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2015年01月号特集

Vol.202 | 英語教育ブーム最後の日

英語教育ヒストリア!歴史から見える最先端英語教育

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1501/
船津洋『英語教育ブーム最後の日』(株式会社 児童英語研究所、2015年)


 学生時代にひょんなことから私塾を開いたのをはじめの一歩として、私が英語教育に携わるようになってから、今日に至るまで三十数年。それより過去のことは文献等で知るばかりですが、思い返してみると英語教育の世界はずいぶんとその景色を変化させてきました。しかし、一方で変わらないものは変わらない。時代とともに揺れ動く日本の英語教育のありかた。そんな表面的な動揺をよそに、百年一日の如く変わらない、日本人の心の奥底にどかりと根を生やして居座っている、少々誤った英語学習認識。今回はその辺りについて考えて参ります。


| 王道は留学!?

 三十年前の英語学習法の王道は「留学」でした。英会話スクールなどもあまり見かけなかった当時、今日ではどこにでもいる外国人にお目にかかることも希でした。インターネットなどももちろんありませんでしたので、英語を学ぶ場は、一に学校、二に英語塾、続いてNHKラジオ講座に加えて、ほんの数種類、家庭学習教材が市販されている程度でした。この時代が各種英語教育機関の黎明期で、今、誰でも知っているような英語教育産業が続々と産声をあげた時期でもあります。かくいう我が児童英語研究所も1983年の創業。まだ英語教育は一部の熱心な人たちの手によって、かろうじて支えられていた時代です。


| 輸入教材の時代

 その当時、三十年前です、児童英語研究所から七田眞先生の手によって「さわ子の一日」という画期的な教材が世に出されました。母と子の日常会話を大量に入力して幼児期に英語力を身につけさせてしまおうという、当時としては際だって斬新な発想から生まれた教材です。
 当時、中学生以上に向けての学習教材はあったものの、幼児向けの教材はほとんど存在せず、一部小学生以上向けのフォニックス学習教材があった程度です。
 そもそも「幼児に英語を」と考える保護者もほんのひと握り。現在のようにこぞって英語教育という時代ではありませんでしたので、教材を作っても供給過多に陥るありさまです。必然的に、外国からの輸入教材が幼児向けの教材の大部分を占めていました。
 昭和の終盤より通信指導や教室の運営をしていた我が社では、既出の「さわ子の一日」シリーズとオリジナルのプリントやテープ音源、さらにはセサミストリートのキャラクター教材、フォニックス教材、絵辞書など輸入教材を組み合わせてなんとか英語教育を行っていたわけです。
 そしてバブル景気。余ったお金が出口を求めるようにして早期の英語教育へと向かいます。各社せっせとシェアを取り込もうとします。
 英会話スクール、高額教材、高速教材などなど。もはや早期英語教育は一部の情報強者だけのものではなく、世間一般に広くその存在が知られるようになっていきます。


| 泡から泡へ

  あっという間にバブルははじけますが、それでも一度加熱した早期英語教育熱はなかなか冷めません。そんな折、1994年に「パルキッズ」誕生です。
 通信指導用の教材を全面的に刷新して、だらだらと長くなりがちな入力情報を必要最小限まで押さえ、かつバイリンガルに育てるには十二分の入力ができるように、内容を整理整頓して作られたのが、このパルキッズです。使い方をシンプルにしたので、取り組みが楽になり、成果を上げやすくなります。
 当時の社会を見ると、この頃から少しずつ「インターネット」という言葉が知られるようになりますが、それにしてもまだまだインターネットの人口普及率は現在の85%に対して5%ほどでした。
 しかし、インターネットはあっという間に、その利用者数を増やし、21世紀に入る頃には5人に1人が利用するようになります。そこで、児童英語研究所でもウェブページを開設し、掲示板やテキストチャットを通して情報を発信するようになります。
 パルキッズもそこまで丁寧に指導しなくても成果が上げられることが分かってきたので、インターネットの登場と併せて、それまでの郵送による通信指導の形を廃して家庭学習用教材へ、そしてテープもCDに、紙のカードも廃止してビデオテープで学習するようになります。会員様からの質問もインターネット上で受け付けるようになります。
 これが2000年前後ですので、ちょうどITバブルの頃です。この頃、早期英語教育は異様な盛り上がりを見せます。余談ですが、昨今の中国を見るがごとく、ITリテラシーや著作権に関する意識を十分に成熟させていない集団が、せっせと「海賊版」を流通させていた時期でもあります。(かの国のことを笑える立場ではありませんな。)
 この時代の英語教育業界はどうなっていたかというと、「英会話教室」が花盛り。幼稚園でも、希望者には英会話教室の時間を導入して生徒獲得に意欲を見せるところが増えてきていました。また英語教材の使い方でも、自ら情報収集して様々な教材を組み合わせる「倹約派」と、そんな面倒なことはプロに任せる「セット教材派」に分かれます。


