Vol.133 | 夏休みが子どもの伸び代を決める!

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引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/2207hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.133 | 夏休みが子どもの伸び代を決める!』(株式会社 児童英語研究所、2022年)

アメリカは6月初旬から8月下旬まで、長い夏休みがあります。日数にすると80〜90日間がお休みです!アメリカの学校の平均授業日数は年180日ですから、その半分に当たる90日間の連続休暇というのは「長過ぎる!」と個人的には感じています。というのも、学期中に頑張って伸ばしてきた学力が夏休みに下がってしまう現象が毎年見られるからです。下の図は夏休みに学習を継続している生徒と、そうでない生徒の学力差を表したものです。

夏休みに何もしないで過ごしてしまうと、学力差が年々広がっていくのです。これはアメリカに限った話ではなく、日本でも同様です。我が子をそうさせないためにも、夏休みといえども油断せず、読書やプリント学習を継続したり、普段できない活動に取り組む機会を与えることを心がけてください。

多くの子どもにとって夏休みと言えば「思いっきり遊ぶ時」です。でもいつから「遊ぶ時」になったのでしょう?気になりますね。

近代化を進めていた明治政府が、アメリカの学校制度を模倣して「夏休み」を取り入れたそうです。日本の夏休みの元祖はアメリカだったんです!では、本家アメリカの子どもたちは、本当に夏休みに遊んでいるのでしょうか?

サマーキャンプで自立を促す!

「全米で25%の子どもが教育的なサマープログラムに通っている!」After School Alliance

「ニューヨーク市の32%、シカゴ市の46%の生徒がサマースクールを受講している!」ABC News

「毎年全米で1100万人以上の子どもがサマーキャンプに参加している!」America Camp Association

アメリカの子どもたちは夏休みに遊んでいませんでした!アメリカでは多くの子どもが、夏休みになると「サマースクール」や「サマーキャンプ」に参加します。

ちなみに「サマースクール」というのは、元々、公立学校が主催する「夏期補習」で、学業不振者向けのサポートプログラムでした。しかし、最近は「サマースクール」が変わってきて、受験を控えている子、特定分野に興味がある子など、学習を先取りするタイプのプログラムが増えてきました。

一方で「サマーキャンプ」というのは、野外活動、スポーツ、ダンスなど、勉強以外の活動を中心としたプログラムです。アメリカで最も人気があるのは、親元を離れ、大自然の中で数週間から1ヶ月程度の集団生活を行う「サマーキャンプ」です。

サマーキャンプに参加すれば、身の回りのことは全て自分で行わなければなりませんから、タイムマネージメントが身につき、自立が促されます。また、いつもの学校の友だちとは異なる仲間との出会い、交流を通して、コミュニケーションスキルや思考の幅を広げることができます。

最近は日本でも、自然体験キャンプや山村留学体験キャンプなど、親元を離れ、集団生活を経験ができるプログラムが増えてきました。夏休みに遊ばせておくだけではもったいない!夏休みは子どもを一回り成長させるチャンスなのです。

小学校から高校卒業まで、夏休みはたったの12回です。この夏休みをどう過ごすかが、子どもの自立、自信、強み作りを大きく左右するのです!

いつもとは違う環境で、違う仲間と、違うチャレンジが経験できるのは夏休みだけです。夏休みにどんな「違う体験」をさせるべきか?お子さんの夏休みのプランを長期的視野で考えてみてはいかがでしょうか?

真剣にスポーツに取り組んでいる子どもであれば、スポーツ合宿に参加して技術を周囲よりも一歩引き上げることができます。夏休みに毎日サッカーを練習すれば、間違いなく技能面も精神面も一回り成長させることができるのです。

もちろん夏休みに実家に戻って祖父母と過ごす時間も大切です。でもそれだけで終わらせてはいけません。実家にいても参加できる活動はいくらでもあるはずです。地方の子ども会に参加させたり、地域の伝統文化に触れさせたり、自然の中でサバイバル体験をしてみたり、夏休みだからこそできる経験や環境を子どもに与えてください。

ハワイのサマープログラム!

お子さんに異文化経験をさせたい!生きた英語に触れさせたい!そんな方にとってハワイのサマープログラムはお勧めです。安全な環境、温暖な気候と豊かな大自然の中で、世界中の子どもたちと友だちになれるチャンスです。ハワイにはあらゆる種類のサマープログラムがあります。スポーツ、演劇、音楽、絵画、国際交流、キャンプなど、子どもの「得意」に合わせてプログラムを選ぶことができます。

一般的にサマープログラムへ参加できる年齢は5歳以上です。プログラムの多くは6月初旬から8月下旬にかけて実施されます。4週間〜6週間といった長期のものが多いですが、中には1週間単位で参加できるものもあります。

ハワイのサマープログラムは、私立学校が主催するもの、非営利団体が主催するもの、一般企業・営利団体が主催するものに大別されます。

学校主催のプログラムは、勉強、音楽、芸術などを教える学術コースが主体です。幼稚園レベルでは、勉強というよりは、遊びや実体験を通して知的好奇心や学習意欲を高める活動に重点が置かれています。小学生以上になるとSTEAMコースやお金教育など、より実践的なコース選択が可能です。

