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2021年10月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.124 | リーディング力強化の方法

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2110
船津徹「リーディング力強化の方法」(株式会社 児童英語研究所、2021年)


 アメリカの子どもたちは小学1年生になると、毎日「短い本を1冊読む」こと、あるいは「30分間の読書」が家庭での宿題として課されます。本を読み始めて間もない子どもに大量の読書を(半ば強制的に)させるのは「リーディング・フルエンシー」を身につけさせるためです。
 リーディング・フルエンシーとは、英語の本を正確な発音とイントネーションで(さらに早いスピードで)読む力のことです。この力を育てるには「本を読み始めた時期」に「簡単で短い本の多読」をすることが最も効果的です。
 全米の学齢期の子どもを対象にした調査で、小学1年生の終了時にリーディング力が低い生徒は「約90%」の確立で小学4年生でもリーディング力が低いこと。さらに、小学4年生時点でリーディング力が弱い生徒は「高校卒業まで改善しないこと」が報告されています。
 つまり本を読み始めた時期(アメリカではキンダーから小学1年生の2年間)に満足なリーディング力を身につけることができないと、学齢期を通して読解力が育ちにくく、勉強で苦労する可能性が高くなるのです。だからアメリカの学校では小学1年生に「大量の読書」をさせるわけです。


なぜリーディング・フルエンシーが大切なのか?

 このことを日本で英語を学習する子どもに置き換えて考えてみましょう。幼児期に家庭や英語教室でフォニックスやサイトワーズを習えば、どの子も簡単な「単語」が読めるようになります。ここまでは多くの子どもが到達することができるのですが、問題は次のステップである「簡単な本の多読」です。
 日本の小学校や英語教室では「英語の簡単な本の多読」が課題として出されることはありません。また家庭で毎日子どもに「簡単な英語の本」を読ませているというケースは少ないと思います。
 日本では「英語を読み始めた時期」に「簡単な本の多読」がどうしても不足するのです。読書訓練が不足すると、英語の活字への抵抗感(読むのが面倒という気持ち)が抜けず、リーディング・フルエンシーが身につきません。リーディング・フルエンシーが身につかないと読解力が育ちませんから(アメリカの例のように)学齢期を通して英語嫌い、読書嫌いになってしまうのです。
 子どもに簡単な本を読ませてみればわかりますが、英語を読み始めの子どもは、単語を「正確に発音することだけ」に集中しており、内容理解まで思考をめぐらす余裕がありません。またスラスラ読めないと感情移入できないので理解が浅くなります。
 がんばって本を読んだのに、肝心の内容がさっぱりわからない!これでは本を読む気が起こりません。子どもはフラストレーションを感じますし、英語を読むのが面倒くさいからイヤッ!と読書を嫌がるようになっていきます。
 日本の英語教育からスッポリと抜け落ちているのが「簡単で短い本の多読」です。子どものレベルと興味に合った本の多読を通してリーディング・フルエンシーを育ててあげないと「英語嫌い」になる可能性が高いのです。


うまく読めない子にはフレーズ練習が効果的

 拾い読み、二度読み、飛ばし読み、むにゃむにゃ読みを解消し、英語の本がスラスラ読めるようにすること=リーディング・フルエンシーの育成が子どもの英語教育で「最も重要な取り組み」です。英語の本がスラスラ読めるようになれば、子どもは英語が得意になり、自力で高度な英語力を身につけていきます。
 リーディング・フルエンシーの育成で有効なのが、サイトワーズ(Sight Words)と呼ばれる頻出単語を「一目で読めるようにする」練習です。アメリカの初等教育では幼稚園から小学校低学年にかけてサイトワーズを指導します。
 サイトワーズは「単語単位」で読めることはもちろんですが、いくつかのかたまり(フレーズ)単位で読む練習をすると、さらに効果が増します。
 「I like them」「You and I」「One of us」「In the water」「By the time」「how many」など、サイトワーズの組み合わせを「かたまりで読む練習」を取り入れると読書スピードが向上します。英語圏の子どもが最初に覚える「Dolch Sight Words」と「サイトワーズフレーズ」は、私が作ったYouTube動画で練習できますので活用してください。
  本を読ませる前に「Dolch Sight Words」の220語は一目で読めるように繰り返し練習してください。サイトワーズを一通り覚えたら、サイトワーズが多く含まれる簡単な本(Bob’s BookシリーズやScholastic社のSight Words Readersなど)を読ませてみましょう。短い英語の本が一冊読めると、子どもは「できた!」「読めた!」という成功体験を積むことができます。


