ハワイアンジャーナル パルキッズ通信 | リーディング, 読解力育成
2026年1月号ハワイアン子育てジャーナル
Vol.175 | 【全米40州が採用】アメリカ発・科学的読書指導で子どもの英語力が劇的に伸びる
written by 船津 徹(Toru Funatsu)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2601
船津徹「【全米40州が採用】アメリカ発・科学的読書指導で子どもの英語力が劇的に伸びる」(株式会社 児童英語研究所、2026年)
今、アメリカの教育トレンドで最も注目されているのが「サイエンス・オブ・リーディング/科学的リーディング」です。これは、認知心理学・言語学・神経科学など、40年以上にわたる研究成果をまとめた「英語教育に関する科学的知見の集大成」です。
ミシシッピ州は州民の貧困率が高く、学力試験の全米ランキングで長年低迷していた州のひとつでした。事実、2005年の全米学力調査ではリーディング力が「50位」で全米最下位となってしまいました。この状況を打開するために、2013年にミシシッピ州は「リテラシー・ベースド・プロモーション法(LBPA)」を制定し「科学的リーディング」を州の教育方針として正式に導入しました。
この法律により、幼稚園(アメリカの幼稚園は1年間のみ)から小学3年生の全ての生徒は、科学的リーディングに基づく「初歩の読書指導」を受けることが義務付けられました。さらに、3年生修了時に一定の読解力レベルをクリアしなければ進級できないルールを設けることで、“読む力の放置”を防止しました。
科学的リーディングの導入後、特に小学4年生のリーディング力が大幅に向上しました。2022年には、ミシシッピ州が全米の50州の中で、4年生のリーディング能力向上率で最大の伸びを達成。2024年の全米学力調査では、小学4年生のリーディング力を「5位」まで向上させることに成功したのです。
ミシシッピ州の驚異的な英語力の改善は「Mississippi Miracle(ミシシッピの奇跡)」と呼ばれるようになり全米のメディアで紹介されました。その後、「科学的リーディング」は教育現場ベース波状的に拡大し、2025年現在、科学的リーディングは全米50州のうち40州で法定化され小学校で指導されています。
全米の教育現場から自発的に広がった大規模な英語改革の動きは「英語力不振は生徒の能力の問題ではなく、指導法の問題である」という共通認識に基づいています。それまでの教師の経験任せの英語指導から脱却し「エビデンスに基づいた指導」へとシフトすることで、すべての生徒(英語を第二言語で学習する生徒を含む)の英語力を抜本的に改善しようという、アメリカにおける過去数十年間で最も広範な教育改革ムーブメントです。
「科学的リーディング」の指導は、1997年に米国連邦政府が設置した「ナショナルリーディングパネル/National Reading Panel/NRP」の最終報告書がベースになっています。NPRは、10万件以上のリーディングに関わる研究をレビューし、厳格な科学的基準を満たした研究のみをメタ分析の対象としました。
そして、2000年に発表された最終報告書において「英語は才能ではなく、科学的に教えられる技術である」と宣言し、効果が確認されているリーディング指導法として、以下の「5つの柱」を提示しました。
1フォネミックアウェアネス(音素認識)
2フォニックス(音と文字の対応)
3フルエンシー(読みの流ちょうさ)
4ボキャブラリー(語彙力/サイトワーズ)
5コンプリヘンション(読解力)
科学的リーディングを日本人に実践したら‥
全米の「科学的リーディングムーブメント」に先駆けて、私の塾は2002年からNPRの報告書をベースに「5つの柱」を取り入れた「初歩の読書指導」をスタートしました。私が読書指導の科学的アプローチに取り組むきっかけとなったのが、ある生徒の存在でした。
ハワイで生まれ育ったタロウ君。両親ともに日本人です。家庭では日本語を話し、幼稚園では英語を話すバイリンガル環境で育ちました。ハワイの小学校に上がる6歳の時には、日本語と英語を「話せる」バイリンガルに成長しました。二カ国語を流ちょうに話すわが子は両親にとって誇らしく自慢の存在でした。
そんなタロウ君が小学校に通い始めて1ヶ月ほど経ったある日、担任の先生から母親に電話がありました。
「タロウ君ですが、英語力不足で授業についていけません。放課後にELLクラスで補習を受けることはできますか?」
母親はびっくりして反論します。
「タロウは英語ペラペラですよ。なぜ授業についていけないのですか?」
先生は答えました。
「英会話できますが、リーディング力が足りないのです。」
母親は呆然としてしまいました。英語が流ちょうに「話せる」タロウ君を見て、学校の勉強にも問題なくついていけるだろうと「思い込んでいた」のです。
私の塾でタロウ君の英語力を測定したところ、「初歩のリーディング力」が弱いことがすぐにわかりました。読み方がたどたどしく、戻り読み、二度読み、読みミスが多い。やさしい本を読むのにも多くの時間を要していました。さらに文字を読むことに集中しており、読み終わっても内容がまったく頭に入っていないという状態だったのです。
タロウ君は私の塾に入塾し、科学的リーディングに基づく読書指導を受けることになりました。元々英語の音がインプットされていたこともあり、メキメキと読む力を伸ばしていくことができました。そして、リーディング力と比例して学業成績も向上していき「自信」を取り戻すことができたのです。
タロウ君の指導を通して私は「英語を話す力」と「読む力」は全く異なるプロセスで身につくことを思い知らされました。話す力は、英語環境に浸れば自然(受動的)に身につきます。しかし、英語を読む力は、段階的な指導を受け、同時に、学習者が「能動的に」練習に向き合わなければ、身につかないのです。
