Vol.100 | 英語子育てQ&A
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引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/1910hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.100 | 英語子育てQ&A』(株式会社 児童英語研究所、2019年)
バイリンガル教育を実践している多くの親御さんから寄せられる英語教育についての質問と、その対策についてご紹介します。
早期英語教育をすると日本語がおかしくなる?
日本で幼い子どもに一日数時間程度の英語教育を行なったからといって日本語がおかしくなる心配はありません。ただし日本人の親が「英語オンリー」で子どもに話しかけたり、一日中英語のプリスクールに預けて英語漬けにするなど「不自然な英語環境」を与える場合は注意が必要です。日本語がおかしくなるのは英語教育をするからではなく、「日本語のインプットが不足」が原因です。両親が日本人であれば、豊かに日本語で話しかけ、日本語で絵本の読み聞かせを行い、たくさん日本語で遊んであげてください。子どもが最初に身につける言葉(母語)は信頼できる他者とのコミュニケーションによって発達します。母語の発達は思考や第二言語習得の土台となる大切なものです。親子のコミュニケーションはくれぐれも日本語で行なうようにしてください。英語教育についてはネイティブ音声や動画などのメディアを活用してください。乳幼児期の子どもは、ネイティブ英語を聞いているだけで、正しい発音を身につけることができます。
日本語がおぼつかない2歳児に英語を教えても大丈夫?
日本語が未発達の2歳児に英語を教えても何ら問題ありません。乳幼児期の子どもは身の回りにある言葉を無条件に吸収できます。この優れた言語能力を英語教育に応用しない手はありません。「英語を教える」と言っても、親がすべきことは、ネイティブ英語が収録された歌や物語りのオーディオを「かけ流す」だけです。英語のインプットは「ネイティブ音源」に任せてください。将来子どもに高度な英語力を望むのであれば、両親は日本語のインプットに専念してください。 両親が日本語で語りかけ、絵本をたくさん読み聞かせ、子どもと愛情溢れるコミュニケーションをたっぷりとれば、日本語力の土台が強固に確立されます。この日本語で培われた言葉の力が、将来の思考力や英語力へと発展していくのです。「英語ができる賢い子ども」に育てたければ、日本語のボキャブラリーを増やし、日本語で深く思考する資質を育ててあげてください。
親が英語苦手な場合、子どもに英語は教えられない?
もちろん教えられます。厳密に言えば、親の仕事は子どもに「英語を教える」ことではなく「英語環境を作ること」です。英語の歌をかけ流したり、アルファベットチャートを家中にはったり、英語のおもちゃを買い与えたり、本棚に英語の本を並べたり、人気キャラクターのテレビ番組を見せたり、英語のゲームやアプリを紹介したり、「英語が当たり前にある環境作り」を実践しましょう。英語を学ぶのは親でなく子どもです。子どもが自主的な「やる気」で英語に向き合えるように「仕掛けを作ること」が大切です。英語が当たり前にある環境で育った子どもは、英語を学ぶことに対して抵抗感を持つことが少なくなります。それだけで学習効率が高まることを知ってください。
親が中途半端に英語が得意という場合は?
親が留学経験者などで、英語が得意(バイリンガルではないが日本ではトップクラスの英語力)という場合、どうしても子どもに英語を「教えたく」なるものです。しかし子どもの英語教育は「環境」に任せた方がはるかに効果的です。もちろん補助的に親が英語の絵本を読み聞かせたり、ワークシートで英語を教えたりすることは問題ありませんが、子どもに英語オンリーで四六時中話しかけたり、日本語と英語をミックスして話しかけることはお勧めできません。非ネイティブが語りかける英語は、指示、命令、質問など「一方的で冷たい言葉」に偏ることが多いのです。子どもにとって言葉は「親子の信頼関係をつなぐ架け橋」の役割を持っています。ですから「愛情こもった言葉」をたくさんかけてあげることが親子関係を良好にする上で大切なのです。親密な親子関係という土台の上に英語教育は成立することを知ってください。まずは親が一番自然に愛情を伝えられる言葉=日本語で、親子の信頼関係を構築しましょう。
英語の読み聞かせ、親の発音でも大丈夫ですか?