| 英語より中学受験)

 さて、そんな平成バブルからITバブルへ時代は移りますが、実体経済は「失われた20年」のまっただ中です。そして失われたものがもうひとつあります。「学力」です。「ゆとり教育」の完全週休2日制が始まる頃です。この頃から、我が子の学力低下を危惧する一部の親たちの間では、「中学受験」に熱い視線が向けられるようになります。ITバブルが崩壊するのとほぼ同時に、中学受験の加熱が始まります。
 中学受験を特集する雑誌も増え、また、特集にとどまらず受験を専門とする雑誌まで出版されるようになります。
 そして、中学受験をするとなると、当然受験科目に無い英語から重点を外す向きも増えていきます。また長引く不況から限られた教育費をどこに充当するのかの判断に迫られれば、その時代にはまだ将来的にどんな効果が期待できるのかが明確では無かった英語よりも、受験にシフトするのは当然のことでしょう。英語教材「冬の時代」の到来です。
 しかし、すべての子どもたちが中学受験をするわけではありません。小学生の受験の割合はピーク時で25%ほどですし、また首都圏以外では中高一貫はまだ一般的では無かったので、そんな環境にあるご家庭では、引き続き英語教育に熱が注がれ続けていきます。英会話スクールはもちろんのこと、熱に浮かされての「親子留学」や、さらに迷走の果てに「インター」と呼ばれる高額保育所に子どもを預けたりすることも、中学受験をしない親の間では行われるようになります。


| お上よ、おまえもか・・・

 約三十年前の平成バブルが崩壊、失われた10年、続くミレニアムのITバブルもあっという間に崩壊し、トータルで「失われた20年」と呼ばれる平成不況に追い打ちをかけたのが、サブプライム問題に端を発したリーマンショックでした。
 英語教育界でも大きな動きがありました。「小学校での英語導入」です。小学校5・6年生には英語が必修化され、もちろん、それ以下の学年の児童たちにも「どうぞ英語を」とのお達しが出たのです。それ以前から小学校での英語前倒しには、専門家はもとより、専門外のその他大勢の賛否両論、喧々囂々(けんけんごうごう)ありましたが、結局は「なし崩し」的に小学校教育に英語が入り込んでいきました。
 これにより、中学受験に押されて一時期は冷めかけていた英語熱の復活が促されました。 と、こんな事を書くと、「世間とはなんと気分に流されるものであろうか」と揶揄しているように響くかもしれません。しかし、「揶揄してらぁ」で済めば良いのですが、現実にはもっと恐ろしいことが水面下で着々と進行しているのです。
 ITバブル直後の2002年、今から13年前、付け加えれば中学受験が本格化し、学校週休2日制が始まった年、この年の中学生の英検受験者数は133万人でした。中学生の3人に1人が英検を受験している計算です。ちなみに、この年の小学生の英検受験者数は11万人。仮に高学年が受験すると想定すれば、小学校5・6年生のうちそれぞれ5%が英検を受験していることになります。
 大学全入時代に突入している今日では、欲張らなければ勉強しなくても「どこかの大学」へは入れます。学生たちの間に「勉強しなくても何とかなる」という空気が漂っているのも仕方がないことでしょう。そんな空気を反映してか、中学生の英検受験者数は2012年では105万人。10年前、2002年の133万人から、2割以上の減少となっています。
 一方で急速に増加し続けているのが、小学生の英検受験者数です。2002年には11万人だったものが、10年後の2012年には20万人とほぼ倍増。その翌2013年には22万人と、順調に受験者数を増やしています。小学校5・6年生を対象としてみると、今では10人に1人は英検を受けている計算になります。
 中学生の受験率が30%を切るところ、小学生の受験率は20%に迫る勢いなのです。ついでながら、中学生の1%は2級以上、同様に小学生の1%も3級以上を受験していることを考え併せれば、小学生で3級以上受験する子が、そのまま中学生で2級以上を受験していることになり、同じその子が、中学や高校で英検準1級をとって、難関大学へと駒を進めるのでしょう。今、子どもたちの英語力は、英語が本格的に導入される中学校に入る前から、とうの昔に「二極化」しているのです。