超簡単なリーダーズを読ませてみる

 リーダーズというのは単語や文法に制限を設けて段階的に難易度が上がるように作られた短い本です。最初は1ページに1〜2行、全体でも16ページ程度の「超簡単な本」からスタートしてください。各ページにはイラストが含まれていますから、単語力が弱い子どもでも意味を推察しながら読み進めることができます。アメリカの子どもに人気のリーダーズ(初心者向け)は以下の通りです。

 irst Little Readers Parent Pack (Scholastic)
 Sight Words Readers Parent Pack(Scholastic)
 Bob Books Series (Bobby Lynn Maslen)
 My First I Can Read (Harper Collins)
 Step into Reading Level 1〜2 (Penguin Random House)
 Ready to Read Pre Level 1〜Level 1 (Simon Spotlight)

 リーダーズには多くのシリーズ、ジャンル、キャラクターがありますから、子どもの興味や好みに合わせて本を選ぶことができます。お気に入りのシリーズを見つけて「多読」へ導くことができれば、子どもの英語教育は90%成功です。そこから先は読書を通して、子どもが自分の力で、語彙力、文法力、表現力、リスニング力、スピーキング力など、英語の技能を伸ばしていくことができます。
 くれぐれも難し過ぎる本や長過ぎる本を与えないように注意してください。リーディングが苦手という子どもは「実力以上の本を読まされている」ケースがほとんどです。16ページ程度の薄くて簡単な本をたくさん読ませることでリーディング・フルエンシーが身につくことを忘れないでください。


うまく読めない場合はYouTubeを利用する

 子どものリーディングがなかなか上達しない!という場合は、YouTubeでリーダーズの朗読動画を見つけて視聴すると効果的です。以下は「My Very First I can Read」の朗読動画リンクです。

 手元にあるリーダーズのタイトルをYouTubeで検索してみましょう。朗読動画が見つかるかもしれません。動画を見つけたら、手元に絵本を置き、動画を子どもと一緒に見てみましょう。動画を見せてから本を読ませてみると、それだけでスムーズに読めるようになることに驚くはずです。
 子どもに「やる気」があるようでしたら、YouTube動画の音声の後についてリピートしてみたり、音声に合わせて読んでみるのも良いでしょう。ポイントは「強制しないこと」です。「リピートしなさい!」などと言うと、子どもを英語嫌いにするので注意してください。
 リーディング・フルエンシーが身につくまで、英語の読書は「音読」が基本です。英語を読み始めの子どもは理解が伴わないことが多いのですが、音読すると「自分の声を聞くことができる」ので内容をイメージしやすくなります。
 子どもが音読している時は必ず親が聞いてあげてください。一人では読む気がしなくても、お母さんが聞いてくれるなら子どもは読んでくれます。読めない単語をチェックしたり、読み方を教えてあげながら親子で練習を繰り返すことが、子どもの学習意欲を高めるコツです。もちろん上手に読めたら「英語の本が上手に読めてすごいね!」と大げさにほめてあげてください。
「簡単で短い本」をたくさん音読させていると、次第に活字に対する抵抗感がなくなり、読もうと意識しなくても瞬時に英語が読み取れるようになります。スラスラ早いスピードで読めるようになれば「音読」は卒業です。そこからは「黙読」でさらに読書スピードを上げていきます。


どれだけ読めばリーディング力が身につくのか?

 Renaissance Learning社が行なった調査で、アメリカの子どもは、小学1年生〜3年生までの3年間で「平均141冊」の本を通して「28万単語」を読んでいることがわかっています。28万単語を141冊で割ると1冊あたり約2000語ですから、アメリカの小学生は、単語数が「2000語程度のリーダーズ」をたくさん読んでいることが分かります。
 これは日本人の英語学習者にとっても大きなヒントです。リーディング・フルエンシーを身につけるには、文字数が300語〜3000語程度の短いリーダーズを「100冊」読破することを目標にすればよいのです。
 読書スピードが1分間に60語(アメリカの小学1年生の平均)の子どもであれば、文字数300語の本を「5分」で読み切ることができます。
 アメリカの子どもに人気のリーダーズである「My First I Can Read!」は1冊の単語数が「300語」程度です。まずはこのレベルの本を「5分」で読むことを目標にしてください。英語の本に慣れていない子どもは5分以上かかるかもしれません。そのような場合は、前述のサイトワーズが多い「超簡単なリーダーズ」に戻って読む練習をしましょう。
 最初は「5分」で1冊読み終えるレベルの本からスタートし、徐々に文字数が多い本にレベルを上げていくことが大切です。「簡単で短い本の多読」を家庭で実践することで、日本にいながら子どもに「高度な英語力」という宝を与えることができます。


ハワイイメージ1【編集部より】
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2110年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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