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2010年01月号特集

Vol.142 | 英単語の和訳を覚えても英語は身につかない!

単語の定義を身につけると英語がわかる!!

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)



プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業後、言語学の研究者として、日本人の英語習得の在り方を研究中。35年以上、幼児・児童向け英語教材開発の通して英語教育に携わる経営者である一方、3児の父、そして孫1人を持つ親として、保護者の視点に立ったバイリンガル教育コンテンツを発信し、支持を得ている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)など多数ある。


  明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

 2009年はあまり明るくないニュースばかりでしたが、そんなことも言ってはいられません。出来ることをひとつずつですね。2010年が皆様にとってすばらしい年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

 では、今年も英語教育、頑張って参りましょう。
 今年から小学校で英語活動 (なぜ “教科” ではなく “活動” なのか、苦しいところですね)がスタートします。その矢先に降って湧いた「英語ノート」不要論。相変わらずこの国の教育界は混迷を極めていますね。
 しかし、なぜ日本人はこれほど英語に熱心なのでしょう。そして、その熱心さにも関わらず、これほど英語が出来ないのでしょう。おそらく、その両方は紙の裏表。出来ないから熱心であり、同時にいくら熱心に取り組んでも出来るようにはなっておらず、それが堂々とここ数十年に渡り繰り返されているのです。
 実に97%の子どもたちが高校に進学する現状を見れば、高校はすでに実質義務教育となっています。進学できない子や、退学を余儀なくされる子のことを考えると、悲しくなります。早急に義務化すべきでしょう。その論はさておき、中高と6年間、私たちは英語を勉強しなくてはいけません。
 それでも全く足りないのです。センター試験で良い点を取るためには、学校の勉強だけでは足りずに塾に通います。さらに、英会話学校や短期留学、相当の時間とお金を英語に費やしているのです。しかし、一向に英語が出来るようになったという話は耳にしません。


| 日本人を英語下手にする2つの学習法

 なぜこれほど英語が苦手なのか。これは、ひとえに学習方法に原因があると言って良いでしょう。
 考えられる学習方法の問題点は2つ。ひとつ目は絶対的に英語に触れる量が少ない点です。少量の英文を細かく細かく砕いて、文法に照らし合わせる。この文法学習に時間をかけすぎる傾向があります。文法学習も大切と言えば大切なのですが、なにも中学1年で英語に初めて触れる子に教える必要があるのでしょうか。いきなり文法から、というこの順序にはかなり疑問があります。
 そして、ガッチリ文法を勉強します。加えてそこで学ぶのは「I, my, me, mine」などの人称代名詞の分類、それに「go, went, gone」などの動詞の変化に代表される単語群です。ちなみに、知人のアメリカ人に「you, your, you, yours」「I, my, me, nine」と突然言ってみたところ、きょとんとしていました。そして、「日本ではその様に丸暗記させられるがアメリカではどうか」と尋ねたところ、「そんな単語の組み合わせは初めて聞いた」「日本ではその様に教えるのか」と興味深げに答えてくれたのが印象的でした。
 もちろん、母語としての言語と、外国語としての言語は、学習法に差があるのは当然ですが、あまりにも頭でっかちな分類から入っている気がします。
 そして、その様な文法教育や丸暗記に忙殺されているうちに、タイムオーバー。次の、より高度な文法学習へと進んでいきます。
 耳からの学習に関しても同じ事が言えます。LL教室など英語のリスニングを強化する取り組みは行われているものの、こちらもやはり、少量の文章、極端な場合には、ひとつの「音」を繰り返し聞かせるなど、少量の例文を細分化するメソドに徹しきっています。重箱の隅を突くような学習法ですね。