日頃からネイティブ英語を聞かせていれば、親の発音で読み聞かせても発音が子どもにうつる心配はありません。まずは手元にある英語本のネイティブ音源をYouTubeやAudibleで探してみましょう。無料の朗読が見つかるかもしれません。ネイティブの朗読音源を繰り返しかけ流してから親が読み聞かせてあげると、子どもは「聞き覚えがある」ので本に興味を持ちます。子どもは大人よりもはるかに耳からの吸収力が高いですから、ネイティブ音源を聞かせているだけで正しい発音や表現を身につけることができるのです。ネイティブ音源を聞かせずに親が読み聞かせると、発音が子どもにうつることがあるので注意してください。
文法は教えなくていいのですか?教える場合の方法は?
リーディング力を身につけていない子どもに文法を教える必要はありません。まずは英語の本をスラスラ読めるようにすることが先です。英語の本が読めるようになったら、ライティングと平行として文法を導入します。教えると言っても 「現在完了形」や「前置詞」など、子どもにとって理解できない日本語の専門用語は避けてください。お勧めは、英語圏の小学1〜3年生が使う「Writing」や「Grammar」のワークブックです。Amazonのウェブサイトで「writing grade 2」「Grammar Grade 3」などと検索すれば見つけることができます。すべて英語ですが内容は簡単ですから子どもが自力で取り組むことができます。
英会話スクールや家庭教師の選び方は?
英会話スクール選びで大切なのは「教師の質」「カリキュラム」「環境」です。教師は、英語ネイティブで、第二言語指導資格があり、経験豊富な人が理想です。カリキュラムは「英会話」だけでなく「リーディング」が含まれていることが重要です。そして環境は、保護者が英語教育に熱心で、協力的であることが理想です。この三つが揃っていれば、親子ともモチベーションが維持しやすくなります。スクールによってはネイティブ講師と日本人講師が共同で教えるケースがありますが、理想はネイティブが英語オンリーで教える環境です。子どもの思考スイッチは「日本語が通じる環境」では英語に切り替わらないのです。英語オンリーの環境に入ると英語スイッチがオンに切り替わり、英語が効率的にインプットされます。家庭教師選びのポイントも同様で、英語ネイティブであることが重要です。英語のわらべ歌、手遊び歌、季節の歌などに慣れ親しんでいるネイティブ講師ほど、子どもにとって適切な指導が期待できます。近くに該当するスクールがなければ、オンラインスクールやオンライン英語などを活用するのも良いでしょう。
オンライン英会話、オンライン教材は活用すべきですか?
大いに活用してください。オンラインをうまく利用すれば世界中の優れた教材や最新のカリキュラムで英語を学ぶことができます。今は日本にいながら、世界最先端のハーバードの授業でも受けられる時代です。子どもの英語学習にテクノロジーを活用しない手はありません。オンライン英会話は、料金や教師の質も様々ですから、いくつか実際に試してみることをお勧めします。
インターナショナルスクールに通わせるメリットとデメリットは?
メリットは「バイリンガル」になれることです。インターナショナルスクールでは毎日「英語で教科学習を受けます」から、英会話力だけでなく学習英語力も身につけることができます。また、インターナショナルスクールは世界中から集まる生徒たちと交流することができます。子ども時代に文化的多様性に触れることは子どもの価値観形成に大きな影響を与えます。 デメリットは、インターナショナルスクールの多くは日本の学校教育法上の学校に該当しないことです。そのためインターナショナルスクールを卒業しても日本の大学受験の資格を得られないことがあります。また授業は外国のカリキュラムベースですから、日本語、歴史、地理、文化など、日本について十分な知識と教養を得ることができない可能性があります。
