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2013年11月号特集

Vol.188 | 訳さないのが英語力?!

世代別に詳しく解説!あなたにピッタリの英語大量入力法

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)



プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業後、言語学の研究者として、日本人の英語習得の在り方を研究中。35年以上、幼児・児童向け英語教材開発の通して英語教育に携わる経営者である一方、3児の父、そして孫1人を持つ親として、保護者の視点に立ったバイリンガル教育コンテンツを発信し、支持を得ている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)など多数ある。


| 「英語を身につける」とは

 英語を身につけていく段階で、ある程度の文法知識や語彙は必要です。まるで何の知識も持たずにいきなり英文に出会っても、手がかりがなければ、理解しようがありません。
 それでは、一体どれ程の英語の知識が必要なのでしょうか。
 私たちは、高校までで約4,000語ほどの英単語を学びます。文法知識も、ひょっとするとアメリカ人の高校生にも負けないほどものを持っています。それでも英語は理解できません。何が足りないのでしょうか?
 まず、「語彙」が足りないのではありません。なぜなら、私たちが日常的に家族や友人との簡単な会話で使用している単語は4,000語には満たないからです。おそらくその半分くらい、2,000語程度でしょう。
 3歳児には、高度に抽象的なことは理解できませんが、日常的なことならば理解できます。その彼らの語彙がだいたい1,000語程度ですので、日常的な言語の理解に必要な語彙数はおそらく1,000語程度、多くても2,000語くらいでしょう。
 つまり、私たちは英単語を4,000語も知っているので、日常会話に必要な程度の語彙は既に持っていると言えます。
 また、「文法知識」に関して言えば、不足しているどころか十二分なものを備えています
 これは、言語の発達を見れば分かります。例えば、日本語をだいたい理解できる3歳児は「日本語の文法」に関する知識はありません。小学校低学年でも、まだ文法は学びません。小学校高学年になればいくらか学びますが、それでも大した文法知識は持ち合わせていません。それでも彼らは、作文なども書くことができますし、充分に日本語を操れるのです。このことからも、日常的な言語の理解には、上等な文法知識が必要ではないことが分かります。
 要するに、「語彙」「文法知識」ともに、私たちは少なくとも日常会話や読書、また簡単な作文を書ける程度の英語を操る準備が出来ているはずです。しかし、一向に英語が理解できる兆しはありません。


| 英語を理解することと関係のないこと

 さて、「英語を理解する」とは、どのようなことを意味するのでしょうか。
 私たちが学校で習った「英語」とは、英文を構成する単語をひとつずつ日本語に訳して、それらを文法知識に照らし合わせながら、意味の通る日本語になるように並び替える作業の繰り返しでした。
 つまり「英語を日本語に置き換える技術」です。ひとたび日本語に置き換えることが出来れば、そこから先は日本語として理解できるからです。言ってみれば、翻訳の技術を学んでいるわけです。
 これは、考えてみれば少し奇妙なことかも知れません。飜訳とは、例えば日本語と英語の両方が分かる日本人が、英語を理解できない日本人のために、英語を日本語に置き換えてやる作業です。日本の英語教育の方向は、英語を理解することが出来ない中学生にいきなり翻訳の作業をさせるようなものなのです。
 もちろん、これが悪いわけではありません。繰り返しますが、英語が全く分からない学生には英単語を日本語に置き換えて、それを順番に並び替えて日本語に置き換えてやらなくては、理解のしようがありません。
 ところで、英語を理解するためには、必ず英語を日本語に置き換えなくてはいけないのでしょうか?英語を英語のまま理解することは出来ないのでしょうか?そもそも、「言語を理解する」とはどういうことなのでしょうか?
 例えば「昨日の晩ご飯は何を食べましたか?」と問われれば、日本語を理解する人の頭には「カレー」とか「お寿司」など、昨日の夕食のイメージが浮かびます。これで不満な人はいないでしょう。要は、何か言葉が耳から入れば、その言葉に反応して何らかのイメージが浮かぶ。これが言語の理解であると考えてよいのです。
 つまり、英語を理解するとは “What did you have for dinner last night?” と問われれば、即座に昨日の夕食が浮かべばよいのです。この英文を耳にして、「昨日の晩ご飯は何を食べましたか?」という日本語の文章が浮かぶことが英語の理解ではないのです。
 日本語に訳すのではなく、言葉に反応してイメージが浮かぶ。これが本来の言語理解なのです。しかし、私たちは、学校で習ってきた「翻訳の作業」にあまりにもならされてしまっているので、日本語に訳せることが、すなわち英語を理解できることだと信じ込んでいるのです。
 すると、幼児に英語を教える際にも「日本語訳を付けなくては理解できない」とか「日本語で何と言うのかが分かれば理解できている」と、漠然と感じてしまっているのです。そして、そんな本来の言語理解とは全く異なった次元の「日本語への翻訳」を幼児に求めてしまうのです。


