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2012年02月号特集

Vol.167 | 子どもの英語はこんなにカンタン!

2つの理由でわかる大人と子どもの大きな違い

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは無料で引用・転載可能です。引用・転載をする場合は必ず下記を引用・転載先に明記してください。

引用・転載元:
http://www.palkids.co.jp/tokushu-1202
パルキッズ通信2012年02月号特集『子どもの英語はこんなにカンタン!』(著)船津洋 ©株式会社 児童英語研究所


 幼児期の英語教育といえば「かけ流し」と「絵本の暗唱」です。ただがむしゃらにかけ流せばよいのではなく、何でもかんでも暗唱させると良いわけではありません。それぞれには、深い意味があります。しっかりとそれぞれの取り組みの意味を理解した上で取り組まなければ、効果が出るどころか、逆効果になってしまうことすらあるのです。
 今回は、取り組みの根っこにある「考え方」について見て参りましょう。


| 英語が出来ない2つの理由 

 なぜ「かけ流し」が効果的なのでしょうか。この点を理解するためには、まず「日本人が英語を身につけられない理由」を知る必要があります。
 日本人が英語を身につけられない理由は2つあります。ひとつ目は英語のリズム回路を身につけていないこと、ふたつ目は単語の価値を知らないことです
 まずは1番目の「リズム回路」を身につけていない点です。リズム回路とは、耳に入ってきた言語を単語単位に切り出す能力のことです
 私たちは日本語のリズム回路を持っているので、耳に入ってくる日本語は単語単位で聞こえています。例えば「ミイチャンオミズノム」という音は、耳に入った瞬間に「ミイチャン」「オミズ」「ノム」と3つの単語に分解されて知覚しています。
 日本語をまるで知らない外国人が、この一連の音の固まりを耳にしても、彼らは日本語のリズム回路を身につけていないので、どこからどこまでがひとつの単語なのかが分かりません。つまり、単語を発見することが出来ないのです。
 日本語の場合には、単語単位で発音されることが多いのですが、それでも聞き取りは困難です。これが英語になると、もっと難しくなるのです。日本語は音節が母音で終わることが多いので、次の単語が母音で始まってもリエゾンすることがありませんが、英語の場合には母音を付けずに子音で単語が終わることが圧倒的に多いので、続く単語が母音で始まる場合にリエゾンしてしまうのです。これが、リスニング、つまり英単語の切り出しをさらに困難にしているのです。


| 単語の切れ目が分からない

 次の英文を発音してみてください。
  “i tsanna pl.”
 どう見ても英語には見えませんが、発音してみるとどうでしょうか。英語が響きましたか?これは正しく発音すると “It’s an apple.” と聞こえます。つまり、 “It’s an apple.” という英文は、発音されると “i tsanna pl.” と、3つのまるで英語には思えない音に分解されてしまうのです。逆に言えば、正しく発音された英文は、よく聞けば聞くほど、本来の単語とは別のものに聞こえるのです
 これは、先に触れたリエゾンと関係しています。最初の ‘ts’ の音と次の ‘an’ の音がくっついてしまい、さらに、’an’ の ‘n’ と ‘apple’ の ‘a’ がくっついてしまうのです。さらにやっかいなことに、’It’s’ は発音すれば分かりますが、’i’ の音と ‘ts’ の音の間に音の切れ目があるのです。
 つまり、単語の最中に音の切れ目が生じたり、単語の間がリエゾンして音の切れ目が消滅したりするのです。これが英語のリスニングを難しくしている一因です。日本語とは言語の「音の成り立ち」が異なるのですね。
 音の成り立ちが違うから、リズム回路を身につけるのが難しいのです。しかし、英語のリズム回路を身につけるのはそれほど難しいことでもありません。難しいどころか、意外に簡単なのです。


