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2026年6月号パルキッズ塾

Vol.158 | 英検の過去問で焦らないために──点数より大切なこと

written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-2606/
小豆澤宏次『英検の過去問で焦らないために──点数より大切なこと』(株式会社 児童英語研究所、2026年)


「過去問をやらせたら思ったより全然できていなくて…これで大丈夫ですか?」

「過去問をやらせたら思ったより全然できていなくて…これで大丈夫ですか?」 英検の受験を控えたこの時期になると、毎年決まって同じご相談が増えてきます。「英検オンラインレッスンをずっと頑張ってきたので、そろそろ過去問をやらせてみたんです。ところが思ったよりできていなくて…この点数で本当に受かるんでしょうか」というものです。なかには「3回やらせたんですが、毎回点数がバラバラで。これはまだ実力が足りていないということでしょうか」と、かなり心配されているお母様もいらっしゃいます。
 お気持ちはよくわかります。コツコツ積み上げてきたぶん、「もっとできるはず」という期待がある。ところが実際に過去問を前にした子どもは、途中でぼんやりしていたり、半分も終わらないうちに「もうやめたい」と言いだしたりする。点数を見て「思ったより低い…」と愕然とする。この光景は、ご相談の場で何度も目にしてきたものです。
 ただ、少し立ち止まって考えてみてください。果たして、その点数は本当にお子さんの実力通りでしょうか? 実は、家での英検過去問の結果には、実力以外のさまざまな要因が混ざり込んでいます。今回は、英検直前に過去問と向き合うとき、親御さんに知っておいていただきたいことを、現場の経験をもとにお伝えします。


家での過去問は、本番よりずっと難しい環境でやらせている

家での過去問は、本番よりずっと難しい環境でやらせている 家で英検の過去問をやらせてみると、点数が低い。この「あるある」には、ちゃんとした理由があります。家というのは、勉強に向いているようで、実は子どもにとって非常に集中しにくい環境です。テレビが視界の端に映っている。好きなおもちゃがすぐそこにある。弟や妹が別の部屋で騒いでいる。「お腹空いてきた」という感覚もある。大人でさえ自宅での作業は集中しにくいものですが、小学生や幼児であればなおさらです。
 一方、試験会場はどうでしょうか。見慣れない場所、知らない大人、同じく緊張した受験者たち。問題用紙と鉛筆だけがある静かな空間。この「外的なノイズのなさ」が、かえって子どもの集中を引き出すことがよくあります。普段の練習ではぼんやりしがちな子どもが、本番になると驚くほど落ち着いて取り組めた、という例は決して珍しくありません。
 つまり、家での英検過去問の点数が低いのは、英語力の問題というよりも、環境の問題であることがほとんどです。「家では半分くらいしか力が出ない」と思っておくくらいが、現実には正確かもしれません。過去問の結果で一喜一憂するのではなく、本番の集中環境を信頼する気持ちを持つことの方が、ずっと大切です。


過去問は全部通しでやらせなくていい

過去問は全部通しでやらせなくていい「英検の過去問といえば、1回分を最初から最後まで通してやらせるもの」と思っている親御さんが多いのですが、実はそうしなくても構いません。英検の一次試験は、筆記とリスニングを合わせると、幼児や低学年の子どもにはかなりのボリュームになります。最初の大問は集中できていたのに、後半になるにつれて明らかに雑になってくる。後半の点数が悪いのは英語力のせいではなく、集中が途切れているだけ、ということが多々あります。
 おすすめしているのは、セクションを分けて取り組む方法です。「今日は語彙問題の大問1だけ」「今日はリスニングだけ」というように、短い時間で集中できる量を選ぶ。1回の取り組みが短く終わると、子どもが「英語の過去問=しんどいもの」と感じるリスクも減ります。終わったあとに「けっこうできたかも」という感覚が残るかどうかが、次の取り組みへの意欲に直結します。
 英検の過去問に取り組む目的は、英語力を測ることではなく、試験の「型」に慣れることです。問題がどういう順番で出てくるか、どのくらいのペースで進むか、どこで時間をかけてどこはサッと答えるか。こうした「試験のリズム感」を体で覚えることが本質です。全問正解を目指して長時間やらせるより、短時間でも集中した取り組みを積み重ねる方が、仕上げとしての効果はずっと高くなります。


