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2019年5月号特集

Vol.254 | 絵本の作法

絵本を与えた量で差がつく3歳以降の英語力

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1905/
船津洋「絵本の作法」(株式会社 児童英語研究所、2019年)


特集イメージ1 「毎日何冊くらい絵本を読んであげていますか?」
 「お子さんに絵本を読んでほしいと求められますか?」
 「1年に何冊新しい絵本を与えますか?」、、、そして、
 「お子さんは絵本好きに育っていますか?」

 子どもは絵本が大好きです。どのご家庭にも絵本の数十冊は備えてあるでしょう。子どものことばの発達と絵本とは切っても切れない関係にあります。
 では、言語習得に絵本は必要でしょうか。意外かも知れませんが、答えは「否」です。ことばを習得するのに絵本は必要ありません。子どもたちは、母親や家族の語りかけ・会話の中でことばを身につけていきます。極論すれば、1冊も絵本のない家庭でも、子どもたちは日本語を身につけます。
 当たり前ですね。絵本など存在しない太古の時代から、子どもたちはことばを身につけてきたわけです。絵本は、ことばの発達に重要な役割を果たしますが、ことばの獲得に不可欠な要素ではありません。
では、「絵本は不要」なのでしょうか?答えは、これも「否」です。ことばの回路の獲得自体、つまり「生活言語」の獲得には、絵本は必ずしも必要ではありませんが、その先の段階における言語能力を決定づけるのは絵本です。たくさん絵本を与えられた子と、絵本をあまり与えられなかった子とでは、その後の長い人生における言語能力に決定的な差が付くのです。
 さて、この「言語能力」。なにやら煙に巻かれたような感じがする複合語ですね。「言語能力」とは一体何なのでしょうか。
 これも過去『パルキッズ通信』で触れましたが、ことばの使用のとても大きな部分は「思考」が占めます。ことばは「コミュニケーション」に使用される面もありますが、コミュニケーションと思考のどちらでの言語使用が多いでしょう?胸に手を当てて考えてみれば明らかです。どう考えても「思考」ですね。もっとも、最近は「スマホ漬け」で思考する暇がない人も少なくないようですが…。いずれにせよ、「思考」するために、ことばは必要です。言い換えればヒトはことばを得たから「思考」できるのです。
 ことばは、もちろんコミュニケーションにも使用されます。コミュニケーションといっても会話ばかりではなく、情報の伝達もコミュニケーションですので、今これを読まれている皆さんは、私が「思考」を通して生み出し、発信した単方向の情報を、文字を介したコミュニケーション経由で、つまりことばを通して受容しているわけです。このように情報の「発信(産出)」や「受容(知覚)」にも、ことばは使用されます。
ヒトのことばの使用は、日常的な「生活言語」レベルでは、極めて卑近なやりとりに終始します。しかし質の高い情報の交換や思考には「生活言語」より上位の「学習言語」レベルの言語能力が求められます。そして、高い言語能力、レベルの高い「学習言語」を身につけられるか否かの最初の分岐が、乳幼児期の「絵本」の与えられ方に直結するのです。
 ということで、今回は「絵本」の凄さについて、少し掘り下げて考えていくことにします。


読解力と優れたレキシコン構築

特集イメージ2 『パルキッズ』の学習では『アイキャンリード』や『アイラブリーディング』などの絵本のセットを「読解力育成教材」と位置づけています。
 学習の段階としては、まず『パルキッズ』をかけ流すことによって英語を耳で聞いて、日本語に訳すことなく直感的に英語のままイメージ・理解する能力、言い換えれば「生活言語」レベルの英語力を身につけることを促します。
 ただ、それでは単に「英語が聞き取れて理解できる」というだけのことです。日本語(母語)でいえば3~4歳児レベルの言語の運用能力に留まります。
 もちろん、この幼児レベルの聞き取り・理解力すら身につけられないのが日本の英語教育であることは言うまでもありません。それで皆さまには「せめて我が子には…」と『パルキッズ』の学習をお選びいただいたわけです。
 しかし、幼児レベルと言って馬鹿にしてはいけません。その幼児レベルの英語力が身につけられなければ、それ以上の英語力など身につけられません。グローバル化がますます進む社会で、「日本村」に取り残された寂しい人生を、村の仲間と共に送るわけです。要するに『パルキッズ』で身につける「生活言語」レベルの英語力が、その後の長い人生のコミュニケーション能力の幅を広げてくれる英語力の土台となるのです。
 しかし、土台はあくまでも土台です。その上に洗練された言語能力を身につけてこそ、優れた土台もようやくその真価を発揮するというものでしょう。
 洗練された言語能力に必要なのは、豊かな語彙と表現です。言語学ではレキシコンと呼ばれる心内辞書(語彙)が豊かであれば、理解できる情報の幅は広がり、物事を的確に表現できる能力も高まります。その優れたレキシコン構築の第一歩となるのが、大量の絵本に触れさせることです。
 まずは、読み聞かせで大量の絵本に触れさせることで、絵本好きに育てます。そして、絵本を繰り返し読んであげているうちに、自分で文字を読みはじめ、読解力が身についていきます。以上の点については後述しますが、この「解力の育成」が「絵本の暗唱」から得られる最大の効果です。そして、既に述べたように、読解力の育成の過程において大量の絵本に触れることで、「優れたレキシコンの構築」をスタートすることになるのです。


