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2020年6月号特集

Vol.267 | 言語力の差を決定づける幼児期の絵本の与え方

読み聞かせをするかしないかで、格差が広がる日本語の力

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-2006/
船津洋『言語力の差を決定づける幼児期の絵本の与え方』(株式会社 児童英語研究所、2020年)


今回は表題の通り、絵本のおはなし。
 『パルキッズ』の取り組みの中で、もっともトラブルが多いのもこの絵本の取り組みです。「絵本」とセットになっている「暗唱」ということばに、その問題の根っこがあります。しかし、『パルキッズ』での絵本の取り組みは「暗唱」抜きに語ることができません。「絵本」と「暗唱」は『パルキッズ』の英語学習には必須の組み合わせなのです。

 ところで、こんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。

 絵本の「読み聞かせ」はよく聞くけど、そもそも絵本って「暗唱」させるものなの?

 そう。絵本使用の本質は「読み聞かせ」で「暗唱」は結果に過ぎません。もう少し詳しく見てみましょう。


絵本の「読み聞かせ」に始まり絵本の「読み聞かせ」に終わる母語教育

特集イメージ1 絵本は、乳幼児期の子どもの言語の成長とは切っても切れない関係にあります。親であれば、それこそ “本能的” とも言える自然さで、子どもに絵本を与えます。絵本を1冊も「読み聞かせ」ずに、小学校へ子どもを送り出すような親御さんは、少なくとも本誌の読者の中にはいらっしゃらないでしょう。
 『いないいないばあ』(童心社)から『はらぺこあおむし』(偕成社)、『三びきのやぎのがらがらどん』(福音館書店)に『ぐりとぐら』(福音館書店)など、おそらくほとんどの子どもたちがこれらの絵本を通過します。と、いうことは、毎年数万冊から数十万冊販売されているのでしょうから、著作者の1人としては羨ましいばかりです。

 そんなことはさておき、絵本の「読み聞かせ」と「暗唱」についてですが、まず「読み聞かせ」から考えてみましょう。

 一般的な絵本の使用、つまり絵本の「読み聞かせ」から得られる効果は絶大です。絵本がなければ亀のような歩みでゆっくりと発達する言語能力ですが、絵本があれば子どもたちの言語能力の育ち方は年齢に対して指数関数的に加速します(一人でブランコをゆらすのではなく、親が背中を押してあげるようなイメージです)。
 絵本を効果的に与えれば、1枚のフラッシュカードも見せずに、1冊の絵辞書も与えずに、子どもたちの語彙を数千語レベルにまであっという間に膨らませることが可能です。1歳児でも2歳児並みの、2歳児でも4歳児並みの、3歳児で小学低学年並みの語彙を持たせることが可能なのです。これは、フラッシュカードでは到底達成されません。1万枚のフラッシュカードよりも50冊の絵本の方が、子どもの言語能力を伸ばすのです。この点に関しては後述します。

 とにかく絵本はスゴい。
 小見出しの通り、幼児期の日本語教育は絵本に始まり絵本に終わります。極論すれば、幼児期の言語教育の大部分は絵本だけで済んでしまうほどに、絵本の影響力は大きいのです。そして、絵本を卒業すると、そこから先は国語としての日本語のスキルアップへと進めていきます。


「暗唱」と「読み聞かせ」の位置関係

特集イメージ2 では、「暗唱」の方はどうなのでしょう。『パルキッズ』の絵本シリーズ( “I Can Read!” , “I Love Reading!” )も同じなような効果を狙っているのでしょうか。
 これが、違うのです。一般的に書店の “絵本” のコーナーに置かれている、あるいは検索でヒットしてくる “絵本” と『パルキッズ』の絵本シリーズは質的に異なります。
 巨視的に眺めると以下の具合です。世の中には “絵本” という広いジャンルがあり、その中に様々な種類の絵本があります。それらの絵本の中で “英語” の、しかも “読解力育成” に焦点を当てて、特化させたのが『パルキッズ』の絵本シリーズです。そして、『パルキッズ』の絵本シリーズの使用目的である “読解力育成” を達成させるために「暗唱」の取り組みが登場するのです。

