Vol.069 | バイリンガルは訳さない
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引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/1703hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.069 | バイリンガルは訳さない』(株式会社 児童英語研究所、2017年)
バイリンガルは訳さない
バイリンガル子育てで多いミスに「翻訳」があります。子どもに英語の本を読ませて「どういうお話だったかママに教えて?」「この単語の意味は何?」と子どもの理解を「日本語で」確認しようとする行為です。ご両親の気持ちはよく分かりますが「翻訳」をさせ続けていると子どもは英語を日本語に置き換えて思考する習慣を身につけてしまいます。
そもそもバイリンガルは頭の中で言語を「翻訳」しません。英語は英語、日本語は日本語で思考し理解しています。関西弁を話す人が標準語を話す時、いちいち関西弁から標準語に翻訳しなくても、話し相手に応じてごく自然に言葉が出てくる、と言えば分かりやすいでしょうか?
「そんなけったいな話あるか!」を標準語で言いたい時に「けったいな」は「変な」という意味だな。「あるか」は「ありえない」という意味だな。だから「そんな変な話はありえません」だな、などと思考しませんね。ごく自然に口から言葉が出てくるはずです。
2つの言葉のコップを満たす
バイリンガルは頭の中に日本語と英語、二つのコップを持っているのです。そして、それぞれのコップが、それぞれの言葉で満たされると、二つの言葉が口から自然に溢れてきます。言葉の発達スピードは、コップにインプットされる言葉の量によって左右されることを知ってください。
バイリンガル環境で育つ子どもは概して言語発達が遅いと言われますが、それはコップに溜まっている言葉の量が足りないからです。日本語の発語が遅いと心配するのであれば、日本語のシャワーを浴びせ、日本語のコップを満たしてあげればいいのです。英語が口から出てこなければ、生の英語に触れる環境を増やし、英語にどっぷり浸らせてあげればいいのです。
ご両親は日頃から言葉のコップを満たすことを意識して、言葉をかけ、歌いかけ、絵本の読み聞かをしてあげてください。また同時に家の外で、生きた言葉に触れる機会を与えてください。家に閉じこもらずに外に出て家族以外の人たち(日本語でも英語でも構いません)と触れ合わせるのです。外の人と接すると、新しい言葉がどんどんコップに溜まっていきます。
簡単な本を多読させる
訳さずに日本語と英語を理解する。このプロセスを促進する特効薬が「多読」です。それぞれの言語で、簡単な本をたくさん子どもに読ませるのです。「簡単な」というのがポイントです。多くのご両親が子どもの学力や読書力の発達を焦る余り、難易度の高いものを与えがちです。これをしていると、必ず子どもは消化不良に陥り、読書そのものを嫌うようになります。
子どもがそれぞれの言語でストレスなく本を読み、それぞれの言語で理解するためには最低でも100冊は「簡単な」本を読ませることを目標にしましょう。私の経験から申し上げますと、1年間に100冊以上本を読んでいる子どもは、読書スピードが早く、理解力が高く、学力の定着が良くなるのです。
身体を使う集団の習い事に参加させる
子どもの言葉の力を豊かにしてくれる習い事にダンスや演劇があります。言葉を目で読み取り理解するだけでなく、身体を使って表現する経験は、言葉を感じ取る力、想像する力、伝える力を高め、言葉の奥底にある深い意味を汲み取る力を育ててくれます。
欧米では演劇が子どもの言葉の発達に寄与することはよく知られており、多くの教科指導に演劇のテクニックが取り入れられています。演劇を経験している生徒はアメリカの大学受験のための共通テスト(SAT)の語彙セクションが未経験の生徒よりも56ポイント高いことが調査によって明らかになっています。ぜひお子さんの言語教育に演劇を考慮してください!
