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2014年11月号特集

Vol.200 | 子育てってこんなに簡単!

知っていますか?男子と女子、長子と末子の子育て法

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1411/
船津洋『子育てってこんなに簡単!』(株式会社 児童英語研究所、2014年)


  *『できそこないの男たち』。生物学者でありつつ、文学者顔負けの表現力を併せ持つ*福岡伸一さんの珠玉エッセイのタイトルですが、男子を見ていると、つくづくと、いやはやまことに男とは、できそこないの存在だなぁ、と感じてしまいます。
 一説によれば、神様は自身に似せてひとを作ったとか。しかし、ひとは神ではないので地面から離れられない。そんな「地面」を意味する ‘humus’ から ‘human’ と呼ばれるようになった、などと英語の語源の書には書かれていたりします。また聖書には、アダムは自分の肋骨からイブを作ったとか。これまた語源を見ていくと、’woman’とは、もともと男女問わず人を表す ‘man’ に ‘wif’ という女性のみを表す言葉を付けて ‘woman’ として女性を ‘man’ から区別した言葉のようです。どうも西洋の考え方では、まず、男性ありきのようですね。
 ところ変わって日本でも、最近では男女雇用機会均等法やら「女性の輝く云々」など、首相が女性の地位向上の旗振り役を務めるご時世。この背景にも、どうやらまず男性ありきの考え方が見え隠れします。
 しかし、時代を遡れば、女性が優位。平安時代には、「妻問い婚」で男性がせっせと女性の元に通っていましたし、さらに遡れば、小国に分かれてなかなか治まらなかった太古の我が国も、一女子つまり卑弥呼が現れ、ようやく治まったとか。
 女性の地位、男性の地位というのは、時代によって随分異なるようです。しかし、ひとついえることは、時代や場所や、制度や考え方がどうあれ、生物学的にには、女性の方が強いということ。冒頭の福岡さんのエッセイを引用すれば、『生命の基本仕様は女』であり『メスは太くて強い縦糸であり、オスは、そのメスの系譜を時々橋渡しする、細い横糸の役割を果たしているに過ぎない。』とか。まことに納得。  いや、そんな具合に歴史や思想、生物学的根源をひも解くまでもなく、男子の劣勢具合は、男子どもを見れば一目瞭然のことかもしれません。どうひっくり返っても男子は男子です。
 たとえば、ひとつところに集めて、放っておけば喧嘩が始まるし、喧嘩をしていたかと思えば、いつの間にか仲良くなっている。トンボ捕りに出かければ、トンボを追いかけることに夢中になって、いつまでたっても帰ってこない…。
 はたまた、静かだなぁ、とふと気づいてみれば、何事かに夢中になっている様子。何をしているのか覗いてみれば、どこから集めてきたのか、箱の中にいくつもの石ころが入っている…。どんな意味があるのかはわかりませんが、そんな石ころをじっと見つめて悦に入っている。またあるときには、穴を掘る。穴を掘り続ける。紙を丸める。いつまでもくるくる紙を丸めている。…などなど、静かにしているときの男子は、必ずと言って良いほど、一心不乱に同じことを繰り返しています。男子ならではの行動です。
 電車の何がおもしろいのだろう?石ころや泥だんごのどこが魅力的なのだろう?昆虫と戯れる姿(虫愛ずる姫君のような例外もありますが)を見るに至っては、なぜそんなことをするのだろう?…と、女性たちからすれば、まったく意味不明の所作に夢中になっている男子たち。なぜそんなことをするのでしょう?そんなことはわかりません。わかる必要もありません。なぜなら、当の男子たちですら、なぜそんなことをしているのか、理由を知らないのですから。


| 男子の育児

 さて、そんな男子を子に持つ母親の皆様。ご苦労様でございます。これまで通信指導や教室での指導を通して、様々な女子と男子たちを見てきましたが、一様にお悩みを抱えているのは、男子を持つ母親のようです。
 たとえば、こういった具合です。男子は、風邪を引きやすく、ぐうたら気質。体が弱いだけでなく意志も弱い。女子は、自分のやるべきことを淡々とこなしていきますが、男子は隙あらばサボります。女子は放っておいても宿題を片付けてしまいますが、男子は言い続けないと宿題ひとつできません。教室でも、男子ときたら、でれでれぐでぐで、まったくやる気が見えない様子。そんな我が男子を傍目に、隣の女子はピシッと暗唱をしたり、せっせとプリントをこなしたり…。隣の女子をうらやましげに見つめ、しかし我が男子のだらしなさを自らの育児の仕方の責任だと感じてか、切なげな表情を浮かべるお母さま…、まことにお気の毒です。
 そんな男子ですが、一面とてもかわいいことは間違いありません。「出来の悪い子ほどかわいい」とは言い尽くされたことですが、やはり、かわいい。男子兄弟が子犬のようにじゃれ合っているのを見るのは、騒がしいながらも、ほのぼのとした育児風景です。
 しかし、そんな時間を除けば、やはり全体、いや99%悩ましいのが男子の育児です。そこで、いくつかアドバイスを差し上げましょう。