絵本の読み聞かせ

特集イメージ3 英語の話になるといきなり分かりにくくなるので、日本人と日本語の絵本の関わりを、入力面の質や量、並びに出力から読解力に至るまでの過程を概観することにしましょう。
 ひとくちに「絵本」といっても、0歳でも楽しめるものから大人が味わえるものまで、相当な幅があります。最初からストーリー性の高いものや人情ものを与えても理解できません。そこで、0歳や1歳児など、言語獲得期に相当する段階の子どもたちに与えるものとしては、自然と、擬音語・間投詞が多いもの、繰り返しが多いもの、1ページの文が短いもの、総ページ数の短いものや絵のコントラストのハッキリしているものを選んでいるのではないでしょうか。もちろんそれで結構です。
 ところで、絵本は買いますか?借りますか?これは意外と重要なポイントです。
 こんなことを耳にした記憶があります。「絵本は思いのほか高いので、まずは図書館で借りて、気に入ったものがあれば買う。」
 いかがですか?確かに絵本は安くはありません。また片端から買い与えても、子どもがあまり興味を示さないものもあるでしょう。だから、興味を示すものだけ買う。確かに一理ありそうです。
 ただ、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。出版社は慈善団体ではなく営利団体ですから、読む価値があり、売れると判断して出版するわけです。つまり、どんな絵本も「これは読まれる価値がある・売れる」と少なくとも誰かが判断しているのです。
 しかし、その絵本を読む側に目を向けると、理解のレベルはまちまちです。
 たとえば「いないいないばぁ」を例に取りましょう。生後半年の子は、いないいないばぁをされると、突然出てきた顔に驚いて泣くかも知れません。1歳が近づくと顔が消えてしまったり、再び表れたりすることに興味を示します。そして1歳も過ぎると、この遊びを楽しめるようになり、1歳半を過ぎれば「いないいないばぁ」とクリアに言えるようになります。そして、いつしか飽きてしまいます。
 それでは、『いないいないばぁ』の絵本は、いつ与えたら良いのでしょうか?生後半年では興味を示さず買い与えなかったとしても、半年から1歳の間には、この概念を理解できるようになります。つまり、最初に読んであげた月齢で興味を示さないからといって、「この絵本はダメだった」ということではないのです。本人の発達や理解の度合によって、いつしか興味を示すようになります。
 また、これは重要なポイントですが、理解できる絵本が増えてくれば、言語の知覚能力が高まり、次第に高度に芸術的、知的なものも理解できるようになります。一時の判断で善し悪しを決めてしまい、その情報を入力しないことによって、言語能力を高めるチャンスを失ってしまうのは大きな損失だと思いませんか?
 できれば、年齢別の定番の絵本くらいは、すべて揃えておいてあげるのが良いでしょう。
 文字とのふれ合いは、なるべく早くすることで、まず絵本好きに育ちます。絵本好きに育てば文字への興味も早くから湧きます。読解力育成への道筋もつけられて、さらにその過程でレキシコンを豊かにすることもできます。ここの投資をけちって、後悔しないようにしましょう。ざっと、年間50冊ずつくらいは増やしてあげると思っておけば良いでしょう。