 ということで、今回は幼児期の母語教育の中心に置くべき絵本の「読み聞かせ」を中心に、絵本の効果的な使い方や与え方、さらには読解力育成と絵本の関係について、モヤモヤを吹き飛ばしていただけるようにします。
 順番としては、まずは全体像をお見せして、具体的な絵本の種類やタイトル、さらにはそれらの読み聞かせの仕方や暗唱のさせ方へと話を進めていくことにします。


まずは全体像をば

特集イメージ4 絵本とひと口に言っても、『ころころころ』(福音館書店)のようなオノマトペ(音象徴語)と抽象的なイメージを組み合わせたものから、『まるさんかくぞう』(文溪堂)のような概念の意味づけをするもの、『ぐりとぐら』のように生活習慣やしつけを学ばせるものから、『おおきなきがほしい』(偕成社)のような空想的なおはなしまで多岐にわたります。
 それらの数多ある絵本は、大きく二つに分けることができそうです。

 「メタ言語」として言葉を使った絵本と「自然言語」を使った絵本の2種類です。

 「メタ言語」とか「自然言語」と目にして、すでにうんざりされる方もいらっしゃるかも知れませんが、大丈夫です。
 1つ目の「メタ言語」云々は「ことばを教えるためにことばを使用し」ている絵本のことで、もうひとつの「自然言語」云々は「メッセージを伝えるためにことばを用い」ている絵本のことです。

 ことばの習得には2種類の方法があることは、本誌や著作でも繰り返し述べています。ひとつ目は母語を習得するときのように「インプット」から自然と「統語規則+語彙項目」を身につけるやり方で、もうひとつは学校英語のように「規範文法+訳読」で学習させるやり方です。(※詳しくは『子どもの「超効率」英語勉強法』(かんき出版)
 「ことばを教えるためにことばを使う」というのは、例えば「英語を教えるために日本語を使う」学校英語のような理解で結構です。もちろん、「日本語を教えるために日本語を使う」国語の授業もそれに該当します。
 ことばの形式(語彙や音素や文法など)を教えようとしているもので、こちらが「メタ言語」として、ことば(この場合には日本語)が使用されている絵本のグループです。

 もうひとつの「自然言語」の方は伝える内容に主眼が置かれます。こちらは「絵本で情緒やこころを育む」などと表現される絵本の使い方です。
 筆者の伝えたいメッセージがあり、それらを子どもたちに伝わるような言葉を使って発信する絵本です。
 もちろん、絵本ですので、ことばだけでは伝わりにくいものも、添えられた絵の助けによって、直感的に視覚化できるのが特長です。子どもたちのおなじみのキャラクターを使うなどして、さらにメッセージの伝達の強さを高めるものもあります。

 それでは、さらにサブカテゴリと、順に「メタ言語」絵本と「自然言語」絵本の具体的なタイトルや学習効果を眺めながら見ていくことにしましょう。以下、我が家の書庫からそれぞれのカテゴリーに分類される絵本の一部を紹介します。これ以外にも星の数ほど絵本はありますが、絵本を選ぶ際の参考になれば幸いです。
 まずは「メタ言語」絵本です。

1.ことばを教えるためにことばを使う絵本

 ことばを教える絵本は、いくつかの種類に分けることができます。
 まずは特に小さい子向けの「音象徴」があり、ある程度物事の理解が進んだ子に「基礎概念」を教えようとするもの、「語彙」や「百科知識」を増やそうとするものなどがあります。

「音象徴」

 まずは「音象徴」から始めましょう。音象徴を取り扱った絵本には、擬音語・擬声語・擬態語などの、いわゆる “オノマトペ” が含まれているのが特徴です。
 擬音語とは、ものが発する音をことばに置き換えたもので、例えば「(車の)ブッブー」、「(汽車の)ガタンゴトン」、「(ギターの)ジャーン」などです。絵本では、
・『かんかんかん』(福音館書店)
・『れんけつガッチャン』(学研)
・『ごぶごぶごぼごぼ』(福音館書店)
・『がたんごとんがたんごとん』(福音館書店)などがそれです。

 擬声語は動物の泣き声や人の声をことばに置き換えたもので、「えーん」と泣いたり、「ニャー」と鳴いたりなどです。絵本では、
・『だっだぁー』(主婦の友社)
・『わんわんわんわん』(理論社)
・『おひさまあはは』(こぐま社)などです。 “I Can Read!” では
・ “What’s your name?” などもこのグループです。

