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2019年5月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.95 | 2020年英語改革と英語格差の拡大

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1905
船津徹「2020年英語改革と英語格差の拡大」(株式会社 児童英語研究所、2019年)


 20年前までは日本と並んで「英語下手」とされた韓国ですが、ここ20年で急速に英語力を伸ばしています。2017年のTOEFL iBT平均スコアを見ると、アジア29カ国中11位と、英語が公用語である香港と肩を並べるレベルまで英語力を向上させています。(同年の日本のスコアは29カ国中27位で、過去20年間下から3〜4番のまま)


グローバル化に飲み込まれた韓国

 韓国が真剣に英語と向き合うきっかけとなったのが、今から約20年前に起こったアジア通貨危機です。通貨危機後、韓国政府は国家を挙げたグローバル化政策に取り組み始めました。教育面では1997年の英語教育改革によって、それまで小学4年生から特別活動として行なわれていた英語を、小学3年生からの正式教科へと格上げしました。
 指導内容もそれまでの「文法訳読法/文法と翻訳を中心とする教授法」からリスニング、スピーキング、ライティングなど、実用性重視のカリキュラムへと方向転換したのです(2008年からは小学1年で英語教育がスタート)。
 このような社会環境の変化が、もともと教育熱心で知られる韓国人父兄たちの「英語熱」に火をつけました。韓国の裕福層は早期留学、英語学院、家庭教師など、私教育を充実させることで英語力をどんどん強化していきました。
 その一方で、そこまで教育費はかけられない中間層以下の家庭の子どもたちは学校の授業頼みでした。その結果、家庭の経済力によって「英語格差」が広がっていったのです。


日本でも英語格差が広がるのか?

 日本も韓国に遅れること20年。2020年に英語教育改革が実施されます。改革の内容といえば、英語教育の早期化、ネイティブ講師の拡充、受験制度改革など、韓国の1997年改革とほとんど同じものです。
 日本でもこれから先20年、英語ができる子はどんどんできるようになり、英語ができない子はできないままという「英語格差」が拡大していくのでしょうか。
実は「英語格差」の兆候はすでに現われています。大都市圏を中心に英語の早期教育を行なう幼児教室、ネイティブと英語でコミュニケーションがとれる英語プリスクール、英語で授業を行うインターナショナル幼稚園など、英語の先取り教育を行う教育機関が次々と設立され人気を集めています。
 母子で英語圏に留学する「親子留学」も人気が広がっています。日本人にとって最も親しみある英語圏であるハワイには多くの「親子留学生」がやってきます。
 私の学校にも、1〜2年の予定で留学してくる日本人母子が多く在籍しています。塾をオープンした2001年頃は親子留学でハワイに来る母子は一年に数組程度でしたが、今では毎月数組、親子留学希望者の入塾問い合わせがあります。


親子留学やサマースクールが人気に

 親子留学の典型的なパターンは、母親が学生ビザを取得して英語学校に通い、子どもは現地の学校に通うというものです。子どもの年齢は日本の小学校に上がる前の3歳〜6歳が最も多く、日本での学校教育を疎かにしたくない、日本語も英語もきちんと身につけてほしいと希望する父兄が多いようです。
 最近では小学生の子どもを連れて母子留学するケースも増えています。アメリカの学校を経験させることで英語力だけでなく、欧米的思考スキルや世界標準のコミュニケーション力も身につけさせたいという意識の高い親が増えてきたのでしょう。
 また長期留学ではなく、夏休みを利用して子どもをハワイのサマースクールに1ヶ月程度参加させる「短期留学」も年々増えています。以上のように日本でも「英語格差」は確実に広がっています。
 しかし、英語ができるようになると具体的に子どもにとってどのような恩恵があるのでしょうか? 本当に英語には、それほど高い価値があるのでしょうか?

