Vol.184 | 英語を強みにする方法
本記事の要旨
子どもの「強み」は、親が見つけて言葉にしてあげることで育っていきます。英語学習も同じで、内向的、外向的、慎重、好奇心旺盛など、それぞれの気質に合った方法を選ぶことが大切です。本記事では、子どもの強みの見つけ方から、英語を一生使える強みに育てるための学習方法、フォニックス・サイトワーズ・リーディングを身につける正しい順序まで解説します。
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引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/2610hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.184 | 英語を強みにする方法』(株式会社 児童英語研究所、2026年)
子どもの「強み」や「長所」は何でしょうか?
子どもは自分の強みを知っているでしょうか?
子どもは自分で自分の強みに気づくことはできません。だから最も身近な存在である親が子どもの「強み」を言葉で伝えてあげることが大切です。
将来何をやりたいのか分からない。何になりたいのか分からない。何となく大学へ行って、なんとなく就職する。そんな大人が増えている原因の一つは子ども時代に「強み」を見つけることができなかったからです。
弱みは見ないで、強みにフォーカスする
「負けず嫌い」「集中力がある」「優しい」「社交的である」「パズルが得意」「本が好き」「観察力がある」「明るい」
どの子にも必ず良い部分や人とは違う特徴があります。それが「強み」です。我が子の強みや良い部分を見つけたら、はっきりと言葉で伝えてあげてください。
「負けず嫌いな◯◯ちゃんがママは大好き」
「集中力がある◯◯ちゃんはカッコイイ」
「誰にでも優しい◯◯は素敵よ!」
というように、良い部分をできるだけ具体的に伝えてあげてください。すると子どもは自分の良い部分をより意識するようになり、実際にその部分が伸びていきます。
間違っても子どもの弱みや短所には触らないでください。強みと弱みは表裏一体なのです。
「負けず嫌い」の子は「頑固で融通が効かない」という弱みがあります。「集中力がある子」は「夢中になり過ぎる」という弱みがあります。「人に優しい」子どもは「優柔不断で物事を決められない」という欠点があるのです。
「言う事を聞かなくて、ぐずぐずして、本当に困っています」と相談してくる親がいますが、子どもの欠点に目が向いているのです。欠点を指摘していると、子どもは自分の悪い部分を気にするようになり、さらに欠点が目立つようになってしまいます。
心当たりがある方は、子どもの強みや良い部分を紙に書き出してみましょう。
「好きな事には集中力を発揮する」
「粘り強い」
「優しい」
など、子どもの良い面が見えてくるはずです。
まずは一日で構いません。子どもの悪い面には一切触れずに、良い部分だけにフォーカスして過ごしてみてください。
「元気にあいさつしてくれてママ嬉しい」
「ご飯をいっぱい食べてくれてママ嬉しい」
「一人で着替えができてママ嬉しい」
というように子どもをほめる機会が増えるはずです。
親から自分の良い面をほめられると、子どもは心から幸せそうな顔をします。母親だけでなく父親や祖父母からもほめてもらえるように、こっそりお願いしておきましょう。
「◯◯は本当に絵が上手ね」
「◯◯ちゃんは元気だね」
「◯◯ちゃんは負けず嫌いだね」
など、家族全員がほめるポイントを共有しておくとさらに効果的です。
ほめる7:3しかる
一般に子どもを「ほめる:しかる」は「7:3」がバランスよいと言われます。ところが実際には「7:3」(あるいはそれ以上の割合)で、しかることの方が多いという研究があります。
