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2023年8月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.146 | アメリカの移民英語教育とは?

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2308
船津徹「アメリカの移民英語教育とは?」(株式会社 児童英語研究所、2023年)


 アメリカは移民の国です。コロナ禍で人の移動が制限されていた2022年も年間90万人以上の移民を世界中から受け入れています。アメリカにとって移民の受け入れは、建国時も今も、最も重要な国家政策であることは変わりありません。
 その移民政策の成功のカギを握るのが「英語教育」です。移民が早期に英語力を身につけることが、新天地への適応を促し、ひいてはアメリカ社会に安定と経済的な恩恵をもたらします。
 アメリカの移民英語教育を牽引しているのが大学です。全米で200を越える大学がTESOL(Teaching English to Speaker of Other Language)と呼ばれ「英語を母語としない人への英語指導」を研究する学部やコースを有しており、それぞれの大学が競い合うように教授法を研究しています。
 ゆえにアメリカの移民英語教育(第二言語としての英語教授法)は世最先端のノウハウを有するわけです。しかし残念ながら、アメリカで実践されている英語教授法は日本の英語教育にほとんど活かされていません。今も日本の英語教育の中心は(アメリカでは一世紀以上前に消滅した)「文法訳読法」です。


文法訳読法→直接法→イマージョン→その次は?

 直接法とは「英語を英語のみで教える指導方法」です。このアプローチは、伝統的な「文法訳読法」に代わるものとして1900年代に誕生しました。直接法の指導はリスニングとスピーキング練習と口頭トレーニングに重点が置かれます。
 直接法の最も有名な支持者はベルリッツを設立したドイツ人のマクシミリアン・ベルリッツです。ベルリッツの教授法は、幼児の母語習得を踏襲した形で行われます。教師は文法や単語の意味などの説明はせず、日常的な会話のやりとりを中心に指導します。
 直接法はリスニングとスピーキングに重点を置いているので、英会話力=生活英語力が短期間で身につくメリットがあります。しかし一方で、リーディングやライティングなどが軽視されているため学校の勉強についていける英語力につながらないというデメリットがあります。
 この問題を解決するために登場したものがイマージョンです。イマージョンは1960年代に英語とフランス語を公用語とするカナダのケベック州で生まれました。イマージョンをごく簡単に説明すれば「二つの学習言語力」を育てるバイリンガル教育法です。フランス語と英語のイマージョンであれば、月曜日はフランス語オンリーで授業を行い、火曜日は英語オンリーで授業を行うという要領で、二つの学習言語力を育成します。(言語バランスは学校の方針によって異なります)
 イマージョンは「二つの学習言語力」習得を目指すため子どもの学習負担が大きいというデメリットがあります。(例えばフランス語と英語のイマージョンでは日本人の子どもは日本語を含め三カ国後を学習しなければならない)また、イマージョンを中途半端に取り入れてしまうと、母語も第二言語も学習言語力の発達が悪くなる危険性があります。
 さらに、イマージョンを学校教育で実践するには英語とターゲット言語、それぞれの教師とカリキュラムが必要です。学校側の負担が大きいため、ごく一部の富裕層が多い地域や私立学校(あるいはチャータースクールなど)でしか実践できないのが現実であり、万人向けの教育法とは言えません。
 直接法(会話中心)→イマージョン(母語と英語のバイリンガル育成)ときて、現在のアメリカの移民英語教育の主流は「学習英語力の育成」です。生徒の母語育成は家庭に任せて、学校では「英語の読み書き」にフォーカスします。この方法が生徒にも学校にも負担が少ない上、高い学習効果が得られることがわかっています。


学習英語力を育てる最良の方法とは?

