ音を含む語を①~④の中から選べ。
  ほ   ①さんぽ ②でんわ ③まんが ④ほんとう
  らかせい ①きっぷ ②あさって ③がっこう ④きっさてん

 問2)以下の文には主語があるか、ある場合には主語を指定せよ。
  ①私はカレーです。
  ②夏が苦手です。
  ③冬は雪景色がきれいです。

 これは、日本語を学ぶ外国人向けのテキストで出題されるような問題を仮に作ってみたものです。皆さんは、日本人で、もちろん本語を話せますので、このくらいのことはわかりますよね。
 と、いうのは、意地悪が過ぎますね。これらの問題がスラスラと正答できるのであれば、おそらく、あなたは日本語学や言語学にある程度以上の素養をお持ちでしょう。(答えは最下部に掲載)

 さて、論点は伝わったと思います。

 文法的なことあるいは言語学的なことを「学習する」こと、あるいは「知っている」ことと、その言語を「使いこなす」ことはまるで別の次元のことなのです。そして、学校で行われているのはその文法学習と、それをベースにした訳読の学習です。他方の『パルキッズ』は皆さんの日本語と同じような質(つまり上記の問題は解けないが、日常的に無意識に日本語を使いこなせるような)の英語力を身につけさせるための学習法です。

 この両者は、相互に関係している能力ではありません。文法学習を突き詰めたその先に、実際の英語の運用力があるわけではありません。文法学習を突き詰めると、その先には説明のつかない「例外」だらけの絶望的な世界が広がっているだけです。
 逆に文法など何も知らなくても、ひとつの言語を操ることは可能です。これは幼児を見れば明らかですし、現に大人の我々ですら、日本語の「は」と「が」の使い分けのルールすら説明できません。しかし、日本語の明示的な規則は知らなくても、日本語には暗黙裡にいかなる原理が働いているかは知っているのです。ですから、「は」と「が」の用法を間違えることはありません。

 「説明はできないけど理解できる」これが、『パルキッズ』の目指す英語習得なのです。


明示的(顕在的)知識と、暗黙裡の(潜在的)知識

特集イメージ3 言語を使いこなす上で重要なのは、明示的な規則の知識ではなく、暗黙裡の規則の知識を持っているか否かです。学校文法で、明示的な文法知識をいくら学んだところで、それが実際の英語力に変質するという保障などどこにもありません。現に、学校英語だけで英検準1級以上の英語力を身につける人がいかに希であるかも『パルキッズ通信2020年1月号』で述べていますので、関心のある方はそちらをご参照ください。
 結局、英語を身につけた人たちは、何らかの方法による大量の「インプット」から英語の暗黙裡の知識、つまり実際の運用に耐えうる英語力を身につけているのです。

 『パルキッズ』にお取り組み中の皆さまは、学校英語ではなかなか英語を身につけられなかった経験者である可能性が高く、しかし、同時にこれからの時代を生き抜くには情報収集・コミュニケーション手段としての英語力が不可欠であるとの認識をお持ちでしょう。
 その上で、自らの経験と将来の見通しの上に立って、我が子の学習法に『パルキッズ』を取り入れられたと勝手に想像しております。

 しかし、実際に『パルキッズ』に取り組み始めると、様々な悩みにあたります。

 すると、自らの失敗体験であるはずの学校英語に戻ろうとしたり、出力を促す対面式やりとりを取り入れたりしようとします。

 繰り返しますが、『パルキッズ』の学習は、学校英語やその周辺にある会話学習などとは本質的に異なります。幼児たちが母語を身につけるように、大量の「インプット」を通して英語すら身につけさせようというのが、そのゴールです。

 せっかく、従来型の英語学習から一歩踏み出された皆さまが、再び従来型の英語学習に拘泥するのを目の当たりにするのは我々の意図するところではありません。
 そこで、これ以降、寄せられる多くのお悩みの中から、代表的なものに対してお答えする方式で話を進めて参りたいと思います。