| 幼児には効く「かけ流し」

 ちょっと過去へと思いを遡らせてみてください。私たちは、中学校から英語の勉強をスタートしてどんどん複雑な文法を教わりました。さらに、LL教室などで実際の英語の音を聞いてみる(だけですが…)取り組みもしてきました。しかし、どうでしょう?「アルファベットの正確な音」をいつ学んだか思い出せないのです。
 英文を構成する英単語、そしてその英単語を構成するのがアルファベットです。つまり、アルファベットが英語の音の基礎になっているのです。ところが私たちはうかつにも、この最も基本となる「アルファベットの発音」の練習をしてきていないのです。
 アルファベットとの最初の出会いは、小学校で習う「ローマ字」です。このローマ字は国語の授業の一環として習います。まぁ、日本語の表記をアルファベットに置き換えるシステムの学習ですから、国語の授業に含まれるのは、もっともなことなのですが、これを教える先生はもちろん国語の先生です。英語の正確な音を教えるためのトレーニングは受けていません。ローマ字自体がアルファベットの音の学習ではありませんし、ましてや国語の授業ですので、ここで正確なアルファベットの音を教えること自体、要求されていません。そして「エービーシーディー、、、」と「日本語発音化された」アルファベットの音が、子どもたちの頭の中にしみ込んでいくのです。
 続いて中学に入ります。どうですか?正しいアルファベットの発音を習いましたか?運良く英語の発音が上手な先生に出会っていれば別ですが、ここでもアルファベットの発音はサラッと流される程度でおしまいです。これは先生の問題でもありますが、授業のコマ数も限られている中、あまり音の学習に時間を割くことが出来ないのも問題かも知れません。従って ‘corn’ と ‘cone’、’bold’ と ‘bald’ など、明らかに違う発音の英単語も、正確な音を知らない我々にとっては同じ音でしかないのです。
 つまり私たちは、どんな音で英単語が構成されているのかを知らずに、がむしゃらに聞き取ろうとしている・・・。そして「聞き取れない」と嘆いているのです
 この問題の解決法は簡単です。リスニングの練習をする前に、英語を構成している音の学習をバッチリ行えばよいのです。
 ただ、これは大人の話。幼児たちは、アルファベットの音の学習などしなくても良いのです。幼児期の脳はとても音に敏感で、小学1年生くらいまでなら、細かい音の違いまで聞き分ける能力があります。
 この年代の子どもたちなら、英語の音を聞かせるだけで、つまり「かけ流し」をするだけで、英語がどんな音で構成されているのかを細かく身につけてしまうことが出来るのです。この能力があるからこそ、アメリカ人の子どもたちは英語の聞き取りが出来るようになるし、日本人の子どもたちも日本語の聞き取りが出来るようになるのですね。かけ流しが有効な所以です。


| 単語は「価値」で理解しないと分からない

 次に、英語を理解できないふたつ目の理由、「単語の価値」について見ていきましょう
 私たちは、英語は「日本語に訳しながら」理解していきます。そしてどのように訳せばよいのか、その方法を中学以降に学びます。
 英語を理解するために、まずは英単語を日本語に訳します。「単語帳方式」ですね。ただ、日本語に訳すだけではいけません。英語は日本語と語順が全く異なるので、英単語の並び方のルールや、文中での単語の機能の仕方などの「文法」を学ばなくてはいけないのです。そのようにして身につけた文法知識を基に、日本語に訳された英単語をパズルのように組み合わせて、意味の通る日本語に訳(?!)していきます。
 問)次の英文を日本語に訳せ。
 Mother studied her daughter for a moment.
 いかがでしょう。文法的に難しくもなければ、単語も難しいことはありませんね。では次は?
 We are up for the game!
 これも文法的には難しいことはありませんし、全て知っている単語ばかりですね。日本語ではどのような意味になるのでしょうか。
 それぞれ「母は娘をしばらく見つめた」「試合の準備は万端だ!」となります。キーワードは ‘study’ と ‘up’ です。これらの単語を「勉強する」「上へ」と訳してしまっては、正しい意味を引き出すことが出来ないのです。
 英和辞書を引いてみれば分かりますが、ひとつの英単語に、どれだけ多くの日本語訳が振り分けられていることか。頻繁に使われる単語、’get, have, take, give, go, come…’ などは、50も100もの日本語訳が付けられています。それらを全て覚えることなど不可能ですね
 ですから、ひとつの単語にひとつの訳、つまり「study=勉強する」「up=上へ」と覚えるのが関の山。中高で4000語ほど覚えなくてはいけないのに、ひとつひとつの単語に10も20も付けられている日本語訳を覚えている暇などないのです。そして、その1対1の日本語訳でどうにか英文を訳そうとする。すると、「じっと見る」代わりに「娘を勉強したり」、単に「私たちは上」だったり、”Pantyhose sometimes run.” を「伝線する」代わりに「パンストが走る」と訳してみたりするのです。。


