ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | フォニックス, リーディング
2025年12月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.174 | “話さない時間”は必要ない。最短で英語力を伸ばす『逆転の学び方』
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2512
船津徹「“話さない時間”は必要ない。最短で英語力を伸ばす『逆転の学び方』」(株式会社 児童英語研究所、2025年)
私はアメリカでバイリンガル塾を運営しているのですが、日本人家庭の子どもがアメリカの学校に通い始めると「全く英語を話さない」という現象が必ず起こります。中には1年間一言も英語を話さないという子もいます。
なぜ英語を話さないのかというと、自信がないからです。「間違えたらどうしよう」「発音が変だと思われたら嫌だ」「話しても通じないかも」――そんな不安が大きくて、子どもたちは安心して英語を話せません。自分の英語力に手ごたえを感じるまでは、話すことを避けてしまうのです。これは大人にもよくあることですよね。
このような子どもに「もっと英語を話しなさい!」とプレッシャーを与えても逆効果です。英語への苦手意識が強くなるだけで、ますます口を閉ざしてしまいます。ではどうすれば良いのか?
その答えが「フォニックスで読む力をつけてあげること」です。英単語が読めるようになれば、その単語は口に出して言えるようになります。英語のフレーズが読めるようになれば、そのフレーズを話すことができます。英語の本が読めるようになれば、学校の授業についていけるようになります。
このように、少しずつ読める英語を増やしていくことで「自信」が大きくなります。そして、その自信が英語でコミュニケーションを取る力につながっていくのです。自信が大きくなれば自然と英語も話せるようになります。
英語を話す力は自然に身につく、読む力は学習で身につく
英会話力は、完全英語環境に浸ることで自然(受動的)に身につくものです。発音や会話のやり方を教科書で学ばなくても、先生や周囲の人とのコミュニケーションの中で、正しい発音を覚え、会話のパターンを覚えていきます。つまり会話力は環境を整えてあげれば「自然に身につく」のです。
しかし「読む力」はまったく別です。どれだけ長く英語の環境にいても、自然に身につくものではありません。学校で適切な指導を受け、さらに子ども自身が努力して読む練習に取り組まない限り、読みのスキルは定着しません。
この違いを親が理解せず、「英会話教室」や「英語プリスクール」「インターナショナルスクール」に通わせていれば英語はできるようになるだろう、と読みの発達を学校任せにしてしまうと、子どもは十分な読解力を育てられません。その結果、英語力の伸びが止まり、成績が下がり、自信を失ってしまうのです。
「読む力=リーディング力」は、社会に出た時に使える「実用的な英語力」を獲得する上で欠かせない基盤です。そして、多くのバイリンガル研究で、読む力の習得には「5年〜7年」という長い期間がかかることが明らかになっています。このリーディング力の発達プロセスをいかに短縮できるかが、子どもの自信と将来の英語力を左右するのです。
英語学習を「英会話 → 読む力」という順番で進めると、英語を話せるようになるまでに最低でも数年間かかり、そこからさらに「読む力」を育てるのに5〜7年必要になります。基礎となる技能の習得だけで、合計10年近くかかってしまう計算です。これでは、多くの学習者が途中で息切れしてしまうのも無理はありません。しかし、学び方の順序を変えるだけで、この長いプロセスを大幅に短縮することができます。
英語はリーディングから教える
日本では子どもの英語教育は「会話力→リーディング力」という順番で進めるものと一般に考えられています。赤ちゃんが会話力を先に身につけるように、まずは英会話力を育て、次に文字読みを教える。だから子どもを英会話スクールや英語プリスクールに通わせます。
でも少し考えてみてください。冒頭でご紹介したように、アメリカの学校に通い、完全英語環境に浸っている子どもでも、一定期間、全く英語を話さないのです。日本で週に数時間、英会話に触れるだけでは、いつまで経っても自在に英語が話せるようになりません。
英語話者が多いインターナショナルプリスクールやキンダーガーテンに通えば「初歩の会話力」は身につけることができるでしょう。それでも学校にいる時間以外は、ほぼ日本語環境ですから、流ちょうに英会話ができるようになるは3〜5年間はかかります。
では、日本で実用的な英語力を身につけるにはどうしたら良いかというと「リーディング力」から先に育てれば良いのです。「リーディング力→会話力」という順序で英語教育を実践すれば「沈黙の時間」を経験することなく、効率的に英語力を伸ばしていくことができます。