 擬態語はものの状態を音に表したもので、「(場が)しーん」としていたり、「かんかん」に怒っていたり、「ずんずん」歩いたりなどが該当します。絵本では、
・『ころころころ』
・『てんてんてん』(福音館書店)
・『もこもこもこ』(文研出版)などです。

 もちろん、これら音象徴が、厳密に絵本毎に分類されているわけではありません。擬態語と擬音語が混じっている『ゆめにこにこ』(こぐま社)や、擬音語と擬声語が混じっているもの、擬態語と形が混じっている『ぴたっ!』(講談社)など、絵本作家のセンスによって様々なコンビネーションがあります。

「基礎概念」

 ことばを教える絵本の2番目は、「基礎概念」を扱ったものです。
 基礎概念には色・形、大小・比較、同定、数詞・序数などの数、空間認識などがあります。時計などもこれに含まれます。ひと口に言えば日本語の「基礎語彙」を教えようとするわけです。
 ちなみに日本語の「基礎語彙」とは、人が日本において日常生活を送るのに必要な語集団のことで、少なく見積もれば数百、多くても数千語単位の語集団です。ざっくり「1000語くらい」と考えていただいて差し支えありません。
 基礎概念の絵本には、
・『あかあかくろくろ』(学研)
・『いろいろバス』(大日本出版)
・『おんなじおんなじ』(こぐま社)
・『ねずみさんのくらべっこ』(こぐま社)
・『わたしの』(こぐま社)
・『おおきいちいさい』(福音館書店)
・『まるさんかくぞう』
・『とけいのほん』(福音館書店)
 もちろん、基礎概念を扱っている絵本でも、『しましまぐるぐる』(学研)のように擬態語と形が合わさったものや、『どんぶらどんぶら七福神』(こぐま社)のように擬態語と序数に七福神の名前という百科知識が合わさったものなど多様です。

 最後は「語彙」を膨らませる本です。これは2種に大別できて、単純にイラストを添えて語が紹介されているものと、その語やさらなる下位カテゴリーに関する百科知識を入れるものがあります。
 前者では、代表的なものに五味太郎さんの絵本が上げられますが、いろいろな種類の絵本があった方が楽しいと思います。それらには、
・『やさいさん』(学研)
・『くだものどうぞ』(コクヨ)
・『おうちのともだち』(こぐま社)
・『このにおいなんのにおい』(こぐま社)などがあります。
 後者の百科知識に関しては、
・『こぐまちゃんとどうぶつえん』(こぐま社)
・『あのほしなんのほし』(こぐま社)
・『のりものいっぱい』(こぐま社)
・『はたらくくるまのずかん』(白泉社)など無数にあります。
 これらはお子さんの興味に合わせて与えていくとよいでしょう。電車が好きな子は電車の、動物が好きな子は動物の百科知識を与えましょう。忘れてはいけないのは、ものの名前だけ読んで「ハイおしまい」で済まさないないことです。そこに書き添えられている説明も丁寧に読んでやりましょう。
 その他『なにからできているでしょーか?』(白泉社)『なぞなぞのみせ』(偕成社)のようにクイズ形式で知識を深めていくものもあります。


絵本を与えるべきたったひとつの理由

特集イメージ5 ここまで、ことばを「メタ言語」として使用する絵本を挙げてきました。ここから「自然言語」で子どもに語りかけ、生活ルールや道徳、あるいは空想の世界へと子どもを導く絵本へと話を進めますが、その前に子どもたちに絵本を与えるべき理由を言語学の観点からひとつだけ挙げておきます。

「言語をコンテキストから学ばせる絵本が最も自然な教材である」
(但し、期間限定。これに関しては後述)

 ことばを教える、文字を教える、あるいは表現力を身につけさせるための教材・教具・教授法は星の数ほどあります。皆さんもいくつか思い浮かべることができるはずです。そんな中で、絵本はことばを教えるほぼ完璧なツールです。すでに述べたように、極論すれば絵本だけあれば良いとさえ言えます(その前提条件も後ほどさらに)。