親が子どもをほめることを意識していないと、いつの間にか子どもを叱る(あるいは注意する)ことが多くなってしまうのです。ほめられることよりも叱られることが多くなると、子どもは自分の悪い面を気にするようになってしまいます。
子どもをほめる回数を増やす簡単な方法が「お手伝い」です。最近は家事を子どもに分担させる家庭がめっきり減ってしまいました。
男女共働きの世帯が増えたとは言え、掃除、洗濯、ゴミ出し、食事の準備に後片づけ、すべて母親が一人でやっている家庭が多いのではないでしょうか。その結果、母親は家事と育児(さらに仕事)に追われて疲れ果てています。
もっと子どもに家事分担をお願いしましょう。家庭内のルールを決めて、家事分担を家族全員で共有すると良いでしょう。
またお手伝いの内容に応じてお小遣いの金額を決めるようにすると、労働することの意味、お金を稼ぐことの価値、お金の大切さも理解できるのでお勧めです。
子どもにお手伝いをお願いする時は必ず親が頼んでください。
「家のルールだからやりなさい!」
と命令すると、子どもは渋々やることになってしまい、お手伝いの目的である「ほめる」ことにつながりません。
「悪いけどゴミ出しを手伝ってもらえる?」
と頼めば、子どもは快く引き受けてくれます。そして、子どもがしてくれたら、
「手伝ってくれて助かったよ、ありがとう!」
と、感謝を言葉で伝えてください。この時に抱きしめたり、頭を撫でたり、スキンシップを加えるとさらに効果大です。
お手伝いをしてもらうと、子どもの「強み」や「良い部分」を見つけることができます。
料理の手伝いを頼んでみたら子どもの思いがけない才能に気づくかもしれません。掃除を頼んでみたら、案外几帳面な部分が見えてくるかもしれません。
子どもだから上手にできないだろうと思わずに、子どもにどんどん家事の手伝いをしてもらいましょう。
子育て上手な家庭では、みなさん子どもに頻繁にお手伝いを頼み、職業体験と成功体験のインプットを積み上げています。
勤労して人から感謝される喜びと快感をたくさん経験して育った子どもは、前向きで積極的、そして開放的な人柄に育っていきます。
父親との遊びで強みを伸ばす!
子どもが3~4歳になり、言語運用能力と身体能力が発達してくると父親の役割が増えていきます。
子どもと一緒に身体を動かしたり、自然にふれ合ったり、やや荒っぽい「遊び」を通して子どもは運動能力、社会性、そして「強み」を伸ばしていくことができます。
子どもにとって一人でブロックやおもちゃで遊ぶ時間も大切ですが、もっと楽しいのが父親と遊ぶ時間です。
母親相手ではできないような荒っぽい遊びも、父親相手でしたら思い切り楽しむことができます。父親の腕にぶらさがったり、足の上に乗って歩いたり、背中の上にのって遊んだり、力がある父親は子どもにとって最高の遊具なのです。
メリーランド大学の教育進学者ナターシャ・カブレラ博士が行なった研究によると、父親の関与(遊びや子守り)が多いほど、子どもの情緒が安定し認知能力が高くなることが分かっています。
モントリオール大学の心理学者ダニエル・パケット博士の研究では、幼児期に父親と活発な遊びを多く経験した子どもほど、不慣れな環境でも果敢にチャレンジする傾向が強いことが分かっています。
父親が子どもと遊ぶことは、子どもの知能や精神発達にとって良いことばかりなのです。
さらに父親は子どもとの遊びの中で「強み」を見つける努力をしてください。子どもと遊んでいると身体的な特徴が見えてきます。
動きが機敏、ボールを使った遊びが上手、力が強い、持久力があるなどです。
子どもの強みを見つけたら、その分野を活かせるスポーツや習い事に参加させて、さらに強みに磨きをかけてあげましょう。
子ども時代に何か一つ得意なことを持てると、自信が大きくなり、学校生活を通して自主的なやる気の大きい子どもに育ちます。
英語は誰でも「強み」にできる!
