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2026年7月号パルキッズ塾

Vol.159 | 夏休み、いつもの取り組みにプラス1冊── 子どもの今の状況別おすすめドリルガイド

written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-2607/
小豆澤宏次『夏休み、いつもの取り組みにプラス1冊── 子どもの今の状況別おすすめドリルガイド』(株式会社 児童英語研究所、2026年)


「ドリルを全部やらせようと思うのですが、どれを選べばいいのかわかりません」

「ドリルを全部やらせようと思うのですが、どれを選べばいいのかわかりません」 毎年7月に入ると、こうしたご相談が増えてきます。「夏休みは時間があるので、ドリルに取り組ませてみたいと思うのですが、種類がいくつかあって、どれを選べばいいのかわかりません。全部やった方がいいのでしょうか」というものです。夏休みは長い。40日間、学校がなく、子どもと過ごす時間がたっぷりある。「この機会に、普段できていない取り組みをまとめてやらせよう」と思うのは、ごく自然な親御さんの気持ちです。
 ところが、ドリルの種類を調べてみると、ドローイングラインズ、フォニックスドリル、ライミングドリル、英検ドリル…と選択肢が並んでいて、「どれを選べばいいのか」「全部やった方がいいのか」という迷いに行き着きます。今回は、この迷いにきちんとお答えしたいと思います。


「全部やりきる」は、最初から設計されていない

「全部やりきる」は、最初から設計されていない まず最初に、パルキッズのドリル教材は、それぞれが「1年間かけて取り組む」設計になっています。サイトワーズドリルに至っては2年プログラムです。つまり、夏休みの40日間で全部のドリルを終わらせようとしても、それは最初から不可能な目標なのです。
「えっ、全部は終わらないの?」と思われたかもしれません。ところが、これは残念なことではありません。むしろ、夏休みに対する正しい向き合い方がここに見えてきます。夏休みのドリル取り組みに求めることは、「全部やりきること」ではなく、「お子さんの今の状況に合った1冊をスタートさせること」です。いつものかけ流しや絵本、オンラインレッスンの取り組みはそのまま続けながら、そこにドリルを「プラス1冊」加える。それが、夏休みのドリルとの正しい向き合い方です。
 実は、この「プラス1冊」という発想の転換が、成功と失敗を分ける大きなポイントになります。「全部やろう」と意気込んで始めた家庭ほど、夏の後半に失速します。一方、「1冊だけ、毎日続ける」と決めた家庭は、9月になってもそのドリルの習慣が残っている。長く続けることができた方が、英語力への貢献はずっと大きくなります。


なぜ夏休みが「書く取り組み」を始めるのに最適なのか

過去問は全部通しでやらせなくていいドリルは、かけ流しによるインプットの補完です。パルキッズの学習の主軸は、1日90分の英語の音のインプットです。そこに「書く」という作業を加えることで、耳から入ってきた音声が、文字や形として脳の中でより深く定着していきます。ドリルの役割は、インプットをより根付かせることにあります。したがって、いつものかけ流しの取り組みを置き換えるのではなく、あくまでも「プラス」として位置づけることが重要です。
 日本語でも同じことが起きています。子どもが平仮名を書けるようになる前から、日本語の音は耳に入り続けています。「書く」は、「聞く」の後に来る。英語でも、まず耳からしっかりインプットされていることが、「書く」ための土台になります。逆に言えば、耳に十分な量の英語が入っている子どもは、文字と音を結びつける準備が自然と整っています。
 夏休みに「書く取り組み」を始めるのに最適な理由は、もう一つあります。学校の宿題や習い事の制約が少なく、毎日決まった時間を確保しやすい。「始める」だけでなく、「習慣にする」ための環境が整っているのが夏休みです。週に1回ではなく、毎日コツコツと。毎日の積み重ねが、書く力を育てます。


お子さんの今の状況に合わせて1冊を選ぶ

お子さんの今の状況に合わせて1冊を選ぶ では、具体的にどのドリルを選べばいいのでしょうか。お子さんの現在の取り組み状況別に、おすすめのドリルを整理しました。ご自分のお子さんがどのケースに当てはまるかを確認してみてください。