アメリカの学校に通っても英語力に自信が持てない
日本人家庭で育つ子どもは、ネイティブ家庭の子どもに比べて、「初歩の読書サポート」が不足します。親から英語の絵本を読んでもらったり、英語の文字読みを教えてもらうことができません。その結果。英語を読む技能については学校任せになるのが一般的です。
英語の本がスラスラとストレスなく読み進められるようにならないと、英語の活字に対する心理的抵抗感が抜けません。そして、英語の本や教科書を見ると「難しい!」「面倒だ!」と拒否反応を示すようになります。当然、英語力は伸び悩み、学力も壁にぶつかるようになります。その結果、「自分は英語ができない」「英語が苦手だ」と自信喪失してしまうのです。
アメリカの学校に通えば、誰でも英語がペラペラになり、バイリンガルに育つというのは幻想です。バイリンガル環境で育つ子どもの多くは、「初歩の読書力不足」が原因で、自分の英語力に自信が持てないのです。この状況を改善するには、読む力の発達を学校任せにせず、家庭でも「リーディング力の発達」をサポートする必要があります。
「初歩の読書力不足」はバイリンガルだけの問題ではありません。日本で英語学習をしている子どもも同じ問題を抱えています。英語の文字への抵抗感が強く、英語の本をスラスラ読み解くことができず、満足なリーディング力が育たず、英語力が伸び悩むという子どもが大半です。
日本の英語教育(おうち英語を含む)からすっぽりと抜け落ちているのがこの「初歩の読書指導」です。日本で「フォネミックアウェアネス」「フォニックス」「フルエンシー」といったリーディング指導を「段階的」に受けてきたという子どもは少ないのではないでしょうか。
日本でもフォニックスを英語教室や学校が増えてきてはいますが、まだまだ少数派です。さらに言えば、リーディング力の育成を段階的・系統的に指導してくれる教育機関はほとんど存在しません。
「アルファベットを少し教えれば、すぐに英語が読めるようになるだろう」というのは指導者や親の思い込みです。英語がストレスなく、速いスピードで、流ちょうに読めるようになるには、適切な指導と同時に、学習者がコツコツと読む練習に取り組まなければなりません。
家庭で親からサポートを受けられる英語ネイティブでさえ初歩のリーディング習得で苦労するのですから、英語を第二言語で学ぶ日本人の子どもたちには、さらに丁寧で段階的な「読書指導」が必要なのです。
英語は技術、正しく学べば必ず身につく
「英語は技術。正しく学べば誰でも身につく」と私が強調する理由は、「科学的リーディング」は、単なる理論や理念ではなく、脳科学や認知科学の知見を「具体的な指導法」として体系化したものだからです。
また、指導の重点が、人間が文字を読む際に使う脳の普遍的な神経回路と認知プロセス(文字と音を対応させるメカニズム)に基づいており、世界中のすべての子どもに応用できる点にあります。もちろん英語が苦手とされている日本人であっても、科学的手法を取り入れることで、リーディングの技術を習得することができます。
私は2002年以来、幅広い年齢、性格、学習スタイル、家庭環境の子どもたちに「科学的リーディング」を実践してきました。段階的なフォニックスとサイトワーズ指導を取り入れることで、ほぼ全ての生徒の「英語力」を著しく改善することができました。
「ほぼ」という意味は、子どもの能力差ではなく、家庭の育児力の差と考えてください。家庭で親が子どもに「読む習慣」を上手につけることができれば、成功率は「ほぼ」から「100%」へ上がります。
リーディング指導と聞くと、親の英語力が必要なのでは?と思うかもしれませんが、ご安心ください。「科学的リーディング」を実践する上で親の英語力は不要です。現代社会は家から一歩も出ずに「生きた英語」に触れることができます。YouTubeの英語動画、英語アニメや英語圏の教育番組、スマホで学習できる英語アプリ、AIと無料で会話できる音声チャット、子ども向けの絵本動画など、家庭にいながら多様なコンテンツを視聴できますね。これら文明の力を活用することで親が一言も英語を話すことなく子どもにリーディング力を身につけさせることができます。
面倒な「おうち英語」を簡単にするオンライン教材
私が開発したTLCフォニックスは、「毎日5分の動画レッスン」で「初歩の読書力」を育成するオンライン教材です。正しい発音で英語の本を読み解くために必要な技能は、すべてこの教材で身につけられます。すでに多くの卒業生が、小中高生のうちに「CEFR B2以上」の英語力を獲得し、グローバルに活躍しています。英語を身につけることによって、子どもは「一生使える武器」を手に入れることができます。学生時代にCEFR B2を習得することは、将来のキャリアと自己実現に直結します。わが子に何か一つ「強み」をつけたい!という方は、以下から無料トライアルにお申し込みください。
「強み」を生み出すノウハウを解説する本
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前半では、わが子が生まれながらに持つ「気質5タイプ」「才能5タイプ」と「ピッタリの習い事」を判定し「強みの芽」を見極めます。さらに、全タイプの強み育てにおいて不可欠な「やる気の引き出し方」「学業と習い事の両立方法」について具体的ノウハウを体系化しています。
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船津 徹(Funatsu Toru)
1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2601年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。



