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2023年10月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.148 | 英語多読を成功させるには?

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2310
船津徹「英語多読を成功させるには?」(株式会社 児童英語研究所、2023年)


 英語を日常的に話す必要がない日本で英語を習得するには「英語多読」が一番確実な方法です。英語の本を「辞書なしでスラスラと読める」ようになれば、英語が身についた!と胸を張って言えるのではないでしょうか。英語多読は、自分の好きな英語の本を読むだけで「英語の四技能」を同時に鍛えることができる非常に優れた学習法です。
 「読むだけでは会話力が育たないのではないか?」と疑問に思う方がいるかもしれませんが、多読で英会話力も鍛えることができます。なぜなら、本を読む時は黙読であっても心の中で声を発声しており、同時に、自分の声を聞いているからです。黙読は「音声を発しない音読」ですから、声を発して読む音読と同様の効果があります。今この文章を読んでいる皆さんも心の声で日本語を発声し、心の耳で日本語を聞いているはずです。


多読を成功させるポイントは?

 多読に挑戦しても多くの子どもが挫折してしまいます。その理由のほとんどは「難しすぎる本を読まされているから」です。最初は、子どもにとって簡単に読めるやさしい英語で書かれた本で、かつ、「5分以内で読み切れる本」を選ぶことが大切です。
 英語の本を読み始めの子どもの読書スピードは、平均で1分間に30〜60単語程度です。文字数で言えば「100語前後」の本からスタートすると、子どもにとってストレスなく多読の練習を積み重ねることができます。
 また各ページにイラストが含まれる本を選んでください。子どもにはイラストからイメージを膨らませて内容を理解する力が備わっています。単語の意味を教えなくでもイラストを見るだけで話しの筋やストーリーの流れを推察できるのです。英語を英語で理解する「英語脳」を鍛える上でも英語多読は非常に有効な学習法です。
 英語多読の重要なポイントが「日本語で意味や理解を確認しないこと」です。単語の意味を日本語で教えたり、「どういうお話だったか教えて」と日本語に訳すことを促すと、子どもは頭の中で英語を日本語に訳すクセがついてしまいます。和訳する読み方が習慣になると、知らない単語に出会った時に全く理解できなかったり、読書スピードが極端に遅くなるという弊害が生まれてしまいます。
 子どもに英語の本を読んでもらうには「面白い本を選ぶこと」を意識しましょう。子どもは自分で本を選ぶことができませんから、最初は親が子どもが好きそうな本を選んであげてください。最初の本選びは、教育的な内容よりも、ちょっとふざけた本、少し下品な本、イラストが多いマンガのような本を選ぶと子どもが食いついてきます。真面目な本は子どもにとってつまらないことが多いので注意しましょう。
 日常的に英語を話す必要がない日本で英語脳を鍛えるには英語多読が一番効果的な学習法です。和訳せずに英語を英語のまま理解できるようになると、「ハリーポッター」のように分厚い本も、英語のまま読み進めることができ、英語の読書を楽しめるようになります。


まずは流ちょうに読める力を鍛える

 言語学者の白井恭弘氏は著書「英語教師のための第二言語習得論入門」の中で、日本の英語教育は「語彙・文法知識の習得」段階で止まっており、次のステップである「知識を自動的に使えるように練習する」プロセスが欠けていることを指摘しています。
 英語を読む練習が少ないと、英語を英語のまま理解できる「自動化」が実現できず、結果、英語が身につかないのです。英語多読を成功させるステップは「意味よりも流ちょうに読めることが先」です。内容理解は横に置いておき、まず英語をスラスラと読めるように訓練することが大切です。さらに言えば、英語ネイティブのように抑揚をつけて(感情を込めて)読めるように導いてください。
 英語を読み始めの子どもは英語を読むこと(正しく発音すること)に集中しますので、内容理解が伴いません。この時、読むことと理解することの二つを要求すると、読書スピードが下がってしまい、理解力が向上しないのです。多読のスタート時期は「読むこと」に集中させましょう。流ちょうに読めるようになれば、内容理解も伴うようになっていきます。
 アメリカの学校では一般に「音読スピード」と「読みの流ちょうさ」によって子どものリーディング力を評価します。1分間で何文字読めるか、読みミスがどのくらいあったか、流ちょうさは伴っていたか、を総合評価して子どものリーディング力を診断するのです。以下は学年別「1分間に音読できる単語数」の平均です。

小学1年  53単語
小学2年  89単語
小学3年  107単語
小学4年  123単語
小学5年  139単語
小学6年  150単語

 ちなみに、子ども・大人を含めた全ての英語話者の平均音読スピードは「1分間に120単語」です。早口で不明瞭に読むのでなく、全ての単語を正確に、かつ、抑揚を伴って音読できる平均値です。(2003年の成人リテラシー全国評価 (NAAL) 口頭読解の流暢さデータ)まずは1分間で120語読めることを目標に多読練習に励んでください。


子どもに読ませるリーダーズの種類は?

