ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | サイトワーズ, フォニックス
2012年03月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.9 | ハワイのバイリンガル事情 その9 ~アメリカ流のリーディング指導~
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
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引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1203
パルキッズ通信2012年03月号ハワイアン子育てジャーナル『ハワイのバイリンガル事情 その9~アメリカ流のリーディング指導~』(著)船津徹 ©株式会社 児童英語研究所
英語圏の子どもたちが学校で必ず習うフォニックスですが、日本ではあまり普及していません。指導できる先生が少ないことに加えて、日本のフォニックスには「学問的」な雰囲気が伴うことも不人気の一因かもしれません。「長母音」「短母音」「二重母音」「R母音」「サイレントE」「二重子音」「連続子音」こんな専門用語を並べられたら誰でもためらってしまいますね。
アメリカでは幼稚園からフォニックスを指導しますが、授業中に難しい説明は一切ありません。フォニックスの目的は「綴りと音の関係」を教えることですから、歌やゲームなどを通して楽しく指導することが可能です。今回はアメリカの幼稚園で取り入れられている「ワードファミリー」によるフォニックス指導についてご紹介します。
|「ワードファミリー」を教える
フォニックス指導にはいくつかの方法がありますが、アメリカで最もポピュラーなのが「ワードファミリー」によるものです。ワードファミリーというのは、単語の最後につく2~4文字のパターン(例:AT, ACK, IGHT)のことで「ライミング」とも呼ばれます。短母音「A」を含む代表的なワードファミリーは「AB, AM, AT, AP, AN, AG, ACK, ANK, AND, ASH」です。
伝統的なフォニックスでは、文字を一つずつ発音して繋げていかなければ単語を読むことができません。例えば「BANK」であれば「B:ブ」「A:ア」「N:ン」「K:ク」と発音する必要があります。子どもたちにこの方法で教えると、大抵の場合「拾い読み」になってしまい、発音できても何の単語を読んでいるのかなかなか分からないのです。
ワードファミリーによる指導では「BANK」の最後につく「ANK」をまとめて「アンク」と教えます。すると「B:ブ」「ANK:アンク」と一気に読めますので、読みの流暢さが身につき、同時に意味も伴いやすくなるのです。
また、ワードファミリーには少ないパターンを覚えることで多くの単語が読めるという利点があります。例えば「ANK」の読み方を覚えれば、DANK, SANK, TANK, RANKなどもすぐに読めるようになります。
| マザーグースの歌や絵本を活用する
ワードファミリーはライミング(音韻)で読み方を教えるので、センテンスにするとリズミカルで覚えやすく、子どもたちは楽しみながら読みの力を伸ばしていくことができます。ライミングで有名なのが「The cat in the hat」に代表されるドクタースースの絵本です。ワードファミリーとサイトワーズ(後述します)の組み合わせで多くの文章が構成されていますので、簡単なリーディング指導を受けるだけで読めるようになる優れものです。
またマザーグースやナーサリーライムといったわらべ歌も韻を踏んだ歌詞が多く、ワードファミリーと平行して教えていくと効果的です。例えば「Hickory Dickory Dock」では、短母音ワードファミリー「OCK」と長母音ワードファミリー「IVE」「INE」を歌詞の中で覚えていくことができます。マザーグースは英語圏では親から子へと伝統的に歌い継がれている歌ですが、そこには教育的な要素がいっぱい詰まっているのです。
|サイトワーズは避けて通れない
ワードファミリーと同時にアメリカの学校で必ず指導するのが「サイトワーズ」と呼ばれる頻出単語です。サイトワーズにはフォニックスのルールに当てはまらない綴りが多く、フラッシュカードや書き取りによってスペルを覚えていかなければいけません。子どもにとって楽しい取り組みではありませんが、英語の読み書き習得にはサイトワーズを避けることはできません。アメリカの学校で最もよく使われているサイトワーズリストは「Dolch words List」と呼ばれる220単語です。リストはインターネットで簡単に入手できますのでぜひお子様の英語教育に活用してください。
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