Vol.185 | 読む力は「年齢」でなく「段階」で育つ
わが子の「今」に合った学び方で、英語の音からすらすら読める力へ
本記事の要旨
子どもの英語の読む力を育てるには、年齢だけで判断せず、「今どの段階にいるか」に合わせて取り組むことが大切です。読む力は、音を聞き分ける、文字と音をつなげる、単語を読む、文を読む、やさしい本をたくさん読むという5つの段階を通して育ちます。「単語は読めるのに文になると止まる」「読めても内容が分からない」といったつまずきは、前の段階を練習し直すことで支えられます。ハワイの教室での指導経験をもとに、家庭で子どもの段階を見きわめるコツと、毎日の短い取り組み、段階に合ったパルキッズ教材の選び方を紹介します。
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/science-of-reading/reading-fluency/2611hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.185 | 読む力は「年齢」でなく「段階」で育つ』(株式会社 児童英語研究所、2026年)
「英語は何歳から始めればいいですか?」
保護者の方から、よくいただく質問です。
私の答えは、いつも同じです。
大切なのは「何歳か」ではなく、「今どの段階か」です。
英語を読む力は、年齢とともに自然に育つものではありません。決まった順番で、一段ずつ上がっていく階段のような力です。同じ5歳でも、子どもによって今いる段階は違います。小学生になってから始めても、段階を順に上がれば、読む力は確実に育ちます。
私はハワイの教室で25年間、5,000人以上の子どもたちに英語を教えてきました。その中で確信したことがあります。今の段階に合ったことをすれば、どの子も次の段階に進めます。反対に、段階を飛ばすと、どこかでつまずきやすくなります。
今月は、子どもが読む力を身につける順序を5つの段階に分けて見ていきます。それぞれの段階で役に立つパルキッズの教材もあわせて紹介します。わが子が今どこにいるのか、思い浮かべながら読んでみてください。
読む力の5つの段階
アメリカの学校では、科学的リーディングにもとづく読み指導が広がっています。科学的リーディングとは、脳科学や教育研究の成果をもとにした、読む力の育て方です。私はこの考え方をもとに、読む力が育つ道すじを5つの段階に整理しています。
第1段階は「音を聞き分ける」です。
英語の単語が、いくつかの音からできていると気づく段階です。たとえば、catとhatは最初の音だけが違う、と聞き分ける力です。この段階で一番大切なのは、英語の音をたっぷり耳に入れることです。パルキッズプリスクーラーは、0歳から小学1年生までを対象にしたかけ流し教材です。毎日のかけ流しで、英語の音を聞き分ける耳が育っていきます。
第2段階は「文字と音をつなげる」です。
いわゆるフォニックスの入り口です。文字の「名前」ではなく、文字が表す「音」を覚えます。アルファベット26文字の音を、一つずつ確実にしていきます。
第3段階は「単語を読む」です。
覚えた音をつなげて、短い単語を読めるようにします。catは「c」と「at」の二つのかたまりで覚えると効率的です。atが読めれば、hat、bat、matと、仲間の単語もまとめて読めます。
同時に、theやsaidのように、英語の文章でよく出てくる単語を学びます。これをサイトワーズと呼びます。サイトワーズは、一目で読めるように練習します。
パルキッズのアイキャンリードには、サイトワーズのフラッシュカードや、単語を見分けるゲームが入っています。絵本の読み聞かせとあわせて、毎日少しずつ取り組めます。
第4段階は「文を読む」です。
フォニックスのルールで読める単語と、サイトワーズが混ざった短い文を読みます。I can see a cat. のような文です。単語は一つずつ読めるのに、文になると止まってしまう子がいます。単語と単語をつなげて、意味のまとまりとして読む練習をします。こうして、すらすら読む力、フルエンシーの土台ができます。
第5段階は「やさしい本をたくさん読む」です。
ここで育つのが、すらすら読む力です。少し簡単すぎるくらいの本を、くり返し、たくさん読みます。読むことに頭の力を使わなくなると、内容を味わう余裕が生まれます。この段階まで来ると、子どもは本を通して、自分で英語を伸ばしていけます。
