Vol.068 | 考える力を育てる
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/1702hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.068 | 考える力を育てる』(株式会社 児童英語研究所、2017年)
現代は「先の見えない社会」です。今日正しいことが明日には間違ったことにコロッと変わってしまう。そんな常識や価値観の大変動が日常的に起きています。医療やテクノロジーはもちろん、ダイエットから子育てに至るまで、日々新しい発見、検証、研究がなされ、今までの常識を塗り替えてしまいます。一体何を信じていいのか分からない!そんな時代を生きるのがこれからの子どもたちです。
変化の激しい時代を生きる子どもたちに強く求められるのが「考える力」です。物事を鵜呑みにせず本質を見極める力、常識や定説を疑う力、未来を予測する力、多面的に考える力、自分の思考を見つめ直す力など「自分の生き方を自分で考える力」を子どもに与えなければ、氾濫する情報や社会の変化に「振り回される人生」を送ることになります。
ゴールデンルールは通用しない
「一生懸命勉強して、良い大学に入り、良い企業に就職する。」ひと昔前まではこのゴールデンルールが通用しました。だから思考力を磨かなくても、周囲の言う通りに「ただ勉強していればよかった」のです。しかし今は上場企業でもリストラは当たり前、歴史のある大企業でさえグローバル化に乗り遅れれば外国資本に買収されてしまう時代です。
「一生懸命勉強して大企業に就職すれば一生安泰」という価値観から親が抜け出なければ、グローバル社会を生き抜く子どもを育てることはできません。自分の人生は、自分の頭で考え、選択し、行動し、開拓していく、そんな子どもを育てることが今ほど求められる時代はありません。
グローバル化が進んだ欧米では「勉強ができれば成功切符が手に入る」という価値観は通用しません。その証拠にアメリカのトップ大学に合格するには「勉強だけではダメ」なのです。基礎学力を身につけていることは当たり前。学力に加えて「問題解決力」「問題提起力」といった思考力を有していること。さらに自分は何者で、どう生きていきたいのか、というアイデンティティが確立していることが条件です。
家庭で考える力を育てる
自分は何者でどんな人生を歩みたいのか。自分らしい人生を実現するためにどう思考し、選択し、行動すべきなのか、子どもがその答えを得るためには「考える力」を「子育ての中で」育成していかなければなりません。
残念ながら日本の学校教育では考える力は育ちません。学校教育の中心は、国語、算数、理科、社会の知識の詰め込み(記憶)であり、大学入試を目標にした「◯×式テスト(正解がある問題)」の指導に偏っています。
考える力を育てるには「答えがない問題について考える」頭の使い方をもっと練習させる必要があります。たとえば算数で「8+7=15」という答えが決まった問題の解き方を教えるだけでなく「15」という数字を得るために、どんな計算方法があるのかを考えさせるのです。「1+14」「16-1」「15×1」「30÷2」など、創造力を働かせていくらでも考えることができますね。
子どもに選択させる
子育ての中で「考える力」を育てる最初のステップは子どもに「選択させる」ことです。日本では子どもの身の回りのことは何でも親が選んで与えるのが一般的です。洋服、靴、歯ブラシ、髪型、食事、おやつ、飲み物など、子どもの意思で選ばせているという親は少ないと思います。
もちろん親としては、子どもに似合う服や髪型、健康に良い食べ物を与えたいという気持ちで選んであげているのですが、見方によっては子どもが自分で考え、選択するチャンスを奪っているとも言えます。
無制限に選ばせるのはいけませんが「人参とジャガイモのどちらを食べたい?」という二者択一の選択をもっとさせてあげてください。そして子どもが選んだら「どうしてジャガイモがよかったの?」と質問してください。これで子どもは「自分の思考について考える」経験を積むことができます。