| 「スモールワードの価値」を身につける

 洋画DVDを「英語字幕」でご覧になったことはありますか?出てくる単語のほとんどが、知っている単語ばかりなので、きっと驚かれることでしょう。それなのに、聞き取りが出来ないのはもちろん、字幕の英文を読んでも意味が分からない。こんな体験をされた方も多いことでしょう。
 特に洋画の場合には口語ですので、簡単な、それこそ中学で習うような単語を中心に会話が展開されるのですが、簡単な単語のはずなのに意味が分からない。それは「単語の価値」を知らないからなのです。
 例えば、’study’ は「知識や情報を得ようとする心の働き、並びにそこで得られるもの」を意味します。従って、勉強するばかりではなく娘の様子を観察する意味にもなるのです。同様に、’up’ は「物理的、精神的に上方、活動的、さらに終末にある様」を意味するので「活発な」とか「やる気がある」とか「準備が出来ている」という意味合いになるのです。’run’ も「物や概念が比較的速いスピードで滑らかに移動する様」なので、「パンストの伝線」がイメージできたりするわけです。
 単語は前後の関係、コンテクスト(文脈)によって意味が変化します。そこで、「ひとつの英単語をひとつの日本語訳」ではなく、さらには複数の日本語訳の集合体でもなく、定義にも似た「単語の持つ価値そのもの」で身につけることが大切なのです。
 「単語の価値」を身につけるにはどうしたらよいのか。これは大人にとっても難問です。英単語を見るとそれに該当する「代表的な日本語訳」が浮かぶ癖が身に染みついているので、なかなか英文を「ひとつの有機的な固まりとしてイメージで理解する」つまり「価値で理解する」ことが出来ないのです。
 そもそも、英文を日本語に正しく訳すためには、英語が出来て、さらに日本語が出来ないと不可能なのです。バイリンガルの人たちがようやく英文和訳や和文英訳が出来るのです。通訳のプロでもなければバイリンガルでもない私たちが、英文和訳を上手に出来ないのは仕方がないことなのです。


| 「価値化」と「かけ流し」

 ただ、がっかりする必要はありません。英単語といっても、「価値」が広いものばかりではないのです。物質を表す名詞などは、比較的価値の幅が狭いので、英単語と日本語訳を1対1で覚えても十分に使えます。例えば、’teacher, chair, desk, dentist, tomato, dog, flower…’ などなど、日本語と1対1で覚えていて何ら問題のないものが山ほどあります。
 私たちは便宜的に、価値の幅の狭い単語を「ビッグワード」、価値の幅の広い単語、中学で習うような動詞や前置詞や副詞を「スモールワード」と呼んでいます。
 それらの「スモールワード」を闇雲に日本語に訳すことを止めて、価値で感じるようになればよいのです。日常会話で使われる基本的な単語が1000語くらいで、さらにその中で価値で身につけなくてはけないようなスモールワードは、300くらいでしょう。たったそれだけで、洋画に出てくるような言い回しは、ほぼ理解できるようになってしまうのです。
 そして、それらの単語の価値を身につけるのに最も大切なのは「大量のインプット」なのです
 ひとつの単語を、ひとつの文章とペアで覚えるような学習方法では価値化は出来ません。ひとつの単語に、繰り返し別の言い回しの中で接していくうちに「ああ、’for’ にはこんな意味合いもあるのか」「‘of’ はこんな具合にも使えるのか」と、単語の価値を広げていくことが出来るのです。
 大量のインプットには、ふたつ方法があります。ひとつは「耳を通してのインプット」、そして「目を通してのインプット」です。
 幼児たちは英語の聞き取りが出来るので、耳からのインプットで十分に単語の価値をふくらませることが出来ます。逆に、大人の場合には、既述のように耳からのインプットが出来ないので、「多読」で価値化を押し進めればよいのです。
 このように、かけ流しには「リズム回路獲得」と「単語の価値化」の両方の効果があるのです。「一石二鳥のかけ流し」幼児期にかけ流しをしない手はありませんよね。
 と、ここまで書いて、またまた紙数が尽きてしまいました。今回はこれくらいにして、「絵本の暗唱」については今後に譲ることにいたします。
 今回の、ローマ字に始まる英語学習からの脱却に関しては拙著『ローマ字で読むな』、またアルファベットの音の学習については同じく『英語の絶対音感トレーニング』、さらにスモールワード価値化については『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』『たった18単語!話せる英語脳になる本』に詳しいので、ご関心のある方は是非ご一読ください。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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