パルキッズのアイキャンリードは、セットAからDの4段階で、少しずつ単語数と文の長さが増えていく絵本シリーズです。易しいセットから順に読み進めることで、無理なく段階を上がれます。
どの段階にも、その段階でやるべきことがあります。年齢が上だからといって、前の段階を省くことはできません。反対に、年齢が小さくても、段階が進んでいれば先へ進んでかまいません。
単語の読み方にも「段階」がある
5つの段階の中でも、第3段階の「単語を読む」は、特に変化が大きいところです。アメリカの読みの研究者、リネア・エーリ博士は、子どもが単語を読めるようになる道すじを、いくつかの段階で説明しています。
最初は、文字ではなく、形や色を手がかりに単語を覚えている段階です。お店のロゴを見て、名前を言い当てるような読み方です。文字と音の結びつきは、まだ使っていません。
次は、最初や最後の文字など、一部の文字だけを手がかりにする段階です。dogのdだけを見て、dayやdad と読みまちがえることがあります。
その次が、単語のすべての文字を手がかりにして読む段階です。初めて見る単語でも、自分の力で読めるようになります。
そして、文字のかたまりで読む段階に進みます。atやingのようなかたまりが、一目で読めるようになるのです。
アイキャンリードには、ライミングがたくさん使われています。ライミングとは、cat、bat、hat のように、最後の音をそろえる言葉遊びです。ライミングの多い絵本を読むと、at というかたまりに自然と目が向きます。cat、hat、bat を一つずつ覚えるより、at というかたまりを一つ覚えるほうが、ずっと効率がよいのです。かたまりで読めるようになると、読むスピードが上がり、文を読む力につながっていきます。
一部の文字だけで当て推量している子は、まだこの道すじの途中にいます。叱る必要はありません。文字のかたまりを一つずつ増やしていけば、読み方は確実に変わっていきます。
段階を飛ばすと、どこでつまずくか
段階を飛ばしたときのつまずきには、よくある形があります。ここでは3つ紹介します。
一つ目は、「英語は好きなのに、文字が読めない」というつまずきです。かけ流しで、耳はしっかり育っています。ところが、文字と音をつなげる第2段階に進んでいません。聞く力と読む力は、別の技術です。耳が育っている子は、文字の学習を始めると伸びるのが速いものです。かけ流しをやめる必要はありません。次の一歩を足すだけです。
二つ目は、「単語は読めるのに、文になると止まる」というつまずきです。フォニックスで単語を読むことはできます。しかし、よく出てくる単語を一目で読む練習が足りていません。そのため、theやsaidが出てくるたびに止まってしまうのです。文を読む前に、サイトワーズを少しずつ増やしていくことが大切です。
三つ目は、「読めるのに、内容が分からない」というつまずきです。私の教室でも、よく見る姿です。本を読み始めたばかりの子や、読書量が少なく、読むのがゆっくりな子がいます。こうした子は、文字を音にすることで手一杯になっています。そのため、最後まで読んでも、何が書いてあったのか頭に入っていないことが多いのです。
本人は一生懸命に読んでいます。怠けているわけではありません。頭の力を、文字を音にすることに使い切ってしまっているのです。ここで難しい本に進むと、この状態はさらに強くなります。この時期こそ、やさしい本をくり返し読む第5段階が欠かせません。
つまずいたときは、一つ前の段階に戻ってかまいません。戻ることは、後退ではありません。次の段階へ確実に進むための準備なのです。
「絵を見て当てる」読み方に気をつける
英語の絵本を読んでいると、子どもが絵を見て単語を言い当てることがあります。たとえば、犬の絵があるページで、文字を見ずに「dog」と言うような読み方です。一見、読めているように見えます。しかし、文字を見ていないので、読む力は育ちません。
絵で当てる読み方は、絵の少ない本に進んだとたんに通用しなくなります。学年が上がるほど、本の中の絵は減っていきます。そのときに頼れるのは、文字を音にする力だけです。
アメリカでは以前、絵や文の流れから単語を推測させる指導が広く行われていました。「スリー・キューイング」と呼ばれる方法です。ところが、この方法は、文字を音にする力を育てる妨げになると考えられるようになりました。
米国の教育専門紙エデュケーション・ウィークによると、2025年4月の時点で、少なくとも11の州がこの指導を禁止したり、教員養成で教えないよう定めたりしています。2026年9月には、連邦議会の下院でも、科学的リーディングにもとづく指導を後押しする法案が可決されました。