| 英語が出来る=英語を日本語に訳さない

 英語を英語のまま理解する。英文を耳にしたら即座にイメージが浮かぶ。…などと言われても「そんなことは無理」「日本語を添えなければ英語は分からない」と感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、現実はそんな意識とは逆なのです。
 英語を英語のまま理解することは、誰にでも出来ます。日本語訳など無くても英語は理解できるのです。
 留学経験者たちの談として「3、4ヶ月で英語は分かるようになる」という言葉がしばし聞かれます。実際に、私自身も高校時代に留学した時に、その様な体験をしました。最初のうちは、一言一句日本語に訳しながら理解しようとするのですが、授業が始まり、毎日、大量の宿題が出されるようになると、いちいち辞書を引いていたのではまるで追いつかないのです。そこで、分からないところもとばしながら読むようになります。すると、4ヶ月ほどで、気付けば英語を日本語に訳すことなく、そのまま理解できるようになっていたのです。
 つまり、「3、4ヶ月で英語が分かるようになる」とは「飜訳の技術が向上する」のではなく、読んだり聞いたりした英文を「イメージできるようになる」ことなのです
 例えば、日本語で「昨日の晩ご飯」と言われても、英語で ”dinner last night” と聞かれても、カレーやお寿司が浮かぶようになります。耳に入ってきたら即座にイメージできる、そんな言語回路を、日本語と英語の両方について持つようになることが、日本人が英語を理解できると言うことなのです。
 これは、留学生のみが体験することではありません。日本にいながらにして、バイリンガルになる人も少なくありません。このような方々は、一生懸命語彙を増やし、大量の英文に触れている人たちです。こんな方々も、最初はもちろん英文を日本語に訳しながら読みますが、大量に読むうちに、少々分からない節があっても読み飛ばすようになるのです。そうして、それを継続するうちに、気付けば英語を日本語に訳すことなく、英語のまま理解できるようになっているのです。
 私たちが、中学校から高校で習ってきた英語は、あくまでも日本語に変換する技術。この技術と、英語を英語のまま理解することは、まるで次元の異なることなのです。


| そもそも単語帳方式は無理がある

 皆さんは「単語帳」を覚えていらっしゃるでしょう。どなたも1冊は作った記憶がおありでしょう。表には英単語、そして裏には日本語訳をひとつふたつ書き込んで、それを繰り返しめくりながら覚えていく、そんな記憶法です。
 そんな単語帳を、しかも「基本単語」の単語帳を今から作る、と想像してみてください。そして、’get, have, take, give, go, come, to, of, at, for, in, out, on, off…’ に日本語訳を付けてみましよう。どんな日本語が割り当てられるでしょうか?動詞は「手に入れる、持つ、持っていく、与える、行く、来る」そんな具合でしょうか。また前置詞は「~へ、~の、~へ向かって…」という具合になるでしょうか。
 実は、この単語帳方式が、私たちが英語を理解できない最大の理由のひとつなのです。
 例えば、’get’ という単語を例にとってみると、「受け取る、持つようになる、身に付ける、してもらう、する、される、得る、手に入れる、あげる、買う、求める、買ってやる、取ってくる、もたらす、捕らえる」などなど続きます。さらに「間に合う、理解する」など、「手に入れる」とはかけ離れた意味まで羅列されます。また「うまく再現する、注目する、夢中になる、連絡をつける」と、これまた「手に入れる」とはほど遠い意味の羅列が続きます。そして「復習する、ダメにする、苦しめる、興奮させる、感動させる、やっつける」と続きます。
 ‘get’ という、たったひとつの単語で、なんと50以上もの日本語訳が用意されているのです。これを「手に入れる」ひとつで覚えた気になってしまえば、’get’ を見つけて日本語に訳す時には当然のように「手に入れる」という言葉が浮かぶでしょう。決して「うまく再現する」とか「苦しめる」などと言った訳は浮かびようがないのです。すると ”Go, get them.” と書いてあれば「行け、彼らを手に入れろ」とか、 ”He got two years.” と書いてあれば「彼は2年を手に入れた」と訳さざるを得ません。(それぞれ「やっつけてこい」「彼は2年の懲役を喰らった」の意味)
 また、前置詞の場合にはさらにやっかいで、日本語に訳すことすら不可能なことが珍しくありません。例えば、“I’m on it.” “He’s at it.” のような表現は、「on=~の上に」「at=~に」といった、英語と日本語訳の単語帳方式の知識では、到底太刀打ちできません。もっとも、この程度の文章であれば、辞書を引いて探し出すことが出来るかも知れません。しかし、”I’m in on it.”のような文章になってくると、どの訳をどう組み合わせたら良いのか、こんがらがってしまうのです。
 このように、基本単語はひとつに付きたくさんの意味を持っていますので、それをひとつの日本語訳で代表させて記憶していく方法では、到底正しい訳にはたどり着けません


