Vol.145 | 「幼児期からの英語教育」と「大学受験」の関係とは??

編集注

本記事は2010年当時の入試制度・教育制度・統計・社会状況を前提に書かれています。本文中の制度名、試験方式、金額、比率、進学・就職に関する数値には、その後変更されたものがあります。当時の教育状況を示すアーカイブとして本文は原文のまま残し、現在の制度や数値については最新情報をご確認ください。

本記事の要旨


「幼児期からの英語教育」と「大学受験」の関係とは??というテーマから、英語教育や子育てで見落とされやすい点を問い直します。記事では、センター試験・東大の配点を前提に、英検準1級ならセンター英語90〜95%、パルキッズ卒業生ならほぼ満点といった到達見込みを説明。バイリンガル児は母語理解力が高いという当時の新聞報道・研究紹介も用いる。ここで問題にしているのは、目の前の学習作業を増やすこと自体ではなく、その取り組みが実際にどのような言語能力や学習習慣につながるのかという点です。

結論は、学習内容を細切れの知識として覚えるのではなく、子どもの中に使える形で蓄積し、次の段階へつなげることです。英語力を早期に自動化して他教科へ学習資源を回すという発想は現在にも通じるが、入試制度・配点・試験名称は完全に時点依存。資格から得点への換算や卒業生一般の到達予測も保証的に読まれない配慮が必要。幼児期の言語習得では、規則を先に説明するよりも、日常的なことばを繰り返し大量に経験する中で、音・語・文のパターンを蓄積していく過程を重視しています。

背景にあるのは、ことばや学力は一度の説明や暗記で完成するものではなく、日々の入力、反復、読書、経験などを通して少しずつ構造化されていくという考え方です。その後、読みや文字学習へつなげることで、耳から身につけた英語を長く使える言語能力へ育てていく、という段階的な見方が示されています。本記事は2010年当時の制度・データ・用語を含む場合がありますが、中心にあるのは、子どもに何を覚えさせるかではなく、どのような環境と経験を通じて能力を育てるかを考える視点です。

そのため、記事全体を通じて、短期的に見える成果だけで判断せず、音声、語彙、読み、理解、学習習慣といった複数の要素がどのように連続して育つのかを見ていく必要があると述べています。

※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu/parenting/school-advancement/1004/
船津 洋(Funatsu Hiroshi)『Vol.145 | 「幼児期からの英語教育」と「大学受験」の関係とは??』(株式会社 児童英語研究所、2010年)

4月。今まで家に居た子が幼稚園へ、年長さんは小学校へと、新しい生活が始まります。学年をひとつ上げる子達にとっても、先生や友人達の顔ぶれが変わり、少し緊張の時期かも知れませんね。親御さんにとっては、子どもたちの成長を最も感じる季節でしょう。

ところで、子どもたちの成長。どこまで先に目標を定めていますか?もしくは、お母さまの視野に入っているでしょう? ここ数年は学力低下が著しく、またそれに輪をかけて教育格差が広がっています。そんな中、我が子に少しでも良い教育を、と私立中学への注目が高まっています。都内では、私立中学入試の当たり日には、6年生の半数以上が学校に来ない…すなわち受験している現実があります。

さぁ、いかがでしょう。皆様はお子さまの教育、どこまで先を見ていますか?先月は大学入試も終わり、志望校に合格した子も、そうでなかった子も、とりあえず受験勉強から解放されてほっとしていると思います。皆様方も、もちろんお子さまを大学まで行かせることでしょう。少し大学入試について触れておきましょう。

大学入試センター入試の「英語」

今日では、大学入試センター試験が多くの大学で利用されていて、センター試験を第一次選抜と位置づける大学があれば、センター試験の結果のみで合格を決めてしまう大学もあります。

そのセンター試験で、とても大きなウェイトを占めている教科が「英語」です。ちなみに東大の場合、センター試験で5教科7科目、合計900点満点で試験を受けることになります。ザックリと85%を合格の目安(合格と言っても一次選抜の通過の目安)と考えてみると、765点を得点しなければいけません。この中で英語と国語は、いずれの学部にも必須で、各200点、合計400点が配分されています。

ところで、センター試験で皆が苦労する英語ですが、問題を眺めてみても、それほど難しい代物ではありません。英検の準1級をもっていれば、90~95%は得点できるでしょう。パルキッズの卒業生達は、英検で2級レベルの実力はありますので、センターでほぼ満点を取ることは、難しいことではありません。そこで、英語を95%、すなわち190点得点すると、残りの6科目で575点取ればよいことになります。これは82%に相当します。ここで、3%分楽になったことになります。