子どもの気質によって、英語習得のスピードや得意なアプローチは違います。しかし、最終的に到達できるレベルに大きな差はありません。大切なのは、その子に合った学び方を見つけてあげることです。
「うちの子は人見知りだから英語の会話は苦手」と決めつける親がいます。しかし内向的な子どもは、会話よりも読み書きの習得において高い集中力を発揮する傾向があります。じっくり文字と向き合い、繰り返し練習することを苦にしないからです。
一方、外向的な子どもは人と関わる中で言葉を吸収していくことが得意です。オンライン英会話や外国人講師とのやり取りで、楽しみながら英語力を伸ばしていくことができます。
どちらが優れているということはありません。内向的な子には静かに取り組めるフォニックス学習やリーディングを中心に、外向的な子には会話や発表の機会を多く設けるなど、気質に応じて入り口を変えてあげることが大切です。
新しいことに挑戦するのを怖がる慎重な子どもがいます。この気質の子には、いきなり難しい教材を与えると英語そのものを嫌いになってしまいます。
慎重な子には、まずやさしいレベルから始めて「できた」という成功体験を積み重ねてあげてください。フォニックスであれば、最初の数週間で読める単語が増えていく実感を持たせることが重要です。
「もうこんなに読めるようになったね」
と、小さな進歩をこまめに言葉にしてあげましょう。安心感を得た子どもは、自分から次のステップに挑戦するようになります。
慎重さは臆病さではなく、物事を丁寧に積み上げる強みなのです。
好奇心が強く、興味の対象がころころ変わる子どもには、決まったカリキュラムを型どおりにこなさせるだけでは物足りません。
この気質の子には、興味を持った英語の絵本や動画を自由に選ばせて、次々と新しい題材に触れさせてあげましょう。一つのテーマを深掘りするよりも、幅広く触れることで語彙と表現のストックを増やしていくタイプです。
「決められたことを最後までやり遂げる力が弱い」と心配する親もいますが、それは短所ではなく、探究心という強みの裏返しです。
気質に合わない方法は、才能を潰してしまう
英語教育で最も避けたいのは、一つの方法をすべての子どもに当てはめることです。
会話中心のメソッドが向いている子もいれば、読み書き中心のメソッドが向いている子もいます。同じ教材、同じペースで進めても、子どもによって伸び方はまったく違います。
「うちの子はやる気がない」「集中力が続かない」と感じたときこそ、教材や方法が子どもの気質に合っていない可能性を疑ってみてください。方法を変えただけで、驚くほど意欲的に取り組み始める子どもは少なくありません。
英語力そのものは、生まれつきの才能に左右されません。しかし、その子に合ったアプローチと環境を見極める力は、親にしか発揮できないものです。
子どもの気質をよく観察し、強みを活かせる学び方を選んであげること。それが、どんな子どもも一定レベルの英語力に到達させるための、最も確実な道筋なのです。
英語の習得は生まれつきの才能や素質とは無関係であり、誰でも「正しい方法で学べば」必ず身につけることができるからです。
その証拠にアメリカで生まれ育った子どもは、人種、家柄、家庭の経済状況、親の学歴、本人の学習意欲などとは関係なく、誰でも一定レベルの英語力を身につけることができます。
もちろん日本人の子どもであっても英語圏の学校に通って段階的な指導を受けることで英語力を身につけることができます。
うちの子には英語の素質がない、うちの子は英語に向いていない、というのは親の思い込みです。「英語ができないバイアス」を子どもに刷り込むことはやめましょう。
私は日米で長らく子どもの英語教育に関わっていますから断言できますが、英語は、正しく学べば、どの子も一定レベル(CEFR B2/英検準1級以上)に到達することができます。
英語は楽器。正しい方法、順序、練習が大切。
英語の習得はピアノやバイオリンなど楽器習得と似ています。
たとえば、バイオリンを子どもに習わせる場合、いきなりバッハやベートーベンなどの難解な曲を弾かせようとはしません。
最初はリトミックで音感やリズム感を鍛えます。次に楽器の持ち方、姿勢、弓の使い方、弦の押さえ方などの基本を教えます。そして、きらきら星など子どもにとって親しみのある簡単な曲を弾く練習をします。