| 理解できなくても良い

 まずはひとつ目。世の中、もし女子ばかりなら、さぞや平和なことでしょう。話し合いで解決するか、仲良く分け合うか、なかなか争いごとも少なそうです。しかし、女子ばかりだと、おそらく、ですよ、おそらく携帯電話もなければ、新幹線もない、テレビもなければ、冷蔵庫もない…、ひょっとするとそんな世の中だったかもしれません。そこに「自分の穴を掘り続ける、同じことを一心不乱に繰り返す、物事をとことんまで突き詰めていく」男子がいるからこそ、世の中は進歩するのではないでしょうか。
 そこで、男子を育児中の皆様におかれましては、「世の中を進歩させる、未来の人材を育てつつあるのだ」と、そんな具合に考えてみてはいかがでしょう。つまり、いま目の前でなにやら意味不明の所作を繰り返す男子が、育て方ひとつによって、この世の中を変えていく。そんな未来の新しい社会を生み出していく―かもしれない―「ダイヤの原石」を育てていると観念してみるのです。
 わけのわからないことをしている我が子を見て、「なんでそんなことするの!?」と感じるところを、グッとこらえ、感情のバイアスをちょっとずらして見てあげましょう。そもそも本人も「なんで」かわからないのですから、理解しようがありません。「ふ~ん、楽しいんだね♪」と微笑んであげてください。なにを達成したのか―もちろん理解不能のことたちですが―、喜び報告してくる子には、「スゴいねぇ~、良かったねぇ~」と一段上から、この「男子」というかわいい別の生きものを、温かく大きな心で包み込んであげる。そんな見方をするだけで、雲散霧消する男子育児の悩みも少なくないでしょう。
 そもそも、男子は女子に比べて成長が遅い。いつまでたっても子どもです。おそらく、小学5年生くらいが精神年齢のピークで、そのまま社会的な知恵は付けていくものの、中身はまったくもとのまま。いつまで経っても5年生のまま変わらない。男子とはそんなものかもしれません。


| ものさしを取り替える

 さて、ひとつ目のアドバイスは「温かい心で包み込む」でしたが、ここで、ふたつ目のアドバイス。これはある意味朗報を含む忠言です。
 男子はしばしば「まとわりついて」きます。これは彼らなりの愛情表現で、もちろん結構なことでなのすが、度が過ぎればいい加減にして欲しい。でもって突き放すと、さらにまとわりついてくる。どうしてまとわりつくのか尋ねてみても、一向に要領を得ない。そうなのです。男子は、ものを言葉で表現するのが苦手です。
 これは私の師匠である、故・信千秋先生が常々仰っていたことですが、男子は女子に比べて言語の発達が遅いようです。先生曰く、「女子は耳元でささやいてやれば理解する、男子は見せてやれば納得する」そうなのです。女子は言語からイメージを膨らませて、理解することができるのですが、男子は言語のイメージ化が苦手。そんな言語理解が苦手な男子ですから、当然、言語表現も苦手。なので、言葉でコミュニケートしようとしても、特に幼児期にはなかなかうまくいかないことが多いのでしょう。
 そのように発達の遅い男子ですが、彼らは女子に比べて成長が遅いだけ。つまり、まったく成長しないわけではありません。ゆっくりですが、もちろん成長はするのです。
 男子に教育をしていると、いつまで経っても成果が見えてこない。女子の規矩準縄で男子を見ると、こうなりますが、男子を見るときには、ものさしを男子用に取り替えてあげましょう。発達のめざましい女子用のものさしではなく、目盛りの間隔の長い男子用のものさしで見てやらなければ残酷です。要は、長い目で見れば良いのです。
 余談ですが、中学生を教えていて常々感じることがあります。生徒たちを学力別にクラス分けすると、優秀なクラスには女子が多い。しかし、その優秀なクラスの中で特に優秀なのは、傾向として、男子なのです。成長の遅い男子ですが、ゆったりじっくりと根気よく育てていく。そうすれば、きわめて優秀な子どもに育ちます。「成長しない」と途中で投げ出すのではなく、根気勝負。そうしてこそ、男子は優秀に育っていくのです。