『パルキッズ』取り組み中の悩みは、英語学習ではなく母語習得に参照する

特集イメージ4 『パルキッズ』の成長は、従来型の英語教育と同じではありません。学校英語とも、それに準じた無数にある学習法とも一線を画しています。まず、そのあたりを心根に据えてください。
 そして、『パルキッズ』における英語の成長を何かと比べるならば、学校英語の発達段階ではなく、母語である日本語のむ発達と比べるほうが的を射ているでしょう。そのような姿勢で浮かんでくる疑問や心配事を眺めてみましょう。

 まず、英語が口から出てこないと「英会話のレッスンをしなくて良いのか」と心配になります。
 そして、暗唱が出てこなければ、「絵本の暗唱をしてくれないが、これで良いのか」とやきもきします。
 さらに、子どもの口から「わからない・つまらない」などが聞かれると、愕然とします。
 すると、もっと積極的に取り組ませようとして、「子どもと楽しまなければいけないのではないか」と考えるようになります。
 また、他の子どもたちの暗唱の動画などを見ては、「うちの子はスタートが遅かったのではないのか」と絶望的な気持ちになります。
 そして、英検に合格する子たちを見ると「合格する子は、他に何に取り組んでいるのか」を知りたがるのです。

 これらの疑問は、大別すると2つに分かれます。
 まずは、1)「アウトプット」がないことから生じる不安のグループと、2)他の子との比較から生じる不安です。別々の不安と書きましたが、ひとつ目が解決されれば、ふたつ目が発生しないので、2)の不安は副次的な不安とも言えるでしょう。
 さらに、これらとは別に、3)取り組みに関する「家族の不理解」が挙げられます。これに関しては、最後に触れることにします。

 それでは、順に見ていくことにしましょう。

1.1. 「アウトプット」の不安


 繰り返しますが、『パルキッズ』の取り組みに関して、何かを考えるときには、成果の絶望的な学校英語や、成果のほどが不明瞭な英会話を引き合いに考えるのではなく、子どもたちや私たちの日本語の発達や日本語力を参照するようにしましょう。

 さて、まずは、「アウトプット」の不安ですが、これもいくつかに分けることができます。代表的なのは「英語を口にしてくれない」、あるいは「わからないと言う」、また「楽しませなくて良いのか」などという点です。

 ひとつずつ見て参りましょう。最初は「英語を口にしてくれない」ことに不安を募らせ、英会話へと意識が向ってしまうケースです。
 具体的には「近所の英会話スクールに体験に行ったら楽しそうだった」、昨今のコロナ下では「オンライン英会話を試しに受講してみた」すると「子どもが喜んだ」ので引き続きさせたい、などという内容です。
 まずは、日本語の発達に照らし合わせて、この設問を考えてみましょう。以下のようなことになります。

 「うちの子は3歳になるのにほとんど日本語を口にしてくれない」

 こんな時、皆さんならどうしますか?どうひっくり返っても「日本語学校に通わせよう」とは思わないはずです。それでは、「これ、なんて言うの?」「言ってごらん」などと子どもから日本語を引き出そうとしますか?それも考えにくいですね。
 最も自然な感情としては、「もっと語りかけよう」とか「もっと絵本を読んであげよう」などがわき上がってくるのではないでしょうか。つまり、アウトプットを引き出そうとするのではなく、より多くのインプットしようとするはずです。
 ところが、英語の場合にはインプットよりもアウトプットに目が行ってしまいます。
 これは、学校英語のあり方と関係しています。つまり、日本の社会においては、英語教育システムの分担として、学校は文法・訳読で、その他の実践的な英語は英会話で、という暗黙裡の合意が形成されていることによります。もちろん、そんな合意には何の根拠もないことは言うまでもありません。

 子どもから英語が出ないときには「じゃあ、英会話で」と無根拠の社会的合意に従うよりも、母語である日本語の場合に採用するであろう「もっと入力しよう」という方向で判断することが、本来自然に望まれる対応なのです。

「英会話」は悪いのか?