| ブームからニーズへ

 最初はほんの一部の人たちの間で行われていた早期英語教育。二度の好景気と長引く不況と学校教育の狭間で、早期英語教育を実践する人の数は確実に多くなっています。いまや英語は、水泳、サッカー、ピアノ、書道、バレエなどを抜いて、子どもに習わせたい習い事ランキング1位に輝いています。
 そんな中、「楽しみながら」とか「勉強になる前に」とりあえずやってみるお遊び的な英語学習や、「英会話だけ」はできるようになる短期留学やインターもまだまだ堅調のようです。しかし、一方で子どもの将来について現実的に考えている人たちは、「うわべの英語力」―つまりちょっと会話ができるとか、外国人に慣れているといった英語力―には見切りを付けて、聞いて理解できる、読んで理解できる、そしてもちろん話せるという「本格的な英語力」の涵養へとシフトしています。これは先の英検受験の動向からも、十分見て取れます。
 大学入試センター試験か、それに変わる試験では英検準1級保持をそれをもって英語は満点とみなすとか。また、入試における英検取得者への優遇を行っている高校や大学は数知れず、所持の級によって単位を認定する学校も珍しくありません。
 また、これはちぐはぐな話ですが、私立の中高一貫校でも英検保持者に対しては何らかの優遇措置をとるところが増えてきています。しかも、最近増えつつある国公立の中高一貫校でも、自己推薦における英検のアピールは考慮されるとか…。つまり、誰がそうしたのか、またはそこに明確な意思があったのかどうかは知りませんが、中学で英語を本格スタートする以前の小学生たちに、すでに高いレベルの英語力、仮に中学卒業の3級程度が、求められるようになってしまっているのです。
 もはや、早期英語教育は「ブーム」ではなく、「ニーズ」となっているのです。


| 百年一日がごとし・・・

 このように動揺を続けながらも、我々の好むと好まざるとに関わらず、「ちゃんと英語を身につけないと損をしますよ」という時代になってしまいました。我々、親の世代は、英語から逃げ切ることもできましたが、これからの世代は、小学校で逃げても中学受験で、中学校で逃げても高校受験で、高校で逃げても大学受験で…英語と格闘しなくてはなりません。さらには、大学時代に逃げても就活に、就職してからも昇進に…と、英語は彼らを追いかけ続けるのです。気の毒な話ですが仕方がありません。
 さて、そんな英語学習。特に前倒しになる「小学生からの早期英語学習」に文科省はかなり力を入れているようです。各自治体も予算を組んで積極的に臨んでいるようです。「中学では英語で英語の授業を」、「数学の授業を英語で」、「高校では英語でディベートができるように」、「中学では準2級、高校では準1級を目指す」と大変勇ましい。かけ声だけ聞けば、大いに頼もしい限りです。
 これに関しては、先月号のパルキッズ通信に詳しいのでここでは避けます。確かに優秀な子は育っています。小学生で英検3級以上、中学生で英検2級以上を保持する子も増えています。しかし、それは残念ながら学校英語の“おかげ”ではないのです。これに関しては、現場で奮闘していらっしゃる教職員の皆様方に対して、残念を通り越して、気の毒の念すら抱きます。


