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2022年2月号特集

Vol.287 | 留学派? 国内進学派? どっちがお得?

教育の投資とリターン。国内・留学で比べてみよう

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-2202/
船津洋『留学派? 国内進学派? どっちがお得?』(株式会社 児童英語研究所、2022年)


留学派? 国内進学派? どっちがお得? 日本の大学のランキングがどんどん落ちています。以前、東大などは10位以内に顔を出していたものの、今では50位以内が関の山。落日の如く日本の教育は劣化している。よし、やはり海外の大学だ!などという印象を抱かれている方も少なくないのでは?
 海外の大学へ進学することは大変結構なことですが、その理由が「日本の大学の世界ランキングが低いから」というのはちょっと考えものです。それこそランキングとか偏差値に毒されたものの見方です。
 そもそも、このランキングの指標をよく見ると、留学生の数とか、国際性とか、学問や研究とは直接関係のない項目が入り込んでいます。このような項目が入っていれば、留学生の多い米国や中国の大学が有利になるのは当然のことです。
 日本の大学に外国人が集まらないのは、大学のせいばかりではなく、国としての日本の魅力の低下を反映していることも合わせ考えなくてはいけません。さらに企業からの評価などもありますが、これも実は教育内容や研究内容とは直接関係がありません。以上のような「ノイズ」が入っていることを差し引いて、この「世界大学ランキング」を見なくてはいけません。

 いやいや、大学ランキングの問題ではなく、日本というちっぽけな国に我が子を押し込めたくないんだ、もっと自由な環境でのびのびと育てたいんだ、とお考えの方もいらっしゃるかも知れません。
 大変結構なことです。僕自身も高校と大学で米国に留学して、ずいぶんとものの見方や考え方に影響を受けました。若い頃に、世界を見る。これは残りの人生を生きるにおいて、何にも代え難い経験となることは間違いありません。

 そこで今回は、海外留学や、その後の人生について考えて参りたいと思います。果たして、海外留学が明るい未来への架け橋となるのか、国内に留まっている子たちに豊かに生きる道は残されていないのか。
 などなど、具体的にはアメリカ留学を例にとり、留学にかかるコストや、就職事情、投資コストの回収の見込みについても眺めていくことにしましょう。


アメリカの大学でかかる費用

アメリカの大学でかかる費用 アメリカの大学というと、名門が集まるのがボストン周辺です。ハーバード、MITあるいは音楽系の大学などいくつもの大学があります。
 アメリカの大学は、日本とは逆に、公立よりも私立の方が優秀な傾向にあります。スタンフォード、イェール、ブラウン、ペンシルバニア大学など、やはり私立ですね。公立では、ミシガンやカリフォルニア大のロサンゼルス校、ジョージア大学などが上位にランキングしています。

 気になるのはその学費です。私立大学なら年間の学費が$53,000程度です。生活費を合わせると、年間8万ドルくらいですので、4年間で32万ドルですね。円ドルレート$1=115円で換算すると、3,680万円です。
 奨学金の制度もあり、ほとんどの学生は何らかの奨学金制度を使っています。それでも、年間5万ドル(同じく575万円)くらいは覚悟しなければなりません。もちろん、これはアメリカ国籍を持っている学生の話なので、日本からの留学で奨学金を期待することは絶望的です。もっとも、奨学金を当てにするようなら最初から海外留学など考えないのが普通でしょう。

 上記はあくまでも私立大学の話です。州立大学になれば、ずいぶんお安くなります。
 UCLAの学費は年間$13,000です。寮や保険など諸費用をいれると$36,000ほどなので、4年間で15万ドル、日本円で1,700万円程になりますが、それでも私立大学よりはずいぶん安く済みます。
 しかし、これはあくまでもアメリカ国籍を持つカリフォルニア州の住人の話ですので、住人でない場合には、ここに4年間で12万ドル、日本円にして1,400万円程余計にかかることになります。つまり3,000万円ですね。これでも私立より2割ほど安いことになります。
 もちろん、中西部など地方の大学であれば、もっと安く留学できます。それでも2,000万円くらいは軽くかかると思っておけば良いでしょう。この2,000万円、覚えておいてください。