レベルアップしてきたら楽譜に合わせて少しずつ難しい曲にチャレンジしていく。このように段階的に教えていけば、それぞれの子どもの音楽的な素質に関わらず、一定レベルのバイオリンの技術を誰でも身につけることができるのです。
もちろん子どもの中には生まれつき秀でた才能を有する「天才」も存在します。音楽的な才能で言えば、絶対音感があったり、メロディーを一度聞いただけで再現できたり、難解な曲を短期間で演奏できるようになったりする子がいます。
でもそんな子どもは百人に一人もいません。99%以上の子どもは、段階的な指導を受けることによって技術を少しずつ上達させていき、長い年月をかけて自在に楽器演奏を楽しめるレベルに到達するのです。
英語も同じように考えてください。
日常的に英語を使う必要がない日本で子どもが英語を身につけるには「正しい方法、順序、練習」を踏襲しなければなりません。それらを無視して英語を身につけさせようとしても(一時的な進歩はあるかもしれませんが)高いレベルに到達することはできないのです。
まずは英語の歌を歌ったり、英語の手遊び歌で遊んだりして、英語の音とリズムに親しませることからスタートします。
ある程度、英語の音に慣れてきたら、フォニックスやサイトワーズで文字を段階的に指導し、英語のリーディング力(読解力)へとステップアップしていきます。
そして簡単な英語の本が読めるようになったら、仕上げのステップとして、英語の作文、プレゼン、スピーチ、ディベートなどを指導し、表現力を鍛えていきます。
子どもの英語教育を諦めてしまう人の多くは「リーディング力の育成」でつまずきます。音楽で言えば「楽譜を読む」ステップです。
幼い頃は英語の歌や遊びを楽しんでいたのに文字学習に取り組み始めた途端、英語を嫌がるようになる。親としても無理矢理やらせて英語嫌いにするのは避けたいので英語は諦める。というパターンです。
読解力の育成にも「順序」ある
リーディング力の育成(英語の本読み)で挫折する一番の原因は「教える順序が間違っているから」です。
英語教室やインターナショナルプリスクールでフォニックス(アブクド読み)を習ったから英語の本が読めるだろう、そう安易に考えている人が多くいます。
残念ながらアルファベット26文字の音を覚えただけでは英語の本は読めるようになりません。
少し横道にそれますが、子どもに日本語を教えるステップを思い出してみましょう。
最初は「ひらがな五十音」を教えますね。ひらがなチャート、ひらがなカード、ひらがなアプリなどを使って「あいうえお」の読み方を教えると「あお」「いえ」「いう」など、簡単な単語も読めるようになります。
しかし、この段階ではまだ本は読めません。「カタカナ」「濁音」「半濁音」「拗音」「促音」、さらに「漢字」を教えていないからです。
実は英語の本読みを教えるプロセスも日本語と全く同じなのです。
多くの人がアルファベット26文字さえ教えれば英語が読めると思っています。しかし、英語を読むにはそれだけでは到底足りないのです。
英語には44種の音と120種の綴りパタンがあると言われています。これらを一つひとつ丁寧に指導していかなければ、(日常的に英語を使う必要がない日本では)簡単な英語の本すら読めるようにはならないのです。
さらに日本語で「漢字」を覚えなければ本が読めないように、英語では「サイトワーズ」と呼ばれる頻出単語を教えることが必要です。
フォニックスは単語を分解して一文字ずつ読み方を教えますので、どの子も必ず「拾い読み」をします。拾い読みをしている段階では、英語を読んでいても意味が伴いませんから、子どもは英語の本を楽しめないのです。
英語のセンテンスをスラスラと読めるようにするには「サイトワーズ」を指導することが最も効果的です。
ちなみに英語で最も頻繁に使われる単語は「the」です。しかし綴りを見てわかる通り、フォニックスを習っても「the」を正しく読むことはできません。
「t=ト、h=ハ、e=エ」あるいは「th=ス、e=エ」となってしまいます。
サイトワーズはその名の通り「一目で読める単語」であり、英文によく出てくる単語を丸ごと一目で読めるように指導します。
フォニックスのように単語を分解して読む指導とは異なることを知ってください。
フォニックスとサイトワーズは「ひらがなと漢字」のようなものですから、どちらも順序立てて、丁寧に指導することが大切です。
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