Vol.001 | ハワイのバイリンガル事情 その1

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引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/1107hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.001 | ハワイのバイリンガル事情 その1』(株式会社 児童英語研究所、2011年)

皆さんは「バイリンガル」という言葉にどんなイメージを抱きますか?「国際的でカッコいい」「二カ国語が話せてうらやましい」「進学や就職に有利」などポジティブな印象を持つ方が大半だと思います。でも、実際にハワイでバイリンガル育児を実践している家庭からは「大変」「不安」「ストレス」といったネガティブな声ばかり聞こえてくるのです。

私はハワイで10年間に渡って、1500人以上のバイリンガルの子どもたちの教育に関わってきました。また、バイリンガルに育った多くの成人と交流する機会がありました。そこで私が見てきたものは、必ずしも「カッコよくてうらやましい」バイリンガルばかりではありませんでした。

バイリンガル育児の落とし穴

英語が未熟で学校に溶け込めない子、英語がペラペラなのにESL(English as a Second Language : 第2言語としての英語)クラスに入れられやる気を失った子、英語コンプレックスから自信喪失に陥った子、言葉の土台が弱く頑張っても成績が上がらない子、日本語も英語も中途半端なため大学進学できない子、日本語を失い親とコミュニケーションがとれなくなった子。

海外のバイリンガル育児では、母語と現地語の環境をタイミング良く与えることが重要なのですが、そのノウハウがほとんど知られていないため、成長過程で言葉に関わる様々な問題が起こります。中でも深刻なのが、英語力不足のために学校の勉強についていけなくなるケースです。

学業不振は、アメリカで生まれ育った日本人の子どもにも見られます。彼らは生まれた時から英語に親しみ、英会話も流暢にこなします。アメリカ文化への適応度も高く、ネイティブの友達もたくさんいます。それにも関わらず、学校の勉強で困難を抱えてしまうのはなぜでしょうか?

アメリカに住めば英語ペラペラ?

日本で育てば、誰でも日本語がペラペラに育ちます。同じように、アメリカに育てば英語ペラペラに育つと思いますか?答えは「イエス」であり「ノー」です。大抵の子は学校に2~3年通えば、流暢な発音で英語を話すようになります。しかし、あくまでも日本人から見て上手なレベルであって、アメリカ人から見ると「幼稚」な英語なのです。

日本人は、ネイティブ発音で英語を話す人を見ると、ひと括りに「英語が上手」と思いがちです。そして英語を流暢に話す我が子を見て「学校に通わせておけば英語の心配はない」と考えてしまいます。しかし、日本人の子が身につけた英語というのは、学校や習い事などごく限られた環境の中で、先生やクラスメートなど限られた人との交流による「限定的な日常英語」なのです。

一方、ネイティブの子どもたちは、家族、親戚、地域社会など豊かな環境の中で、年齢も職業も地位も異なる人たちとのコミュニケーションを通して英語を身につけていきます。この育った環境やコミュニケーション経験の違いが、子どもの英語能力の差となるのです。アメリカの学校に通えば、ネイティブと同じレベルの英語力が身につくというのは迷信です。

英語力の差を埋めるのはコミュニケーション力

この差を縮めるためには子どものコミュニケーション能力を高める子育てが大切です。現地校にスムーズに適応し英語力をグングン伸ばしていく子どもたちに共通することは、社会性が身についていること、コミュニケーション能力が高いことです。このコラムでは、そういった実例をふまえ、日本人の子どもたちが何を目標に定め、どうやって英語力を身につければ良いのかを、ハワイの教育情報を交えながらお届けしていきます。

船津 徹(Funatsu Toru)

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2602年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールを卒業。
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