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2023年5月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.143 | フォニックスを身につけるステップ

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2305
船津徹「フォニックスを身につけるステップ」(株式会社 児童英語研究所、2023年)


 『フォニックスは「9週間」で身につく!』
 『40時間でフォニックスを学ぶ!』
 というキャッチコピーを見聞きした方がいると思います。
 でも本当にそんな短期間でフォニックスが身につくのでしょうか?
 確かに、アルファベットはわずか「26文字」です。たった26文字ですから子どもがフォニックスを学ぶのにはさほど時間がかからない印象がありますね。しかし、私の指導経験から申し上げれば、英語を第二言語で学ぶ日本人の子どもがフォニックスをマスターするには「2〜3年」の学習期間が必要です。
 英語圏の学校ではキンダーガーテン(1年間のみ)から小学2年生まで「3年間かけて」フォニックスを教えるのが一般的です。英語ネイティヴであってもそれくらいの期間をかけてフォニックスを学ぶのですから、日本人も同様の期間をかけて「丁寧に」フォニックスを学習する必要があります。
 英語のリーディング力(読書力)の土台であるフォニックスが定着しないと読書スピードが向上しません。その結果、「読解力」が育たず、英語力が伸び悩むことはもちろん、教科学習面でも遅れが目立つようになるのです。
 やや古いデータですが、2009年にNAEP(National Assessment of Educational Progress )が行なった調査があります。この調査によって全米のELL(英語を第二言語で学ぶ生徒)のうち、リーディング力が「習熟レベル」に到達している生徒はたった「6%」であることことが判明しました。
 ELLの子どもたちは英語を流ちょうに「話す」ことができます。しかし、バイリンガルの子どもたちが現地校で要求されるレベルのリーディング力を身につけるのは簡単ではありません。子ども本人の努力はもちろん、保護者が家庭でもフォニックスをサポートすることが不可欠なのです。


なぜ英語を読むのは難しいのか?

 英語のアルファベットは「26文字」しかありません。全ての単語はこの「26文字の組み合わせ」で構成されています。日本語のように漢字を覚える必要もありません。しかし英語がストレスなく読めるようになるのには少なくとも2年間はかかるのです。なぜ英語を読むのは難しいのでしょうか?
 一つは、フォニックスには名前(ABCDE/エイ ビー シー ディー イー)と音(ABCDE/ア ブ ク ド エ)があることです。日本の学校で教わる「エイビーシー」というのはアルファベットの「名前」であって「音」ではありません。残念ながらアルファベットの「名前」を覚えても簡単な三文字単語すら読むことはできません。「CAT=シー•エイ•ティ」となってしまいます。
 フォニックスでは「A=ア」「B=ブ」「C=ク」という要領で、アルファベットの「音」を指導します。すると「CAT=クアト」「BED=ブエド」というように音をつなぎ合わせて単語を正しい発音で読めるようになります。
 二つ目の理由が、フォニックスには一つの文字が複数の音を持ったり、文字の組み合わせによって音が変わる「例外」が多く含まれることです。たとえば、母音の「AEIOU」にはそれぞれ「二つ以上」の音があります。また子音の「C,G,J,S,T,Y,X,Z」にも「二つ以上」の音があります。さらに「CH=チッ」「SH=シッ」というように二つの文字がつながると音が変わるパターンも多くあります。アルファベットはわずか26文字なのですが、文字の組み合わせによって読み方が複雑に変化するのです。
 さらに、英語の頻出単語である「the」「your」「said」などはフォニックスを学んでも正しく読むことができません。フォニックスで習った通りに読むと「the=トゥヘ、あるいは、スェ」「your=ヤワ」「said=セイド」になってしまいます。このような「単語による読み方の違い」を瞬時に見極めるには、毎日、英語の文字に触れ、英語を読む練習を積み重ねることが必要なのです。
 特に日本で英語を学ぶ子どもは日常的に英語の文字に触れる環境がありません。英語圏に住んでいれば、家、街中、学校には英語の文字が溢れています。交通標識、お店のサイン、商品パッケージ、ポスター、英語の本などを目にすることで子どもは「自主的に読む練習」をしているのです。それでも英語を初見でスラスラ読めるようになるにはそれなりの時間がかかるのです。


ディコード(文字を音に変換する)を体験してみよう!

 突然ですが、以下の韓国語が読めますか?