 ここで、先ほど少し触れたカードを使って語彙を増やす方法と、絵本との決定的な違いを見てみることにしましょう。

 語彙を膨らませる(語彙は1個2個と数えるものではなく、1人にひとつしかないのでこの表現を使っています)方法はいくつもあります。例えば、フラッシュカードは手っ取り早く単語を入力できます。もちろん、『パルキッズ』でも採用しています。あるいは、チャートなどを子どもの目に付くところに貼っておくのも効果は認められます。
 しかし、フラッシュカードだけで仮に語を5,000語入れたとしても、それは5,000語を「見知っているよ」というだけで、あまり意味がありません。それの名前を知っているだけで、それに関して知っているわけではありません。語は縦横に使いこなせる知識として持っていなければ、あまり意味がないのです。

 例えば、英単語を丸暗記しても、英語の理解力の向上には直接には繋がりません。ここには、ひとつの落とし穴があります。
 実は、語は単独ではあまり意味がないのです。文脈、つまりコンテキストの中で、語は意味を持ちます。(これ以上話を進めて「意味論」というややこしい話に入り込むのは避けておきます。)
 コンテキストから言語力を伸ばすというのは、極めて自然な言語発達の後押しの仕方で、”CLIL : Content and Language Integrated Learning、内容言語統合型学習、クリル” の推進派の人たちも同様に主張をしています。つまり、「形式」的な文法や語の丸暗記ではなく、メッセージの「意味内容」やそれをどのようなコンテキストで伝えるかという「機能」の方に主眼を置いた学習が効率的、というわけです。
 フラッシュカードや単語帳の知識では「形式」的な知識に留まり、自分がどのようなメッセージをどのように表現していくのか、という「意味内容」と「機能」を充実させることができないのです。

 その点、知識を活き活きとした言語メッセージへと置き換える力を培えるのが絵本です。さらに、絵本の「読み聞かせ」の過程で、子どもたちは大量の言語インプットに晒されることとなるので、産出力(表現・発信力)はもちろんのこと、知覚力(理解・受信力)も高めることができるのです。つまり、いいとこ取り。
 この一面だけでも、絵本ほど優れた教具はないことはご理解いただけると思います。


ただし?先の注釈

特集イメージ6 そうなのです。万能の言語教育教材の絵本ですが、それにはひとつだけ条件があります。絵本が言語教育用の教具として最大限に威力を発揮する黄金期は、限られているのです。「絵本に始まり絵本に終わる」を思い出してください。

 さて、その黄金期とは、音韻を獲得する前後から、ひとり読みが始まるまでです。

 年齢でいえば、生後半年から、ゆっくりことばを学習する子で小学低学年くらいまで、早い子では4歳くらいまでが、この期間にあたります。

 これは、絵本と子どもの関わりを見ていくと分かります。
 上に、オノマトペから「基礎概念」、「語彙強化」の部分まで、つまり「メタ言語」絵本の使用までについて書きました。そしてこの次のセクションでは、その先の生活規範・道徳から空想ものへと至る「自由言語」絵本の使用の道筋を見て参ります。この道筋は、絵本の黄金期における言語の理解の発達の順序でもあるのです。順に見て参りましょう。

 日本語(母語)の場合には、生後10ヶ月くらいにかけて、幼児たちは日本語の音韻(かなに代表される日本語の要素)知識を獲得します。その頃から、絵本にグングン興味を示すようになります。なぜなら、母親が日々語りかける日本語の音の規則に則った新しい音、興味深い音が、絵本の世界にはあふれているからです。
 毎日耳にするなじみ深い母親の声で、楽しい絵に添えた新鮮な日本語の音を聞けるわけです。しかも、二人きりで。幼児期の絵本読みの時間は、子どもたちにとってさぞや幸せで楽しい時間であることでしょう。
 発達面に目を向けると、もちろん楽しんではいるものの、まだこの段階では1ページに数語から1、2文程度の短いものしか理解できません。

 その後、1歳半から2歳くらいにかけて語彙爆破が起こります。それまで1日数語ずつしか学んでいなかった幼児たちの語彙が、この期間に日々10語単位で急増するのです。ちょうど日常のことに関する理解が始まる年齢にあたります。
 吸収の良いこの時期には「基礎概念」の絵本や「百科知識」の絵本など、どんどん入力するのが良いでしょう。絵本の活き活きとしたコンテキストの中から、子どもたちは新しい語や表現を吸収していきます。
 言語の発達面から見ると、この段階では1ページに50文字くらいの文は聞いていられるようになります。
 この最初の「メタ言語」絵本の時期は、それに続く生活規範や道徳感、さらには空想ものへと理解を深めていく準備段階でもあるのです。