特集イメージ5 では、英会話スクールは悪いのか、といえばまったくそんなことはありません。うまく使えば大変結構なことです。
 それはそうです。『パルキッズ』の入力によって「英語の音素」を聞き取れるようになり、シチュエーション毎のフレーズを使えるようになり、さらには、知悉語彙も増えていきます。
 具体的に言えば、インプットを続ける中で子どもたちは、’see you later’, ‘I like pizza’, ‘Happy birthday’, ‘I don’t know’, ‘I’m home’, ‘how are you?’, ‘hi, Toshio’, ‘they’re mine’, ‘oh no, I dropped it’, ‘too bad’, ‘what’s your name?’ などの、としおやケイ、あるいは『アイキャンリード』の絵本のフレーズを口にしたり、何かの拍子に、スイカを見て ‘watermelon’, チューリップを見ては ‘tulip’ と言ったりします。
 もちろん、絵本の暗唱などはひとりでも成立しますので、相手が必須ではありません。しかし発話は、相手がいた方が成立しやすいのが自然です。英会話スクールは、これらの出力を促す良い機会にはなります。

 ただし、これに拘泥すると道を誤る恐れがあります。英会話でのゲームやキャラクターなどが楽しいので、肝心の家庭での『パルキッズ』による「インプット」がお留守になってしまうことがあるのです。
『パルキッズ』の学習では、日々のプリスクーラーやキンダーに加えて、『アイキャンリード』などの絵本教材に取り組むことを推奨しています。それは上に例示したように、口にしやすいからです。つまり、『アイキャンリード』を追加することで、英語を口にする機会が増えるのです。
そして、基本的には『パルキッズ』のインプットと『アイキャンリード』の暗唱などを通して読解力を培うことで、英語力を身につけていくのが『パルキッズ』の学習法です。
 繰り返しますが、英会話はアウトプットを促す一方、インプットを中断する切っ掛けともなり得る “諸刃の剣” でもあることは肝に銘じておくべきでしょう。「インプット」があってこその「アウトプット」です。この大前提を踏み外さない程度に、どうしても加えたい場合には、細心の注意をしながら「英会話」の要素を付け加えるのは結構なことです。

1.2.「わからない・つまらない」


 さて、子どもの口から「英語が出てこない」という前提がある上で、それにかぶせるようにして「わからない」とか「面白くない」などという言葉が聞かれるケースもあります。
 具体的には「うちの子は英語より日本語のアニメ(番組)の方が好きなようで、英語を見せると「わからない」「面白くない」などと言います」といったお悩みです。

 これには複数の問題が絡んでいそうです。
 まず、そもそも、なぜ日本語のアニメや番組を見せているのかという問題があります。そして、娯楽であるアニメと英語教育を子どもが勝手に天秤にかけて気ままに発言していることを、親が真に受けてしまっている点です。

 少し本論からずれますが、せっかくですので言及しておくと、テレビに関しては、極論を言えば「見せない」のが理想です。

 子どもにテレビを見せると、まるで魔法にかかったかのように、身じろぎもせずに見入ることがあります。特に低年齢では条件反射のように、テレビの画面を、その内容に関係なく見入る傾向があります。
 『パルキッズ』や童謡でも流しながら、1人で積み木やブロック、ごっこ遊びをしている時には、子どもたちは想像の世界にどっぷり浸っています。健全に「ひとり遊び」をしているわけです。しかし、テレビのスイッチを入れるとそれが一転します。テレビにジーっと見入る我が子が誕生します。「この間に何が失われているのだろう」と傍から見ていて空恐ろしくなる光景です。
 つまり、テレビというのは視聴者が完全に受け身でいても、飽きさせることなく、時間を消費させることができるツールです。もちろん、一部には教育的な内容のものも含まれますが、基本的にはスポンサーや何らかの思想を伝えるのがメディアですので、有意義な情報がどれほどあるのかは、一度考えておいた方が賢明です。

 さて、そんなテレビですが、なぜお子さんにテレビを見せるのでしょうか。

 おそらく「子守」をさせているのではないでしょうか。実際に僕もテレビ世代で、ニュースが中心ですが朝や夕方にはつきっぱなしになっていることが今でもありますし、30年前に子育てをしているときにもありました。
 ただ、無為に時間を消費するというテレビの弊害を知れば、必要最低限に使用を控えることもできるはずです。どうしても見たい番組は見れば良いですし、それこそ、録画でもしておいて、皆が寝静まったときに1人で楽しめば良いわけです。
 もちろん、子どもが見たい番組があれば、それは制限付きで見せることには異議を唱えるものではありません。ただ、無為に流れっぱなしになっているテレビに子守をさせることだけは再考されたし、という思いがあります。