 米国のNPR(National Reading Panel)は1997年に子どもの「英語指導に関する最良の方法」をまとめることを目的に教育専門家によって結成されたパネルです。NPRは2000年に、以下の六つの組み合わせが学習英語力を育てる最良の方法であると結論付けています。

(1)フォネミックアウェアネス(英語の音感を鍛える)
(2)フォニックス(正しい発音で読む力を鍛える)
(3)フルエンシー(読みの流ちょうさを育てる)
(4)オーラルリーディング(感情を込めて読む力を鍛える)
(5)ボキャブラリー(語彙力を鍛える)
(6)コンプリヘンション(理解力を鍛える)

 上の(1)フォネミックアウェアネスと(2)フォニックスは、英語を流ちょうに読む前提である「正しい発音」を身につけるための取り組みです。英語教育のスタート時期に発音指導を行い「フルエンシー/読みの流ちょうさ」につなげていくことで読解力の育成がスムーズに実現できるわけです。
 すでにある程度英語が読めるという子どもでも、発音が自己流で流ちょうさに欠ける場合、フォニックスから英語学習をやり直すことをおすすめします。フォニックスは子どもだけでなく大人の発音矯正→フルエンシーの育成にも大きな効果が期待できます。
 なぜ「フルエンシー/読みの流ちょうさ」が大切なのかと言えば、子どもの学力に直結するからです。NAEP(全米学力調査)は2018年に「フルエンシーと読解力の関係」を調べました(The 2018 NAEP Oral Reading Fluency Study)。
 小学4年生を対象に、英語のテキストを読むスピード、読みの正確さ、感情表現を自動音声分析システムによって測定した結果、読むスピードが遅く、読みミスが多く、抑揚が少なく感情が伴わない読み方をする子は「読解力が低いこと」が分かったのです。
 同じくNAEPが行った別の調査によって、小学4年生の終了時点で読解力が弱い生徒は、8年生、12年生になっても改善しないことが分かっています。つまり、小学4年生までに、英語を適切なスピードで、正確に、感情を込めて読む力=フルエンシーを身につけておかないと、学齢期を通して読解力が低く、学力面で苦労することが分かったのです。
 米国立子どもの健康と発達研究所のリード・リヨン教育学博士(Reid Lyon)は、フルエンシーと読解力の関係について次のように述べています。「自転車に十分なスピードで乗らないと転ぶのと同様、読み手が十分なスピードで文字を認識できなければ、意味が失われてしまう。読んだ内容を思い出すことができず、ましてや読んだ内容を自分の経験や背景知識と関連付けることなどできない」
 フルエンシーが身についているか否かを診断する簡単な方法が「オーラルリーディング/音読」です。子どもに学年レベルの教科書や英語の本を「音読」してもらうのです。あまり長い内容だと嫌がりますから、教科書の1ページを音読してもらうとよいでしょう。
 読書スピードが遅かったり、読み方がたどたどしかったり、リズムが悪かったり、イントネーションがおかしかったり、読みミスが多かったり、二度読み・戻り読みが多い場合は要注意です。フルエンシーに欠けると読解力が伴わないということを知りましょう。


読む量が少なすぎる日本の英語教育

 日本の中学1年〜3年の英語教科書に出てくる延べ単語数(新出単語でなく3年間の延べ単語数)は約6000単語です。アメリカの小学2年生は1年間で平均85000語を読みますから(Accelerated Reader 2018)日本の英語教育はもう少し「リーディング力」の育成に目を向ける必要があるのではないでしょうか。
 アメリカの学校に通う子どもは、小学校時代を通して、本を読むトレーニングを段階的に受けます。小学1年生になると、毎日、短い本を1冊読むこと、あるいは30分間の読書が宿題として義務づけられます。もちろん移民家庭の子どもも例外ではなく、家庭においても読書をサポートすることが学校から要求されます。
 大量の読書を通して「読みの流ちょうさ」を身につけることが、英語力全体の向上につながることをアメリカの教師は知っています。何よりも読書スピードが上がれば、活字に対する抵抗感がなくなるので、より深く本の世界を楽しめるようになるのです。子どもの「読書力」を育てるために、多少強制的にでも、大量の読書をさせるのがアメリカ流です。
 日本でも小学3年生から英語の授業が始まりましたが「コミュニケーション」が強調され過ぎていて「読書指導」がほとんど行なわれていません。子どもを英語嫌いにしないようにとの配慮のようですが、私は英語の音や活字への抵抗感が少ない小学低学年こそリーディングを指導する適齢期だと考えています。
 日常的に英語を使う環境がない日本ではコミュニケーション中心の英語教育は現実的ではありません。実践の場がないため学習内容が定着しないからです。外国人とのコミュニケーションに慣れたり、異文化体験をすることには意義がありますが、肝心の英語力向上はあまり期待できません。
 近年、韓国、中国、台湾などアジアの国々が英語力を向上させていますが、その理由は小学校低学年から英語を正式教科化とし、「学習英語力」を指導していることだと私は考えています。
 コミュニケーションは相手が必要ですが、リーディングは自学自習できます。いつでも、どこでも、何時間でも、本さえあれば、学習者のやる気次第でいくらでも英語力を向上させていくことができます。


