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2018年10月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.88 | 韓国の英語改革について

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1810
船津徹「韓国の英語改革について」(株式会社 児童英語研究所、2018年)


 グローバル社会における共通語は英語です。もちろんグローバル社会の一員である日本も例外ではありません。これからは日本国内で仕事をする人でも、英語とは直接関わりのない(と思われる)職業に就く人でも、その分野で活躍したければ英語ができなければダメなのです。
 接客業やセールスに関わる人はもちろん、農業や漁業、建築や建設、美容やファッション、介護や医療、教育や人材育成、各種エンジニア、編集や出版、あらゆる職業において英語ができればマーケット(顧客)が広がり、仕事の幅が広がり、活躍の場が広がっていきます。
 20年前までは日本と並んで「英語下手」と言われていた韓国ですが、ここ20年で急速に英語力を伸ばしています。2016年のTOEFL国別平均スコアを見ると、アジア30カ国中8位で、英語を公用語とする香港と肩を並べるレベルまで英語力を向上させています。(同年の日本は30カ国中26位で、過去20年間下から3〜4番をうろうろ)
 なぜ韓国は英語力を短期間で向上させることに成功したのでしょうか?その理由をひも解くことは、グローバル化が進む日本において、子どもたちが英語力を身につけていく上で参考になるはずです。


| アジア通貨危機後に企業のグローバル化が急速に進行

 韓国が真剣に英語と向き合うきっかけとなったのが、1997年に起きたアジア通貨危機です。韓国ウォンが暴落、外貨建て債務が膨れ上がり経営難に陥った韓国企業は生き残りをかけて本格的なグローバル化に着手しました。
 この改革は成功し、サムスン電子、現代自動車、LG電子などは国際プラットフォームで活躍する世界企業へと躍進。同時に人気のある財閥系大企業に就職するためには「高い英語力」が要求されるようになりました。
 一例ですが、サムスン電子の新入社員のTOEIC平均点は900点以上、留学経験者が半数以上と言われるほど人材の国際化が進行したのです。その結果、ソウル大学など韓国のトップ大学を出ても「英語ができなければ就職できない」という事態を引き起こしました。


| 英語教育改革で英語教育の早期化が進行

 通貨危機を乗り越えるために韓国政府は国家を挙げて英語教育に取り組み始めました。1997年の英語教育改革によって、それまで小学4年生から特別活動として行なわれていた英語を、小学3年生から正式教科へと格上げしました。
 指導内容も「文法訳読法/文法と翻訳を中心とする指導」からリスニング、スピーキング、ライティングなど、実用性重視のカリキュラムへと方向転換したのです。(2008年からは小学1年生で英語教育がスタート)
 このような社会環境の変化が、もともと教育熱心で知られる韓国人父兄たちの「英語熱」に火をつけたのです。
 小学3年生からの英語教科化について、1997年にコリアリサーチ社が行った調査では「英語習得は早ければ早いほど効果がある」「一流企業へ就職するためには英語力は必要である」など賛成意見が多数を占めました。
 英語改革スタート後の2005年に京仁大学が幼稚園と小学生の保護者を対象に行った「小学1年生からの英語教育導入に関する意識調査」では、保護者の84.7%が、小学1年よりもさらに早い「幼稚園からの英語」を求めていることが分かりました。グローバル化の進行によって父兄の間に危機感が高まり、英語教育の低年齢化が進んでいったのです。


| 英語は小学生時代にやっつける!早期英語教育ブーム

 1997年の英語改革以降、韓国では小・中・高生が英語圏に留学する「早期留学」がブームとなりました。韓国教育開発院の統計によると、早期留学生数は2000年から急増。ピークの2006年には2万9000人となりました。韓国では全学齢期の生徒(小・中・高)のうち海外留学経験者の割合は38%という大きな数字となっています。
 特筆すべきは小学生の留学者数が中・高生よりも多くなったことです。この背景には、日本よりもはるかに熾烈な大学受験戦争が存在する韓国では中高生での留学は大学受験で不利になると考えられているからです。
 言語吸収力の高い小学生のうちに1〜2年留学させて英語の基礎力を身につけさせ、韓国へ帰国後は大学受験に備えるという選択をする父兄が増加したのです。
 小学生の留学には保護者である母親が同伴することが一般的です。父親は韓国に残って働き、生活費を留学先に送る生活を余儀なくされます。子どもの留学のために多額の資金を稼がなければならない上に、一人残された父親が寂しさから鬱になったり、家庭崩壊につながるなど、早期留学ブームの弊害が社会問題化したことはご存知の方も多いかと思います。

| ハワイにも韓国英語ブームの影響が!

 韓国が英語教育ブーム真っただ中であった2001年に私はハワイでバイリンガル人材育成を目的とした英語学校(TLC for Kids)を開校しました。韓国語での広告を一切出していないにも関わらず、早期留学中の韓国人母子がたくさん私の学校に訪れるようになり、とても驚いたことを覚えています。
 アメリカに母子留学するだけでも勇気がいりますが、さらに日本人経営の英語学校の評判を聞きつけて、訪ねていくという行動力、子どもの教育のためなら何でもする!という韓国人の母親たちの姿勢に感動した記憶があります。
 母子留学をしている母親に話を聞くと、韓国は英語の教育費が高額である上、子どもへの学習負担が大きい(韓国語の勉強に加えて英語も毎日4〜5時間塾で勉強する)ので、いっそのことアメリカに移り住んで教育を受けさせた方が手っ取り早いのだそうです。
 アジア通貨危機後、韓国人の間では「英語を身につけさせるために早期留学させなければならない」という切迫感が生まれ、教育熱心な親たちの英語熱をあおったのです。

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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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