 ここでひとつ、念のためお伝えしておくことにします。
 絵本の黄金期間はこのあとへと続きますが、入り口の段階を「音韻知識の獲得」としている点にご注意ください。子どもたちは、日本語の音韻知識を獲得しているから「日本語の絵本」を楽しめるのです。
 言うまでもありませんが、英語の場合にはそうはいきません。音韻知識やある程度の理解力をつけるための『パルキッズ』シリーズ無しで、いきなり英語の絵本を与えても、子どもたちは一向に興味を示すことはないでしょう。

 さて、お待たせしましたが、ようやくここで絵本の2つ目の分類、「自然言語」絵本へと進める準備ができました。

2.「自然言語」としての絵本

 2歳前後にかけて語彙爆発が落ち着いても、子どもたちは1日数語~十数語のペースで語彙を膨らませていきます。2歳の段階で平均的に250語前後、早い子だと1,000語ほどの語彙を持っています。3歳では平均して1,000語ほどに膨らみます。早い子はその数倍、年長から1年生くらいの語彙を持っていることになります。
 一般的に1,000語ほどの語彙があれば、日常的な会話を理解するには十分です。もちろん、語彙といっても、単純にものの名前を1,000知っているだけでは不十分で、100語ほどの動詞やその数倍の名詞、さらに形容詞の意味をイメージで知らなければなりません。十年ほど前、このこと、つまり文脈の中での語の果たす役割のことを、「単語の価値を知る」と定義しましたが、今でもその考え方は変わっていません。(詳しくは『たった「80単語」!読むだけで「英語脳」になる本』(三笠書房)参照)

 つまり、語の価値化により、2歳前後から3歳にかけて、わずか1,000語ほどのボリュームの語彙しかなくても、日常の大抵のことは理解できるようになるのです。

 この頃から、理解できる絵本の種類が増えます。今までは読み聞かせの途中で飽きてしまっていた絵本も、最後までじっと集中して見ているようになります。
 この時期には、生活規則に関するものは理解できますし、道徳に関するものもゆっくりと理解できるようになっていきます。その後、空想ものも楽しめるようになります。順を追って見て参りましょう。
 生活習慣に関するものには、
・『ねないこだれだ』(福音館書店)
・『おうまさんしてー!』(こぐま社)
・『ねずみさんのながいパン』(こぐま社)
・『おふろでちゃぷちゃぷ』(童心社)
・『パンツのはきかた』(福音館書店)などがあります。
・『ぐりとぐら』シリーズや
・『ノンタン』シリーズ(偕成社)もしつけに関することが多いですね。
・『ピヨピヨスーパーマーケット』(佼成出版社)等も個人的には好きですね。
・『もうぬげない』(ブロンズ新社)などは傑作ですし、
・『きゅっきゅっきゅ』(福音館書店)はうちの子も好んで読むようにせがんだ絵本の一冊です。

 この時期の子、あるいはこの段階にいる子たちは、上記のように自分の経験に照らし合わせて考えられるようになります。同時に、以下に記す「しつけ」や「道徳」に関するものを読み聞かせても理解できるようになります。
・『ふうせんねこ』(福音館書店)
・『みんなびっくり』(こぐま社)
・『だるまちゃんとてんぐちゃん』(福音館書店)
・『しんせつなともだち』(福音館書店)
・『あおくんときいろちゃん』(至光社)
・『そらまめくんのベッド』(福音館書店)
 もちろん、まだ保育所に通っていない子もいるでしょうから、集団生活に慣れていない子にはぴんとこない部分もあるでしょう。しかし、ヒト言語の優れた点は、言語を通して未体験を体験できる点にあります。それゆえに、すべてのことを経験しなくても、自然言語から擬似的な体験を通して学ぶことができるのです。子どもたちは頭の中でイメージし思考を掘り下げるようになります。

 この段階まで来れば、もうどんな絵本でも読めるでしょう。

 空想型・物語が絵本の醍醐味ですが、ナンセンスなもので大人も楽しめるものも少なくありません。
 面白い型の絵本には
・『パンダ銭湯』(絵本館)
・『うどんのうーやん』(ブロンズ新社)
・『たべものやさんしりとりたいかいかいさいします』(白泉社)
 などは語彙とのコンビネーションですね。

