Vol.017 | ハワイのバイリンガル事情 その17 ~教育の国際化について~

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引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal/1211hj/
船津 徹(Funatsu Toru)『Vol.017 | ハワイのバイリンガル事情 その17 ~教育の国際化について~』(株式会社 児童英語研究所、2012年)

「教育移住」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。近年、子どもの教育のためにアメリカへ移住するアジア人が急増しています。一昔前は移住といえば貧困層が仕事を求めて海外へ渡る場合がほとんどでしたが、最近は、裕福層がよりよい教育を求めて海外移住する傾向が強くなっています。

2010年にアメリカに流入したアジア系移民は43万人で、ヒスパニック系移民の37万人を上回り全米最多民族グループになりました。特筆すべきは、アジア系移民の49%が大卒以上の学歴を有していること、そして、世帯収入の平均が6万6千ドルと他の人種や米国平均を大きく上回っていることです。この数字には教育移住の増加が関わっていると考えられます。

アイビーリーグを目指す中国人裕福層

右肩上がりの経済成長が続く中国では空前の海外移住ブームが起きています。2011年に行なわれた調査によると、中国の裕福層の14%がすでに移民手続きを完了あるいは申請中で、46%が移民を検討中であると報告しています。海外移住の一番の理由は財産の保護、そして二番目が子どもによりよい教育を受けさせたいというものです。

また、資産が600万元(約7,800万円)以上の裕福層の85%、資産が一億元(約13億円)以上の富豪の90%は子どもの海外留学を計画(あるいは実行)しているとのことであり、中国を出てより高いレベルの教育を我が子に与えたいという中国人の教育熱の高さがうかがえます。

中国人の親が目指しているのは、アイビーリーグに代表されるアメリカの一流大学進学です。ベストセラー本「タイガーマザー」によって中国人ママのスパルタ教育ぶりが全米に知られるようになりました。タイガーマザーはアイビーリーグ進学という高い目標に向けて徹底的な英才教育を施します。人生の成功には学歴が一番という考えの是非はさておき、2011年にハーバード大学に在籍している中国人は582人で外国人トップです。

「早期留学」が社会現象になっている韓国

着実な経済成長を続ける韓国を離れて米国、カナダなどに生活拠点を移す人が増えています。激化する受験戦争、長く続く就職難など、子どもの将来に対する強い不安が韓国人の海外移住に拍車をかけています。最近では子どもに外国籍を取得させるために妊婦がアメリカやカナダに渡り出産する「遠征出産」もブームとなっています。

韓国人はもともと教育熱心な国民と言われていますが、特に英語に対する情熱は高く、国内の英語教育費の高さから、いっそのこと本場で勉強したほうが効率的と、小学生から海外留学をするケースが急増しています。小中学生の海外留学は「早期留学」と呼ばれ、多くの場合、母親と子どもが海外に渡り、父親は韓国で働きながら経済支援するという形態がとられます。

漢陽大学の金教授は「韓国人は10代から老後まで常に不安にさらされており、不安から逃れるためには海外に出るしかない。だから借金をしてまで子どもを海外に送り出すようになった」と、韓国の熾烈な競争社会が留学熱の背景にあることを説明しています。

アメリカで学ぶ留学生の動向

米国国際教育研究所の発表によると、2011年にアメリカの大学で学ぶ留学生数は中国が1位で157,000人、2位がインドで103,000人、3位が韓国で73,000人。カナダ、台湾、サウジアラビアと続き、日本は7位の21,000名でした。日本の留学生はピークだった2000年の46,000名からここ10年で半数以下に落ち込んでいます。

グローバル化の進行に伴い教育の国際化も避けられない課題となっている今日。次世代を生きる子どもたちにとって「どこで、どのような教育を受ける」ことがベストなのか。日本人の親たちもグローバルな視野から子どもの教育を考える必要に迫られています。

船津 徹(Funatsu Toru)

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2602年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールを卒業。
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