大学入試センター入試の「国語」

センター試験での、もうひとつの必須教科「国語」について見てみましょう。数週間前の産経新聞に「バイリンガルの方が国語が得意」との記事がありました。京大の准教授らの研究によれば、2カ国語を話す子どものグループの方が、1カ国語しか話さないグループに比べて、親の学歴や所得に関わらず、おしなべて母語に対して理解力が優れている、と言う旨の結果でした。

確かに、パルキッズで育った子ども達は、英語が出来るのはもちろんです。そして、この子ども達は読書が大好き。英語の本を原書で読むくらいです。するとこのような子ども達は、傾向として母語である「日本語」に対する関心が深くなるのです。そして、日本語の本をたくさん読むようになります。結果、国語が得意な子ども達になるのです。

さて、話をセンター試験に戻しましょう。国語が得意なこの子達、国語でも90%の180点を得点できるとしましょう。すると、残りの5教科で395点、79%を得点すれば良いことになります。合格ラインが、6ポイント下がったことになります。この6ポイントを「たかが」と見てはいけません。ここからが大切なのです。

もしも「英語対策が不要!」だったら…

大学入試で学生達が最も苦労するのが「英語」なのです。すると、中学の3年間と高校の3年間、受験勉強のかなりの部分を英語の勉強に割くことになります。ちなみに、なぜ私立中学が人気なのか。その理由のひとつは、「英語教育が充実している」点でしょう。センター試験で英語にこれほどの重要さが置かれているにも関わらず、公立中学では週に3コマしか英語がないのに対し、私立では少なくとも週5コマ、多いところでは週7コマが英語に割かれているのです。私立中学が、どれだけセンター試験を意識しているか分かります。

その私立中学に進む子も、相当「英語」に力を入れることになります。特にリスニングに関しては、かなり苦労しつつ、来るべきセンター試験へ向けて勉強を続けることになります。

すると何が起こるでしょう?センター試験の英語対策に時間を割かれるために、それ以外の教科の勉強に手が回らないのです。基本的な数学は出来るのが当たり前として、より高等な選択科目や理科、社会に割く勉強時間がないのです。国立大学は英語に偏らず、総合的な学力が要求されるので、中高と英語に手を絡め取られていては、どうにもなりません。国立大学を目指すのであれば、英語は片手間、もしくは勉強しなくても、ほぼ満点を取れる状態にしておかなくてはならないのです。

それではセンター試験の英語で満点を取るためには、どうしたらよいのでしょうか。高校3年生の段階で満点では遅いので、高校2年生、ないしは1年生の時にはほぼ満点を取れるようにしておかなければなりません。高1で英検の準1級は欲しいところです。

昨年末、ベネッセの調査がニュースになっていました。中学2年生のなんと6割が「英語を苦手」としていると言うのです。中2で英語が苦手なこの子達が、高1までの2年間で英検準1級を取れる可能性は、一体どれだけあるのでしょうか。もうこの段階で、かなり彼らの選択肢は狭まってしまっていることになります。もちろん人生の選択肢ではありません。大学や学部の選択肢です。しかし、特に専門分野へ進みたいのであれば、大学や学部は決定的になります。中2で英語が苦手。これが彼らの今後の足かせになることは、間違いありません。

「小学校から英語」の現実とは…

少し脇道にそれますが、小学校からスタートする英語教育。方向が全く定まらないまま、どこへ向かうのかあてもなく、とりあえず船出をしたような状態です。小学校の学級担任が英語を教える。小学校では英語の授業はありませんでしたので、果たして専門家ではない学級担任の先生に、一体どこまで要求してよいのやら。全く現場の先生方にはお気の毒な話ですが、教わる生徒達はもっと気の毒です。

教科書も「英語ノート」なるものがありますが、中を見る限りに於いては、こちらも一体何をしたいのかがよく分からない。仕舞いには「英語ノート」に「漢字の読み」が収録されているのを見るに至っては、「英語ノート」なのかすら疑問を抱かずには居られません。それに加えて、ALT不足。今日では、アメリカ人やイギリス人、オーストラリア人などが配属されれば見つけモノ。ネイティブ以外のALTに教わるケースが、ますます増えるでしょう。こんな中では、子どもたちが中学入学前に「英語が苦手」に育ってしまわないか、という懸念を払拭しきれないのが現実なのです。