 어젯밤엔 난 네가 미워졌어

 お笑いのダウンタウンが好きという(40代以上の)人は知っているはずです。
어「オ」젯「ジェッ」
밤「パム」엔 「エン」
난「ナン」 네「ネ」가「ガ」
미「ミ」워「ウォ」
졌「ジョッ(ス)」어「オ」

 分かりましたか?「オジェッパメン ナン ネガ ミオジョッスォ」
 ダウンタウンのヒット曲「オジャパメン」の冒頭の歌詞です。オリジナルは韓国の人気グループ「ソバンチャ(소방차/消防車)」の曲です。
 ダウンタウン版を聞き知っている人は、歌詞がスラスラ口から出てくると思います。でも「어젯밤엔 난 네가 미워졌어」という活字になるとスラスラ読めませんよね?少し韓国語をかじっている人でしたら、一文字づつ拾い読むことはできると思います。しかし、文字をつなげてスラスラと流暢に読めないと、これがヒット曲の一節であることに気づくことすらできないのです。
 ちなみに韓国語(ハングル文字)はローマ字と同じように「子音と母音の組み合わせ」で文字が構成されています。子音の「G」である「ㄱ」と、母音の「O」である「ㅗ/オ」を組み合わせた「고」は「go/ゴ」と発音します。子音の「M」である「ㅁ」と、母音の「U」である「ㅜ/ウ」を組み合わせた「무」は「mu/ム」です。この二つの文字を組み合わせると「고무/ゴム」となります。(意味は日本語と同じ「ゴム」です)
 以上のように文字を「音声化」するプロセスを理屈で覚えることはさほど難しくありません。しかし、ハングル文字のように日本人にとって馴染みの少ない文字を瞬時に解読(ディコード)できるかというと、そう簡単にはいかないのです。おそらく毎日韓国語を読む練習をしても数年間はかかると思います。
 子どものフォニックス学習でも同じことが起こります。フォニックスを習い始めの子どもは、文字を一つずつ拾い読みますので、流暢さがなく、読んでも意味が伴いません。これを解消するには、「オジャパメン」のように、まず「音」を入れてあげると効果的です。音がわかっていれば、文字と音を合致させながら効率良く読む練習ができます。


子どものフォニックス学習に歌が効果的な理由

 世界中の言葉には、それぞれ独自のリズムがあります。生まれてきた赤ちゃんは言葉の意味を理解するよりも先に、親や周囲の人が語りかける言葉によって「言葉のリズム」を模倣します。言葉のリズムには2つあり、一つが「文法的リズム」、そしてもう一つが「音感的リズム」です。
 文法的リズムとは、大雑把に言えば「語順」のことです。たとえば英語で「I love you」は「S+V+O」という語順ですが、日本語の「(私は)あなたが大好きよ」は「S+O+V」というように語順が異なります。文法的リズムとは、それぞれの言語が持つ歴史や文化背景によって生じるリズムです。
 音感的リズムとは言葉の持つ「イントネーション」のことです。日本語には「だるまさん、だるまさん、にらめっこしましょ」「せっせっせーのよいよいよい」などの擬態語・擬音語がふんだんに使われた「わらべ歌」がたくさんあります。また五・七・五の俳句に代表される独特なリズムがあります。
 同様に英語にも「Hickory Dickory Dock」や「Hey, Diddle, Diddle」などのわらべ歌に見られるライム(押韻)が英語独特のノリの良いリズムを作り出しています。これら言葉の持つ特徴的なイントネーションを言語学習に取り入れることで、文字学習への移行がスムースになるのです。
 英語習得の近道は「英語を正しく読む力」を身につけることなのですが、それを促進してくれる取り組みが「フォネミック・アウェアネス」と呼ばれる英語の音感を育てる取り組みです。英語の音感が(最初に)身についていると、英語のリーディング習得がスムーズに進むのです。
 日本では「フォネッミック・アウェアネス」指導はあまり普及していないので、ぜひご家庭で実践することをお勧めします。英語圏の子どもは、マザーグースやナーサリーライムと呼ばれる「わらべ歌」、あるいは子ども向けの絵本などを通して英語のリズムを身につけていきます。
 英語の特徴である韻を踏んだリズミカルな語呂(ライム)の良さは、単語を構成する音を聞き分ける耳を鍛えてくれます。この経験が豊かなほど、フォニックスを習い始めた時に、抵抗なく文字の世界に入っていくことができるのです。
 家庭で「フォネミック・アウェアネス」を取り入れるのは簡単です。マザーグース、ナーサリーライム、手遊び歌(Finger Play)季節の歌、行事の歌などを「かけ流しておけば良い」のです。今はYouTubeやSpotifyで検索すれば、いくらでも(無料で)子ども向けの英語の歌を聞くことができます。


英語の物語、絵本をかけ流すのも効果的

 三歳以上の子どもには、わらべ歌に加えて、オーディオブックと呼ばれる絵本の音声をかけ流すと効果的です。最近はインターネットで絵本のオーディオだけを販売しているサイトがあります(audible.com)。テクノロジーを最大限活用して「フォネミック・アウェアネス」作りの助けとしてください。
 「イソップ」「ファーブル」「グリム」「アンデルセン」などの童話やおとぎ話(Folk Tale/Fairy Tale)のかけ流しもお勧めです。YouTubeには「Fairy Tales and Stories for Kids」「KiddoStories」「English Fairy Tales」など、たくさんの教育チャンネルがありますので活用してください(画像は見せず、音声だけを聞かせるのがポイントです)。

