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2012年12月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.18 | ハワイのバイリンガル事情 その18 ~アメリカの英語教育について~

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは無料で引用・転載可能です。引用・転載をする場合は必ず下記を引用・転載先に明記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1212
パルキッズ通信2012年12月号ハワイアン子育てジャーナル『ハワイのバイリンガル事情 その18 ~アメリカの英語教育について~』(著)船津徹 ©株式会社 児童英語研究所


 アメリカで暮らす日本人の子どもが現地校に対応できる英語力を身につけていくのは長く険しい道のりです。英語力には日常生活で獲得していく「生活英語力」と学習活動によって獲得する「学習英語力」があります。生活英語力は子ども同士の交流の中で自然と身についていきますが、学習英語力は周囲からの適切なサポートなしでは獲得できません。
 もちろんアメリカの学校に通えば、どの子も「英語」の授業を受けることができます。しかし、英語を第二言語で話す子どもが、ネイティブと同じ授業を受けているからといって、彼らと同じレベルの学習英語力を身につけられるわけではありません。日本で暮らす移民の子どもが、日本の学校で「国語」の授業を受けても、日本人と同じレベルの日本語力が身につかない、と言えば分かりやすいでしょうか。


|ランゲージアーツが国語の総称

 ランゲージアーツの中で最も重視されるのがリーディングです。多くの小学校では毎日20~30分の読書を課題として義務づけています。読む内容は、日本の小学校の教科書のような短い文章ではなく、先生が指定した本、あるいは子どもが選んだ本を丸ごと1冊読まなければなりません。
 小学校に上がったばかりの子どもに大量の読書を要求するのは、読書習慣を確立し、リーディングフルエンシー(読みの流暢さ)を身につけ、語彙を豊かにし、読解力を育てることが、学習能力を高めてくれるからです。そのため、どの先生もリーディングに熱心で、あの手この手で、子どもたちの読書を推進します。
 両親がこのような実態を知らないで子どもが現地の小学校に入ると、高度な英語力を要するランゲージアーツの授業についていけなくなってしまいます。名前が書けて簡単な単語が読めるというレベルでは、とても現地校のカリキュラムには対応できません。「聞く・話す」はもちろん「読む・書く」技能についても十分な準備をしていなければ子どもは学校で大変な苦労をするのです。


| 小学校ではリーディングが最重視

 カナダの心理学者エレン・ビアリストク博士は、バイリンガルは知的な問題の処理や複数の思考を同時に行なう能力がモノリンガルよりも優れているという研究成果を発表しました。またバイリンガルは、関連のない情報を排除し、重要な情報に集中する能力や一つの作業から次の作業へと混乱せずに頭を切り替えていく力が高いとも報告しています。
 英国のストラスクライド大学は、バイリンガルは問題解決能力、創造的思考が高度に発達するほか、言葉の意味をより細部まで豊かに把握する力が高いという研究発表をしています。二つの言語を同時使用するには「頭の回転」とも言えるメンタルの敏捷性が必要であり、これが訓練されることによって他の思考発達も促されるのではないかと分析しています。
 バイリンガルは一つの言語から他の言語へと言葉のスイッチを絶えず切り替えています。複数言語で円滑なコミュニケーションを実現するためには、環境の変化を敏感に察知し対応できる注意力と適応力が必要です。バイリンガルは二つの言語を操る中で、自然と「脳力アップトレーニング」を行なっているのです。


|ランゲージアーツの壁を乗り越えるには

 バイリンガルの子どもの英語力がネイティブより劣るのは当たり前です。彼らに追いつき、自信を持って学校生活を送るためには、ネイティブ以上にたくさんの本を読み、語彙を増やし、表現力を高める努力をしなければなりません。慣れない英語の活字を追うことは子どもにとっても苦痛なプロセスです。それを乗り越え英語の読書力を身につけていくためには、家庭における両親の長期的・継続的サポートが不可欠です。


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プロフィール
船津 徹(Funatsu Toru) 1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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