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2013年11月号パルキッズ塾

Vol.07 | 幼児期に語彙を増やす3つの方法

written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1311/
小豆澤宏次『幼児期に語彙を増やす3つの方法』(株式会社 児童英語研究所、2013年)


 10月の英検も終わり、「うちの子合格しました!」といううれしいご報告が日々、お電話や掲示板、メールにて届きます。3級以上は11月に二次試験があるので、正確にはまだ合格というわけではありませんが、パルキッズ生は二次試験で落ちることはほぼありませんので、一次試験の段階で合格と考えても大丈夫でしょう(受験生の皆さん、そうは言っても二次試験のリハーサルは数回おこなってくださいね)。考えてみると20年ほど前までは、中学校から英語を始めるのが大多数で、入学時点で英検5級を持っている子はまだまだ少ない時代でした。15年ほど前の英語教育ブームで早期に英語教育を始めるご家庭が爆発的に増えたものの、内容は「楽しく学ぼう!」というお遊び英語が多く、英検を受験するまでの実力はなかなかつかないというのが実情でした。それが現在では「お遊び英語ではマズイ!」と感じている一部の賢いお母様を中心に、お子さまの将来を考え、より具体的な目的意識を持った早期の英語教育が再び注目されるようになってきました。それを裏付けるように、2012年の小学生の英検受験者数は10年前の2002年から倍増しています。その数から推測するに、およそ10人に1人の小学生が受験をしていることがわかります。『パルキッズ』ではひとつのゴールとして「小学生で英検準2級合格」を設定していますが、多くのパルキッズ生がこのゴールをクリアしています。もちろん英検が全てということではありません。しかし注目すべきは『パルキッズ』でリスニング力と読解力を身につけたお子さまは、文法教育の先取りや、単語帳とにらめっこをしなくても、英検準2級に合格できるということなのです。
 さて、英検を受験する上でお母様からよくいただくご質問に「うちの子は語彙が少ないが、英検なんて受験できるのか?語彙を増やすにはどうしたらよいのか?」というものがあります。この「語彙」という言葉が実は厄介なのです。というのも私たちが中学校から取り組んできた英語学習では、「語彙を増やす」を合い言葉に、単語帳で単語をひたすら覚える学習をしてきました。受験勉強だけでなく、TOEICなどの英語検定用の学習でも、学習書としてまず名前が上がるのが単語帳です。「語彙信仰」とも言うべき学習法が日本人には深く根付いているのです。そういう背景から、お子さまが英検受験をするとなると、まず気になるところは「語彙」となるのはよくわかります。誤解のないように言うと、「語彙を増やす」ことは決して悪いことではありません。むしろ「語彙を増やす」ことは「読解力」ひいては「英語力」を伸ばすために必要不可欠な要素であることは間違いありません。ただ、「語彙」という言葉自体を少々誤った形で捉えているだけなのです。今回は「語彙」とは何なのか、そして「語彙」を増やすための取り組み方法を解説していきたいと思います。


| 語彙化=日本語化?