子どもの言うことをいちいち真に受けて動揺しないこと

特集イメージ6 少し脱線しましたが、本題に戻すと「わからない」とか「面白くない」という発言に関して、さらに2つの側面を述べます。
 ひとつ目は「子どもの言うことをいちいち真に受けない」こと、もうひとつは「娯楽と教育を混同しない」コトです。

 子どもは語彙が少ないことは、改めて言うまでもないでしょう。3歳の子が「わからない」という背景には何があるのでしょうか。
 例えば、絵本の暗唱もする、ところどころ英語を口にするパルキッズ歴2年の4歳児がいたとしましょう。この子の語彙は幅にして低くて1500語、多くて6000語くらいです。6000語もあれば、小学校中学年生並みですので、日常の大抵の概念は、必要レベルには正確に表現することができます。ただ、1500語程度だとそうはいきません。カタコトです。

 つまり、「わからない」の背景には、日本語の発達が未熟で「何がわからないのかわからない」という可能性が潜んでいます。
 また、子どもは賢くてずるいので、親が参ってしまうことばを知っています。
 例えば、ご飯を食べていて、食べたくないときには「苦い」といえば、大抵の親は無理矢理食べさせることを断念します。何か取り組みたくない課題があるときに「眠い」といえば、なんとなくうやむやになることも知っています。
 その流れの中で、面倒くさいことは「わからない」と言えば、親は無理強いをせずに引っ込めることを経験的に知っています。
 つまり、子どもの「わからない」は「何となく気が乗らない」である可能性が否定できないのです。

 これは、「できない」も同じです。単に面倒なのでしょう。さらに「面白くない」も同じです。そういえば親は引っ込むのです。

 日本語の習得に照らし合わせてみましょう。子どもが日本語を習得するときに「面白くない」とか「わからない」と言ったらどうしますか。日本語が「面白くない」ということは成立しないわけですし、日本語が「わからない」といったときには、日本語自体が「わからない」のではなく、特定の事柄が「わからない」ことを意味します。
 そもそも『パルキッズ』による言語習得は母語習得と同じですので、空気のように接しているうちに自然と「なんとなくわかる」ようになるものです。言語発達段階の子どもの言うことをいちいち真に受けずに、「ふーん」と軽くいなす姿勢が必要でしょう。

   2点目の「娯楽」と「学習」を混同しない点に関しては、改めて説明するまでもありません。『パルキッズ』による英語習得を促す取り組みは、家庭内における「教育」の一環です。それを、娯楽と天秤にかけること自体が、ボタンを掛け違えているわけです。
 教育は親の専権事項です。少なくとも、自分の意見がハッキリ言える思春期になるまでは、子どもの意見などに耳を傾ける必要はありません。親が「英語をやる」「パルでやる」と決めたら、それを淡々と貫くだけで良いのです。

1.3. 楽しませなくて良いのか?


 それでも、楽しく取り組ませたいというのが親心です。子どもが喜んで取り組んでいる姿を見るのは、親の至福の瞬間です。
 この心境から、教室に通わせたいとか、そうでなければ、子どもが楽しめそうな教材を与えようとします。
 教室に通えば、先生が褒めてくれますし、お友だちもいるから心細くありません。内容は別として、そこにいること、あるいはそこに属していることで得られる安心があるわけです。

 私どもの児童英語研究所は、もともと幼児教室・英語教室と英語の通信指導の会社としてスタートしています。僕も若い頃は日々教室で教えてきました。
 ただ、通信指導と教室での指導の両方を通して、わかったことがあります。教室に来る生徒はそこにいることや集団に属していることで安心しきってしまい、あまり課題に取り組まないのです。つまり、家庭でのインプットがおろそかになってしまう傾向がある。他方、通信指導のご家庭では、家庭学習がメインなのでインプットはせっせと行ってくださるのです。
 すると、同じような教材や課題を与えても、家庭でどんどん成果を上げるお子さんが居る一方、教室には何年通っても遅々として成果を上げられないお子さんが目につくようになりました。

 もちろん、教室は楽しくて、先生もきちんと見守ってくれて、一緒に学ぶお友だちもいます。通信指導より指導が行き届くはずの教室での指導が、「そこに属すること」の満足感から肝心のインプットがお留守になるという、負の効果をもたらしてしまっていたのです。

 これが、『パルキッズ』誕生の動機の一部を成しています。
 つまり、通信指導用の教材をシンプルに取り組みやすくし、教室の生徒にも家庭におけるインプットをしやすくすることで、通信指導でも教室の指導でも、同様の成果を上げられることを目指したのです。

楽しい教材は?