 他方、日本の大学はというと、私立の学費は人文科学系で4年間で400万~500万円、自然科学だと600万~、医学部で1,400万ほどです。寮やアパートなどに住めば、これに年間150~200万円程、4年間で600万~800万円プラスの費用がかかります。従って、人文科学系で1,000万円から、医学系だと2,000万円程となります。これも覚えておきましょう。
 国公立に進むなら、自然科学や人文科学科に関わらず、4年間の学費でだいたい200万円程です。生活費を入れても4年間で800万円程で済むことになります。これも覚えておきましょう。

 アメリカの地方大学で2,000万円は、慶應の医学部と同程度の投資となりますし、アメリカの私立大学の3,500万円を見ると、日本の国立大学の400万円が、桁違いに安いことが分かるでしょう。無償化が叫ばれていますが、今でも十分に日本の大学の学費は安いのです。


投資から得られる利益とは?

投資から得られる利益とは? さて、それでも3,000万円の投資をすることで、我が子の未来に明るい光を差すことができれば、親としても頑張り甲斐があると思います。ここからは、大学を出てからその先の話、就職について見ていきましょう。

 日本は大学2年生くらいから就活がスタートします。インターンとしてせっせと顔を売ったり、就活に馴染んでいくのです。
 しばしばニュースでは「4月就活スタート、6月内定解禁」などと言われますが、それはあくまでも経団連などに参加している企業が自主的に従っているルールであり、まったくそれらのルールに囚われていない業種や企業も少なくありません。
 例えば、外資系は3年生の9月あたりから、マスコミは同じく3年生の12月当たりで内定が出始めます。つまり、「4年生の4月から就活スタート」などと暢気なことを言っている学生を傍目に、しっかり者たちは4年生になる前に早々に内定をゲットしているわけです。
 ぼんやりしている学生たちも、そうでない学生たちも、このようにして日本特有の「一括採用」による就活が終われば、社会人生活がスタートします。そして、もはや神話となっている「終身雇用」「年功序列」の世界に入れると、つまり安心して今後の人生を過ごせると、勘違いしている学生が大量生産されていくわけです。

 しかし、現実はそう甘くはありません。最初の3年で3割の新入社員が「合わない」という理由で辞めていくわけです。それもそのはず。そもそも自分が希望している業種に就職できる学生はそれほど多くなく、50も100も応募した企業の中から内定をくれた “ありがたい” 会社に就職するだけのこと。その会社や仕事と、本人の特性とがマッチしているなどということは、あまり期待できるものではないでしょう。
 これが、日本の就活の有り様です。


アメリカの就活事情

アメリカの就活事情 では、アメリカでの就活はどうなっているのでしょう。
 日本では、大卒の就職率は100%に近い9割台後半です。つまり、大学を卒業すれば、ほとんどの学生たちはどこかに就職するわけです。
 他方のアメリカには、日本のような「一括採用」などといったシステムはありません。企業は必要な時期に、必要に応じて労働者の募集をするわけです。学生はというと、大学卒業までに就職が決まっている方が少数派ですし、日本のように就活に配慮して授業運営が行われることはありませんので、学生たちは卒業までせっせと勉学に励むことになります。「就活です」のひと言で講義を休めて、単位ももらえる日本の大学とは大違いです。
 アメリカの失業率は日本より高く、一括採用のない大卒の失業率は、学部を卒業した時点で最も高く10%程度。その後、年齢が上がり、つまりキャリアを積むにつれて下がっていき、30代になると5%程度に落ち着きます。
 一方、高卒以下の失業率は15%ほどなので、やはり大卒は高卒以下よりは安定した社会生活が送れると見込めます。

 しかし、これもあくまでも「仕事がある」というだけの話で、大卒者でも大卒の知識の不要な「不完全雇用」という就業形態に甘んじているケースが少なくありません。実に、大卒の4割強が不完全雇用に陥っているのです。
 不完全雇用は、当然ながら賃金も不完全ですので、学生ローンの返済などに追われて生活が成り立たないケースが社会問題となっています。それはそうです。学生時代に背負った2,000万円もの借金を、どうやってバーテンダー等の仕事で返せば良いのかは、私にも皆目見当がつきません。
 ちなみに、この不完全雇用。日本でも常態化していますが、皆さん暢気なのでニュースにもなりません。こんな事なら大学での勉強なんか意味がない、ということで、大学は「入ればOK。勉強なんかしなくても良い。」と思っている若者も少なくないでしょう。何とも情けない文化を創ってしまったものです。