 中学校からの英語教育にどっぷり漬かった私たち大人にとって「語彙を増やす」とはどういうことなのでしょう。市販の単語帳や自前の単語帳を使って「run=走る」のように英単語をそれに合う日本語に置き換えて覚えていくとうものでした。この「英単語を日本語に変換する」ことを私たちは「語彙化」だと思っています。しかし、実はこれは正しい語彙化ではありません。当たり前のことですが、英語と日本語は全く別の言語であるため、全ての英単語を日本語に置き換えることは不可能だからです。
 例えば先ほど登場した「run」。中学1年で習うような簡単な単語です。しかし「run」を辞書で引いてみると、実にたくさんの意味が出てきます。「目を通す」「経営する」「逃げる」「出場する」「ばったり出会う」「運行する」「流れる」「実行する」「出馬する」などざっと挙げても10や20は簡単に出てきます。このように、「run」を「走る」という日本語で変換できていても決して語彙化できているとは言えないのです。必要なのは日本語に変換するのではなく、「全ての意味に共通するひとつのイメージ」として単語を捉えることなのです。大人のレッスンではこのイメージを「価値」と呼んでいますが、これが正しい語彙化です。「run」であれば「サーッと人やモノが動いていく」というイメージで捉えることこそが語彙化なのです。お母様が「うちの子は語彙が少ない」と嘆いていらっしゃるのも、お子さまとしては「イメージ」として単語を捉えているけれど、それを日本語に変換できないため、お母様からすると「語彙化ができていない」ということになるのですね。
 「語彙化はイメージで単語を捉える」ということがお分かりいただけました。さらにもうひとつ単語帳方式で語彙が増やせない理由があります。それはひとつの単語をとっても100人子どもがいれば100のイメージがあるということです。決して全員が同じ共通のイメージをひとつの単語に対して持っているわけではないのです。極端な例ですが、「juice」という単語があります。その「ジュース」に対して、ある子はいつも飲んでいる「オレンジジュース」のイメージを持っているかもしれませんし、別の子は大好きな「リンゴジュース」のイメージを持っているかもしれません。またジュースを飲まない子は「何だか美味しいものなのかな」というイメージを持っているかもしれませんし、「お茶も水も飲み物全て」だと思っている子もいるかもしれません。辞書にあるような「果物や野菜の絞り汁。果汁。または、分泌液、体液」というイメージを持っている子はなかなかいないはずです。つまり語彙化というのは、まずその単語が持つ全体像を自らの経験に照らし合わせながらイメージし、それを様々な場面で触れていくに従って段階的にそのイメージの幅を狭めていくことなのです。


| 語彙化の流れ

 幼児が語彙を効果的に増やすための方法をご説明する前に、語彙化の流れについて触れていきましょう。
 語彙化の流れは「大量インプット→リズム回路の形成→仮語彙→イメージ化→段階的に語彙化」というものです。順を追って見ていきましょう。  日本語であれば、母親の語りかけ、家族間の会話などお子さまの周りあふれている日本語の音を大量に耳にし続けることで、わずか1年ほどでお子さまは日本語のリズム回路を身につけます。『パルキッズ』であれば1日90分のCDのかけ流しがこれに当たります。リズム回路とは、英文の音の連なりから単語単位に切り出せる能力のことを我々はそう呼んでいます。例えば「aiminonit」という一聴すると何かの呪文のような音の中から「I’m」「in」「on」「it」という単語を切り出せるような能力です。まず、この回路を育てるためにも1日90分の『パルキッズ』のかけ流しは欠かせません。
 次にリズム回路ができると「意味はわからないけれど音は知っている」という「仮語彙」を蓄積していきます。「I’m」「in」「on」「it」それぞれの音は知っているけれど、それぞれの単語のイメージは持っていない状態です。
 そして仮語彙に、日常会話や絵本やフラッシュカードなどで繰り返し触れる度に、それぞれの単語にお子さまなりのイメージができあがり、さらにそれらの単語に触れれば触れるほどそのイメージがシャープになり、語彙として蓄積されていくのです。
 少々脱線しますが、語彙つながりということでお話します。日本語であれば2歳の段階で平均的知悉語彙数(熟知している語彙数)は250語程度です。この段階で仮語彙はその10倍の約3,000語をお子さまは有しています。そして二語文を話し出してから3歳になるまで、急激に語彙数が増えていきます。3歳の段階では知悉語彙数は900語と言われています。この時点でお子さまの日本語は完成期を迎えます。わずか900語の語彙でお母様の言うことをイメージし、反応できる力を十分に持つ幼児たちを見ていると、中学・高校で4,000語ほどの英単語を覚えていても英語を聞いてイメージできない私たちからすると、うらやましい限りですね。


