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2019年6月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.96 | 英語習得とリーディング力の関係

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1906
船津徹「英語習得とリーディング力の関係」(株式会社 児童英語研究所、2019年)


 先日、高校生の時に中国本土からアメリカに(家族で)移住してきたという中国人女性と話をする機会がありました。彼女はアメリカの名門大学、UCバークレーをトップで卒業している才女です。大学卒業後はシリコンバレーの有名IT企業でシステムエンジニアとしてキャリアを築き、現在はハワイに居を移して悠々自適の生活を送っています。


英語の本が読めればアメリカでも困らない!

 私が「アメリカの高校に通い始めた当初、英語で苦労しませんでしたか?」と聞くと「英会話は少し苦労したけど、学校の勉強は全然難しくなかったです」と平然と言うのです。 私が驚いて「中国ではいつ英語の勉強を始めたのですか?」と質問すると「中学からです」という答えが返ってきました。
 中学で英語学習をスタートして、わずか4〜5年でアメリカの授業についていける英語力を獲得したという彼女。中国では学力優秀な生徒が通う「実験高中」と呼ばれる進学校に通っていたそうですが、一体どんな勉強法で高度な英語力を身につけたのでしょうか?


高校でシェークピアを読む!

 「中国ではどんな方法で英語を勉強していたのですか?」と尋ねると以下の答えが返ってきました。
 「ディスカッションとリーディング中心です。私が通っていた学校は優秀な学生が高く、皆が競い合って英語を勉強していました。英語でディスカッションする時は皆が積極的に発言します。またリーディングの授業で求められるレベルは高く、高校ではシェークスピアを読んでいました。英語は文法法則がシンプルで単語の意味が明瞭なので、基本さえ覚えればシェークスピアでも読み進めていくことができます。中国の学校でリーディング力を身につけていたので、アメリカの授業を理解することは難しくありませんでした。もちろん最初は英語で議論に参加したり、発言するのは苦労しましたが。」
 もともと彼女が頭脳明晰であったことは間違いないでしょうが、それでも中学から英語学習をスタートして、たった6年間でアメリカのトップ大学合格を勝ち取ったいうのはただごとではありません。


リーディング力を鍛えれば世界で通用する!

 中国も日本と同様、日常的に英語を使う機会はほとんどありません。そのような環境において高い英語力を身につけるには、英語学習のゴールを「リーディング力の習得」に定める必要があります。
 日常的に英語を話すことがなくても、英語で書かれた本を読み解く力を身につけることができれば、読書によって英語の全技能を限りなく向上させていくことができます。
 さらに英語のリーディング力が身につけば、母国語で身につけた知識や技能を英語にも応用することできますから、冒頭でご紹介した中国人女性のように、世界のトップ大学に進学し、世界の舞台で活躍することも夢ではないのです。
 ここで明確にしておきますが、私が言うリーディング力とは、日本の英語試験で出題されるような「長文読解」ではありません。また日本の学校教科書に掲載されている短いストーリーを指しているのではありません。リーディング力とはネイティブ向けに書かれた英語の本、テキスト、資料を、ネイティブ並みの読書スピードで、理解を伴いながら読める力です。

リーディング力とは何か?

 アメリカの小学校では生徒のリーディング力(初歩のリーディング力)を

1)1分間に何文字読めるか
2)読みミスが何文字あるか
3)内容理解はどの程度か

の三つで評価します。詳細は省きますが、この三つにはそれぞれ基準があり、基準を満たすことによって学年相当のリーディング力が身についた状態(Proficientと呼ぶ)と評価されます。
私が考えるリーディング力とは上記の三つを満たした状態。すなわち(ネイティブ向けの)年齢相当レベルの本を、ネイティブと同じスピードで、内容理解を伴いながら読める力です。
 英語ネイティブでも、英語を第二言語で学ぶ日本人でも、目指すゴールは同じです。ハリーポッターレベル(アメリカの小学4年生以上)の本を楽しみながら(内容を理解しながら)読めるようになれば、リーディング力が身についいると言えるでしょう。

英語は積み上げ方式は効率が悪い!

 ネイティブ向けに書かれた英語の本をスラスラ読み解けるリーディング力が身につけば、日本国内の大学受験や英語試験は、何の試験対策をしなくても、ほぼ全て100点満点で突破することができます。
 日本の学校教育は「部分から全体」という積み上げ方式で英語の知識(単語力、文法、解釈)を指導していきますが、リーディング学習は「全体から部分へ」というイメージで学習します。
 細かい知識や技能の積み上げは省略して、英語の本を読む訓練に集中します。つまり単語を覚えたり、文法ルールを理解したりということは横に置き「英語の本を読む訓練だけ」に特化するのです。
 単語や文法を覚えなければ意味が分からないではないか?と思うかもしれませんが、リーディング学習を進めていくプロセスでボキャブラリーも文法力も習得していくことができます。
 やり方は簡単で、読む本のジャンルや難易度を少しずつ上げていけば良いのです。さらに付け加えれば、英語のリーディング訓練を通して「英語を英語のまま理解できる力」を身につけることができます。
 英語を日本語に置き換えながら本を読み進めていてもネイティブ並みの読書スピードは実現できません。英語を早いスピードで読むリーディング学習を重ねることで、英語を英語のまま理解する頭の使い方を鍛えることができるのです。

リーディングを習得する2つの壁

 リーディング力を習得するには2つのステップを乗り越える必要があります。
 最初のステップが、英語の本(年齢相当レベル)がストレスなくスラスラ読める状態。フォニックスやサイトワーズ学習を通して簡単な英語の本が流暢に読めるように指導します。この段階では内容理解が伴う必要はありません。
 そして次のステップが、英語の本をネイティブ並のスピードで、内容理解を伴いながら読める状態です。この段階では読書スピードに加えて内容理解が伴っていることが要求されます。このステップを乗り越えるには、簡単で短い本の多読練習が必要です。
 リーディング力を身につけるプロセスは英語ネイティブでも、英語を第二言語で学ぶ日本人でも全く同じです。上記の二つのステップをクリアしなければ満足なリーディング力を身につけることはできません。

リーディング訓練が足りないと英語嫌いになる!

 英語ネイティブで「学校の勉強が苦手!」という子どもに共通するのが「英語の本への抵抗感が強いこと」です。最初のステップである英語の本がスラスラ読める状態になっていないまま学年が上がり、読む本の難易度が上がり、読む本の量が増え、「リーディングの消化不良」を起こしているのです。英語の本を見ると「嫌だ」「面倒だ」「難しい」という抵抗感が先に立ち、学習を邪魔します。
 これと同じことが日本人の英語学習者にも起きています。英語を学び始める年齢にかかわらず、英語を読む訓練が足りないのです。日本の英語学習は「意味を理解すること=訳読法」に重点が置かれているので、どうしても英語を読む量が少なくなってしまいます。
 英語を読む訓練が足りないと英語への抵抗感が抜けません。そして、英語を見ると「面倒だ!」「難しい!」と苦手意識を持つようになります。英語を読む訓練が足りないことが英語苦手な日本人を生み出している最大の原因であると私は考えています。

ハワイイメージ1【編集部より】
船津徹先生の新著『世界で活躍する子の〈英語力〉の育て方』が6月20日に発売されます。リーディング力を身につけるノウハウについて、数多くの実践と実例と伴に、余す所なくご紹介する一冊です。お子さんに英語教育を行なっている方の必読書です。ぜひご一読ください。▶︎詳細・お申し込みはこちらをクリック


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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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