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2022年2月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.128 | 英語は「書き言葉」で学べ

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2202
船津徹「英語は「書き言葉」で学べ」(株式会社 児童英語研究所、2022年)


 世界中の主要言語には「話し言葉」と「書き言葉」があります。  「話し言葉」は文字通り会話する時に使う言葉です。「話し言葉」は「方言」「若者言葉」「女性語・男性語」「丁寧語」「敬語」のようにバリエーションが豊富で、地域、性別、年齢、グループによって言葉使いが変わることがあります。また言葉を省略したり、語順が乱れるなど、文法的に不完全な表現になりやすく、相手に正しく意図が伝わらないことも多くあります。
 「書き言葉」は文章語のことで、文字で表現する時に使う言葉です。「書き言葉」には「事実や用件を正確に伝える目的」がありますから、誰が読んでも理解できるように「標準的な文法」に則った完全センテンスで表現することが原則です。「書き言葉」は地域性、グループ性、上下関係などとは無関係の標準的な言葉であり、その言語を読める人であれば、誰でも理解することができます。


江戸時代、日本語の共通語は「書き言葉」だった

 今は日本全国で日本語が通じますが、江戸時代の日本語は多様性に満ちていました。一歩村の外に出るだけで、言葉が通じないことが普通だったのです。1811年に刊行された式亭三馬の『狂言田舎操』には「江戸から20町(約2km)離れるともう言葉が違ってしまい、まして1里(約4km)も離れたら、まるで江戸とは違う言葉になってしまう」と書かれています。
 少し離れるだけで言葉が違うのですから、遠く離れた土地の人の言葉が分からないのは当然で、対面といえども口頭でコミュニケーションを成立させるのが難しかったのです。そのため江戸時代の人たちは異郷の人と意思疎通する時、共通言語である「書き言葉」を活用していたと考えられています。
 歴史作家の故司馬遼太郎氏は著書の中で、江戸時代は武士の素養であった「謡曲」が共通言語として使われていたと書いています。文語調である謡曲の言葉(=書き言葉)を、謡曲の節回しに乗せて話すと、誰とでも意思疎通ができたというのです。この真偽については知ることができませんが、「書き言葉」が「話し言葉」の不完全さを補っていたと考えるのは自然だと思います。
 明治時代になって国民間の意思疎通を円滑にする目的で「標準日本語」が作られ、学校教育に導入されました。今私たちが話している日本語は、東京語をベースに作られた新しい日本語です。さらに言文一致運動により、「話し言葉」と「書き言葉」の差を少なくする取り組みが進み、現在の日本語に至っています。
 江戸時代に比べれば「話し言葉」と「書き言葉」の差は狭まったとはいえ、今も日本には多くの方言が残っています。東北地方の人々が自然に話している方言をそのまま文字に起こしたら、他の地域に住む大多数の人が(ニュアンスを含めて)正しく理解することは難しいのではないでしょうか。それほど「話し言葉」というのは多様性の高い言葉なのです。


「英語の書き言葉」を身につければ世界で通用する

 多くの日本人は、英語学習の重点は「話し言葉」すなわち「英会話」を身につけることだと思っています。しかし英語の「話し言葉」にも方言があり、シンガポール英語、インド英語、アメリカ英語、イギリス英語など、どこで、誰から習うかによって通じる範囲が限定される可能性があります。
 また「話し言葉」を身につけるには会話する相手が必要です。日常的に英語を話す環境がない日本において「話し言葉」を習得するには、インターナショナルスクール、英会話学校、オンライン英会話などを利用することが不可欠であり、大変コストがかかる言葉なのです。
 さらに「話し言葉」はTPOをわきまえないで使うと相手を不愉快にさせたり、誤解を与えることがあります。英語ネイティブ相手にスラングを連発したり、言葉を省略したり、文法を無視した表現を多用すれば「何が言いたいのか分からない人だ」「品のない奴だ」と思われても仕方がないのです。
 一方で世界標準の英語である「書き言葉」は、多少の堅苦しさは残りますが、相手を不快にしたり、誤解を与えることはありません。
 たとえば、日本語を勉強している外国人が「はじめまして。私の名前はスティーブです。よろしくお願いします」とテキスト通りに「書き言葉」で自己紹介をしてきても不快に感じることはありません。むしろ誠実な人柄という印象を受けるのではないでしょうか。
 英語は論理的かつ直接的な言語ですから文法ルールに則った「書き言葉」を使うことでミスコミュニケーションを減らし、相手との信頼関係が構築しやすくなるのです。元々「書き言葉」は用件を正確に伝えることを目的としているので、誰にとっても分かりやすく、簡潔で、意思疎通しやすい言葉なのです。
 「書き言葉」を身につけるために必要な出費は「英語の本」だけですからコストがあまりかかりません。また「書き言葉」を身につければ、インターネット上の英語情報を通して世界の価値観や視点に触れたり、テキストチャットなどを通して世界中の人たちとつながることができるのも大きなメリットです。


