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2019年4月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.94 | 英会話偏重の落とし穴

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-1904
船津徹「英会話偏重の落とし穴」(株式会社 児童英語研究所、2019年)


 乳幼児の英語教育を考える時、多くの人は「英会話」を思い浮かべると思います。英語の読み書き(文法)は学校教育で勉強するからわざわざ幼い子どもに教える必要はない。それよりも日本人が苦手な「英会話」を習わせるべきだ、という考えです。実はこの「英語教育=英会話」というバイアス(思い込み)が日本人の英語力を停滞させている原因の一つであると私は考えています。


会話力は環境で育つ

 子どもは大人に比べて英語を聞き取る力や正確な発音を再現する能力が高く、スムーズに英会話を身につけることができるのは事実です。しかし子ども時代の優れた言語能力を「英会話だけ」に使うのはもったいない!というのが私の持論です。日本では英会話を実践する環境が少ないため、子ども時代に身につけた英会話力は年齢が上がるにつれ弱くなり、最悪の場合消えてしまうのです。
 私は子どもの優れた言語能力を「英語のリーディング力育成」に応用すべきであると考え、歌やチャンツを通して幼児に英語の読み書き(フォニックス)を学ぶプログラムを構築しました。このプログラムを私の英語学校で実践したところ、たちまち子どもたちのリーディング力が上達し、同時に英語の他の技能(話す、聞く、書く)も向上したのです。
 子ども豊かな言語能力を「リーディング力育成」へとつなげていくことで、どの子も流暢なネイティブ発音で英語が「読める」ようになります。英語の本がスラスラ読めるようになれば、日本にいながら、自力で英語力を限りなく向上させていくことができるのです。
 子どもの英語教育を成功させるには「英会話バイアス」から脱却し「リーディング力育成」へと学習の重点を転換することが大切です。リーディング力の育成をゴールに据え、言語能力の著しい幼児期から小学校時代に、適切な指導を与えれば、どの子も高度な英語力を達成することができるのです。


英会話では英語は身につかない!

 子どもを「英会話」に通わせている方は多いと思います。幼い頃からネイティブと接することで、英語の音やリズムに馴染ませ、外国人に慣れさせる。確かに子ども時代に外国人と触れ合う経験は、異文化理解を促進し、外国や英語に興味を持つきっかけとなるでしょう。しかし残念ながら、英会話(だけ)では高度な英語力を達成することはできません。その理由は大きく2つあります。
 一つは、学習時間が少なすぎること。週1回、1時間の英会話レッスンを受けていても英語は身につきません。英語習得の目安となる学習時間は「学校の勉強プラス1000時間」です。週に1時間の英会話で「プラス1000時間」を達成するには20年近くかかってしまい現実的ではありません。(1年間は52週。毎週休まず通っても1000時間達成に19年かかる!)
 もう一つは、日常的に英語を使うことがない日本で「会話中心」の学習は現実的でないこと。フィリピン、シンガポール、マレーシアのように、身近に英語を使う環境があれば「英会話」の実践を重ねることが可能です。しかし日本で英会話を覚えても、実践する場がありませんから、技能が定着しないのです。いくらテニスの本を読んで技術を覚えても、実際にコートに立ち、ボールを打たなければテニスが上達しないのと同じことです。
 では日本で英語を身につけるにはどうしたら良いのかと言えば、やはり「英語のリーディング力の育成」がベストな方法です。英語の本が読めるようになれば、目標のプラス1000時間を「読書」で達成できるのです。