| 英語を理解するとは

 英語を理解する。これは一体どういうことなのか?
 ほとんどの日本人が「英語を理解すること」とは「英語を日本語に訳すこと」と同義だと考えています。いや、考えていると言うよりも、学校英語を通してそう「すり込まれて」いて、「そもそも英語を解するとは?」などと考えたことすらないのが普通でしょう。
 当然です。中学に入れば教科書の英文を、まずは「単語」を1語ずつ日本語に訳して、それを「文法」なる魔法の公式を用いて並べ替えることによって、あら不思議、英語が日本語になりました。これで理解できるでしょう?と学校では教わります。日本語に直しても意味の通らないものに関しては、「それはイディオムというのだよ」と丸暗記を強いられます。
 つまり、単語を覚えて、イディオムを覚えて、文法なる公式を覚えることが、学校では求められます。当然です。英語に関する知識がまるで無ければ、英語を理解する糸口すらつかめないのですから。
 そして、重箱の隅をつついたような、アメリカの大学生でも間違えるような文法問題を解かせる。
 するとどんな子が育つのか。中学生を指導していて、愕然とするのは、その「メモ」の多さです。中学生への英文素読講座の最初に英検の長文を解かせて彼らの実力を見ることがあるのですが、そんな彼らの問題用紙を見ると、日本語がびっしり。しまいには、すべての単語に、それこそ日本語に訳すことが難しい前置詞・副詞にまで、ご丁寧に訳が書き込まれているのです。しかし、同時に惨憺たる正答率。
 優秀な子ほど素直なので、いったん英語で引っかかってしまうと、にっちもさっちもいかなくなるようです。


| 読んでも聞いてもさっぱりわからない

 日本の英語教育を受けると、日本語に訳すことが英語の理解だと感じるようになります。ただ、「それでは読めるだけ。読めるだけだと会話にならないので、学校英語に加えて『会話の練習』をすれば英語ができるようになる」と結論づけます。
 「中高とさんざん勉強したのだから、私たち日本人は、英語は聞いたらわからないだけで読んだらわかる」と漠然と考えている方が多いのですが、これは事実とは反します。
 試しに、以下の文章を読んでみてください。

 The hottest day of the summer so far was drawing to a close and a drowsy silence lay over the large, square houses of Privet Drive. Cars that were usually gleaming stood dusty in their drives and lawns that were once emerald green lay parched and yellowing-for the use of hosepipes had been banned due to drought. Deprived of their usual car-washing and lawn-mowing pursuits, the inhabitants of Privet Drive had retreated into the shade of their cool houses, windows thrown wide in the hope of tempting in a nonexistent breeze. The only person left outdoors was a teenage boy who was lying flat on his back in a flowerbed outside number four.

 これは ”Harry Potter and the Order of the Phoenix”(『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』 )の冒頭の一節です。高校1年次程度の単語しか出ていませんので、高校へ行った方なら読めるはずです。
 この文章を読んでさっと理解できたなら、人並み以上の英語力の持ち主でしょう。この分量で1ページの3分の1ほどで、本全体では500ページ以上あります。おそらく、大抵の皆様は、1ページも読まないうちに投げ出してしまうのではないでしょうか。
 そうです。実は私たちは、英語を聞いてわからないだけでなく、読んでもわからないのです。
 そんなことを読むと惨めな気持ちになってしまうかもしれませんが、実は、そんな私たちは、惜しいところまで来ているんです。聞いてもわからなければ読んでもわからない私たちの英語力は、惨めどころか、英語を使いこなすところまで、ほんのあと一歩なのです。英語学習を100段の階段だとすれば、私たちは99段目まで来ているのですが、最後の1段が少々高くなっていて、それを乗り越えるには若干の工夫が必要なのです。


| 英語はイメージ

 英語を理解するというのはどういうことなのか。話を戻しましょう。
 英語を理解するとは、たとえばこういうことです。これを読んでみてください。
“I just cut the tip of my left index finger in the kitchen.” 
 簡単な文章ですが、これを読んでどう感じますか?「ああ、指を切ったんだなぁ」でも良いでしょう。では、次の文章はどうでしょう。