| 単語は価値で覚える

 もともと、日本語と英語は全く異なる言語体系です。もちろん、その中で使われる単語も1対1で完全に対応するわけではありません。比較的対応が出来ている「名詞」ですら、1対1では対応しないことが珍しくありません。例えば、 ‘book of matches’ ,  ‘school of fish’ などは「本」「学校」と訳しては理解できません。(それぞれ、ブックマッチと呼ばれる折りたたみ式マッチ、魚の群れの意)
 これが、既に述べたように「動詞」になると複雑さを増します。1つの英単語に対して複数の日本語訳が当てはまるばかりでなく、逆に1つの日本語に対して複数の英単語が対応しているケースがあるのです。
 例えば、動詞 ‘drink’ を「飲む」と覚えている方が多いと思いますが、実は「drink=飲む」ではないのです。
 動詞 ‘drink’ とは「口を通して液体を咀嚼せずに体内に取り込む」ことを意味しますが、日本語の「飲む」の意味合いはこれとは異なります。日本語の「飲む」は「(固体・液体・気体を問わず)物体や情報を、主に口(目や耳の場合もある)を通して咀嚼(吟味)することなく体内(や脳内)に取り込むこと」です。ですから、たばこをのんだり、あめ玉を飲んだり、薬を飲んだり、条件をのんだり出来るのです。(英語では順に’smoke, swallow, take, accept’ などの単語が使われる)
 このような、単語の定義とも言えるものを「単語の価値」と呼んでいますが、英単語を覚える際には、本来は単語帳方式ではなくこの「価値」で覚えて行かなくてはいけないのです。
 面白いことに、*「ビッグワード」と呼ばれる高度に抽象的な言葉の方が「価値」が小さく限定されていて、日本語と1対1で対応するのに対して、「スモールワード」と呼ばれる簡単な単語の方が「価値」が大きく、コンテクスト(文脈)によって様々な意味を醸し出します。
つまり、英語学習の初期に習うような基本的な単語(スモールワード)こそ、それぞれの単語の持つ価値が大きく、ひとつの日本語訳で覚えていてはいけないのです。これらの単語を1対1で覚えているうちは、教科書のために創造された限定的な文章しか日本語に翻訳することが出来ず、前出の”I’m in on it.” のような簡単な英文すら理解することが叶わないのです。
 逆に、これらの日常的に頻繁に使用されるスモールワードを「inはこんなイメージ」「on はこんなイメージ」といった具合に「価値」で身につけると、文章全体がひとかたまりとなって活き活きとしたイメージを持つようになるのです。
 例文の ‘I’m in on it.’ は、’I’m in’ 「私はとある考え方の中にいる」で ‘on it’ は「それに関するとある考え方」となり、このイメージを組み合わせると「その考え方の中にいる」ので「私も一緒にやるよ」となるのです。スモールワーズをイメージすることで、文章全体を日本語に訳すことなくイメージ化できるのです。