 子どもが最初に読む本を「リーダーズ」と呼びます。リーダーズには英語を第二言語で学ぶ子ども向けに作られたGraded Readers(GR)と、英語を母国語とする子どもが読む練習をするために作られたLeveled Readers(LR)があります。どちらも読みやすいやさしい英語で書かれている段階別のシリーズです。
 子どもに読ませるリーダーズとして(私が)お勧めしているのはネイティブ向けに作られたLeveled Readers(LR)です。安価なことはもちろん、子どもに人気のスーパーヒーローやアニメや英語の人気キャラクターが登場する本がたくさん出版されています。カラフルなイラストが各ページに掲載されているので子どもの関心を引きやすい優れたテキストです。
 Leveled Readersでアメリカの子どもたちに人気なのが「I can Read Books」です。子ども向けのリーダーズとしては最長の歴史を持ちます。Biscuit、Little Critter, Flat Stanley, Pete the Cat, Amelia Bedelia、Pinkaliciousなどの人気キャラクターが登場するシリーズがあり、子どもの興味と英語レベルに応じて適切な作品を選ぶことができます。まずは超簡単なレベルである「My Very First I can Read」から子どもが好きそうな本を選んで読ませてみましょう。
 日本で人気のLRと言えば「Oxford Reading Tree」です。こちらはイギリスの小学校の教科書として使われています。ユーモアあふれる物語と親しみやすいイラストで、英語を読みながら英語圏の文化や習慣も学ぶことができます。まずはStage1〜Stage3レベルの本で流ちょうに読む練習を積み重ねてください。
 子どもの英語多読では、超簡単なLRを「100冊読む」ことを最初の目標としてください。「100冊」と聞くと一大事業のように感じるかもしれませんが、子どもにとっては「簡単に」到達できるボリュームです。繰り返しますが、ポイントはやさしい本を選ぶことです。  初心者向けのリーダーズは、32ページ程度で、各ページにイラストと数行程度の英語が書かれています。文字数としては200語以下のものがたくさんあります。例えば文字数200語の本であれば、大抵の子どもは「4分間」で読み終えることができます。(1分間に50単語ペースで計算)
 どんなにやさしく短い本であっても、子どもは一冊読み切ることで達成感と自信を得ることができます。この時、親が「英語の本が読めてすごいね!」とほめてあげると、子どもの自信はさらに大きくなります。多読を通して成功体験を積み上げることが子どもを英語の本好きに導くコツです。


流ちょうに読めない子どもにはフォニックス

 「英語多読に挑戦しよう!」と思ってもいきなり英語の本を与えてはいけません。日本語の本を読む前に「ひらがな」「カタカナ」「漢字」を教えるように、英語の本を読むためには「フォニックス」「サイトワーズ」を最初に教えなければいけません。
 フォニックスは英語のひらがな、サイトワーズは英語の漢字と理解してください。これらを教えずに英語の本を読ませるというのは「ひらがなを知らない子どもに日本語の本を読ませる」ことであり、失敗体験と挫折を味わわせることにつながってしまいます。
 英語圏の子どもがキンダーガーテン(小学一年生になる前の学年)で最初に学ぶのが、英語の「ひらがな」である「フォニックス」です。フォニックスは「A=ア」「B=ブ」「C=ク」というように、アルファベットの「文字」と「音」の関係を教える指導法です。
 アルファベットには「名前」と「音」があります。私たちが普段使っている「A=エイ」「B=ビー」「C=シー」というのはアルファベットの「名前」であり、これを覚えても簡単な三文字単語「DOG」すら読むことができません。「DOG=ディーオージー」になってしまいますね。
 フォニックスでは「A=ア」「B=ブ」「C=ク」とアルファベットの「音」を教えます。フォニックスを学ぶと「DOG=ドゥ オ グ」と、文字の音をつなげて正しい発音で単語が読めるようになります。
 フォニックスを家庭で指導する際は、英語ネイティブの音声を使うことを意識してください。YouTubeで「Phonics」と検索すれば、たくさんネイティブ音声が収録されたフォニックス動画を見つけることができます。またスマートフォンやタブレットで使えるフォニックスアプリ(英語ネイティブ向けがお勧め)も開発されていますので活用してください。


サイトワーズを「300語」覚えると、どんな本も7割読める!

