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2023年2月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.140 | 考える力を育てる

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2302
船津徹「考える力を育てる」(株式会社 児童英語研究所、2023年)


 21世紀は答えのない時代と言われます。これまでの価値観が通用しない時代を生き抜く子どもを育てるには「自分で考えて判断する力」が求められます。情報を見極める力、常識を疑う力、未来を予測する力、多面的に考える力、自分の思考を検討する力など、「考える力」が育っていなければ、氾濫する情報や社会の変化にふり回される人生を送ることになってしまうでしょう。
 キャリアの面を考えても、「一生懸命勉強して、良い大学に入り、良い企業に就職する」という「答え」は通用しなくなってきています。実際、「安定」と言われた日本の大企業が次々に海外企業に買収されてしまう時代です。子どもたちは、これまでの価値観の中で生きるのではなく、自分の人生を自分の力で開拓しなければならないのです。


知識の詰め込みから「考える力」へシフトする

 自分の強みを知り、どんな人生を歩みたいのか、それを実現するためにどう行動すべきなのか、その答えを得るために「考える力」が必要になります。しかしながら、現在の日本の学校教育では十分な「考える力」は育ちません。学校教育の主流は、国語、算数、理科、社会の教科指導であり「◯×式テスト」で高得点を取ることを目的とした「受験のための詰め込み教育」が続いています。 知識ももちろん重要なのですが、知識はスマートフォン一つで誰でも手に入れることができる時代ですから、その知識を「どう活用するか」が問題なのです。
 日本の学校教育のように数値で明確に評価できる技能を「ハードスキル」と言います。一方で明確に数値化することができない技能を「ソフトスキル」と言います。すなわち、分析力、批判的思考力、問題発見力、問題解決力など、「◯×式テスト」で評価することが難しいスキルのことです。
 アメリカの学校教育では、このソフトスキルの指導に多くの時間を費やしています。教科書を読めばわかる知識を教えることよりも、教科書には載っていない技能を教えることが教師の役割だと考えられているのです。
 これまで日本の学校教育は「ハードスキル」の育成面では世界でトップクラスにまでなりました。しかし、それだけではいけないのです。時代の変化に対応していくために、人生で自由や快適さや豊かさを手に入れるために、「考える力」が必要になってきます。


読み聞かせで言葉の力を強く育てる

 「考える力」の土台となるのは「言葉の力」です。言葉を扱う力が弱ければ、思考もそれなりにしか育ちません。現代は子どもの周りから人が減り、コミュニケーションの機会が減り、言葉が減ってしまいました。その結果、生きた言葉のインプットが不足し「言葉の力」が弱い子どもが増えています。
 子どもの言葉の力を育てる責任者は幼稚園や学校の先生ではありません。子どもと過ごす時間が一番長い親です。家庭での何気ない親の言葉がけ、言語的な働きかけによって、子どもの言語力発達には大きな差が生じることを知りましょう。
 英語教育を実践している家庭であっても、まずは母語である「日本語」の土台をしっかりと育てることが大切です。私は、日本、アメリカ、中国で英語教育に関わってきましたが、国籍や人種に関わらず、高度な英語力を獲得した子どもの共通点は、「母語の力が強いこと」です。
 遠回りに思うかもしれませんが、将来、高度な英語力を身につける近道は「日本語の読書力を育てること」です。日本語で本好きに育てば英語でも本好きに育ち、日本語で読解力が高ければ英語でも読解力を発揮するようになります。
 家庭では日本語の読み聞かせを実践してください。読み聞かせは子どもを本好きに育てることはもちろん、想像力を働かせて理解する力=読解力を育ててくれます。子ども時代にイメージ化の訓練を受けて育った子どもは、聴解力、読解力ともに高度に育っていきます。
 読み聞かせは幼児の学習と思っている方が多いかもしれませんが、小学生の子どもにも高い効果が期待できます。親が本や教科書を読んであげると、子どもは「聞くこと」に集中できますから、理解力が高まるのです。自分で本を読む時は「読むこと」に集中しますので、内容理解がどうしても浅くなります。ぜひ小学生になった子どもにも「読み聞かせ」を継続してください。