 さて、高い失業率。これが、夢の国アメリカの現状です。

 しかも、これはアメリカ人に起きていることです。日本人はアメリカの大学を卒業すると、失業すらできません。なぜなら、留学生である日本人は「就学ビザ」がアメリカ滞在の根拠だからです。つまり、アメリカでは就職はできないのです。
 もちろん、コネがあって就業可能なビザを提供してもらえればその限りではありませんが、そもそも何の技術も専門的知識も持たない東洋から来た若者を、同胞のアメリカ人より優先して雇用する経営者があるのか…。この点に思いを馳せれば、留学生のアメリカでの就活が困難であることは言うまでもありません。

 つまり、日本人はアメリカの大学を卒業しても、就職のアテもなければ、滞在の根拠すらもなくなるわけです。


やっぱり日本の企業でしょう♪

やっぱり日本の企業でしょう♪ それでは困るので、どこか就職先を…と探した彼らがたどり着く先は、日本の企業です。
 よし、ボストンキャリアフォーラムだ!となる。いわゆる「ボスキャリ」ですね。海外の大学に留学している学生たちが、就活の機会を逸するのを避けてくれるシステムです。
 外務省などの省庁やIT企業から、「なぜこの企業が英語を話す人材が必要なのか?」と訝るような会社まで、百数十社が参加して採用活動を行います。留学生のためのセイフティーネットのようなものです。

 このボスキャリ、ES(エントリーシート)や自己アピールの活動など、日本の一般的な就活より骨が折れることもあるようですが、それでも内定が取れれば御の字です。ここで失敗すれば、結局は日本に戻って、改めて就職活動をすることになるわけです。
 ところで、これは日本の国内大学に在籍しながら留学する学生の話です。このような交換留学でなく、自らアメリカの大学へ入学した学生たちは、その大学を卒業してしまえば日本に戻るしかなく、そして、日本に戻ってきたとしても、日本の大卒者と一緒に就活をすることになります。
 採用側の日本の企業からすれば、なんだか価値のよく分からない海外の大学の卒業証書。ずいぶんと心細い就活になりそうです。


結局は日本に戻ってくることに

経験的帰納、分析ディープラーニング どうも日本人は「キャリア」の意味を、正確に理解していないと思います。
 「キャリア」とは、自らに身につける職歴や技能・能力のことです。例えば、上級職の要求にMBAがあれば、せっせと取得して自らのキャリアアップをはかる。そして、より条件の良い企業への転職を繰り返して、さらなるキャリアを積む。これが、本来のキャリアのあり方だと考えています。
 ところが、日本ではこのキャリアが企業に内部化していて、就業を継続している特定の企業内での昇進・昇級をキャリアアップだと、漠然と受け止めている人が少なくない印象を受けます。

 つまり、同じ会社で働き続けて、その会社で古株になることを目指す日本の企業人と、自分自身にスキルや能力を身につけていこうとするアメリカの企業人では、もともと働き方に対する意識が異なるのです。
 我が子をアメリカ人よりアメリカ人らしく、一匹狼で自らの人生を切り開いていく子どもに育て、アメリカ社会の厳しさを理解させた上で、子どもと十分にコンセンサスを整えて、アメリカ社会に飛び込ませる…。これもひとつの魅力的な考え方であることは間違いありませんが、途中で挫折したり、卒業後に日本に帰ったりなど、アメリカ国内での就活がうまく行かなかったときには、かなりのリスクが伴うことは予見しておく必要がありそうです。

 さて、いずれにしても、アメリカの大学で学んだ日本国籍を持つ大半のお子さんたちは、外資系も含めた日本の企業に勤めることになると思われます。
 そして、当然のことながら日本の大学生たちと横並びで就活をして、日本の企業に勤めるのであれば、初任給も日本の学生たちと横並びです。違うのは英語ができること。しかし、英語ができることなどは珍しくも何ともないので、「海外の大学を出たユニークな経歴の人」というラベルで、日本の企業文化の中で、他の日本人と横並びで出世競争をすることになるわけです。