| 大量インプット

 それでは、その様な能力はどのように身につければ良いのでしょうか。もちろん、単語を「価値化」していくところから、文章全体のイメージ化へと進む方法もあります。これに関しては拙著『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』や、続編の『たった18単語!話せる英語脳になる本』(三笠書房)に詳しいので、そちらに譲ることにしますが、それとは別に「大量インプット(入力)」からアプローチする方法もあります。
 この方法は、全ての年齢に通じる学習法です。幼児期の英語教育から、老後の楽しみとして英語を身につけるケースまで、全てに共通して効果的な学習法が、この「大量インプット」なのです。
 大量の英文に、日本語に訳すことなく触れ続けることで、単語の価値化が達成出来ます。


| 幼児期

 幼児期の学習の場合には、まだ文字を読めないので「耳から」大量に音声を入れていく以外に方法がありません。しかし、幼児は言語に対してとても敏感な能力を持っているので、この時期ならば耳からのインプットによる単語の価値化が可能です。
 もう少し詳しく説明しましょう。単語を価値化するためには、ひとつの単語にいろいろな文章の中で触れる必要があります。様々な異なるコンテクスト(文脈)の中で、繰り返し同じ単語に出会うことで、その単語の定義とも呼べる「価値」が次第にイメージできるようになってくるのです。
 ここで大切なのが、単語が「そこにある」ことが分からなければ、何事も始まらない点です。大人の場合には、英語の文章を耳にした時、その音の連続の中から単語を切り出すことが出来ません。つまり、リエゾンしてくっついてしまっている単語をひとつずつ切り分けることが出来ないのです。それが出来なければ、単語を見付けられないのですから、価値化の学習自体が始まりません。
 ところが、幼児期には大量の英文(音)に触れることよって、我々が「リズム回路」と呼んでいる「音の切り出し能力」を身につけることが出来るのです。この才能は、幼児期ならどんな子でも持っていて、ありがたいことに本人の意欲や意志とは全く無関係に、大量の英文に触れているうちに自然と身についてしまうのです。
 幼児期には「音の環境」さえ整えられれば「リズム回路」を身につけ、自然と切り出した単語に「価値」をつけていくのです
 この際、重要なことは「日常会話文」を聞かせてあげることです。大人向けの教材では、ビッグワードが多すぎて単語の価値化が困難なのです。その点、日常会話文では、「身近な表現」が「何度も繰り返し」行われるので理解しやすく、スモールワーズの価値化をするにはもってこいの教材なのです。
 皆様がお使いの『パルキッズ』には、この日常会話をはじめ、必要な要素があらかじめ入っているので、安心してかけ流して頂ければ、リズム回路の育成と単語の価値化が同時に行われます。