日本人に向いている英語学習法は素読スタイル

 では「英語の書き言葉」を日本国内で身につけるにはどうしたら良いのでしょうか?この答えを知るには、鎖国時代の日本の外国語学習法が参考になります。
 江戸時代の寺子屋や藩校の教育は、漢文(すなわち外国語)で書かれた本の素読が中心でした。素読というのは意味を考えずにひたすら声に出してテキストを読む学習法です。先生が声に出して読み、生徒がリピートする。家に帰ってからは自分で繰り返し音読して覚える。
 福岡藩の儒学者、貝原益軒は「四書の素読が終わればどんな漢文でも読めるようになる」と言っています。(四書というのは儒教の教書のうち「論語」「大学」「中庸」「孟子」のことです)  日本の伝統的な「書き言葉学習法」である素読は、現代の英語学習に応用しても大きな効果が期待できます。事実、英語圏では小学一年生になったばかりの子どもに毎日20〜30分の読書、あるいは短い本を一冊読むことが宿題として義務づけられています。文字を習い始めの子どもに大量の本を読ませることで活字への抵抗感を取り除き、読書力を短期間で習得させることが目的です。
 素読学習のポイントは「理解よりも流暢に読めることが先」です。内容理解は横に置いておき、まずはテキストをスラスラ読めるように訓練します。寺子屋や藩校でも子どもたちは、意味は分からなくても、ひたすら声に出して読む練習をしていました。
 流暢に読む練習を取り入れることでその言葉の持つ響きとリズムを身体に覚えさせることができます。その次に意味を理解していくというステップを踏むと「書き言葉」を効率的に身につけることができるわけです。
 私は、日本、アメリカ、中国で子どもたちに英語を教えていますが、日本人の多くは(英語を話すことを恥ずかしがるため)ネイティブ相手に会話を楽しんだり、議論や討論など「話し言葉」を通して英語を身につける学習スタイルがあまり得意ではありません。
 素読であれば話し相手は不要ですし、英語の本が一冊あれば、いつでも、どこでも、いくらでも、自学自習することができます。活発な対人コミュニケーションを通して英語を身につける「英会話スタイル」よりも、読書で英語力を積み上げていく「素読スタイル」が日本人には向いているのではないでしょうか。


正しい発音で素読すると、英語力全体が伸びる

 英語素読で重要なのが「正しい発音」です。標準的な発音、アクセント、イントネーションで英語が読めなければ、流暢さが伴わず、読解力が発達しません。また(母音が残る)日本語アクセントですと、ネイティブとコミュニケーションする時に通じないことが多くなります。
 ひと昔前は「生きた英語」に触れることができなかったので「正しい発音」を身につけることが困難でした。しかし今は、インターネットを活用すればいくらでも(安価で)ネイティブの英語に触れることができます。
 英語のドラマや映画やアニメを視聴したり、英語の本が音声化されたオーディオブックを聞いたり、YouTubeで本の朗読動画を聞くのも良いでしょう。ネイティブ発音が収録されたメディアに簡単にアクセスできる今は、独学で正しい発音を身につけることができるのです。
 子どもが「正しい発音」を身につける上で欠かせない取り組みが「フォニックス」です。フォニックスは英語圏の子どもが「英語の読み書き」を学ぶものですが、英語を第二言語で学ぶ日本人の子どもにも活用しても大きな効果が期待できます。
 アルファベットの読み方(発音)からスタートして、三文字単語、四文字単語というように徐々に難しい単語を「正しい発音で読める」ように指導していきます。フォニックスを習うことで英語独特の発音とリズムを身につけることができます。ごく簡単に言えば、ネイティブのように「英語が流暢に読めるようになる」のです。
 英語が早いスピードで読めるようになると読解力が向上しますから「英語素読」を通して効率的に英語力全体を伸ばしていくことができます。最近はフォニックスを教えてくれる子ども英語教室が増えていますので、教室選びの基準とすることをお勧めします。


簡単な本の素読で読解力を鍛える

 「正しい発音」を身につけた次のステップが「素読」です。子ども向けに作られた「リーダーズ」と呼ばれる「簡単で短い本」を読む練習をします。リーダーズは単語や文法に制限を設けて段階的に難易度が上がるように作られていますから、子どものレベルに応じて適切な本を選ぶことができます。
 素読初心者は1ページに1〜2行、全体でも16ページ程度の「超簡単な本」からスタートしてください。児童英語研究所が提供している「アイキャンリード」は1冊の収録語数が24〜50語程度のリーダーズセットです。オーディオはもちろん、オンラインレッスンもついているのでお勧めです。
 少し英語が読める子には、文字数が300〜500語程度のリーダーズをたくさん読ませてください。たどたどしい読み方の子でも1冊5分以内で読み終えることができるはずです。このくらいの量ですと、子どもが嫌がることなく取り組んでくれます。さらに「1冊読み切った!」という達成感と成功体験を積むことができ、モチベーションアップが期待できます。
 最後に、本を読むだけでは「英会話力」が身につかないのでは?と疑問に思うかもしれませんが、素読で会話力も劇的に向上します。本を音読する時(黙読でも)は自分で発声し、自分の耳で聞いていますから、話す力と聞く力を同時に鍛えることができるのです。
 英語は書き言葉(本の素読)で学ぶ。子どもから大人まで効果がありますので、ぜひ取り入れてみてください。


ハワイイメージ1【編集部より】
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2202年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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