大谷選手方式で

大谷選手方式で それであれば、投資額も数分の1で済む日本の私立大学、あるいは十分の一ほどで済む旧帝大への進学も、悪い話ではなさそうだと思います。

 この話を書いていて、大谷選手のことが思い浮かびました。私は、野球にはさほど興味もありませんし、詳しくもありません。ただ、大谷選手が最初は日本の国内リーグで力をつけたこと、そして、その後にアメリカで成功を収めたことくらいはうっすら聞き知っています。
 どうなのでしょう。大学からドーンとアメリカへ行かせたものの、結局現地では就活の箸にも棒にも引っかからずに日本に戻るのであれば、国内の大学で実力を蓄えて、同時に国内の大学から米国の大学への留学を目指すのも悪くはないと思います。

 ほとんどの大学では、交換留学の制度があります。例えば、上智大学にもいくつか留学制度があって、学生たちはそれらを利用して海外の大学へ1年間なりの留学をしています。多少のお金はかかりますが、基本的には国内の大学に在籍するので、アメリカの大学へ直接留学するのとは比べものにならない程度のコストです。
 それどころか、聞くところによると、交換留学に際して「お小遣い」すらもらえる学生もいるようです。
 海外を経験して見聞を広めるのが留学の目的であれば、それは1年でも十分に達成することはできると思います。それであれば、国内の一流どころの大学を目指し、そこから留学するというのも十分選択肢のひとつとなり得るのではないでしょうか。
 つまり、大谷選手方式です。

 繰り返しますが、日本の大学の学費は安い。しかも、国立大学に至っては、「超」がつくほどお安い。さらに、国立大学、特に旧帝大には大量の税金が使われていて、その設備たるや、私立大学の及ぶところではありません。
 ちなみに、我が家の長男坊の話によると、慶應大学には1台しかなかった検査機が、東京大学には各フロアに設置されており、さらに彼が所属していた理化学研究所では、各研究室に1台ずつあったそうです。

 このように恵まれた環境が与えられているのが、旧帝大レベルの大学です。おそらく、アメリカの州立大学よりも、さらには私立名門よりも、あるいは恵まれた学習環境だと思われます。
 もちろん、留学生の数や国際基準に合わない点で、世界的なランキングが低いことが気になるのであれば話は別ですが、そうでなければ、身近なものは親でも使え、とばかりに国内の施設を使い倒すのは賢明な選択だと思います。国内で実力を培う、大谷選手です。


「プランA」と「プランB」

プランAとプランB さて、しばしば引き合いに出す「プランA」と「プランB」をスポーツ選手になぞらえてみると、「プランA」がテニスの錦織選手で、「プランB」が野球の大谷選手とも考えることができそうです。
 錦織選手のように、世界レベルのテニス選手にすると決めて、ジュニア時代からテニスの専門学校に入れてしまうような教育法もあるでしょう。最近ではこのやり方も増えてきているようで、様々なスポーツのジャンルで海外留学が行われているようです。
 ただし、もちろんお金がかかるので、完全に自己費用で行うのは難しいかも知れません。少なくともスポンサーがつく程度の実力を、ジュニアの段階から発揮しておかないといけません。

 他方の大谷選手式も、少ないわけではありません。野球やサッカーなどのスポーツでは、国内で実力を身につけて海外へ飛び出すルートも、すでにしっかりと轍ができて、ルートが整っているように思われます。

 仮に、米国大学進学を「プランA」、国内に本拠地を持ちながら海外に留学したり、じっくり実力を培った後で海外に進出したりすることを「プランB」とします。
 両プランでは、その「安全度」が違うことは明白でしょう。すなわち、もう後戻りができない環境に自分を追い込むのであれば「プランA」でも十分にいけますが、うまく行かなかったときに、軌道修正が難しいのも「プランA」でしょう。