 『さっき包丁で人差し指サッと切っちゃった。』

 ご経験のある方には「あの感じ」が蘇ったのではないでしょうか。その様子をイメージして、ヒヤッとした方もいらっしゃるかもしれません。このように読んだり聞いたりした直後に、そのメッセージに脳が反応してイメージを浮かべるのが、言語の原始的な理解なのです。
 英文を見聞きして、日本語訳が浮かぶのではなく、イメージが浮かぶ。これが英語の理解です。
 これはそれほど難しいことではありません。たとえば、”Do you like apples?” これを読んで、「えーと、『あなたはリンゴが好きですか?』だな」と日本語に訳すのをスキップして、「Yes / No」を答えるのは簡単なはずです。”Do you like Onsen?”, “Do you like sushi?”, “Do you work?”, “What’ your job?” などと聞かれれば、日本語に訳すまでもなく即座に答えられるはずです。ただし、同じ質問でも”What do you do for living?” など聞き慣れない形になると戸惑ってしまう。それだけのことなのです。
 英文を日本語に訳すことなく、英語から直接イメージを浮かべるようにトレーニングする。難しい文章では理解できず、トレーニングにならないので、”7-day English” のような中学レベルの文法や単語しか出てこない簡単なストーリーを使って、英語のまま次々とイメージするトレーニングを行えば良いのです。
 2歳の幼児でも「イチゴ食べたい?」と聞かれたら即座に「イチゴ」を頭に浮かべて「うん」と答えます。日本語訳ではなくダイレクトにイメージを浮かべることは、練習次第で可能です。
 そもそも「名詞」は日本語に訳す必要がありません。desk, book, door, weather, train, TV, science, mathematics 日本語に訳さず、英語のまま「なるほど」と感じれば良いのです。また、「動詞」でも read, buy, travel, live, eat, sleep などは、そのまま「なるほど」とイメージできますね。
 問題は、get, have, take, give, go, come, run, say, make などの頻出動詞です。これらの単語は、その単語の持つ価値が大きいので、文脈によって様々な意味を持つようになります。”Can you make it?, What do you make of it?, make bed, make out” など、それぞれ「都合付く?どう考える?ベッドを整える、いちゃつく」といった具合の日本語になりますが、これらイディオムと呼ばれるものを、すべて記憶するのは不可能です。
 そこで、英単語を代表的な日本語訳とのペア( make =「作る」)で覚えるのではなく、「”make” はこんな感じ」「”of” はこんな感じ」といった具合に、イメージ(make →「きちんと整える感じ」)で覚えるのです。そして、その「単語のイメージ」を育てるためには、簡単な文章をたくさん読んで、同じ単語に異なったコンテキスト(文脈)で繰り返し触れることが不可欠です。
 これは、別段新しい発明でも何でもなく、明治の昔から言われていることです。かの夏目漱石先生も『英語を学習するものは基礎を習得したら、どんどん読むが良い。少しばかり分からない節があっても、どんどん読むうちに分かるようになる(筆者要約)』と言っています。
 中学の教科書3年分の文中で使用される単語数は、わずか7,000語です。ページに直すと20ページ程度。基本的な文法を教えるならばそれで良いのかもしれませんが、「どんどん読む」部分があまりにも少なすぎるのです。
 現に、中学生向けの講座では、ひたすら英文を読む「素読」が非常に高い成果を上げています。ご関心の向きは是非お試しあれ。

 最後に話を英語教育の歴史の流れに戻しましょう。
 輸入教材、セット教材、英会話、インターなど英語教育のトレンドは変化してきましたし、ひと昔前の英語教育ブームから、地に足の付いた英語力のニーズへと親御さんの「英語」に対する考え方も変化してきました。
 そして、今もうひとつ大きな転換期が訪れています。それはIT技術の進歩に伴う、オンラインレッスン化へのシフトです。
 オンラインレッスンには、skype等をつかった「安価英会話型」、専用タブレットを使った「長いものに巻かれろ型」、さらにはアプリなどの「エンタメ型」などがあります。また、それらと教室やオンラインデータベースを連動させた複合型もあります。いずれにしても、今後のトレンドはこのような「オンライン学習」へ移っていくでしょう。
 「パルキッズ」では、従来の大量入力による「イメージ英語回路」を育てるのと並行して、出力並びに語彙・読解力の強化に役立つオンラインレッスンを提供しています。

 今回は長々と英語教育の歴史と変遷について書いて参りましたが、すでにパルキッズをご使用のご家庭では、心配ご無用です。
 日々の入力、それに加えて1日数分のオンラインレッスン、時期が来れば絵本の暗唱、さらには英検チャレンジで、早い段階での英検準2級を目指していただき、お子様の未来に万全の備えをしていただけることを祈っております。

 末筆ながら、新年に当たりまして、読者並びにご家族の皆様のご健勝とますますのご発展をお祈り申し上げます。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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