【かけ流しに適した絵本】
・Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?(Bill Martin)
くまさん、くまさん、なにみてるの?
・The Very Hungry Caterpillar(Eric Carle)
はらぺこあおむし
・Where the Wild Things Are(Maurice Sendak)
かいじゅうたちのいるところ
・Goodnight Moon/ The Runaway Bunny (Margaret Wise Brown)
おやすみなさい おつきさま/ぼくにげちゃうよ
・The Rainbow Fish(Marcus Pfister)
にじいろのさかな
・The Giving Tree(Shel SIlverstein)
おおきな木
・GO, Dog. Go!/ Are You My Mother?(P.D. Eastman)
それいけ、わんちゃん!/あなたがぼくのおかあさん?
・Pat the Bunny(Dorothy Kunhardt)
ばたばたバニー
・I Wish You More(Amy Krouse Rosenthal)
おかあさんはね
・Where is Spot?(Eric Hill)
コロちゃんはどこ?
・If You Give a Mouse a Cookie(Laura Numeroff)
もしもねずみにクッキーをあげると
・Guess How Much I Love You(Sam McBratney)
どんなにきみがすきだかあててごらん
・Caps for Sale(Esphyr Slobodkina)
おさるとぼうしうり


フォネミック・アウェアネスの次はフォニックス

 「フォネミック・アウェアネス」(英語のかけ流し)を1年程度、あるいは子どもの年齢が4歳前後になったら本格的にフォニックス学習をスタートできます。もちろん、子どもによって「文字に興味を持つタイミング」が異なりますので、親の見極めが大切です。
 最も分かりやすい目安は、子どもが「日本語の文字に興味を持った時」です。日本語の絵本に関心を示したり、自分の名前やきょうだいの名前が読めるようになったら「フォニックス」も教えてみましょう。
 子どもにとって文字学習は、文字というシンボルと、そのシンボルが持つ音をマッチングさせる「ゲーム」です。「文字には音がある」というルールを理解できれば、フォニックス学習をスタートしても大丈夫です。
 「日本語と英語を同時に教えると混乱するのでは?」と心配される方がいますが、全く問題ありません。繰り返しますが、子どもにとって文字学習はゲームです。「あ=あ」「A=ア」「1=いち」というように、シンボルと音をマッチングさせるという点において、子どもにとってはゲームなのです。
 極端なことを言えば、ひらがなカードの中にアルファベットや数字のカードを混ぜて教えても構わないのです。好きなアニメのキャラクターや昆虫の名前をたちまち覚えてしまうように、子どもが興味を持てば、世界中のどんな文字でもすぐに覚えることができます。
 大切なのは教える時の親の態度です。学問的に教え込もうとするのでなく、子どもと一緒に「ゲームを楽しむ」という感覚で向き合うことを忘れないでください。くれぐれもテストをしたり、間違いを指摘してはいけません。
 まずはアルファベット絵本やアルファベットチャートを使って「エイ、ビー、シー」と「アルファベット読み」を教えてみましょう。子どもが英語の文字に興味を示せば、フォニックス学習をスタートするタイミングと判断してください。


フォニックスの教え方は?

 アルファベットはたった26文字ですが、フォニックスには「44種類の音」と「120通りの綴りパターン」があると言われています。まず子どもに教えるのが、フォニックスの基本となる「アルファベット26文字の音」です。これをしっかりと定着させることができれば、次のステップである「三文字単語読み」もスムーズに身につけることができます。
 超基本のフォニックス指導をご紹介します。
 前述の通り、アルファベットには2つの読み方があります。1つは「ABCDE=エイ ビー シー ディー イー」です。もう一つの読み方が「abcde=ア ブ ク ド エ」で、これがアルファベットの「音」です。
 おすすめは、アルファベットの「名前」と「音」を一緒に教えることです。
 「A says a,a, a/エイ セッズ ア,ア、ア」
 「B says b, b, b/ビー セッズ ブ、ブ、ブ」
 という要領で「名前」と「音」をリズミカルに教えます。英語を初めて学ぶ子どもの場合、いきなり文字から入るのでなく、フォニックス動画を見せたり、フォニックスの歌を聞かせて、英語の音に耳を慣らしておいてください。
 YouTubeで「Phonics Song」「Letter Sounds Song」「Alphabet Song」と検索すればネイティブ音声入りのフォニックス動画がたくさん見つかります。それらを親子で一緒に見て、英語の音と文字に対する免疫がついたらフォニックス学習のスタートです!
 まだフォニックスをスタートしていないという方は「TLCフォニックス」がお勧めです。オンディマンド型の動画レッスンで「英語を正しい発音で読む力」を身につけることができます。素材を集める面倒な作業を省略できます!ご興味ある方は無料トライアルにお申し込みください


ハワイイメージ1【編集部より】
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ブログはこちら▶︎https://ameblo.jp/tlcforkids/

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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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