| 言葉掛け

 繰り返しますが、第1に「別の生きものだと諦め、温かく見守る」、第2に「女性のものさしで計らず、長い目で見てやる」。続いて第3のアドバイスです。
 男子にも良いところはあります。それは「単純さ」です。
 「パパって頼りになるわ」「パパの料理はひと味違うね」「格好良い!」などとおだてられて、素直に喜ぶのが男子の良いところ。幼児だろうが小学生だろうが、そして成人しても、この性分は不変です。
 おだてられれば気分が良くなって、さらに頑張る。家事に育児、旅行に仕事。まぁ、何に関しても、褒められればその気になってせっせと働いてくれるのも男子です。この愛すべき「単純さ」を、男子の育児において、うまい具合に活かさない手はありません。そうです。おだててやれば良いのです。
 おだてると言っても、何でもかんでも褒めれば良いというわけではありません。褒められ続ければ、飽きてしまうのも男子です。そんな男子には、ひとつの言葉を繰り返し言い続ければ良いのです。するとその言葉は、男子の心に深く深く刻み込まれていきます。
 たとえば、成長の遅い男子に向かっての万能の言葉掛けは「あなは大器晩成型よ♪」。このひと声に限ります。
 なかなか暗唱ができない我が男子に「大器晩成だから、今できなくても良いのよ」、成績の上がらない愛すべき男子には「大器は成長するのに時間がかかるのよ」と声をかけてやる。また、なかなか物事が上達しない不器用男子には「大器は入れ物が大きいから、もっとスゴいことができるようになるよ♪」と声をかけてやれば良いのです。
 言葉の力とは、想像以上の威力を潜在的に有するもので、マイナスの言葉掛けを続ければ、それが本当になるのと同様に、プラスの言葉掛けをすれば、それもまた本当になるのです。第1のアドバイス「別の生きものだと諦め、温かく見守」って、第2の「女性のものさしで計らず、長い目で見」て、第3の「プラスの言葉掛けを続け」れば、それが本当のこと、現実のものとなっていきます。
 たとえば、こんな具合です。2番目のアドバイスの部分で触れましたが、男子は「視覚からの情報」に敏感ですから、それもうまく組み合わせてみましょう。まず、東大の赤門の前で記念撮影をして、それを目に入る場所に貼っておく。そして、「あなたは東大だものね」とでも言い続ければ、それが本当になるでしょう。もし医師になって欲しいなら、白衣でも着せて「あなたはお医者さんになるのよね」と言い続けるのです。
 とかく女性は、コミュニケーションに言葉を使いがちです―当たり前のことです―が、男子の場合には、言葉だけで理解させるのではなく視覚イメージをうまく活用しながら、しかも、簡単な言葉―たとえば「大器晩成」―を繰り返すことで、自然とそう思い込むようになります。


| 長幼の差

 さて、女性は女性のことを理解できますが、男子のことはなかなか理解できません。一方、男子は、女性のことも、自分自身つまり男子自身のことすら、よくわかっていません。そんな男子を持ってしまったら、既述のような点を思い起こしていただき、時々起こるイライラの溜飲を下げていただくとして、ここで、ついでに「男女の差」に加えて「長幼の差」についても触れておきましょう。
 兄弟は、同じように育てているのにも関わらず、決して同じようには育たないものです。上の子は優秀でも下の子は勉強が苦手だったり、上の子は神経質でも下の子はおおらかだったり、いろいろな傾向があります。そのあたりを見て参りましょう。


| 「しっかり者の長子」と「かわいい末っ子」?