特集イメージ8 しかし、日本語の発達に照らせば「楽しませよう」というのは不思議な心理ではないでしょうか。子どもが日本語を獲得していく上で「楽しく」学ばせよう、などとは思いもよらないはずです。それが、英語だと「楽しく」学ばせようとするわけです。言語は「楽しく」なくても身につくのです。この点はお忘れなく。

 それでも、楽しい教材を使うというのであれば、これは英語教育をはじめとした言語教育の根本である「インプット」が成されるか否かを、導入の判断にすると良いでしょう。
 一点だけ注意点として「楽しい教材」も「英会話」と同様に “諸刃の剣” であることを簡単に指摘しておきます。

 テレビの段でも触れましたが、子どもたちはアニメなどにボーッと見入ります。見てくれているのであれば、それは、関心を示してくれているのだ、と表面的には受け取れるので、親としては、心安らぎます。
 しかし、映像の教材は概してインプット量が少ない傾向にあることも心得ておきましょう。『パルキッズ』の音声にはぎっしりと英語の情報が詰まっています。音声に頼っている教材なので、音声の量が多いのですが、他方のビデオは映像に頼っているので、効果音や音楽と映像だけで成立するシーンが多く、音声が思いのほか少ないのです。これは、映像を消して音声だけ流していただくとわかることです。
 また、映像の教材は視覚に頼ることができるので、厳密な表現でなくても通じます。例えば、ひとつのキャラクターが特定の焼き菓子を持って「これ大好き」といえば、それで通じます。しかし、音声の教材ではそうはいかないので、より細かい情報が含まれることになります。
 そして、その情報量が少ない映像教材が徐々に音声教材の立場を浸食して、ついには、最も重要なインプット用の音声教材が家庭環境から追い出されてしまうことすらあるのです。

 大切なのは、家庭でのインプットです。ここを中心に据えて、家庭での取り組みを考えないと本末転倒になる恐れがあります。

2. 比較する心


 さて、ここまでは「アウトプット」がないことに対する不安から、肝心の「インプット」までお粗末になってしまうケースについて書いて参りましたが、ここで、それとは少し違う不安について書いておきます。
 育児についてまわるのが「比べてしまう心理」です。
 これは、同調圧力が強く、さらにハイコンテキスト文化の代表格である日本人は、特に陥りやすいところだと思います。

 簡単に説明すると、以下のようになります。
 同調圧力とは、他と同じであることが求められることを意味します。はみ出ると仲間はずれになるわけです。「出る杭は打たれる」とか「分をわきまえる」などの表現に表れている精神です。
 人と同じであることがまず要求されて、その中で年功的な序列をわきまえて行動せよということです。アメリカ人も同調圧力の中で生きていますが、思想が日本人と少々異なっています。アメリカ人の場合には「人と同じであってはいけない」という圧力の中で、いかにして個性を発揮するか、という点に躍起になっているようにも見えてしまいます。いずれにしても、日本人はまず横並びを意識します。
 それは即ち、周囲を見ながら、それらと自分を比べながら生きるということです。自由に考えて、それを口にすると、「歯に衣着せぬ輩」とか「直言居士」とか、ひどい場合には「コミュ障」などとレッテル貼られてしまうお国柄です。

 さらに問題なのは、ハイコンテキスト文化であると自負している風潮があり、そこから「空気を読む」などという表現まで誕生することが、横並びに輪をかけています。
 確かに、同じ言語で、同じような肌や目の色をしている人たちばかりと幼少期から過ごし、人と同じであることが様々な場面で求められる環境で育てば、相手のことが理解できなくても、できているフリをする。相手も自分と同じ背景であることを勝手に想像して、自分たちが共有していると思っている雰囲気(果たしてそれが本当に共有の認識であるか否かは別として)を共有できない人は「空気が読めない」などと言われてしまうわけです。

