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2019年3月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.93 | アイデンティティを確立する

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1903
船津徹「アイデンティティを確立する」(株式会社 児童英語研究所、2019年)


 教育の大きなゴールが「アイデンティティの確立」です。「アイデンティティ」の定義は意見が分かれますが、私の解釈では「自分は何者で、何を大切にし、どう生きたいのか」を見つけること。言葉を換えると、自分の特性、価値観、ライフスタイルを確立することです。子どもが「ゆるぎない自分らしさ」を持つことができれば、人生の選択をする時に迷いが少なく、自分にとってよりよい決断をすることができるようになります。


教育における理想と現実のギャップ

 「子どもが20歳になった時、どうなっていてもらいたいですか?」私の所に子育て相談に来た方にこのような質問をすると、こんな回答が返ってきます。

・「自分の好きなこと・やりたいことを見つけてもらいたい」
・「自分の夢に向かって突き進んでいる人になってもらいたい」
・「自分で考え、行動できる人になってもらいたい」

と、みなさん我が子に「自分らしい生き方」をしてもらいたいと願っています。その回答を受け、「わかりました。では、ご相談内容は何でしょうか?」そう尋ねると、返ってくるのは次のようなフレーズです。

・「中学受験を考えているのですが、どうしたらいいでしょうか?」
・「将来◯◯大学に合格させるために、今、何をさせたらいいですか?」
・「アイビーリーグ大学にはどうしたら合格できますか?」

このように、「受験」に関する相談がほとんどなのです。どの親も子どもに「自分のやりたいことを見つけて、自分らしい人生を歩んでほしい」という理想を持っています。しかしながら、いざ現実を考えると「いい大学に入って、いい企業に就職して、安定した人生を歩んでほしい」という気持ちが、あらわれてしまうのです。


机にかじりついていても自分は見つからない

 アメリカの発達心理学者、エリク・エリクソンは「ライフサイクル理論」という理論を提唱しています。
人間の成長には段階的なステージがあり、それぞれのステージにおいて乗り越えるべき課題を「どう克服したか」もしくは「克服できなかったか」が、その後の人間形成に影響を与えるというものです。

1:乳児期(0歳〜2歳/課題:基本的信頼感)
2:幼児前期(2歳〜4歳/ 課題:自律性)
3:幼児後期(4歳〜6歳/ 課題:自主性)
4:児童期(6歳〜12歳/ 課題:勤勉性)
5:青年期(12歳〜20歳/ 課題:アイデンティティ)
6:成人期(就職〜結婚/ 課題:親密性)
7:壮年期(子育て時期/ 課題:世代性)
8:老年期(リタイア期/ 課題:統合性)
*年齢は目安。個々の成長スピードによって前後します。

まず、乳幼児期(0歳〜2歳)の「基本的信頼感」とは、親からの愛情。特にスキンシップによるふれあいです。「自分は愛されている」という感覚はスキンシップによって育まれます。ここで根拠のない自信が形成されます。
その後、幼児前期(2歳〜4歳)の「自律性」と幼児後期(4歳〜6歳)の「自主性」は、子どもが自発的な「やる気」でやろうとしていることを思い切りやらせてあげて「成功体験を積ませる」ことで育ちます。
児童期(6歳〜12歳)は「勤勉性」を身につける時期です。「勤勉性」とは自分の課題に挑戦しそれを成し遂げることで「喜びを見いだす経験」のことです。
これらの課題は、私が4000人以上の子どもを見てきた経験的な感覚とぴったり一致しています。こうした課題をライフステージごとで克服している子は、青年期(12歳〜20歳)での伸びが違ってくるのです。


受験や就職を目的にすると、なぜいけないのか

 これまで、「有名学校への受験」をゴールに育てられてきた子どもたちを多く見てきました。どんな学校に入るかというのは、たしかに無視できない要素ではあるのですが、あくまでも通過点であり、自分の望む人生を手に入れるための手段に過ぎません。
ところがそのことを見失ってしまうと、子育ては思わぬ方向に向かってしまうのです。子どもが自分の意思で学校を選択するなら何の問題もありませんが、親の希望やプレッシャーで、あるいはクラスのみんなが受験するから、と他人にゆだねてしまった場合は、その後に大きなトラブルが起きることが多々あります。
たとえば、いざ合格した途端に燃え尽き症候群になってやる気がなくなってしまったり、進学後に激化する競争についていけず心が折れる。また、大学を卒業して大手企業に就職するも、キャリアの早い段階で挫折し、立ち直れなくなってしまった、などが典型的な事例です。


学校の外で経験を積ませることが大切

 受験勉強一筋で生きてきた子は、勉強以外の道を学ぶ機会が少なくなります。すると、困難に出会った時のふんばりや、人間としての幅、あるいは「強み」が育ちづらいのです。 さらに、多様な経験と、その経験からくる自信の不足などによって「自分は何が得意なのか」「自分は何がやりたいのか」ということへ真剣に向き合うことができません。「言われたことはできるが、自分の意志で選択することができない」、社会に出ても「自分が何をしたいのかわからない」といったことが起きてしまうのです。 そのような事態を回避するためには、子どもが自分の強みを見つけるように親が導く必要があります。子どもに何を投げかけ、どう考えさせるのか。またどのような環境(習い事や学校以外の社会との関わり)を与えるのか。そのような親の習慣が、子どものアイデンティティ形成のきっかけになります。

【編集部より】
船津徹先生の新著『すべての子どもは天才になれる、あなた(親)の行動で。』全国書店で発売中です。英語力の育て方、地頭を強くする方法、STEM(理数系)の伸ばし方、子どもの特性を「才能」へと引き上げる方法について、世界中の優秀な子どもたちの実例と共に紹介している一冊です。才能のない子など、この世に一人もいません。いかに才能を開花させるかが、親の腕の見せ所です。


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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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