英語ができると奨学金が取りやすくなる

 英語ができない人が大多数の日本では、英語ができる人は貴重な存在であり、多くの面で得をします。その分かりやすい例が「奨学金」です。英語ができると奨学金が取りやすいのです。
 「トビタテ!留学JAPAN」は文部科学省が立ち上げた官民協働の海外留学推進プログラムです。高校生と大学生を対象に海外留学希望者への返済不要の奨学金を支給しています。
 アメリカの大学は授業料が高額であり私費留学はハードルが高いですが、この奨学金を得ることができればアメリカ大学留学も夢ではありません。
 「日本学生支援機構(JASSO)」は海外留学を希望する大学生、大学院生、短期大学生、高等専門学校生に奨学金を提供しています。留学先にもよりますが、最大で月10万円の援助が受けられるなど充実したプログラムです。
 この奨学金を得ることができれば海外一流大学の学位を取得することも可能となります。
 「フランス政府給費留学生」はフランス大使館が毎年募集している奨学金制度です。対象は大学生で、フランスのトップ大学で自分の希望する専門分野を学ぶことができます。
 募集要件としてフランス語は要求されません。でも「英語」は必須です。フランスの大学では英語で授業を受けるコースがあり、この奨学金を得れば英語とフランス語を同時に身につけることも可能です。
 これら以外にも、各国大使館、地方自治体、民間団体、民間企業などが返済不要の奨学金を支給して海外留学生を支援しています。意欲ある日本人を世界で通用する人材へ育てようという機運が高まっているのです。
 このようなチャンスを活かすためにも、子どもの「英語教育」を真剣に考えてみることは多いに意義があると思います。

中学受験・大学受験で試験が免除される

 2020年の大学入試改革において「英語外部検定利用入試」という制度が導入されます。これは英語の試験においてGTEC、CBT、英検など、外部試験のスコアを代替したり、外部試験のスコアに応じて「みなし得点化」できる制度です。簡単に言えば「英語ができる人は英語試験を免除してあげます」という優遇制度です。
 英語試験の心配がなくなりますから、他の教科に集中できるようになります。この制度の恩恵を得るために目標となる英語レベルは「CEFR B2レベル」です。具体的には
「英検準1級以上」
「TOEFL iBT 72以上」
「IELTS(アカデミック)5.5以上」
「GTEC CBT 1190以上」
「TEAP(4技能)309以上」
です。
 文部科学省が全国の高校3年生約9万人を対象に2015年に実施した英語力調査を見ると、「CEFR B2レベル」を達成している高校生の割合は「読むこと」0.1%、「聞くこと」0.2%、「書くこと」0%というかなり過酷な結果でした(「話すこと」は約2.2万人を調査し、B2レベルは0%)。
 日本で英語ができる高校生が極めて少ないということは、見方を変えれば、英語で突き抜けるチャンスと言えます。
 すでに外部試験を導入している多くの大学では、上記の「B2レベル」を達成している受験生に対して、英語試験免除、英語満点扱い、英語加点などの優遇措置を与えています。

「英語ができる生徒」の争奪戦が始まっている!

 英語で得をするのは大学受験だけではありません。2020年から小学5年生で英語が教科化されることによって中学受験でも「英語入試」が広がります。
 これまで中学受験における「英語入試」は帰国生を対象としていましたが、これからは全ての受験生が対象になります。同時に「英語ができる生徒の争奪戦」が中学受験で始まっています。
 首都圏の国公私立中学約300校のうち、2014年に「英語入試」を実施した学校は、わずか15校でしたが、2019年には約8倍の125校に増加しています(英語出所:首都圏模試センター)。
 それだけではありません。桐朋女子中学校(東京都調布市)は2019年から「英語1教科」入試を始めるなど、多くの中学校が、英語ができる生徒を積極的に取り込む動きが広がり始めています。
 中学校が「英語入試」に目を向け始めた背景には、グローバル教育に力を入れていることを受験生にアピールすることに加えて、2020年の大学入試改革を見越して「英語ができる生徒を多く確保したい」という思惑が見え隠れします。
 先に述べました通り、2020年の大学入試改革によって、英語ができる子どもは大学受験で有利になります。つまり、英語の成績優秀者を優先的に入学させることが「学校の大学進学実績」に直結するわけです。英語ができる生徒を囲い込み、トップ大学への進学者数が増えれば、学校の評判も人気も高まるというわけです。
 すでに多くの私立中学が「英検2級以上」などの高いレベルの英語力を有する生徒に対して「奨学金特待生」、「授業料免除」などの奨学金を供与して囲い込みを始めています。
 奨学金を供与しない学校でも、「英検3級以上」など、一定レベル以上の実力を持つ受験生に対して「判定優遇」「点数加算」、「学科試験免除」など、合否決定における優遇措置を与えています。
 2020年改革を前に、英語ができる生徒の「青田刈り」が始まっています。日本では「英語ができると得をする」のです。

 この流れに乗り遅れないためには、「英語は小学校時代にやっつける」という意識を持って子どもの英語教育に取り組むことが大切です。小学校時代に高い英語力を身につけることができれば、その先の受験で得することはもちろん、キャリア選択においても大きなアドバンテージを得ることができるのです。

【編集部より】
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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