英会話バイアスに潜む落とし穴

 ハワイで生まれ育ったタロウ君。両親は日本人です。家庭では日本語を話し、プリスクールでは英語を話すバイリンガル環境で育ちました。ハワイの小学校に上がる6歳の時には、日本語と英語を「話す」バイリンガルに成長しました。二カ国語を自在に操る我が子を見ると、親としては何ともうれしく、誇らしい気持ちになるものです。
 そんなタロウ君がハワイの小学校に通い始めて1ヶ月ほど経ったある日、担任の先生からお母さんに電話がありました。 「タロウ君ですが、英語力が弱いので授業についていけません。放課後に家庭教師をつけて補習を受けることはできませんか?」
 お母さんはびっくりして反論します。「タロウは英語ぺらぺらですよ。なぜ授業についていけないのですか?」 先生は答えました。「英語の会話力には問題ありません。でも、英語の読み書きの力が足りないのです。」
 お母さんは呆然としてしまいました。英語が流暢に「話せる」タロウ君を見て、学校の授業にも問題なくついていけるだろうと「思い込んでいた」のです。

生活英語力と学習英語力は別モノ

 学校で要求される英語力は、本や教科書を読み解く力や自分の意見を文章で表現する力、すなわち「読み書き」をベースとした「学習英語力」です。いくら英語が流暢に話せても、学習英語力が身についていなければ、授業についていくことも、家庭で宿題や課題を自力でこなすこともできないのです。英会話力と学習英語力の発達は明確に分けて考えなければいけません。
 英語が流暢に話せるから、学校の勉強もできるようになるだろうというのは海外で生活する日本人父兄に多い「思い込み」です。アメリカで生まれ育ち、学校に通えば誰でも英語を話せるようになります。しかし全ての子どもが勉強が得意になるわけではありません。勉強ができる子にするには、親のサポートや子ども自身の努力によって学習英語力を鍛える必要があるのです。

外国人子弟の学力不振も学習言語力の弱さが原因

 グローバル化の進行に伴い日本の学校にも外国人子弟が増えました。都市圏はもちろん、地方の学校にも外国人子弟が在籍することが珍しくなくなりました。しかし彼らの多くが授業にスムーズについていけずに学業で苦労しています。なぜでしょうか?
 それは「学習日本語力」の弱さです。学力を獲得していく土台となる日本語を「読む力」と「書く力」が足りないから、授業についていけないのです。もちろん国語の授業では、外国人子弟であっても「日本語の読み書き」を教えてもらえます。しかし、元々日本語力が弱い子どもが(日本人向けの)国語の授業だけで満足な学習日本語力を身につけられることは稀です。
 外国人子弟の両親は日本語が話せない人がほとんどです。つまり家庭で子どもに日本語を教えることができません。日本人家庭であれば、子どもが小学校に上がる前に、ひらがなや漢字を教えたり、本読みをサポートできますが、外国人家庭ではそれができないのです。家庭でのサポートが不足すると、読み書きの習得が遅れ、学業で苦労するようになり、勉強嫌い(学校嫌い)になっていきます。

学習言語力の土台はリーディング力

 実はこれと同じことが日本の英語教育の現場でも起きているのです。学習英語力の入り口である「リーディング力育成」が足りていないのです。その結果、英語が上手く読めない→上手く読めないから内容理解が伴わない→内容が理解できないから英語力が向上しない→自分には英語はムリ!と英語嫌いになる、という負のスパイラルに陥っている生徒が驚くほどたくさんいます。
 日本人の英語力を向上させるには、英語のリーディングを集中指導して、英語の本がスラスラ読めるようにすることが近道です。現在子どもを英会話に通わせている家庭では、ぜひ家庭で「リーディング」をサポートしてください。子どもの優れた言語吸収能力を英会話で終わらせず、学習英語力へとつなげていくことで「本当に使える英語力」が身につくということを知ってください。

【編集部より】
船津徹先生の新著『すべての子どもは天才になれる、あなた(親)の行動で。』全国書店で発売中です。子どもの特性を見極め「才能」へと引き上げる方法について、世界中の一芸に秀でる子どもたちの実例と共に紹介する一冊です。才能のない子など、この世に一人もいません。いかに才能を開花させるかが、親の腕の見せ所です。


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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2001年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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