 長男・長女というとしっかり者のイメージがありますが、そんな彼らも、最初は「一人っ子」です。まず両親の愛情を一身に受けます。もし「初孫」ともなれば、両親と、両親の両親たちの併せて6人の愛情を受けます。一人っ子政策の中国ではそれを称して「六つの財布」と呼ぶとか。いずれにせよ、すべての愛情を一身で受けるのです。
 ところが、次子妊娠とともに不穏な空気が流れはじめます。
 どうも以前とは違う雰囲気ですが、それは当然です。授乳中であれば、子宮が収縮するからという理由で、長子の断乳に至ることもあるとか(これに関しては専門家ではないので可否のほどはよくわかりません)。さらに、出産となると、環境は一変します。両親の愛情が薄れるわけではないのでしょうけれども、自分に向けられる時間は激減します。当然ですね。これを長子たちは経験するのです。
 また、次子出産に伴い「お兄ちゃん」とか「お姉ちゃん」と呼ばれるようになります。自分で好き好んでお兄ちゃんやお姉ちゃんになったわけではないのですが、下に子どもができると「お兄(姉)ちゃんだから~しなさい」と、いきなりやるべき事が増え、しかも程度の差こそあれ、自らをコントロールする、つまり自律することが要求されるのです。
 すると、物事を考えるようになります。感じるがままに行動するのではなく、「結果」を想像しながら行動するようになるのです。この「結果」を考える作業が大きく知恵を発達させます。「こうするとこうなる、だからこれはしない。」このように論理性を持って思考できるようになるのです。長子たちが、傾向として、引っ込み思案になるのはこれが故です。(ただ、育て方によっては、本来ありもしない「長子としての権利」を振りかざすように育つケースもあります。)
 また、論理的に思考するようになるというのは左脳の作業ですから、直感的な理解や記憶を要する作業、たとえば絵本の暗唱などは苦手になります。逆に、じっくり取り組むプリントのたぐいは黙々と取り組むようになります。
 このような長子の傾向とは反対に、末子の場合には比較的おおらかに育つ傾向にあります。当然です。一番下の子はかわいいでしょう。しかも、一番下の子は、いつまで経っても一番下のかわいい子のままなのです。親に手をかけられ、兄姉にまで助けられ、なかなか成長できません。
 そんな末っ子たちは、論理的な思考よりも直感的な取り組みが得意です。プリントなどよりも絵本の暗唱のほうが性に合っているのです。また、妙なことを覚えたり、うまいことを言ったりするのも、末子の傾向です。


| 「男女×長幼」傾向と対策

 これらの長幼の差を男女差と組み合わせると、こんな具合になります。
 女子よりも言語力に劣る男子で、長子の場合には、暗唱は苦手です。女子は男子よりも暗唱は上手ですが、それでも下に兄弟ができるとうまくいかなくなる傾向になります。こんな子たちは、逆に「考える作業」が得意なので、暗唱などの直感的なものよりもドリルなどのじっくり考える取り組みをされると良いでしょう。
 また、末子で特に男子の場合には、いつまで経っても直感的な状態が続きます。もちろん論理的な思考も身につきますが、なかなか成果が上がらず、成長も遅いのが傾向でしょう。そんな子たちには論理思考も訓練しつつ、お得意の直感的な思考を伸ばしてやると良いでしょう。
 それでは、真ん中の子は?というお声が聞こえてきそうです。
 少子化が進み、3人以上の兄弟は少なくなりましたが、そんな三兄弟の真ん中の子はどう育つのでしょうか?末子は愛情を満身に受け、また長子は長子なりに親の心配を一身に受けます。その間に挟まれ、長子とも末子ともひと味違う、切れ味が違うと言っても良いほどに、真ん中の子は一風変わった思考をするように育ちます。独立心旺盛で、人がやらないことをやる。そんなユニークな人格が多いように見受けられます。
 何でもそつなくこなすので、プリントでも暗唱でもそこそこできる、両刀遣いの傾向があります。放っておいても、何事もきちんとやってくれるのでありがたい存在です。
 それでは、一人っ子は?これは2つの傾向を併せ持ちます。長子として厳しく育てられれば神経質になりますが、それでも一人っ子ですから、末子以上にすべての愛情を一身に受けて、おおらかさがあります。そして「根拠のない自信」を持つわけです。根拠のない自信。これは人生を生きる上で、とても大切な要素です。
 学習の傾向としては、長子的な面と末子的な面の両方を併せ持ち、親の育て方によって、その現れ方が異なるのです。甘やかされる傾向が強ければ、直感的な取り組みが上手で、厳しく育てられる場合には、論理性を持った作業が上手になります。
 十人十色とは言いますが、男女の差や長幼の差によっても性質は随分と異なってきます。以上、述べてきたことは、あくまでも私見です。年来の指導や我が子の育児、またはいろいろな子どもたちを見てきての感想ですので、ぴったりこのままではないこともあるでしょう。あくまでも「こんな傾向にある」という判じ物としてご理解いただき、育児に上手に活かし、皆様の負担を少しでも軽くしていただけることを、祈りつつ、併せて男子を子育て中の皆様へのささやかなエールとさせていただきます。
(参考文献:福岡伸一著『できそこないの男たち』光文社新書)


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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