 もうひとつ、日本人が英語をなかなか理解できない原因は「日本語訳」にあるのではないでしょうか。私自身、人後に落ちませんが、どなたも単語帳を作った経験をお持ちでしょう。片面に英単語を、その裏の面にはひとつないしは2つの日本語訳を書き込んでいく自作の語彙リストの様な物です。
 英語学習の初心者が、単語の意味を知るために日本語訳を記憶するのは不可避です。しかし、この方法で単語を覚えてしまうことで、英単語をそのまま感じ取ることが出来なくなります。例えば、 ‘run’ と言う単語。この単語を目にした瞬間「走る」という日本語が浮かんだのではないでしょうか。しかし、「走る」だけでは ‘run’ を表現しきれないのです。
 ひとつの単語にひとつの日本語訳、「run=走る」を例にとって英文を日本語に訳してみると、“Yachts are running.”は「ヨットが走っている」となりますし、“Machines are running fine.” は「機械はうまく走っている」、 “The river run through the city.”は「川が市を通って走っている」となります。ヨットや機械、ましてや川が走るわけはありません。また、 “I will run over your report.” は「私はあなたの報告の上を走る」となり、これも意味不明です。
 そこで、辞書のお世話になるのですが、該当する項目を開くと、そこには数十から百にも及ぶ「日本語訳」が記されています。そんな物をすべて覚えきれるわけはありません。ちなみに、女性のストッキングなどが伝線することも ‘run’ と言います。
 ‘run’ だけではありません。 ‘pull’ は「引く」と覚えますが、 ‘pull over’ は「(車などを)寄せる」、 ‘pull up’ は「前進させる」などの意味があります。こうなってくると、まるでお手上げです。ひとつの単語にひとつの日本語訳を覚えるだけでも青息吐息なのに、どうしてひとつの単語につき数十もある日本語訳を、覚えることが出来ましょうか。英単語を日本語訳にする学習法には限界があるのです。


| 対訳を全て丸暗記なんてできない

 そこで登場するのがイディオムを丸暗記する学習法です。動詞と前置詞なりをペアで覚えていきます。この方法も一見効率的に映ります。私自身、中高時代には相当たくさんのイディオムを覚えました。しかし、この学習法にも限界があります。
 例えば日本語でもよく(?)使われる ‘give up’ と言う組み合わせ。辞書には「降伏する、あきらめる」とありますが、ではこちらはどうでしょう。 ‘give in’と言う表現。こちらも辞書をひくと「降参する、あきらめる」とあります。何が違うのでしょう。 ‘give up’ は「放り出す」感じです。「手に負えないから、止めた」という感じです。一方 ‘give in’ は「差し出す」、「万策尽きて、ついに身を差し出す」感じです。もちろん、この限りではありませんが、このような微妙なニュアンス差があります。それをすべて記憶するのは無理でしょう。
 事実、述べてきたように、細かい英文法を学び、単語の日本語訳やイディオムを丸暗記する学習を通し、数千語を知っているにも関わらず、一向に英語が出来る兆しがないのです。この学習の延長線上では、例えば “I didn’t like tomatoes as a child. But after years, they had grown on me.” 「子どもの頃トマトは好きではありませんでした。しかし、今では私に実っています。」こんな文章はいつまで経っても、正しく理解することは出来ないでしょう。ちなみに、「grow on =好きになる(気に入る)」です。

 一方、アメリカ人であれば3歳児でも日常会話くらい出来ます。上の文章くらいなら理解できるのです。3歳児の語彙数と言えば、わずか1,000語足らずです。文法知識では、私たち日本人の足元にも及びませんし、彼らは文章を読むことすらままなりません。しかし、彼らはこのような文章を理解できるのです。
 一体なぜでしょう。
 別に不思議なことではありません。アメリカ人の子が2~3年で英語を身につけるのと同様に、日本人の子達も2~3年で日本語を身につけます。事実私たち自身も、記憶にはありませんが、3歳くらいまでには日本語を身につけてしまっているのです。
 その理由は単語の「定義」を身につけていることにあります。単語の「意味」ではなく、単語の持つ雰囲気とも言える定義を身につけているからわずか3歳の子でも英語を使いこなせるのです。
 語彙、の観点から見ると、英語では日常の筆記活動の実に9割が、なんと1,000語というわずかな単語数でまかなわれているのです。文字によるコミュニケーションも、音声によるコミュニケーションも、語彙に差はありません。むしろ口頭のコミュニケーションの方が、語彙数が少ないくらいでしょう。こう考えれば、わずか1,000語で日常のコミュニケーションが行われているという事実は、福音に感じられることでしょう。
 その1,000語も、the, of, to, I, you, was, it…など中学校で習う物ばかりです。すべて皆さんが知っている単語なのです。要するに、これらの1,000語の「日本語訳群」と「イディオム」を覚えるのではなく、これら1,000語の「定義」を身につけていけばよいのです。
 しかも、さらなる朗報があります。私たちは1,000語中のかなりの単語についてすでに定義を身につけているのです。例えば、I, you, heなどの人称代名詞、red, blue, circle, triangleやone, two, threeなどの基礎概念、また、apple, banana, dog, cat, father, mother, hand, face, hair…などの身の回りの単語はわざわざ英語に訳すまでもなく、それらが何者かは分かっているのです。身につけなくてはいけない単語は1,000語よりずっと少ないのです。
 では、どのような単語の定義を身につけなければいけないのでしょうか。それらは、比較的簡単と思われている単語群なのです。have, take, give, get, come, go, in, out, of, on, over…このような単語群を日本語訳やイディオムではなく、これらの単語の定義を身につけていけばよいのです。


