Vol.163 | 英検、うちの子はいつから?

申込締切前にできる「現在地確認」の3ステップ

本記事の要旨


「まわりの子が英検を受け始めた」と聞いても、焦って一から受験勉強を始める必要はありません。おうち英語で積み重ねてきた音声や絵本の経験は、英検にもつながる土台です。その力を試験で発揮するには、今の理解度を確かめ、受験する級の出題形式に慣れる準備が役立ちます。初めて英検5級に挑戦する場合を例に、「語彙と文理解の現在地を確認する」「出題形式に慣れる」「申し込むかどうかを判断する」という3つのステップを紹介します。英検を周りとの競争や最終目標ではなく、成長を確かめる機会と捉え、本人の意欲とペースに合った受験時期を考えましょう。

※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku/ask-azuki/start-and-progress/2611pj/
小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)『Vol.163 | 英検、うちの子はいつから?』(株式会社 児童英語研究所、2026年)

「まわりのお友だちが英検を受け始めた」と聞いて、焦っていませんか

Vol.163 | 英検、うちの子はいつから? セクション1

11月に入ると、英検受験に関するご質問が増え出します。「まわりのお友だちが英検を受け始めたと聞いて焦っています。パルキッズをやっていれば英検の対策は要らないと聞きましたが、本当に何もしなくていいのでしょうか」というものです。英検の2026年度第3回は、申込期間が10月30日から12月14日、一次試験が来年1月24日に設定されています。ちょうど11月は、その申込締切が近づいてくる判断のシーズンにあたります。

お友だちが先に動き出したと聞くと、「うちも早く何かしなければ」という焦りが生まれるのは自然なことです。かといって、いきなり専用の問題集を買い込んで一から対策を始めるべきなのか、それとも今まで通りのかけ流しや読み聞かせを続けていればよいのか、判断に迷われる親御さんは少なくありません。「何級から」「いつから」という問いに、明確な答えを持てずにいるご家庭が多いのです。

「英検対策は専用の勉強から」という思い込みを手放しましょう

Vol.163 | 英検、うちの子はいつから? セクション2

多くの親御さんは、英検対策と聞くと「単語帳を暗記する」「文法を一から教え込む」といった、受験勉強に近いイメージを思い浮かべます。ところが、おうち英語に取り組んできたお子さんの場合、実はその土台はすでにかなりの部分が出来上がっています。耳からたっぷり英語を聞き、絵本を読み、オンラインレッスンで学習を重ねてきた時間は、そのまま英検の土台である「聞いて分かる英語」「読んで分かる英語」の蓄積になっているからです。

ところが、土台があることと、試験で実力を発揮できることは、必ずしもイコールではありません。英検には級ごとに決まった出題形式があり、「意見とその理由を英語で述べる」「初めて見る会話文から話の流れを追う」といった、独特の答え方のパターンが存在します。せっかく英語を英語のまま理解できる力を育ててきたのに、出題形式に不慣れなまま本番に臨んでしまうと、本来の実力より低い評価になってしまうことがあります。つまり必要なのは「一から勉強し直すこと」ではなく、「すでに持っている力を、試験という形式に合わせて発揮できるようにすること」なのです。

英検は「ゴール」ではなく「現在地の確認」

Vol.163 | 英検、うちの子はいつから? セクション3

このことを、日本語の学びに置き換えて考えてみるとわかりやすくなります。子どもは、まず耳から日本語の会話力を身につけ、そのあとで小学校に入ってから「読解」や「作文」という、形式の決まった技能を学んでいきます。会話ができることと、テストで決まった形式の答えを書けることは、育ち方の順序が違う別の力なのです。英語も同じで、まず「聞いて分かる英語」を育て、そのあとで読む力、語の意味を整理する力、文を理解する力、そして考え、書き、話す力へと段階的につなげていきます。英検の級は、この道筋のどこまで進んだかを示す目印であり、それ自体が最終目的ではありません。

実際、パルキッズに4年〜5年ほど取り組んだお子さんが英検準2級レベルに到達するケースは、決して珍しいことではありません。ただしこれは「ある程度の期間やれば自動的に受かる」という意味ではなく、積み上げてきたインプットの量と、英検の級のあいだには、ある程度の相関関係があるという意味です。したがって「いつから英検を受けさせるべきか」という問いへの答えは、「周りが始めたから」ではなく、「お子さんが今どこまで育っているかを確認したいと思ったとき」ということになります。英検は競争の道具ではなく、現在地を知るための健康診断のようなものだと捉えていただくと、気持ちがずいぶん楽になるはずです。