 これでは、ますます隣同士を眺めながら子育てをしなくてはいけないことになります。

 そんな環境下で育った私たちは、知らず知らずのうちに我が子も隣の子と比べてしまいます。これは、もはや遺伝のようなもので、どんな日本人でも、少なからずは心のうちに秘めている思考バイアスと言っても良いでしょう。
 そして、隣の子と我が子を比べて、一喜一憂する愚に陥るわけです。

 その結果が、少しでも良い学校、少しでも良い大学、少しでも名の通った会社…と、人生の豊かさとはあまり関係のないレールに子どもたちを無理矢理載せてしまう親の心理を生み出しているのでしょう。
 また、「学力がすべてではない」「勉強なんかできなくても生きていける」「うちの子は日本の学校には合わない」などの発想は、この横並び思考と表裏一体の関係と考えられます。表面が嫌なので、では裏面というわけです。結局は「人との比較」の中での思考なのではないでしょうか。

 このような思考バイアスは、強靱な精神力を持って押さえ込まなければいけません。

 我が子は我が子、隣の子は隣の子です。独立独歩、我が道を行かねばなりません。
 どんな子も、横並びの発育は示しません。男女差に見られるような言語発達や精神面での発達の差があれば、姉弟間でも発達に差が見られます。それどころか、双子の間にすら発達の差があるのです。

 その昔、まだ我が社が教室を運営していた頃、あかりちゃんという3歳の女の子がいました。この子は無口で、レッスン中に自分の名前すら口にしてくれませんでした。
 先生方は、そんなあかりちゃんが天才的に記憶力が良いこと、語彙も豊富であること、知力の発達も人並み以上であることは見抜いていました。プロの目から見れば、ひと言も口をきいてくれなくても、子どもがどんな思考をしているかはお見通しなのです。
 しかし、一般に母親はそういうわけにはいきません。3歳までまるで無口であれば、病院に連れて行き、下手をすれば病名すらつけられるところかも知れません。

 たまたま、あかりちゃんのお母様はお嬢さんのことを理解していて、あるいは家では少しは話をするので、彼女の発達についてまったく心配していなかったのが救いでした。

 そんなあかりちゃん、ある日突然話し出したのです。話し出したどころか、教材の陳列棚にある教材や絵本のタイトルを読み上げては、片っ端から中身を暗唱するという見事な記憶力を披露してくれました。
 あかりちゃんの母君は「アウトプット」を気にせずに「インプット」し続けたのです。大切なのは、ここでもインプットであることがわかります。

 人と比べず、ひたすらインプットする。隣の子の様子が気になったら、その思いを頭から追い出し、さらなるインプットを心がける。我が子のできるところ、ほんの些細な事でも構いませんので、できるところを見つけては、大げさに驚いてあげる。それを繰り返すことで、「相対的な育児」から一歩離れて「絶対的な育児」に切り替えるように心がける姿勢こそが大切でしょう。

3. 周囲の不理解


 孤軍奮闘、黙々と『パルキッズ』に取り組むのは、それはそれは精神的に大変なことだと思います。
 教室であれば、とりあえず帰属感が安心感に繋がります。子どもが喜んで見てくれるアニメであれば、それはそれで少しは心安らぎます。しかし、『パルキッズ』は淡々とインプットをすることが中心の教材です。もちろん、オンラインレッスンが取り組みに加わった今日、オンラインレッスンがなかった当時に比べるまでもなく取り組みやすくなってはいますが、ご家庭で孤軍奮闘であることに変わりはありません。

 そんなことから、Facebook内には会員限定の「パルキッズコミュニティー」を設置しています。参加人数はまだ『パルキッズ』取組中の方の数パーセントに過ぎませんが、それでも数百人のご参加を頂戴しているので、コミュニティーにご参加いただければ、他のお子さんの取り組みの様子が知れたり、先輩ユーザーからアドバイスをもらえたりもします。上手くご活用いただければ幸いです。

