
2025年2月号パルキッズ塾
Vol.142 | パルキッズよくある質問トラブルシューティング
written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)
※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。
引用・転載元:
https://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-2502/
小豆澤宏次『パルキッズよくある質問トラブルシューティング』(株式会社 児童英語研究所、2025年)
皆さん、2025年がスタートして1ヶ月が過ぎました。お取り組みは順調ですか?年度末なので、新年度に向けて今の時期にパルキッズをスタートする方も多いようです。これまで継続してきた方、スタートされたばかりの方、取り組みのご経験は異なっても、常に取り組みや、わが子の反応に対して疑問が生まれるわけです。そんな時に参考にしていただきたいのが、ここ「パルキッズ塾」です。個別具体的なご相談に関しては、会員制掲示板でテツ先生からアドバイスが受けられますが、ここではできるだけ皆さん共通のお悩みを解決できるようトピックを選んでいます。
今回は定期的に行っているトラブルシューティングです。ここでご紹介するご質問はよくある質問ばかりなので、該当する方も多いかもしれません。ぜひ参考にしてくださいね。
音声よりも映像が好き
最近かけ流しの音声よりもオンラインレッスンの方が好きなようで「としおの一日」ばかり見たがります。またYouTubeやVODでも英語のアニメを見せているのですが、とても興味を持って見てくれます。もしかしたらかけ流しよりも映像付きの方が効率的にインプットできているのではと思うのですが。(4歳/パルキッズプリスクーラー)
子どもたちは目新しいものに対して敏感です。目の前で楽しそうな映像が流れてきたり、好きなキャラクターなどが出てくればジッと見てくれるのは当然ですね。一見、お子様は興味を持っているような、そして学習が効率的に進んでいるような気がします。はたしてそれは本当なのでしょうか?
幼児の言語獲得に必要なのはインプットです。これはご相談者さまもよくご存じのところですね。そして大切なポイントは、インプットとはどのようなものであるかを間違って認識しないことです。言語の場合、インプットは大量の音情報(特に家庭内の会話)を繰り返し、一定の時間、無自覚の状態で与えることです。これがインプットの条件です。
パルキッズのかけ流しはここをベースとして作られているのですが、YouTubeやVODはどうでしょうか?家庭内の会話を大量にインプットできていますか?映像はアニメーションがあるので気付きにくいのですが、実は音情報はあまり多くありません。目を瞑って、聞いてみてください。ブランク部分や効果音が多いことに気付きます。
さらに映像は繰り返し与えることができません。何度か見ると飽きてしまいますから。さらに無自覚とはいきません。映像なのでどうしても意識下で見てしまいます。
と、こんな感じで比べてみるとインプットの材料としては適していないことがわかります。ご相談者さまは、パルキッズでしっかりかけ流しをしながら、楽しみの延長として映像を見せてあげるとよいでしょう。学習や取り組みとしてではなくです。ただし、映像を見せ過ぎることには気をつけてくださいね(できればYouTubeやVODに関しては学習とは関係ないところなので見せないに越したことはありません)。
もっと絵本を与えたい。おすすめ絵本の選び方は
『アイキャンリード』が終わり『アイラブリーディング』に取り組んでいます。娘は絵本が大好きなので、紙の絵本も作って、時間があれば読んであげています。できれば他の英語絵本も買い与えていこうかと考えています。英語絵本を選ぶ上での注意点を教えてください。(6歳/アイラブリーディング)
雑な回答と叱られるかもしれませんが、好きな絵本を買ってあげてください。絵本は子どもたちのものであり、教具ではありません。好きなものを好きなだけ自由に読ませてあげましょう。
と、ここまでが一般的な回答なわけですが、おそらく多くの親御さんは、できれば『アイキャンリード』『アイラブリーディング』の延長線上にあるような読解力育成を期待されているはずです。他社製品になるので具体的な回答はさけますが、購入する上で4つの条件がありますので、それをご紹介させていただきますね。ちなみに4つの条件の最初の3つは『アイキャンリード』レベルの絵本を読んでいるお子様に該当します。ご相談者さまのお子様であれば最後の条件だけを注意していただくとよいでしょう。
まず一つ目。文字が大きく読みやすいフォントであること、です。幼児が読むわけですから、文字が大きく、レターを認識しやすいフォントで書かれていることが重要です。私はあまり見たことがありませんが、筆記体のような形で書かれているものなどは避けていただくのがよいですね。
二つ目は文字数が少ないことです。絵本のメインは絵です。絵よりも文字が目立つぐらい文字が多いものは避けてください。まずは単語からでも構いません。『アイキャンリード』と同じような文量の絵本を選んでください。
三つ目は繰り返しが多いものです。英語の場合は特にですが、子どもたちは読力を、絵本の中のライミング(韻を踏む)を通して覚えていきます。もしくは同じ文型の文章の繰り返しから単語の意味を想像します。内容よりも、ライミングや同文型の繰り返しがあるかどうかを注意して見てください。
最後の四つ目はネイティブのナレーション音声がついているものを選ぶということです。また音声もできるだけ効果音が少なく、はっきりとした声で読まれているものがよいですね。せっかく取り組むわけですから、しっかりとインプット教材としても機能してほしい、そんな場合はネイティブ音声は欠かせません。ぜひ音声付を優先して選んであげましょう。
中断した後の再開方法
『パルキッズキンダー』に入ってからなかなか時間がとれず3ヶ月ほど中断しています。オンラインレッスンは続きからやるとして、かけ流しはもう一度最初から流してあげた方がよいでしょうか。(4歳/パルキッズキンダー)
中断した場合にどこから再開するか問題ですね。私たち大人からすると、どうしても英語といえばお勉強、お勉強といえばしっかり覚える、となります。すると忘れているので最初からやりたいという判断になりがちです。しかし、かけ流しのようなインプットの場合は、常に新しいものを与えることが原則です。すでにインプットした内容は既知の音として処理されてしまうので、インプットにならないのです。中断した場合は、中断したところから、つまりまだ聞いていない音を聞かせてあげるようにしましょう。
ちなみにこれは『パルキッズジュニア』でも同様です。『パルキッズジュニア』の場合は音読が中心なので、お勉強的な感覚が強いせいか、最初からやった方がよいのでは、となってしまうようです。『パルキッズジュニア』の場合は、自分で読むことで耳からインプットしているわけです。ですので基本的なインプット方法はかけ流しと変わりません。『パルキッズジュニア』の場合でも、中断したところから再開してください。
またこれはプラスアルファの情報ですが、例えば『パルキッズプリスクーラー』で、すべてのかけ流しが終わったけどオンラインレッスンが終わっていない場合、『パルキッズキンダー』に移らずにオンラインレッスンが終わるまで待つ方がいらっしゃいます。インプットは時間勝負です。できるだけ時間を空けずに新しいものをどんどん与えていきましょう。オンラインレッスンは『パルキッズプリスクーラー』でも、かけ流しは『パルキッズキンダー』で構いません。インプットの定着は後追いで構いませんので、まずはその土台を前もって作っておきましょう。

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)
1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。