家庭での対応は、シンプルです。子どもが絵を見て当てても、否定する必要はありません。親が単語を指でなぞりながら、ゆっくり読んでみせてください。それだけで、文字に目を向けるきっかけになります。パルキッズの絵本でも、音声に合わせて文字を指でたどる読み方がおすすめです。絵はお話を楽しむため、文字は単語を読むためのものです。
わが子の「今の段階」を見きわめるコツ
わが子が今どの段階にいるのか。特別なテストがなくても、家庭で見当をつけることができます。用意するのは、子どもが読めそうな短い英語の文や絵本です。声に出して読んでもらい、次の3つを見てください。
一つ目は、単語の読み方です。一文字ずつ音を拾っているか、かたまりで読めているかを見ます。一文字ずつ拾っている間は、まだ単語を読む段階の途中です。
二つ目は、止まる場所です。the や was のような、よく出てくる単語で止まっていないかを見ます。ここで止まるなら、サイトワーズを増やす時期です。
三つ目は、読み終えた後の様子です。ただし、「何が書いてあった?」と内容を聞くのはやめましょう。テストのように聞かれると、子どもは萎縮してしまいます。私も教室では、本の内容を子どもに質問しないことを原則にしています。
代わりに、親が自分の感想をつぶやいてみてください。「この犬、おもしろいね」「最後、びっくりしたね」という具合です。子どもが笑ったり、「ちがうよ、ここはね」と話し出したりすれば、内容が頭に入っています。反応がうすいときは、文字を音にすることで手一杯なのかもしれません。やさしい本をくり返し読んで、すらすら読む力を育てる時期です。
大切なのは、読む時間そのものを楽しい雰囲気にすることです。読めたところをほめて、笑顔で終えてください。親の役目は先生ではなく、応援団です。
一段ずつ上がる家庭の習慣
段階を上がるために、家庭で特別なことをする必要はありません。いちばん大切なのは、毎日、短く続けることです。週末にまとめて長くやるより、毎日少しずつのほうが力になります。歯みがきのように、同じ時間に取り組むと自然に習慣になります。
読めたときは、「昨日より、なめらかに読めたね」と具体的にほめてください。子どもは自分の小さな成長に気づくと、次に進む意欲がわきます。きょうだいや友だちと比べる必要はありません。比べる相手は、昨日のわが子です。
親が英語を話せなくても、心配はいりません。パルキッズの教材は、かけ流しも絵本の読み聞かせも、ネイティブの音声で用意されています。発音のお手本は音声に任せましょう。親の役目は、そばで見守り、続ける環境を整えることです。
段階に合わせたパルキッズ教材の選び方
ここまでの話を、パルキッズの教材にあてはめて整理します。
まだ英語の音に親しんでいる段階なら、パルキッズプリスクーラーのかけ流しから始めます。英語の音を聞き分ける耳が、読む力のいちばん下の段になります。
単語や短い文を読み始める段階なら、アイキャンリードです。絵本の読み聞かせとサイトワーズの練習で、文を読む準備が整います。
文が読めるようになったら、アイラブリーディングで読む量を増やします。4段階のセットを順に読み進めることで、すらすら読む力が育ちます。
小学2年生以上で始める場合は、パルキッズジュニアがあります。1日約15分のオンラインレッスンで、ストーリーを音読できるところまで取り組みます。
どの教材も、年齢より「今の段階」を目安に選んでください。迷ったときは、一つ前の段階から始めるのが安全です。
読む力の階段は、一段ずつしか上がれません。でも、一段ずつなら、どの子も上がっていけます。大切なのは、わが子が今いる段を知り、その段に合ったことを毎日続けることです。
新刊のお知らせと無料診断
2026年12月1日、ダイヤモンド社より、科学的リーディングにもとづくおうち英語の新刊を出版します。今回お話しした「段階」に合わせて、家庭で読む力を育てる方法を一冊にまとめました。書名と予約の開始は、あらためてお知らせします。
わが子が今どの段階にいるかを、家庭で確かめられる無料の診断も用意しています。対象は3〜9歳。親子で約10分、ゲーム感覚で取り組めます。結果のタイプごとに、次にやることがわかります。教材選びの目安としても、ぜひお試しください。
▼【無料】3〜9歳の英語よみ力診断
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