YMCAやKamaaina Kidsなどの非営利団体が主催するプログラムは、様々なアクティビティーを楽しむ体験型です。動植物に触れ合ったり、ハワイの文化体験をしたり、サーフィンやヨットなどのマリンスポーツに親しんだりと盛りだくさんの内容です。体験型プログラムは「遊び中心」ですから英語力に不安があるお子さんでも楽しめるプログラムです。

一般企業や営利団体主催のプログラムは、勉強からスポーツまで目的に応じて選択できます。テニス漬けにしたければテニスアカデミー、演劇漬けにしたければシアタープログラム、英語漬けにしたければ集中英語講座など、子どもの得意分野を伸ばしたい方にお勧めです。

子どもに合ったサマープログラムを選ぶには情報収集がカギです。どんな場所で実施され、どんな子どもが参加するのか、指導者の資格や経験は十分か、安全対策は行き届いているかなどを確認しましょう。ハワイといえども外国ですから、安易にプログラムを選ぶと、子どもがうまく適応できないことがあるので注意してください。

子どもの成長に合わせて環境を変える

英語で「Get out of comfortable zone」という言葉があります。「居心地の良い場所から脱出せよ!」という意味です。子どもの成長にとっては「居心地が良すぎることは危険だ!」と警告する言葉です。

イェール大学のロバート・ヤーキーズ教授と心理学者のジョン・ドットソン氏は、パフォーマンスを最大限に発揮するには、相対的に不安な状態、つまりいつもより少しストレスが高い状態が必要であるという「ヤキーズ・ドットソンの法則」を提唱しました。

伸び続ける子どもに共通するのが、自分の現状に決して満足しないことです。常にワンランク上を目指して努力を継続しています。そしてワンランク上を達成したら、さらにワンランク上を目指す。そうしてずっと右肩上がりに成長していくことができるのです。

ポイントは「ワンランク上の環境」です。高すぎる目標設定をしてはいけません。子どもの手に届く範囲で目標を定めて挑戦させることが大切です。階段を3つ、4つ飛ばして登らせようとせず、一段一段着実に実力をつけていく。地道で根気のいる作業ですが、これを実践しているのが突き抜ける子どもたちです。

もちろん子どもが自分でそうなったのではありません。親が上手に環境のレベルを上げているのです。子どもが達成できる範囲で「ワンランク上」の環境に挑戦させています。ヤーキーズ教授の言葉を借りれば「少しだけストレスが高い状態」を作っているのです。

子どもの環境を変えることが大切!と言っても、学校をころころ変えるわけにはいきません。でも夏休みのサマースクールや習い事ならば「ワンランク上」の挑戦をさせることができます。

スポーツや音楽に真剣に取り組んでいる子どもの技能を向上させていくには、カンフォタブルゾーンから出すことが一番です。今のレベルからワンランク上の競争をさせればいいのです。地元の音楽コンテストで学年一番になったら、一つ上の学年で勝負してみる。あるいは隣町のコンテストに出してみる。少しだけ競争のレベル上げることで、子どもはモチベーションを維持しながら、高いパフォーマンスを実現できます。

そして少し上のレベルでも一番になったら、さらに上のレベルで競わせる。そのようにして少しずつ世界を広げていくのです。この時に注意しなければならないのが、子どもの精神状態を見極めること。いくら技能が上達しても精神(メンタルタフネス)が伴わなければ、高いレベルでの競争に勝ち残っていくことはできません。

子どものメンタル面、技能面の準備が整っていると判断したら、ワンランク上へと環境を上げていきます。そうやって一歩一歩挑戦を続けていき、ふと後ろを振り返ると、とてつもなく高い所まで登ってきたことに気づきます。

個性を伸ばす、強みを持たせる!

高度経済成長を経て、国家として成熟期に入った日本。教育も変わる時期にさしかかっています。これまでのように「平均的によくできる人材育成」を目指していても、これからの多様な社会に対応していけません。平均的にできる、普通にできる、皆と同じくらいできる、目指すのは中の上。そんな人材を大量生産する時代は終わったのです。

教育の目的は「社会で必要とされる技能の育成」です。グローバル化、IT化、ロボット化など、かつてない大きな変化を迎えている現在、教育も個性重視、能力重視、未来型スキル(考える力、コミュニケーション力、STEAMなど)重視へと変革を迫られています。

また学校や地域社会の中で健全な競争環境を作り、能力ある子ども、やる気のある子どもを上へ上へと引っ張り上げていく仕組み、子どもの個性を伸ばし、リーダーを育成する体制が広がっていかなければ、日本は世界の潮流からどんどん取り残されていってしまうでしょう。

そう言っても「今」子育てをしている人たちは、学校や社会が変わるのを待ってはいられません。ですから「親が」子どもの特性を見極め、「強み」へと引き上げ、自信を育て、個性を大きく開花させていかなければならないのです。そして、それを実現できる最適の時期が夏休みなのです。

伸び続ける子どもを育てている「親に」共通するのが「子どもに合った環境」を与えていることです。環境というワクに子どもの個性や素質を合わせるのでなく、子どもの個性と特性を伸ばすために、少し大きめの環境を与えてチャレンジさせているのです。

船津 徹(Funatsu Toru)

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2602年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールを卒業。
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