 しかも、孤軍は世間近所における孤軍ばかりを意味しません。残念ながら、家庭内でも孤軍となることがあるのです。
 子どものためにせっせとかけ流しをする。それでも、子どもは知らん顔。のれんに腕押し、糠に釘。ここまでは、既に述べてきたことを参考にしていただき、何とか心を押さえ込むことができたとしましょう。

 しかし、相手は子どもばかりではありません。誰とは言いませんが、同居家族がかけ流しに理解を示さないことも少なくないようです。極端なケースでは「そんなことで英語ができるようになるわけがない」「騙されているのではないのか」「変な宗教か」などなど、ひどいことばを投げつけられた方もいらっしゃるようです。気の毒で仕方がないと同時に、我々の力不足を反省するところです。
 もっとも、かけ流しに反対していた家族も、いざ子どもが英検にでも合格しようものなら「さすが俺の子(私の孫)だ」となるわけですからゲンキンなものです。

最も手っとり早い解決法は、「この本に書いてある」と拙著『子どもの英語「超効率」勉強法』を手渡していただくことでしょう。
 それでも収まらない場合には、もう少し工夫が必要です。
 おそらく、理解を示さない方々は英語のかけ流しに対してではなく、ご自身が見たいテレビが見られないからなどの理由で文句を言っているのではないでしょうか。
 であれば、子どもとはテレビのない部屋で過ごすようにすれば良いわけです。都市生活者で居住スペースが限られている場合には、時間をずらせば良いことです。同居の家族が居ない時間帯にかけ流しをすれば文句は出ないでしょう。

 最近は在宅勤務が珍しくないようで、さらに都市部であれば、生活空間を分割することもできません。そのような場合には、例えば食事の時間にはテレビを消してかけ流しをするとか、ニュースやどうしても見たい番組以外はテレビを消して貰うように協力願うのもひとつでしょう。
 すでに述べたように、テレビは電源が入っているだけで、ボンヤリと見入ってしまう映像の箱ですので、子どもの発育にはそれ程好ましいものではないことは、話せば理解してくれるのではないでしょうか。
 夕食時にテレビを消すだけで、どれだけ家族の会話が増えるか。一度試されると良いでしょう。
 ご家庭によって、環境は様々ですので、工夫していただけるように願います。また、このようなことに関しても、コミュニティーでは答えが見つかるかも知れませんので、重ねてのご参加をお勧めします。

 さて、また長くなってしまいましたが、今回は、『パルキッズ』の取り組みに関する根本的なお悩みのいくつかを解決して参りました。
 ひとつには「アウトプット」がないことによる悩み。そこから「できない・わからない」への過剰反応や、楽しませることへの傾向が生じることを述べてきました。さらに、「比較する心」をいかに押さえ込むことが大切であるのかも書きました。そして、最後には孤軍奮闘に関する解決の可能性についていくつか提示させていただきました。

 とどつまり「インプット」ができているかどうかが、ポイントです。その点を常に念頭において取り組んでいただきさえすれば、成果が上がるように『パルキッズ』は作られています。ひとつご安心してお取り組みいただきますよう、切にお願い申し上げます。


※本文中の問題の解答
 問1)
  ほん    ②でんわ
  らっかせい ③がっこう
 問2)
  ①主語はない(「は」は係助詞)
  ②主語は「夏」
  ③主語は「雪景色」

【注目書籍】『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)

特集イメージ9 児童英語研究所・所長、船津洋が書き下ろした『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)でご紹介しているパルキッズプログラムは、誕生してから30年、10万組の親子が実践し成果を出してきた「超効率」勉強法です。書籍でご紹介しているメソッドと教材で、私たちと一緒にお子様をバイリンガルに育てましょう。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業。実用英語技能検定1級取得。30年以上に渡る幼児教室・英語教室での教務を通じて幼児の発達研究に携わるかたわら、「パルキッズ」などの英語教材を始めとした幼児向け教材を多数開発。また、全国の幼児・児童を持つ親に対して9万件以上のバイリンガル教育指導を行う。講演にも定評があり、全国各地で英語教育メソッドを広めている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『どんな子でもバイリンガルに育つ魔法のメソッド』(総合法令出版)『ローマ字で読むな!』(フォレスト出版)『英語の絶対音感トレーニング』(フォレスト出版)など多数ある。

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