 空想型・物語の絵本には
・『100かいだてのいえ』(偕成社)
・『そらいろのたね』(福音館書店)
・『キャベツくん』(文研出版)
・『ものりおふろ』(福音館書店)
・『かばくん』(福音館書店)
・『おばけのてんぷら』(ポプラ社)
・『三びきのやぎのがらがらどん』
・『からすのパンやさん』(偕成社)
 古典的な
・『おおきなかぶ』(福音館書店)
・『おむすびころりん』(金の星社)
・『かさじぞう』(福音館書店)などなど。

 ちなみに、ざっとボリューム感を綴ると、『三びきのやぎのがらがらどん』は対象が3歳前後で楽しめて1200字くらいのボリュームです。同じく『からすのパンやさん』も3歳で3200字程度(本文のみ)、少し飛んで『おおきなきがほしい』で4歳で5000字ほどのボリュームです。
 もうこのあたりまで来ると、かなり長い絵本でも集中して聞いていられるようになります。もう絵本の役割はほぼ終了したと言っても良いでしょう。

 ここで、思い出してください。

 日本語教育は絵本の読み聞かせに始まり絵本の読み聞かせに終わる。

 つまり、日本語の音韻知識を獲得してから、ひとり読みができるレベルの「理解力」並びに「読解力」が身につけば、絵本の役割はおしまいなのです。ところどころ挿し絵が入っている程度で、十分に処理できる言語力を身につけたら、言語の発達の面からすれば、絵本ではなく小学生向けの読本へと進めることができます。


暗唱からの読解力育成

特集イメージ7 さて、ここまで、「理解力」については書いてきましたが、ここで突然登場した「読解力」に関しては、過去の『パルキッズ通信』でも散々書いていますし、最新刊の『子どもの英語「超効率」勉強法』に詳細を記してあるので、ここでは触れないことにしておきます。

 ただし、「暗唱」に関して2つだけ付け加えておくことにします。

 絵本の暗唱に関するお悩みで、しばしば目にしたり耳にするのが「暗唱してくれない」とか、「どのように暗唱させたら良いのですか」などです。
 結論から言うと、

 ・暗唱は勝手にするものです。
 ・子どもの記憶力は優れていて、2~3度読み聞かせると覚えてしまいます。

 「暗唱させる」というのは、故事で言うところの「馬に水を飲ませる」ようなことです。あるいは、寝返りができない子に寝返りさせようとしたり、ご飯を食べない子にご飯を食べさせようとすることと通じています。
 「馬を水場に連れて行くことはできても、馬に水を飲ませることはできない」のです。寝返りは成長につれて自然とするものですし、ご飯もおなかが空けば食べるのが自然です。
 生後5ヶ月になったから寝返りを打たなくてはいけないわけではありません。特に発達に問題がなければ、薄着で動きやすい状態にしておくと、自然と寝返りを打つようになります。同様に、7時だから夕飯を食べさせるのではなく、食が細いのであれば、運動させたりおやつを減らしたりと、7時に向けておなかが空くような環境を整えてやれば良いのです。
 環境を整えれば、喉が乾いて水を飲むし、おなかを空かせてご飯を食べるのです。

 では、暗唱の場合の「環境」とは何でしょうか。

 2つのことを守れば大抵は暗唱に繋がります。(1)コンスタントに入力すること、(2)期待せずに待つことです。
 (1)に関しては説明するまでもありません。重要なのは(2)のポイントです。
 子どもも大人もそうですが、プレッシャーがあると、なかなか実力を発揮できません。萎縮してしまうのです。その萎縮に繋がるプレッシャーは、大抵知らず知らずのうちに親が与えています。つまり、暗唱が出る環境を整えていないのです。プレッシャーを与えないことが、環境作りには必要であることを常に念頭に置くことが求められます。(忘れやすいので注意しましょう)