 海外を経験して見聞を広めるのが目的であれば、「プランB」でも十分に目的は達成できます。つまり、高校や大学での留学、あるいは大学院から留学するという手でも問題ないわけです。
 またアメリカで職を得て成功を収めたいのであれば、「プランA」である必要は無いどころか、逆に「プランA」の方がリスクが高いことはすでに述べた通りです。
 また、アメリカの大学を出た後、日本の企業に就職することになるのであれば、「プランA」でアメリカの大学へ入学させることが、費用対効果の面において、さらには就活時にデメリットになることもあるということは、心に留めておくべきでしょう。

 それでは、以下、国内にベースを据えてそこで実力を培う「プランB」からの海外進出、あるいは見聞を広げる例を見て参りましょう。


「プランB」から目指せる「プランA」。大学院で留学

プランBから目指せるプランA、大学院で留学 居酒屋に入ったらビールを頼むのと同様に、大学進学を志すなら「とりあえず東大」を目指しておくことを、私は兼ねてからお勧めしています。
 理由は単純明快です。その程度の学力があれば、海外の大学へ留学しても、十分に彼の国のエリートたちとも戦えますし、何かうまく行かなかったときにも、自分の頭脳を頼りに困難を切り抜けて未来を切り開いていくことができます。

 また、大学在学中に特定の分野へ進むことを心に決めたならば、マスター(修士)やドクター(博士)は海外の大学で取得することも可能です。もちろん、大学院も学部と同様にお金がかかりますが、「プランB」の東大コースであれば、卒業までに数千万円単位でコストを削減できているので、院の2年分くらいは何とか捻出できるはずです。
 
 「キャリア」の段で少し触れましたが、アメリカでは特定の職種のランクに、学位が義務づけられることが少なくありません。アメリカでマスターの学位を取っておけば、学部卒(学士)とは比べものになりないメリットがあります。

 つまり、「プランB」からスタートして、結果として「プランA」の夢を叶えることができるのです。より低コストで、しかも、安全に。
 いかがでしょう。このような考え方も、選択肢のひとつとして頭に入れておいて損はないと思います。


「プランB」の中で高校留学

プランBの中で高校留学 世の中には便利な制度があるものです。高校からの交換留学の制度もあります。現に、私も弟も、私の長男もこの制度を利用してアメリカに留学しています。
 「プランA」が何かにも依りますが、若いうちに海外経験を積ませて、さらには最低限の英語力を身につけさせるのであれば、高校での交換留学は悪い手ではありません。上智大学からの弊社インターンの学生の多くも、高校時代に留学しており、ある程度以上(英検でいえば準1級以上)の英語力を身につけている者がほとんどです。

 英検準1級を持っていれば、いわゆる公募推薦の資格がありますので、他にGPAなどもクリアしていれば、難関大学へのAO入試も可能です。

 高校での留学は制度によって異なりますが、独自の留学制度を持ってる高校も少なくありません。また、公的な機関による留学の制度もあります。こちらもお金がかかりますが、それでも1年間の留学で150万円前後です。行政からは、これらの留学制度の利用に補助金が出ることも珍しくありません。
 高校時代に1年間留年して、大学進学を目指せば、英語力も担保でき、さらには留学分の1年間を留年することで他の受験生と同等の受験勉強の時間が確保できるので、入試準備も問題ありません。それどころか、英語の勉強に時間を割かずに済むので、逆に受験は楽になるでしょう。

 そのようにして、旧帝大へ入れれば御の字ですし、難関大学へ進学し、既述のように大学院は海外へ進むことも十分に可能です。特に、より早い段階で英語力が担保できている点は、大学からの留学よりもメリットが大きいかも知れません。