話を元に戻しましょう。今の公教育を受けている限り、高1で英検準1級取得は夢物語、もちろん取得できる子もいるでしょうけれども、希なケースといえるでしょう。それでは、小学英語では期待できない、中学英語でも期待できない状況下で、高1で確実に英検準1級を取るためにはどうすればよいのでしょう。

簡単です。中学校入学までに英検の準2級、最低でも3級を取っておけばよいのです。このくらいまで取っておけば、がんばり次第で準1級は目前です。文法は学校で教わる程度にしておき、家庭では多読を実践すれば、怠けない限り準1級はいけるでしょう。小学校卒業までに準2級ないしは3級。ここまで来てようやく東大・京大が見えてくるのです。

パルキッズで学習すれば、4年間でバイリンガルに育ちます。実力でいえば、英検準2級くらいです。後は少し単語を増やしていけば2級は問題ないでしょう。日々のかけ流しが大切な理由ですね。

言語学習のポイントは「読解力」

さて、そのようにして、かけ流しからバイリンガルに育ちます。ところで、小学校も中学年になると「中学受験」に備えるご家庭も多いでしょう。中学受験には英語はありません。必然的に英語から離れることになります。ここで重要になるのが、「読解力」というキーワードです。かけ流しでバイリンガルに育てても、中学受験で英語を中断すると、消えてしまうのです。しかし、「読める」ように育てておくと、不思議と英語力はブランクがあっても残っているのです。右脳で獲得した能力は左脳へ移しておかないと消えてしまうのです。そして、左脳へ移すための作業で、必然となるのが「読解力」の育成なのです。

幼児期から小学生の早い時期に、英語を身につけてしまうこと。そして英語ができる子は、英語ばかりではなく、日本語の理解力も高まることを先に述べました。

中学受験で子どもたちが最も苦労するのは何でしょう。彼らは漢字を知っています。ことわざも知っています。しかし、長文読解が苦手なのです。すなわち「読解力」が不足しているのです。国語だけではありません。彼らは計算問題も出来るのですが、文章題が出来ないのです。こちらも読解力が不足してるからです。

国語の読解力の方法は、ひとつしかありません。「多読」です。とにかくたくさん本を読むことが、読解力を育てるのです。しかし、「読みなさい」といっても、なかなか読んでくれるものではありません。本人が興味を示さなくてはいけないのです。英語を読めるようになることで、日本語にも興味を抱くようになる。放っておいても、日本語の本をたくさん読むようになるのです。

ちまたでは、まだ「幼児期の英語教育が日本語の能力に影を落とす」などの言がささやかれていますが、現実は全くその逆です。ー幼児期の英語教育が、日本語の理解力にも好影響をもたらすのですー。

先を見る

今年もパルキッズの先輩達が、最高学府である東大や慶応・早稲田をはじめとする、私立の理系に次々に合格しています。 お子さんの将来、どこまで見据えていますか?今、お母さまが日々パルキッズのCDのスイッチを入れる。これでバイリンガルに育て、絵本の暗唱をさせることで読解力を育てる。このことによって、小学6年、中学3年、高校3年になった時の、お子さんの学力を決めているのです。

児童英語研究所には、日々、小学生で英検2級合格、中学生で英検準1級合格などのご報告が届いています。 この子達は、中高と英語で苦労することなく、のびのびと自分の志望する学校を目指して、生物や物理、政治や歴史の勉強を出来るのです。

現在、日本は元気がありませんが、皆様のスイッチを押す人差し指が、ひいては日本の未来のリーダーを育てていると思うと、なんだかほっとするのは、私だけでしょうか。

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年東京都生まれ。言語学者。上智大学外国語学部英語学科卒業(言語学専攻)、上智大学大学院言語学修士。
40年以上にわたり、幼児教室や通信教育などを通じて、子どもの英語教育と言語発達の研究・指導に携わる。自身が開発した英語教材「パルキッズ」は、音声入力を中心とする家庭用英語教材として30年以上にわたり提供され、これまで累計10万組以上の親子の英語教育を支援してきた。近年は研究・指導の対象を英語だけでなく、日本語・国語力、さらに言語能力と認知・学習能力との関係へと広げている。「スローな子育てをしながら賢く育てる」という考え方をもとに、オンライン講座「地頭力講座」などを開講している。著書は、英語・言語習得分野では、ベストセラーとなった『たった80単語読むだけで「英語脳」になる本』、Amazonランキング1位を獲得した『ローマ字で読むな!』(フォレスト出版)、『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)など。国語・地頭力、子育ての分野では『地頭力を鍛える子育て』などがある。
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