絵本の優れポイント

特集イメージ4 読み聞かせから暗唱に至る経過について書く前に、ここで絵本の優れているポイントを幾つか挙げておくことにします。
 言語獲得に関わる「入力」には様々なソースがあります。ひとつに母親や家族の語りかけがあります。そしてもちろん今回のテーマである絵本もあります。他にも童謡やフラッシュカード、物語の読み聞かせ、さらに漢字かな交じりの文字表記などが、言語獲得期に子どもたちが受けとる言語情報です。これらと絵本を、情報のソースとして比較してみます。
 まず、言語獲得に不可欠の日常会話と絵本の存在を比べてみましょう。すると、ずいぶんと入力の質が違うことに気づきます。日常会話は、不完全な文のオンパレードです。名詞や動詞、主語や述語が省略されることは日常茶飯事。格助詞の省略も頻発しています。
 さらに「あれやる」「これする」の類いの指示語や代動詞も頻繁に使われます。日常会話では視覚も使われるので、わざわざ名詞を言わなくても指示語で足りてしまうことが少なくありません。例えば「電源に触ってはいけない」と言うべきところを「それ触っちゃダメ」となります。指示語が使用され、格助詞が落ちています。さらに指示語が落ちれば「触っちゃダメ」になり、動詞まで落ちると「ダメ」というシンプルな一語文になります。
 これは、相当気をつけていてもどうにもなりません。ヒトの日常的な活動には、経済性原理(最小限の努力で目標を達成しようとする)が働きます。我々は、なるべく手抜きをするように生まれついているのですから、仕方がありません。
 しかし、絵本はそうではありません。もちろん、意図的に指示語が使われているものや格助詞が落ちているものもありますが、日常的に繰り返される大人たちの手抜きの日本語に比べれば、言うまでもなく良質の文で作られています。つまり、絵本を通して、きれいな日本語を聞く機会が増えるのです。
 また、日常会話では、極めて限定的で同じようなことばかりが繰り返されます。しかし、絵本は違います。子どもと二人きりで会話の内容に窮しても、絵本を開けば、そこには良質の日本語の情報が詰まっています。絵本には、基礎概念をテーマにしているものが多く、数、形、色、空間認識、弁別、比較など、早期教育で行われるような情報までも、楽しみながら自然と入力できる点も絵本の優れた点でしょう。
 さらに、低年齢向けの絵本はとても短いので、30秒もあれば1冊を読み終わってしまいます。幼児は集中が途切れやすいので「短さ」は極めて重要なファクターです。
 日常会話との比較ばかりでなく、フラッシュカードとの比較でも絵本の優秀さが際立ちます。フラッシュカードはひとくちに言えば「つまらない」ものです。すぐに見なくなってしまいます。しかし、絵本は芸術性が高く、ストーリー性もあるので、フラッシュカードとは比べものにならないほど、子どもたちは興味を示し、繰り返し見てくれます。
 この点、童謡とも似ています。ただ音声のみの童謡と比べても視覚情報があるので、絵本の方が語彙化がスムーズに行われます。 
 このように、絵本は日常会話・フラッシュカード・童謡などの要素を含みつつも、語彙や表現のソースとしては最も優れていることがお分かりいただけると思います。その上、文字情報が印刷されていることにより、読解力の育成に寄与することは言うまでもありません。