 「the, of, and, a, to, in」を読めない人はいないと思います。これらは英語の「頻出単語」でサイトワーズ(Sight Words)と呼ばれます。英語圏の初等教育では、フォニックスに加えて、サイトワーズを必ず指導します。
 小学校でサイトワーズを教える理由は明快です。あらゆる活字化された英語の「50%は頻出上位100単語」のサイトワーズで、そして、「65〜70%は頻出上位300単語」のサイトワーズで構成されているからです。
 たった300単語のサイトワーズを覚えるだけで(理屈の上では)どんな本も70%読めるようになるのです。サイトワーズはリーディング力の習得を促進してくれる特効薬ですから、子どもに教えない手はありません。
 *サイトワーズには「教わっていない単語は読めない」という欠点があります。これを補うためにフォニックスで未知の単語を読む力を育てることが大切です。
 サイトワーズにはいくつかの異なるリストが存在します。アメリカの学校で最もよく使われるリストは「Dolch Sight Words」と呼ばれる220単語です。このリストが発表されたのは1948年で、当時の子ども向けの絵本から単語が抽出されています。「The Cat in the Hat」で有名なDr. Seussの絵本シリーズは「Dolch Sight Words」の220単語をベースに書かれています。
 次にメジャーなものが「Fry Instant Words」です。こちらは1980年に最新版が発表されました。このリストには小学3年〜高校1年生までの教科書で頻出する1000単語がまとめられています。この1000単語を覚えると、あらゆる英語の本、新聞、ウェブサイトの「90%以上」が読めると言われています。
 オーストラリア(イリギス英語)の小学校でよく使われる単語をまとめたものが「Oxford Wordlist」と呼ばれる500単語のリストです。オリジナルは2007年に発表されましたが、2017年にアップデートされており、現在最も新しいサイトワーズリストです。以上のリストはインターネットで無料公開されていますから、お子さんに英語教育を実践している方はぜひ検索してみてください。


フルエンシー(流暢に読める)を鍛える

 フォニックスとサイトワーズを一通り学ぶと、子どもは簡単な本が読めるようになります。本が読めると言っても、まだ拾い読みの状態であり、流暢さがなく、理解も伴いません。「The/ sun/ is/ not/ shine./ It/ was/ too/ wet/ to/ play.」と、まるでロボットが読むように、ゆっくり、慎重に、一つずつ単語を発声している状態です。
 拾い読みから抜け出し、スラスラと流ちょうに英文が読めるようになるまでのプロセスが「英語多読最大の難所」です。この山を乗り越えることができれば、子どもは「英語の本を早いスピードで流ちょうに読む力=リーディングフルエンシー」を身につけることができます。
 拾い読みを解消するには「サイトワーズ」が多く含まれる超簡単な本の音読が効果的です。「Bob Booksシリーズ」やScholastic社の「Sight Words Readers」はアメリカの子どもたちが最初に読む本として人気です。イギリス英語では「Oxford Reading Tree」の「Stage 1〜3」を子どもに「音読」させると良いでしょう。
 くれぐれも難し過ぎる本や長過ぎる本を与えないように注意してください。スムーズに英語が読めないという子どもは「実力以上の本を読まされている」ケースがほとんどです。最初は8〜32ページ程度の「超簡単で短い本」(1冊5分以内で読める本)をたくさん読ませて活字への抵抗感を取り除いてください。


フォニックスとサイワーズを学ぶオンライン教材

 私が開発したTLCフォニックスは、毎日5分のオンライン学習で英語多読の前提である「フォニックス」と「サイトワーズ」を学ぶことができます。英語多読前の基礎学習教材として世界中の方に活用いただいています。ご興味ある方は無料トライアルにお申し込みください。


ハワイイメージ1【編集部より】
船津徹先生の新著『失敗に負けない「強い心」が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方』(KADOKAWA)全国書店にて発売中。困難に負けない「心の強い子」の育て方を詳しく紹介する一冊です。ポストコロナを生き抜くたくましい子どもを育てる知恵が満載です。ぜひご一読ください。▶︎詳細・お申し込みはこちらをクリック
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ブログはこちら▶︎https://ameblo.jp/tlcforkids/

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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2310年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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