リスニングの点数は気にしなくていい

リスニングの点数は気にしなくていい 家で英検の過去問リスニングをやらせると、点数が日によってバラバラ、ということがよく起きます。「昨日はできていたのに、今日は全然わからなかったみたいで」というご相談も多いです。これはある意味、当然のことです。スピーカーやイヤホンの音質・音量の違い、部屋の生活音、そのときの子どものコンディション。こうした要因がすべてリスニングの結果に影響します。
 英検のリスニングセクションで家庭練習のときに大切にしてほしいのは、点数そのものではなく、「試験の型に慣れること」です。問題がどういう形式で出てくるか。音声がどのくらいのスピードで流れてくるか。選択肢を目で見ながら音声を耳で追う感覚。次の問題へ切り替えるまでの時間感覚。こうした「試験のリズム」を体感することが、家庭でのリスニング練習の本当の目的です。
 「聞けなかった、わからなかった」という体験で子どもを落ち込ませてしまうのは逆効果です。「こういう流れで問題が出てくるんだね」「この速さで答えればいいんだね」という気づきを積み重ねることを意識してください。本番の試験会場では、リスニング音声がクリアに聞こえる環境が整っています。家では聞き取れなかった子どもが、本番では意外とできてしまった、という例はリスニングに特に多いのです。


同じ過去問を何度繰り返してもいい

同じ過去問を何度繰り返してもいい 英検対策として、毎回違う新しい問題を用意しなければいけないと思っている親御さんも多いのですが、実はそうではありません。むしろ、同じ英検過去問を繰り返し解く方が、子どもにとって大きなメリットがあります。
 「この問題、見たことある」「これ知ってる」という感覚は、子どもに強い安心感を与えます。初めて見る問題に緊張しながら向き合うより、「なんか知っている」という親しみある感覚の中で取り組む方が、実際の実力は出やすくなります。「答えを覚えてしまうからよくない」と思いがちですが、目的は正解を暗記させることではなく、「試験の場で落ち着ける感覚」を育てることです。同じ問題を「またできた」「今日もわかった」と感じながら繰り返すことは、本番での落ち着きを生み出す立派なトレーニングです。
 子どもは「できる感覚」で伸びます。難しい問題に次々と挑戦させることよりも、「自分はできる」という自信を積み上げることの方が、本番で力を発揮するためにはずっと重要です。英検対策の最終仕上げとして、あえて同じ英検過去問を「また気持ちよくできた」という感覚が定着するまで繰り返してみてください。


英検の過去問は「合否判定」ではなく「本番への準備」

英検の過去問は「合否判定」ではなく「本番への準備」 最後に、改めてお伝えしたいことがあります。家での英検過去問の点数は、合否を予測するためのものではありません。あくまで本番に向けた準備の一環です。英検オンラインレッスンを通じてコツコツ積み上げてきた英語力は、過去問の点数が多少低くても、簡単に消えるものではありません。
 大切なのは、お子さんが「なんとかなりそう」「やったことがある感じがする」という感覚を持って試験会場に向かえることです。英検の直前期に子どもを点数で追い詰めてしまうより、「大丈夫、やってきたんだから」と笑顔で送り出す方が、本番での集中力と実力の発揮につながります。
 そしてもう一点。親御さんが安心していると、子どもも安心します。逆に「この点数じゃ無理かも…」という焦りは、言葉にしなくてもお子さんに伝わります。家での練習の点数に一喜一憂せず、「本番は別物」と構えてください。これまでの積み重ねを信じて、英検当日は笑顔で送り出してあげてください。それが、お子さんにとって最良の仕上げになります。


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プロフィール

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。

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