| 「多聴・多読」で単語の定義を知る

 これらを身につけるための方法はとてもシンプルです。とにかく、「大量の英語に触れること」に尽きます。大量に英語に触れることによって、単語の定義が何となく感じられるようになってくるのです。
 大量に英語に触れる方法は2つあります。ひとつは多聴、もうひとつは多読です。多聴は文字通りたくさん英語の音を耳にすることです。CDなどで日常英会話を耳にし続ければよいのです。ご家庭でお子さまにCDのかけ流しをしますが、それらがこの作業に当たります。
 言い換えれば、毎日パルキッズのCDのかけ流しをしていれば、子どもたちは英語の聞き取りが出来るようになるばかりではなく、単語の定義を自然と身につけていくことが出来るのです。英語を日本語に訳すことなく、英語のまま意味を理解できるように育っていくのです。
 しかし、この方法には限界があります。音に敏感な幼児期か、もしくはすでに英語のリスニング能力のある人にしか効果を発揮できないのです。理由は簡単です。英語の聞き取りの出来ない人にとって、英語の音は「英語らしき雑音」としてしか認識できないのです。私たちが英語を聞き取れない理由です。
 この点を勘違いしている学習法も見られます。大人でもかけ流しで聞き取りの耳が出来る、というものです。しかし、かけ流しで聞き取りが出来るようになることはあり得ません。実際に、一日中洋画を見る作業を何年続けても、特定の表現は聞き取ることが出来るようになるかも知れませんが、英語自体を聞き取れるようになることはないのです。大人に対するかけ流しは、ほとんどその有効性は無いと考えて良いでしょう。
 そこで考えられたのが、倍速学習です。この学習法では効果を上げることが可能です。しかし、これについては、別の機会に譲ることにします。
 かけ流しによる多聴が有効ではない成人が、英語の定義を身につけるためには多読が効果的なのです。耳からではなく目から大量の英語に触れていくのです。この方法は幼児に対する多聴と同様に、非常に高い効果を上げることが出来ます。とにかく大量の英文に触れ続ればよいのです。
 しかし、英文を読み始めるとどうしても日本語訳が浮かんでしまいます。そして、分からない単語や表現にぶつかると辞書をひきたい欲求に駆られます。そこをグッとこらえることが必要です。日本語に訳さないよう訳さないよう、自分に言い聞かせ、わからない表現も、読み飛ばしていく。これが多読なのです。
 子どもにおける多聴、大人における多読。これらの学習法で英単語の定義を身につけることによって、日常会話程度なら出来るようになります。そうして、その上で語彙を増やしていけばよいのです。基本的な英単語1,000語を日本語訳ではなく定義で感じられるようになってはじめて、それ以上に語彙を増やすときに辞書を引くようにすればよいのです。
 
 新年に当たり、お子さまの英語教育の継続を誓うと同時に、お母様、お父様ご自身の英語力の獲得。今年こそ達成出来そうな気がしませんか?


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引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1001
パルキッズ通信2010年01月号特集『英単語の和訳を覚えても英語は身につかない!』(著)船津洋 ©株式会社 児童英語研究所

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