| 小学生以降

 幼児期を過ぎてしまった場合には、耳からの大量インプット(かけ流し)だけで英語を身につけることは困難です。ですが、耳からではなく「目から」の大量入力、つまり「多読」によってたくさんの英文に触れることが出来れば、そこから単語の価値化を行うことが可能です。
 小学生以降は、2つのグループに分けることが出来ます。まだ英文を読めないグループと、英文を読めるグループです。(実際にはローマ字学習の前後によっても変わりますが、ここでは「音」自体の学習には触れないことにしましょう)
 まずは、英語をまだ読めないグループです。小学生から英語学習をスタートする子がこのグループに属します。このグループの子たちは、幼児期のように音に対する敏感性を発揮することが、もう出来なくなっているので、かけ流しのみで英語を身につけることは困難です。
 しかし、そうは言っても、耳からの学習が全く効果を発揮しないわけではありません。大人に比べれば、余程柔軟な吸収力を持っているので、音を音のまま覚える「暗唱」を実行しつつ、同時にプリント学習などで「単語の読み」を身につけていきます。
 読解力の育成方法にはいくつかあります。「フォニックス」で文字と音の関係を身につけることや、「押韻」から音のかたまりとしての読み方を身につけることも有効です。また、単語自体をひとつの音のかたまりとして読ませていく「サイトワーズ」学習も効果があります。
 いずれにしても、音をそのまま記憶する「暗唱」と「単語読みの練習」の二本立てで学習を進めることになります
 このように学習を進めて2年くらいを目処に「読める」ように育ったら、そこからが英文を読めるグループの子たちのコース、つまり「多読(音読)」のスタートです。多読によって、単語をどんどん価値化していき、英語を英語のままイメージし理解できるように育てていきます。
 中学生以降の場合には、すでにある程度は読めるようになっているので、後はひたすら読むだけです。ただし、ここで注意しなくてはいけないのが、中学生がよくやるようなカタカナ英語で読まないことです。もちろん、カタカナ英語ではある程度の効果を上げることは可能ですが、言語というのは音と密接な関係があるので、可能な限り「正しい発音」で読むように心がけてください。これにより、リエゾンなどの感覚を身につけることが出来るので、ひいてはリスニングの能力も向上します。
 さて、読めるようになったら、後は多読をするだけでよいのですが、何でもかんでも読めば良いというものではありません。いきなり大人向けのペーパーバックを読んでも、難しい単語がたくさん出てくるのであっという間に嫌になってしまいます。
 また、オクスフォードの副読本なども悪くはないのですが、あれらはあくまでも英語をすでに身につけている子どもたちの「読解の練習」のために作られている本ですので、日本人のレベルには合わないのです。
 やはり、日本人には日本人にあった多読素材が必要になります。
 あまり難しい単語ばかりだと嫌になってしまうので、「中学レベルの単語」をふんだんに使ったものが良いでしょう。そもそも、多読の目的がスモールワーズの価値化ですので、難しい単語は出てこない方が良いのです。また、「文法」も中学校で習うような、あまり複雑でないものが良いでしょう
 そして、最も重要なポイントは、これらが全てネイティブによって書かれていることです。日本人が書く英文は、どうしても日本人的な発想で書かれることが多いので、単語の使用法が限定的になってきます。そこで、縦横無尽に、しかも自然な英語を綴ることの出来るネイティブが書いたものが好ましいのです。


| 効果はすぐに現れます

 「正しい発音で、簡単な文章を、たくさん読む」この学習法を「英語の素読」と称して、実際に中学生に指導していますが、この成果の出方が急激なのです。
 中学生の指導は、夏期や冬期の休みに1日ずつ行います。この講座の日は朝から晩まで、丸1日英語漬けの日となるわけです。その内容をご紹介しましょう。
 まず、レッスンを開始する前に、それぞれのクラスのレベルにあった英検の模擬問題を解かせます。回収した問題用紙には、びっしり日本語のメモが書き込んであるのが通常です。特に長文の問題では、単語の日本語訳や様々な印が細かく書き込まれています。しかし、その正答率たるや…散々なものです。
 その後、レッスンを開始します。発音指導や休憩を入れながら、20,000語近くを素読させます。一般的な中学3年分の教科書で、文中に使われている単語数が7,000語程ですので、中学3年分の教科書の3倍の文章を1日で読んでしまうことになります。
 素読の際に気をつけることは「発音」のみです。理解など出来なくてもよいので、ひたすら単語を追わせ、出来る限り正しい発音で口にさせるのみです。もっとも、かなりのスピードで読むので、日本語に訳したり、文章の意味を考えている暇などありません。このようなレッスンを、午前・午後と続けます。
 すると、子どもたちに変化が起きます。
 終了後に、開始前と同レベルの別の問題を解かせると、なんとあの「メモ書き」が消えているのです。問題用紙はきれいなまま。しかも、長文はほとんど正答できるようになります。
 日本語に訳そうとすると正答できないものが、ひとたび素読を通して大量の英文に触れると、ほとんどの問題に正答できるようになるのです。
 このような学習は、実践してみないと成果を実感することは出来ません。ただ、子どもたちは喜んでこの学習法を実践してくれます。なぜでしょう?簡単な話です。どんなに英語が苦手な子でも、英語の成績がぐんと上がり、英検3級くらいは楽々と合格してしまうからです。
 そして結果的に、彼らは英語を訳すことなく、イメージで理解できるようになっていくのです。
 英語を理解するとは、日本語に訳すことではありません。英語が理解できるというのは耳や目にした英語をそのままイメージできることなのです。そのために不可欠なのが、単語の価値化であり、大量の英文に触れることによって価値化を進めれば、ある段階で英語を日本語に訳さずにイメージできていることに気付くのです。


次の記事「幼児期に語彙を増やす3つの方法」


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1311/
船津洋『訳さないのが英語力?!』(株式会社 児童英語研究所、2013年)

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