セミリンガル・ダブルリミテッド問題

 考える力を育てるために「母語」が重要なことはご理解いただけたかと思います。では、子どもに英語を身につけさせたいという場合、どのようなバランスで日本語と英語を与えればいいのでしょうか?
 日本でも赤ちゃんの頃から英語教育を施す家庭が多くなりました。その際起きる論争が、「母語である日本語を育てるのが先だ」「母語がおぼつかない幼児に英語教育をすると日本語も英語も中途半端になる」といった問題です。
 結論から言うと「日本国内で子どもを育てる場合には、英語を早く覚えさせても日本語がおかしくなることはない」のでご安心ください。
 私自身、自分の子どもを含め、アジア諸国の子どもたちが母語と英語、二つの言葉を身につけて行くプロセスを見てきました。母語のほうが強い子、英語のほうが強い子、どちらも高いレベルで話せる子、どちらも中途半端になってしまった子、とさまざまです。
 問題なのは母語も英語も中途半端になってしまう「セミリンガル」や「ダブルリミテッド」と呼ばれる現象で、これは子どもが言葉を身につけるべき段階で、母語習得の機会が少ないまま強い外国語環境に置かれることによって起こります。
 たとえば、英語圏で暮らす0〜6歳くらいの子どもが「毎日現地のプリスクールで長期間過ごす」ことで、だんだん日本語の発音がおかしくなり、英語力もネイティブよりも劣っている、といったことが起きるのです。
 このように、海外生活では言語力の発達が遅れる危険性は大きいですが、日本で幼児に英語教育を施したからといって、子どもの日本語がおかしくなることはほぼありません。子どもの周囲には日本語があふれていますから、週に数時間英語にふれたところで、日本語の発達に悪い影響はないのです。
 日本で英語教育を実践し、言語発達が悪くなる可能性があるとすれば、極端な英語環境に、言葉が発展途上の幼い子どもを長時間浸す場合です。
 たとえば、両親とも日本人なのに英語だけで話しかけたり、朝から晩まで英語メディアを視聴させて英語漬けにしたり、英語話者のベビーシッターに一日中預けたり、英語オンリーのプリスクール(周囲の子どもも英語話者)に長時間預けたりするケースです。
 日本語発達がままならない幼い子どもを、上記のような強い英語環境に浸せば、日本語のインプットが不足しますから、日本語の発達が悪くなる可能性があります。


親子のコミュニケーションを密にする

 英語教育をする・しないに関わらず、子どもの言語と思考の健全な発達にとって重要なことは、親が子どもと「コミュニケーションを豊富にとる」ことです。
 子どもに英語を身につけさせたい、バイリンガルに育てたいという場合でも、原則、子どもとは日本語で接してください。日本語で語りかけ、読み聞かせをして、雑談や議論をしていれば、子どもは日本語を早期に身につけることができます。日本語でコミュニケーションが自在にとれるようになれば、子どもに毎日数時間程度の英語教育を施しても、言語発達の問題はまず起こりません。
 子どもの日本語を育てると言っても「教科書を使って日本語を教え込む」わけではありません。言葉で「自分の気持ちや意見を伝える力」を育ててあげてください。感情や思考を言語化するというのは、語彙力が乏しい子どもにとって簡単な作業ではありません。良好な親子関係を維持し、親子の遊び、触れ合い、雑談などを通して、日本語でしっかりと気持ちを「伝え合える関係」を作ることが、日本語を強固に育てる入り口です。
 日本の小学生を対象にしたある調査によると、「親子で十分に対話している」という質問に、親の「65%」がイエスと答えたのに対して、イエスと答えた子どもは「35%」でした。親は十分にコミュニケーションをとっているつもりでも、子どもはそう思っていないのです。
 私はアメリカで、日本語が弱い日本人の子どもをたくさん見てきました。日本語が十分に育たないと親子のコミュニケーションが減り、親子関係がぎくしゃくします。親子が素直に気持ちを伝え合える関係がなくなると、学習面で遅れが目立つようになったり、学校に行きたがらなかったり、素行が悪くなったり、アイデンティティ確率で苦労するなど様々な問題を引き起こすのです。
 親子が自由に気持ちを言い合える関係をぜひ構築してください。そのために必要なのは「雑談を増やすこと」です。指示、命令、確認などの一方的な会話でなく、互いにリラックスできる楽しい会話を心がけましょう。