「プランB」を目指すなら

プランBを目指すなら さて、以上のように、子どもの教育にはお金がかかります。
 最もお金がかかるのは、大学です。海外だと4年で3,500万円。国内だと国公立・自宅生の200万円~2,000万円程の開きがあります。皆さんはどれを選びますか?それによって、進学させるべき高校、中学は決まってきます。そして、進学させる中・高が決まれば、学費も決まります。
 高校まで、すべて公立であれば数百万円で済みますが、私立であれば1,000万円はかかります。
 さて、この1,000万円。果たして、高いですか?安いですか?
 地方の場合には、公立も良いのかもしれませんが、都市部の特に公立小学校では、生徒間の学力の幅が激しくなっています。しかし、「公立」である限り全生徒を平等に扱わさせるを得ず、結果として学力の低い子どもたちに照準を合わせた授業運営が成されることもあります。
 それであれば、同じレベルの子どもたちと研鑽し合わせる私立の方が、子どもは安心で安全な環境で勉強できることでしょう。
 そうして、それが国公立のより優秀な大学へと道を開いてくれるのであれば、旧帝大でなくても、超難関レベルの私立へ進学できるのであれば、就職活動においてデメリットを被ることはありません。すると、1,000万円は安い投資とも思えるのは私だけではないでしょう。

 それでは、旧帝大や超難関私立大学を目指す程度の学力を身につけさせるには、今、何をしたら良いのか。
 これに関しては2点です。1点目は、言うまでもありません。小学生のうちに英検準2級レベルの「英語力」を身につけさせておくことです。そして、2点目は『パルキッズ通信2021年7月号』でも述べているように、語彙や理解力を育て、高い「国語力」を育てておくことです。
 後者によって、国数理社から中学の数学、あるいは物理へと導くことができます。また、前者によって、後者からは育てることのできない英語力を身につけさせることができるのです。


やはり、英語なんです

やはり、英語なんです 「国語力」を育てることで、地頭の良い子、他の教科も押し並べて良い成績が取れる子に育てることはまず重要です。ここでは、これに関しては一旦保留するとして、もうひとつの「英語力」の育成も同時にしておかなければ、「プランB」が叶わなくなります。

 「プランB」を選択して、高校で留学する場合には、少なくとも英検2級程度の英語力が課されます。大学で留学するにしても、他の優秀な学生たちを押しのけて行くわけですから、かなり高い英語力、英検なら準1級程度の英語力は必要となります。
 大学院での留学は、特に競争はありません。しかし、現地の学部卒の学生たちと横並びで、専門性の高いエリアに関して議論を戦わせられる程度の英語力、つまり英検準1級から1級程度の英語力は身につけておくことが望ましいでしょう。英語で躓いているようだと、現地で過ごす時間のかなりの部分が、英語力に足を引っ張られてしまうことになりかねません。

 そして、「プランA」を目指すのであればもちろん、英検準1級以上の英語力は持っていなくてはいけません。

 つまり、いずれにしても、英語力を身につけておくことは必要なわけです。
 その上で、「プランA」か「プランB」が、ようやく選択肢として見えてきます。英語ができなければ、まるでお話にならないわけです。
 その英語力も中学・高校で頑張るようでは、ある意味、後手に回っていて、苦労もさることながらコストも馬鹿になりません。やはり、幼児期に基礎を身につけてしまって、小学生のうちに英検準2級を取っておくことが望まれます。
 より良い環境を目指して、中学受験、高校受験、大学受験をするに当たり、英語が子どもたちを助けてくれることは言うまでもないのです。


 さて、今回は海外の大学進学、あるいは留学の現実に関して書いて参りました。子どもを海外に出すことは、いずれにしてもお金がかかりますし、子どもの将来のあり方に(正なり負なりの)大きな影響力を持ちます。
 今回のトピックを、ご家族で、あるいは子どもたちと、将来に関してじっくりと話し合うネタにでもしていただければ幸いです。


【編集後記】

今回の記事をご覧になった方におすすめの記事をご紹介いたします。ぜひ下記の記事も併せてご覧ください。
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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業。実用英語技能検定1級取得。30年以上に渡る幼児教室・英語教室での教務を通じて幼児の発達研究に携わるかたわら、「パルキッズ」などの英語教材を始めとした幼児向け教材を多数開発。また、全国の幼児・児童を持つ親に対して9万件以上のバイリンガル教育指導を行う。講演にも定評があり、全国各地で英語教育メソッドを広めている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『どんな子でもバイリンガルに育つ魔法のメソッド』(総合法令出版)『ローマ字で読むな!』(フォレスト出版)『英語の絶対音感トレーニング』(フォレスト出版)など多数ある。

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