英語のリーディングは「技術」です。自転車の乗り方をおぼえたり、日本語の文字読みを覚えるのと同じです。「フォニックス」「サイトワーズ」「フルエンシー」という順で、リーディングを段階的・体系的に学習し、英語の本が読めるように育ててあげれば、日本国内では英語トップレベルを達成できるのです。
日本で暮らし、日本の学校に通い、英語を一言も話すことがなくても、リーディング力を習得すれば「自学自習で」英語力を限りなく伸ばしていくことができます。さらに、英語の本は「正しい文法」で書かれていますから、読むことで自然と文法に沿った「正確な英語力」が身につくのです。
※会話だけに頼ると、単語を並べただけの不完全な英語になりがちです。
さらに、リーディング力がある子どもは「スピーキング力」も大きく伸びます。英会話は「話し相手がいないと練習できない」と思われがちですが、実際には読書(音読)を通して、口周辺の筋肉や舌の使い方、語彙・文法・表現パターンが蓄積されるため、話す力も自然と上達するのです。
英語は「書き言葉」で学ぶことがポイント
言葉には「話し言葉」と「書き言葉」があります。「話し言葉」は日常会話のことで、主に対面での会話において使う言葉です。「話し言葉」は「方言」「若者言葉」「女性語・男性語」「敬語」のようにバリエーションが多様で、地域、性別、年齢、グループによって言葉が変わることがあります。また言葉を省略したり、語順が乱れるなど、文法的に不完全な表現になりやすく、相手に正しく意図が伝わらないことも多くあります。
「書き言葉」というのは文章語のことで、文字を読んだり、文章で表現する時に使う言葉です。「書き言葉」には、事実や意図を正確に伝える目的がありますから、誰が読んでも正しく理解できるように「標準的な文法」に則った完全センテンスであることが原則です。「書き言葉」は地域性やグループ性を排除した標準的な言葉であり、その言語を話す人であれば誰でも理解できます。
多くの日本人は、英語学習の重点は「話し言葉」すなわち「英会話」を身につけることだと思っています。しかし英語の「話し言葉」にも異なるアクセントがあります。アメリカ国内であってもサザンアクセント、アフリカンアメリカン英語(黒人英語)、ピジン英語/クレオール英語など、アクセントを超えて独特の言語体系になっている場合もあります。
世界に目を向ければ、シンガポール英語、インド英語、イギリス英語など、地域ごとに独自の発音、語彙、文法が発達しており、どこで、誰から習うかによって「使える範囲が限定される」可能性があるのです。
さらに「話し言葉」はTPOをわきまえないで使うと相手を不愉快にさせたり、誤解を与えてしまうことがあります。たとえば、知り合ったばかりの英語ネイティブ相手にスラングを連発したり、言葉を省略したり、文法を無視した表現を多用すれば「何が言いたいのか分からない人だ」「品のない奴だ」と思われても仕方がないのです。
一方で、世界標準の英語である「書き言葉」は、多少の堅苦しさは残りますが、相手を不快にしたり、誤解を与えることはありません。たとえば、日本語を勉強している外国人が「はじめまして。私の名前はスティーブです。よろしくお願いします」と教科書通りに「書き言葉」で自己紹介をしてきても嫌な感じはしません。むしろ誠実な人柄という印象を受けるのではないでしょうか。
英語は論理的かつ直接的な言語ですから、文法ルールに則った「書き言葉」を習うことでミスコミュニケーションを減らし、相手との信頼関係を構築しやすくなります。元々「書き言葉」は正確に伝えることを目的としているので、誰にとっても分かりやすく、簡潔で、意思疎通しやすい言葉なのです。
英語学習のスタートはフォニックス!
子どもが英語を話さない、英語が上達しているのかわからないなど、英語学習で迷ったときは、「読む力」を育てることに目を向けてください。読む力を「おうち英語」で育ててあげるのです。読む力こそが自信を育て、英語力全体を底上げ、英会話につながる最短ルートです。
英語が読めることは子どもにとって「成功体験」なのです。アルファベットが読めた、英単語が読めた、センテンスが読めた、本が読めた、というように「読むこと」を通して「自信」と「英語力」を育てることができます。
私が開発したTLCフォニックスは、「毎日5分の動画レッスン」で「読む力」を段階的に育成するオンライン教材です。正しい発音で英語を読み解くために必要な技能は、すべてこの教材だけで身につけられます。
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2512年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。