以前、ご相談をいただいたあるご家庭では、親御さんが「まだ早いのでは」と二の足を踏んでいる間に、お子さん自身が「自分がどのくらいできるか知りたい」と言い出したことがきっかけで、初めて5級を受けることになりました。結果は合格でしたが、それ以上に親御さんが驚かれたのは、お子さんが「次は4級を受けてみたい」と自分から言い出したことだったそうです。級という目に見える指標があることで、それまで漠然としていた積み重ねが「自分の力」として実感できるようになり、次への意欲につながった例といえます。英検は、こうした「自分の成長を自分で確かめる」きっかけとして使うのが、本来もっとも健全な位置づけなのです。

申込締切まであと1か月── 今からできる3つのステップ

Vol.163 | 英検、うちの子はいつから? セクション4

では、11月から何を始めればよいのでしょうか。ここからは、12月14日の申込締切までに取り組める3つのステップをご紹介します。ここでは例として、これまで英検を受けたことがないお子さんが、初めて英検5級を受ける場合を想定して考えてみましょう。

STEP1:今の「現在地」を確認する

最初のステップでは、お子さんが今どのくらいの語彙と文理解の力を持っているかを確かめることから始めます。このとき役立つのが英検SKILLSです。これは英検5級から3級に必要な約1000語について、名詞や動詞、形容詞といった意味を担う語(内容語)は意味や場面のつながりから、前置詞や代名詞といった文の働きを担う語(機能語)は英文中での役割から捉え直していくオンライン語彙教材です。日本語訳で一対一に暗記させるのではなく、絵や物語、会話を通して「英語のまま意味を掴めているか」を確認できるため、「5級に必要な語彙と文理解の土台がすでにできているかどうか」を見極める、受験可否の判断材料として活用できます。

STEP2:出題形式に慣れる

英検SKILLSで現在地を確認し、5級に挑戦できる土台があるとわかったら、次のステップでは、その級特有の出題パターンに慣れていく段階に移ります。英検オンラインレッスンは、受験級ごとにレッスンが用意されており、5級なら5級の出題形式に合わせて、必要な単語や重要例文、会話表現を音声とイラストで確認しながら、筆記問題とリスニング問題を繰り返していきます(3級以上はライティング、3級・準2級・2級ではAI面接にも対応)。すでに耳と目で身につけてきた「英語を英語のまま理解する力」を生かしながら、受験級に合わせた答え方だけを後から身につけていく設計になっているため、今さら文法用語を教え込む必要はありません。1回のレッスンが短時間で完結するため、平日のすきま時間に組み込みやすいことも、この時期のご家庭には続けやすいポイントです。

STEP3:申し込むかどうかを判断する

最後のステップでは、実際に申し込むかどうかを決めます。大切なのは、「合格・不合格」を目的にしないことです。STEP1・STEP2で確認した現在地をもとに、「今の力を試験という形で一度確認してみようか」という、現在地確認の延長として申込を検討してください。判断に迷うときは、お子さん自身に「受けてみたい?」と率直に聞いてみるのも一つの方法です。大人が決めた目標よりも、本人が「やってみたい」と感じたタイミングのほうが、本番でも落ち着いて力を発揮しやすい傾向があります。もし今回は見送るという判断になったとしても、焦る必要はまったくありません。英検は年に3回実施されるため、次の機会はまた巡ってきます。申込締切という外部の期限に振り回されるのではなく、お子さんのペースに合わせて判断することが、長い目で見て一番の近道です。

焦らなくて大丈夫。積み重ねは、ちゃんと形になっています

Vol.163 | 英検、うちの子はいつから? セクション5

「まわりの子が先に受け始めた」と聞くと、つい焦って何か特別なことをしなければと感じてしまうものです。しかし、これまで積み重ねてきたインプットは、すでにお子さんの中にしっかりと根を張っています。足りないのは英語力そのものではなく、その力を試験という形式に合わせて発揮するための、ほんの少しの慣れだけです。

英検準2級という到達点も、英書を自分の力で読み進める姿も、一足飛びには実現しません。けれども、今の力を知り、出題形式に慣れ、焦らず現在地を確認していくという今月の3つのステップを積み重ねていけば、その延長線上に、確かな形で近づいていきます。11月は、申込を決める月である前に、お子さんのこれまでの歩みを親子で振り返る、よい機会なのだと捉えていただければと思います。

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。
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