入力が全て

特集イメージ5 絵本の読み聞かせには、いくつかのルールがあります。特に「読解力の育成」を視野に入れたときには気をつけておいた方が良い点があるので、そのあたりを見ていきましょう。
 まず、「絵本は入力がすべて」です。絵本を与えるときには、これを心に刻んでおいてください。特に音声の入力が重要です。
 まず、読んであげるタイミングと絵本の選択についてです。読んであげるタイミングの第一は単純明快、子どもが絵本を持ってきたときに、持ってきた絵本を読んでやれば良いのです。しかし、子どもは気まぐれです。待っているばかりでは仕方がありません。そこで、積極的に与えることが必要となります。
 その際の絵本の選択は、機械的に順番に読んでいくのではなく、例えば2冊を目の前に与え、そのいずかを選ばせると効果的です。なぜなら自分で選択している分、選ばせた方が積極的に見てくれるからです。
 1回に読む冊数は、月齢や体力、集中力にもよりますが、見てくれるようであれば、5冊でも10冊でも読んであげましょう。少なくとも1日1回、可能であれば何回でもこれを実践します。これが繰り返しの入力になります。
 しかし、いつも最後まで集中してくれるわけではありません。絵本を読んであげている最中に、目をそらしたり、どこかへ行ってしまうこともあります。読んでいる親からすると置いてきぼりを食った形になり、絵本読みを中断したくなります。しかし、ここで止めてしまっては入力になりません。子どもが見ていなくても、離れて行ってしまっても、少なくとも最後まで読み切りましょう。思いのほか、子どもたちは親の読み聞かせの音声にはそれとなく聞き入っているのです。
 その他にもいくつか注意事項があります。①オーバーな抑揚は不要です。②絵の指さしも不要です。③文字の指さしは御法度です。④書いていないことを言うのは避けて、⑤スピード感をもって読みましょう。
 簡単に説明しましょう。①子どもの気を引くためにオーバーに抑揚をつけることは、幼児が対象の業界では一般的に行われていることです。しかし、本来面倒なことですし、子どもたちは普通の声で読んでも見てくれるものですので、淡々と読んであげると良いでしょう。もちろん、オーバーにやりたい方はどうぞご自由に、と注釈をつけておくことにします。
 ②絵の指さしも少なからずやっていらっしゃるのではないでしょうか。特に子どもの視線がふらふらしていると、音声と意味を結びつけようとして、音声に該当する部分を指さしたりします。しかし、意味づけは幼児たちの脳に任せておけば結構です。指さしをすると、余計な時間がかかったり、お互いにストレスを感じたりするので、あくまでも「入力」と割切って、淡々と読み進めましょう。
 ③文字の指さしも不要です。これは不要どころか弊害があります。読ませようとすると、途端に絵本はつまらないものになってしまいます。絵本は「絵本」というように「絵」を主体とした本です。そこに音声を載せてやるだけで絵本の意義は完結します。もちろん、その先には読解力の入り口があるのですが、そこまでは子どもが自然とたどり着くのを待てば良いのです。文字を指さしして、絵本を教科書にしてしまうことは避けましょう。
 ④絵本を読んでやるときには、そこに書いてあることだけを読んであげましょう。子どもはそれを黙って聞いているはずです。もし、子どもの方から特定の挿絵を差して「○○だ~」などの発言があれば、「そうね、○○ね」などと軽くいなして、先へ読み進めましょう。基本は入力です。それも繰り返し入力することが大切です。読んでいる母親の側から積極的に脱線して、繰り返しにならない入力をすることは避けた方が良いでしょう。
 最後に、⑤素早く読むことを心がけましょう。素早く読むことで、過剰な抑揚を付けたり、絵や文字を指さしたり、書いてないことを話し出したりすることも避けられます。また、早く読むことで次々と場面が変わると、子どもの集中力が途切れにくくなります。この点はしっかりと心がけましょう。


暗唱のはじまり

特集イメージ6 さて、このように入力を続けると、子どもは絵本の内容をすっかり記憶してしまいます。すると、暗唱が始まります。
 記憶してしまうと、次のようなことが起こります。一人でページをめくりながら黙って絵本を眺めていたり、読み聞かせ中にタイミング良く内容を口にしたりするようになります。これらが暗唱の始まりです。
 一人黙々と絵本を眺めている状態は、単にページをめくっているのではなく、頭の中で母親の声が鳴っているのです。これこそ、入力の成果と言えるでしょう。
 また、母親の膝でタイミング良く内容を口にするのも、最初は断片的かも知れません。記憶に残りやすい部分のみ頭の中で鳴っているかも知れません。しかし、ここが重要なポイントですが、入力したものはすべて入力されるのです。つまり、ここは入力されるが、この部分は入力されない、ということはありません。ただ、子どもにとって出力しやすい部分と、しにくい部分があるだけのことです。つまり、一部を口にするということは、すべて同じように入力されていると考えて良いのです。
 ここでも焦りは禁物です。まだ読みには至りません。「暗唱」のステージを経て、読みに繋がりますので、この状態からも引き続き入力を継続します。このあたりからは、子どもはすべて覚えてしまっているので、さらにスピードをあげて読んでいく必要があります。ぐずぐず読んでいると、あっという間に飽きてしまうのです。