【ケース1】プリスクーラーに取り組み中で、最近やっと鉛筆を握り始めた →「ドローイングラインズ」

 まだ「書く」というよりも「鉛筆を握って線を引く」段階のお子さんには、ドローイングラインズが最初の一歩です。直線・曲線・ぐるぐると、さまざまな線を描く練習を通じて、鉛筆を持つ指の力(筆圧)と、意図した通りに手を動かす力(運筆)が育っていきます。文字を書く前に必要な「土台」を作る教材です。
 ドローイングラインズには、様々なモチーフの線引き課題が含まれています。「これは何の絵になるかな?」と声をかけながら取り組むと、子どもが自分から鉛筆を持ちたがります。1日1〜2ページ、5〜10分で十分です。楽しくできた日に「上手に描けたね」と一言添えるだけで、次の日も続けられます。難しい顔をして取り組む必要はありません。遊びの延長として楽しんでいただければ、それが正解です。

【ケース2】幼稚園〜小学校低学年で、プリスクーラーまたはキンダーのかけ流しに取り組んでいる →「フォニックスドリル」

 かけ流しによって英語の音が耳に入ってきている段階のお子さんには、フォニックスドリルが最適です。フォニックスとは、英語のアルファベットの「音」と「文字」の対応ルールのことです。「B」という文字が「ブ」という音を表す、というあの仕組みです。耳に入ってきた英語の音と、目で見る文字が結びつき始めると、子どもは英語の単語を自分で読もうとする力を持ち始めます。
 フォニックスドリルの付属プリントには、音と文字の対応練習や、単語をなぞる課題が含まれています。取り組みの鉄則は、「書く前に必ず声に出す」こと。問題を鉛筆で書き始める前に、まず親子で音を声に出してから書く。この「音→文字」の順番を守ることで、文字が単なる形ではなく、音として脳に入ります。1日1〜2ページ、10〜15分が目安です。夏休みの午前中の涼しい時間帯に取り組むと、集中が続きやすいです。

【ケース3】フォニックスドリルが終わった、または終わりに近づいている →「ライミングドリル」

 フォニックスドリルを終えたお子さんの次のステップがライミングドリルです。「ライミング」とは、単語の語尾の音が揃うこと(cat / bat / hat のような脚韻)を指します。英語の音の構造を「音の塊」として認識する力を育て、初めて見る単語でも読もうとする力の土台になります。
 ライミングドリルは、覚えるというよりも「音で遊ぶ」感覚で取り組める教材です。付属プリントには絵と単語を組み合わせたマッチング課題が含まれており、子どもが「あ、これ同じ音だ!」と気づく体験が繰り返される設計になっています。フォニックスで音と文字の基礎を身につけたお子さんは、このライミングの感覚をつかむのが早い。「これ知ってる音だ」という発見の積み重ねが自信につながります。

【ケース4】1年以内に英検5級の対策を始めたい →「英検ドリル」

「英検5級を受けさせることを視野に入れている」というご家庭には、この夏に英検ドリルで対策をスタートさせることをおすすめします。英検5級は中学初級レベルの英語力が問われますが、パルキッズのかけ流しをある程度続けてきたお子さんであれば、英検ドリルで問題の形式に慣れるところから入ることができます。
 夏休みは秋・冬に実施される英検の一次試験に向けて、余裕をもって準備を始められる時期です。いきなり過去問に向かうのではなく、英検ドリルで問題の形式と出題傾向を把握することが最初のステップです。  ただし、本格的に対策するのであれば、現在予約受付中の「英検SKILLSオンラインレッスン」、受験級がすでに決まっているのであれば「英検オンラインレッスン」の併用をおすすめします。ドリルだけでは、英検の合格に必要な「読む・書く・聞く・話す」の4技能をバランスよく伸ばすことは難しいからです。


「始めた」という事実が、この夏の財産になる

同じ過去問を何度繰り返してもいい 4つのケースを確認して、「うちは○番だな」と見当がついたでしょうか。繰り返しになりますが、大切なのはどのドリルを選ぶかよりも、この夏に1冊始めて、二学期以降も続けることです。各ドリルは1年かけて完成するプログラムです。夏休みはその「スタートの季節」として、これ以上ない環境が整っています。
 いつものかけ流しや絵本、オンラインレッスンの取り組みを続けながら、そこに「プラス10〜15分」のドリル時間を加えるだけでいい。夏だからといって特別に頑張りすぎなくていい。夏休みが終わっても続けられる量を選んで始めることが、最も賢い夏の使い方です。なぜなら、言語習得の成果は、短期集中ではなく、長期継続の先に現れるものだからです。
 二学期になって「夏休みにドリルを始めたら、鉛筆がスムーズに動くようになった」「文字と音のつながりがわかってきたみたい」という変化に気づいたとき、この夏の取り組みの意味が見えてくるはずです。その変化は、やがてフォニックスの読み、初見読み、そして英検での成果へとつながっていきます。この夏、プラスの一歩を踏み出したご家庭が、1年後・2年後に大きな差を実感することになります。

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プロフィール

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。

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