9歳の壁、小四の壁を乗り切るには

 子どもの思考の土台となるのは日本語力なのですが、ほぼ単一言語国家である日本で生活していると、日本語教育の重要性が見落とされがちです。大抵の子どもは自然に日本語を「話せる」ようになりますから、家庭で日本語を教える必要はないと思ってしまうのです。
 その結果、日本語力の発達については学校任せにしてしまうケースが少なくありません。家庭での日本語教育(読書教育やコミュニケーション)がおろそかになると、やがて、学校の勉強で壁にぶつかることが多くなります。
 9歳の壁(小四の壁)は「生活言語」から「学習言語」への移行と関わっています。学習内容が具体的思考から抽象的思考へ、直接体験から間接体験へとシフトしていく小学4年生頃になると学校の勉強についていけなくなる子どもが急増するのです。
 一般に9歳くらいになると、目で見て、手で触れなくても、頭の中で言葉を操って(未知の)事象を理解することが可能になります。ところが、家庭での日本語教育が不足すると、教科書に何が書かれているのか、先生が何を言っているのか、理解できなくなってしまうのです。
 学習内容が日常生活の身近な話題から、文化、歴史、宗教、政治、経済、科学などへと広がるに伴い、抽象思考を支える語彙力やイメージ力の発達が学習活動に大きな影響を与えるようになるのです。
 語彙力が弱い子、イメージ操作能力が弱い子は、概して、考えることが苦手です。言葉から想像力を働かせてイメージを想起する力が乏しいと、問題発見力や問題解決力が発達せず、学力が伸び悩むのです。
 一番わかりやすいのが「算数の文章問題」です。文章問題でつまずく子は、言葉の意味を正確に理解できていなかったり、文章からイメージを想起する力が満足に発達していないのです。
 このような場合は、まず算数用語について正しく理解させます。和、差、積、商、以上、以下、未満、平行、垂直、対角線など、言葉の意味を理解できているか、子どもに聞いてみてください。さらに「何を問われているのか」を正確に理解できているか、読解力レベルを確認することが必要です。
 9歳の壁を乗り切るためには、家庭においても学校で勉強している内容について理解と知識を深める働きかけを行ってください。日本の政治について勉強しているなら、子どもに「政治とは何かわかる?」と聞いてみてください。子どもに説明させると、どの程度理解しているのかすぐにわかります。


親子のディベート(討論)で思考を育てる

 小学校高学年からは、新聞やYahooニュースなどの記事を1つ、子どもと一緒に読むことを習慣化すると良い思考訓練になります。時事問題、社会問題、スポーツ、政治、経済、環境、エンタメ、何でも構いません。子どもが興味を持ちそうな記事を一つ見つけて親子で読み、対話する取り組みです。
 まずは記事のタイトル(トピック)から記事内容を想像します。
 「調査捕鯨をシーシェパードが妨害」というタイトルから、子どもに記事の内容を想像させます。もちろん知識がなければ、言葉の意味がさっぱりわかりませんから、必要に応じて語彙と背景知識を教えてあげてください。
 次に記事を読み、どういう内容だったのか、子どもの言葉で説明してもらいます。さらに記事内容に対して子どもがどう思ったか。捕鯨に反対か賛成か。なぜ反対か、なぜ賛成か。子どもの考えを尊重しながら意見交換してみましょう。
 子どもと意見交換する時は、頭ごなしに否定してはいけません。突拍子もない意見であっても、子どもの考えを尊重してください。背景知識が足りない時は、インターネットを使って調べる方法を教えてあげてください。
 「なぜシーシェパードは捕鯨に反対なのか」「なぜ牛を食べるのは良くてクジラはダメなのか」「なぜ日本人はクジラを食べるのか」。「問い」を重ねることで、子どもは自分の知識の足りない部分や思考の偏りに気づくことができます。「考える力」は、人と意見を交換することによって効率的に身につけることができる、ということを家庭の中で教えてあげてください。
 「原発問題」「大気汚染」「ウクライナ戦争」「経済格差の拡大」「ガラパゴス化する日本」「子どもの貧困」「グローバル化の進行」「地球温暖化」「日中関係」「沖縄の米軍基地問題」「少子高齢化社会」……。
 子どもは子どもなりの意見を持っています。でも、その思いを人に伝える機会がないと、自分の思考について客観的に見直すことができないのです。また他者と意見交換する経験が少ないと、人にはそれぞれ異なる考えや価値観があることを実感したり、相手に共感する力を養うことができません。
 考える力は日常生活のささいなことから、人生の重要な決断まで、あらゆる場面で不可欠なものです。自分の進路を選ぶ時、就職先を選ぶ時、人生のパートナーを選ぶ時、人生をより楽しく、有意義に過ごすためには、自分にとってより「賢い選択」をする力の育成が不可欠です。


英語の思考力を鍛えるツールは?

 子どもの英語思考を鍛えるには「英語を読む訓練」が最も効果的です。文章化された英語は「正しい文法」で書かれていますから、英語思考が身につきやすいのです。特に子ども向けの英語の本は「正しい文法&シンプルな表現」で書かれているものが多いですから、英語思考を鍛える最高の教材です。
 英語を読む訓練をまだスタートしていないという方はTLCフォニックスがお勧めです。オンディマンド型の動画レッスンで「英語の本を読む力」を身につけることができます。リアルタイムの対面レッスンではありませんので、いつでも、好きな時間に英語を読む練習を積み重ねることができます。興味ある方は無料トライアルにお申し込みください。無料トライアルはこちら


ハワイイメージ1【編集部より】
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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