 こんな声かけをするのは御法度です。
 「言ってごらん」
 「言えるかな」
 「この前はできたね」
 「上手に言えたね」などは、プレッシャーを与えることばがけです。「上手に言えたね」は一見褒め言葉のようですが、実はこれは上から目線。子どもは大人以上にプライドが高いのです。
 世の中には「褒めて伸ばす」という風潮が一部にあるようですが、私に言わせれば、パターン化した「褒め」ことばよりも、小さな成長に「驚く」ことばがけの方が、余程子どものやる気を引き出します。以下、やる気を喚起する「驚き」のことばたち。
 「スゴい!」
 「え、いつからできるようになったの?」
 「ママもそんな上手に言えない」などなど。
 子どもの中の小さな成長に目を向けて、そこに対して驚く心が、子どもの無邪気さを萎えさせることなく育み続けられます。
 そして、プレッシャーのない環境が作れれば、子どもたちは本来の能力を発揮できます。つまり、ほんの数回読んでやれば、短めの絵本ならあっという間に暗唱できるようなってしまうのです。


与え方

特集イメージ7 さて、最後になりますが、絵本の与え方の目安をお伝えしておくことにします。

 目標 : 1年間で50冊ずつ増やす。

 絵本は高いので結構な金額になります。しかし、ことばを育てる対価としては安い投資です。こう考えると『パルキッズ』の価格の安さが改めて際立ちます。そう思いませんか?と、また脱線。

 もちろん絵本を図書館で借りてくるのもひとつの手です。そして、お気に入りの絵本だけを買う、というのも悪くはありません。悪くはありませんが、最善ではありません。
 子どもは成長の段階によって、理解できる対象も異なりますし、個性や気分によって、その時々で好きな絵本や苦手な絵本もあるのです。

 例えば、1歳半の時に『だるまさんが』(ブロンズ新社)を怖がって見てくれなかったとします。しかし、2歳になれば、喜んで見るかも知れない。逆に1度見なくなった絵本も半年おいてから与えると、スラスラと暗唱し出したり、なぜかお気に入りになったりすることもあります。
 借りてくる、というのも1つの手ではありますが、できれば、毎年50冊単位で、よくよく吟味した上で購入するのが好ましいでしょう。そして、子ども用の本棚を作って、常に子どもが手に取れるようにしておくのです。


 さて、今回は絵本について書いて参りました。英語とはあまり関係ない記述ばかりと感じた方もいらっしゃるかも知れませんが、実は英語と関係大ありです。
 バイリンガルの人たちの言語の運用力には、言語間に優劣があります。まず母語がいちばん優れています。そして、そこに外国語が追いつこうとするのです。つまり、母語が頭打ちだと、外国語も母語以上には伸びません。
 言い換えると、母語を伸ばしてやれば、外国語も際限なく(しかし、母語よりは少し劣る形で)伸ばすことができるのです。そして、その母語の言語能力を伸ばすのが「絵本」なのです。
 そして、もちろん、人の思考力の限界がその人の「言語力」の限界に左右されることは言うまでもありません。
 それほど、言語力を伸ばすこと、特に母語の能力を高めることは重要なことなのです。

 絵本をたくさん与える。せがまれたら面倒がらずに読む。それを淡々と繰り返してください。次第に長文も理解できるようになり、読解力も身についてきます。そこまで来れば、あとは一人で物語を読むようになります。そこまで、子どもの能力を持ちあげてやるのが親と絵本の役割なのです。

【編集後記】

今回の記事をご覧になった方におすすめの記事をご紹介いたします。ぜひ下記の記事も併せてご覧ください。
バイリンガル育児に欠かせない「読む力」
子どもはことばの天才です
絵本を与えた量で差がつく3歳以降の英語力


【注目書籍】『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)

特集イメージ9 児童英語研究所・所長、船津洋が書き下ろした『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)でご紹介しているパルキッズプログラムは、誕生してから30年、10万組の親子が実践し成果を出してきた「超効率」勉強法です。書籍でご紹介しているメソッドと教材で、私たちと一緒にお子様をバイリンガルに育てましょう。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業。実用英語技能検定1級取得。30年以上に渡る幼児教室・英語教室での教務を通じて幼児の発達研究に携わるかたわら、「パルキッズ」などの英語教材を始めとした幼児向け教材を多数開発。また、全国の幼児・児童を持つ親に対して9万件以上のバイリンガル教育指導を行う。講演にも定評があり、全国各地で英語教育メソッドを広めている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『どんな子でもバイリンガルに育つ魔法のメソッド』(総合法令出版)『ローマ字で読むな!』(フォレスト出版)『英語の絶対音感トレーニング』(フォレスト出版)など多数ある。

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