絵本の暗唱から拾い読みへ

特集イメージ7 ここからが、個人差が激しい段階へ入ります。1人で黙々とページをめくったり、母親の読み聞かせに合わせてタイミング良く台詞を口にすることは多くの子が自然と行いますが、暗唱には繋がりやすい子と、そうでない子がいるのです。
 特に長男・長女は、下の子に比べて暗唱が苦手です。また、女の子の方が全体的には暗唱が出にくいのですが、引っ込み思案で慎重な男子も暗唱が苦手です。つまり、知恵がついてくると無邪気に暗唱できなくなるのです。
 この点を考えても、なるべく早い段階で暗唱に繋げられるように、絵本の取り組みはできる限り低年齢のうちに習慣づけるのが得策です。
 しかし、仮に暗唱が苦手な子でも、焦ったり心配したりする必要はありません。すでに述べたように、どんな子にも「入力」は行われます。ただ、「出力」には個人差が大きいだけのことです。出力がないからといって、入力まで止めてしまったら、何も始まらないということを心にとめておいてください。入力が無駄になることはありません。出力を求めずに、淡々と入力だけは続けましょう。
 さて、ポツポツと絵本の内容を口にするようになったら、絵本のページをめくりながら、内容を口にするように導きます。いきなり「言ってごらん」では身も蓋もないので、少し工夫が必要です。
 まずタイトルを読みます。そして、ページをめくって少しポーズを置きます。いつもならテンポ良く読んでくれる母親が読んでくれないのですから、子どもたちは「あれ?」と感じます。この時、子どもたちの頭の中では、記憶した母親の声が鳴り出しているので、ポツリとその内容を口にすることがあります。
 3テンポくらい待っても、子どもの口から何も出てこない場合には、さらさらっと読み進めてしまいます。そして、ページをめくったら再びポーズ。これを繰り返します。2〜3か所で止めてみて、まったく出てこないようであれば、あとはそのまま読み進めてしまいましょう。あまりしつこくすると、いやがりますので、1日に1、2冊で試してみる程度に留めましょう。もちろん、子どもがいつも口にする部分だけを、親の代わりに言わせる程度でも構いません。

 これがうまくいくと、「絵本の暗唱」となります。ここで言う絵本の暗唱とは、単に「暗唱」する(そらで覚えて言う)だけでなく、ページをめくりながら暗唱することを意味します。この段階で、子どもたちは絵本を読んでいるようにも見えます。しかし、実際には絵本を読んでいるわけではなく、ページをめくりながら暗唱しているだけですが、これが大切です。
 出力を促すには、これをイベント化するのも有効です。週末に家族の前で、読める(実は暗唱できる)ようになった絵本の発表会を行うのも良いでしょう。そして、この段階がしばらく続くと、あるとき暗唱をしなくなります。これが読み始めです。
 絵本の中に、一風景として書かれている「文字」と、自分が口にしている「音声」が一致してくるのです。すると、今までの暗唱とは異なり、つかえつかえ、一部分ずつを拾い読みするようになります。
 この段階まで来たら、読解力まではあと一歩です。ただ、完全に拾い読みに終始させると、絵本が教材になってしまいます。親の側は、ここまで来たら、最初に行っていたような読み聞かせを積極的に実践してあげましょう。また、子どもが一人でページをめくりながらブツブツ言っているときには、「上手に読めるのね」などと軽く声をかける程度にして、遠巻きに眺めていましょう。

 以上が、絵本の取り組みです。今回は日本語を例に説明してきましたが、英語でも同じことです。英語の場合には、『パルキッズ』同様に『アイキャンリード』や『アイラブリーディング』を利用した音源のかけ流しによる入力とオンラインレッスンを組み合わせれば、同じような効果が得られます。
 そして、単に英語を聞いて理解できる「生活言語」レベルから、語彙・表現力を増やしながら読解力を身につけていけば、それは地に足の着いた英語力となり、英検受験をはじめ、その後の長い人生における「学習言語」としての英語力の獲得に直結するのです。
 絵本には、すごいパワーが秘められています。積極的に絵本を活用して、お子様の言語能力を向上させていきましょう。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業。実用英語技能検定1級取得。30年以上に渡る幼児教室・英語教室での教務を通じて幼児の発達研究に携わるかたわら、「パルキッズ」などの英語教材を始めとした幼児向け教材を多数開発。また、全国の幼児・児童を持つ親に対して9万件以上のバイリンガル教育指導を行う。講演にも定評があり、全国各地で英語教育メソッドを広めている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『どんな子でもバイリンガルに育つ魔法のメソッド』(総合法令出版)『ローマ字で読むな!』(フォレスト出版)『英語の絶対音感トレーニング』(フォレスト出版)など多数ある。

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