| 語彙化の方法

 語彙化をする上で欠かせないのは『パルキッズ』の1日90分のかけ流しです。これがなければリズム回路もできませんし、当然、仮語彙を蓄積することもできません。まずは1日90分のかけ流しができていることが前提としてお話しを進めていきます。
 『パルキッズ』では大きく分けて3つの方向からお子さまに語彙化を促していきます。まずひとつ目が最も手軽に、効果的に語彙化をすることができる「フラッシュカード」です。お母様にはフラッシュカードが収録されている『パルキッズ』のDVDを月の後半に数回程度お子さまに見せていただくようご指導しています。なぜ月の後半なのかというと、まずかけ流しによる音のインプットが十分になされ、仮語彙が蓄積されてから語彙化をするのが自然の流れだからです。フラッシュカードでは単語の音にイラストを添えることで単語のイメージ化をスムーズに行えるようになっています。冒頭でお伝えしたように、幼児期に触れ獲得する単語の多くは日本語に訳せないものが多いため、まずはイラストで広義なイメージを与えるのが良いのです。
 1~2年目の『パルキッズプリスクーラー』の中に収録されている単語は、月毎の単語である「フラッシュワーズ」、カテゴリー別に収録されている「カテゴリーワーズ」です。それらを合計して1カ月約50単語、2年分で1,260単語収録されています(インストラクションの1カ月分を含めているので正確には25カ月分)。3~4年目の『パルキッズキンダー』では月毎の単語である「フラッシュワーズ」、季節のイベントに合わせたストーリー「ケイの1日」で登場する「ストーリーワーズ」が収録されています。こちらは2年分で1,200単語収録されています。つまり4年間で約2,500単語についてフラッシュDVDで単語のイメージをインプットしていきます。
 DVDの取り組みで気を付けなくてはいけないポイントは「無理に見せない」ことです。フラッシュカードのような取り組みはお子さまが楽しんで見るというものではないので、じっと目を離さずに見る必要はありません。ですのでお母様が見るぐらいのつもりで、お子さまが部屋にいる時を見計らってパッと流してあげましょう。するとお子さまはいつも音として聞いているものがイラストを伴って画面に映し出されるので、ふと気になった所だけチラチラと見ます。このように「よし!単語を覚えよう」というような意識はなく、ボーッとフラッシュカードを見ているのが理想的な取り組み方なのです。
 語彙化の2つ目のアプローチが「絵本の暗唱」です。お子さまが2歳を過ぎて日本語で二語文が出るようになったら、暗唱用絵本『I Can Read!』の取り組みをスタートしましょう。この取り組みでは『パルキッズ』のゴールのひとつである英検準2級レベルの英文を苦なく読み解く力、つまり英語の読解力を身につけていきます。それと同時に、日本人のお子さまが絵本から様々な語彙を獲得していくのと同じように、この『I Can Read!』を暗唱するだけで、基礎概念はもちろん、ネイティブの子どもたちが目にする単語を語彙化することができるのです。よく、掲示板などで「子どもが暗唱をしないので『I Can Read!』の取り組みを中断しています」という書き込みを拝見しますが、これほどもったいないことはありません。暗唱が口から出る出ないはお子さまの性格に寄るところが大きいので、そこは特に気にしないようにしましょう。むしろ「読み聞かせをしている」ぐらいのつもりで、日々お子さまに絵本を与え続けてください。それによってお子さまは語彙化の機会を多く持つことができるのです。
 そして3つ目のアプローチが歌・踊りなどのアクティヴィティです。効率としてはフラッシュカードや絵本ほどとは言えませんが、ネイティブの子どもたちが触れるマザーグース(童謡)を韻を踏みながらメロディに乗せて歌ったり、色・形・数・時間・空間認識などの基礎概念を歌で収録した「コンセプトソングズ」を口ずさむことによって幼児ならではの語彙化の機会を得ることができます。
 このように『パルキッズ』では、1日90分のかけ流しによって英語のリズム回路を身につけ、仮語彙を蓄積し、そして3つのアプローチによって語彙化を達成していきます。4年間のかけ流し、暗唱、DVDでの学習を経て、お子さまは英語を日本語化してではなく、英語をあるイメージで捉えるようになるのです。そのイメージは日本語で説明することはできないため、お母様から見ると単語が入っていないように見えるかもしれませんが、お子さまは毎月の単語はもちろん、『パルキッズ』に収録されている日常会話ストーリー「としおの1日」「ケイの1日」、さらに『I Can Read!』中の単語を含めると英検準2級に必要な単語数を優に超える4,000以上の単語をイメージ化しているのです。
 その後は英書で音読、素読、そして読書をする多読へと「読解力」を引き上げることによって、これまでお子さまなりにイメージ化した語彙をさらに確実なものにしていくことで、文章を正確に理解できるようになっていくのです。
 お子さまの語彙力がどの程度なのか分からない不安から、お母様が慣れ親しんだ単語帳につい手を出してしまいそうになるのはよく分かります。しかし、それは一見近道のようで遠回りであることを肝に銘じていただき、これからもお子さまが語彙化をする機会を絶えず与えていきましょう。


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プロフィール

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。

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