どうしたら英語が読めるようになるのか?

 日本の子どもが「ひらがな」「カタカナ」「漢字」という順で文字読みを身につけていくように、英語のリーディング指導も段階的に行われます。最初に学ぶのが、英語の「ひらがな」である「フォニックス」です。フォニックスは「A=ア」「B=ブ」「C=ク」というように、アルファベットと「音」の関係を教えるものです。
 日本では「A=エイ」「B=ビー」「C=シー」とアルファベットの「名前」を教えますが、これを覚えても簡単な三文字単語の「BED」すら読むことができません。「BED=ビーエイーディー」になってしまいます。でもフォニックスを学ぶと「BED=ブェド」と正しい発音で読めるようになるのです。
 日本の学校教育ではフォニックスを教えずに、いきなり単語の読み方を指導しますが、これは「ひらがなを読めない子どもに本を読ませる」ようなものです。この方法だと、多くの子どもが「正しく読めない」「知らない単語は読めない」という壁にぶつかります。流暢に読めるようにならないと内容理解が伴いませんから、「英語は難しいから嫌い!」となってしまうのです。
 フォニックスを学ぶと小学生でもシェークスピアが読めるようになります。日本語は「漢字」を覚えていかなければ、難解な本が読めるようになりませんが、英語には漢字がありませんから、フォニックスを覚えるだけで、大人向けの小説や専門書だって読めるようになるのです。
 もちろん英語の本が読めても、書かれている内容を全て理解できるわけではありません。しかし英語が読めるようになることは、子どもにとって大きな成功体験であり「自分は英語ができる」という自信とやる気を大きくしてくれるのです。  そこから先は、興味とレベルに合った本を多読していくことで、ボキャブラリーを増やし、文法知識を身につけ、表現力を伸ばしていけばいいのです。さらに付け加えれば、本を読む時は、黙読していても、頭の中で「音読」していますから、スピーキングとリスニングも同時に鍛えることができます。


サイトワーズを300語覚えると、どんな本でも7割読める!

「the, of, and, a, to, in」を読めない人はいないと思います。これらは英語の「頻出単語」であり、サイトワーズ(Sight Words)と呼ばれます。英語圏の小学校では、フォニックスに加えて、サイトワーズを必ず指導します。
 小学校でサイトワーズを教える理由は単純明快です。全ての英語の「約50%は頻出上位100語」のサイトワーズで、そして、全ての英語の「65〜70%は頻出上位300語」のサイトワーズで構成されているからです。*絵本から専門的な学術文章まで全ての英語です。
 つまり、頻出上位300語のサイトワーズを覚えれば、理屈では、どんな本でも70%読めるようになるのです。サイトワーズはリーディングフルエンシーを身につける近道ですから、子どもたちに教えない手はありません。
 サイトワーズにはいくつかの異なるリストが存在します。アメリカの小学校で最もよく使われるリストはDolch Sight Wordsと呼ばれる220語です。このリストが発表されたのは1948年で、当時の子ども向けの本をベースに単語が抽出されています。「The Cat in the Hat」で子どもたちに人気のDr. Seussの絵本シリーズはDolch Sight Wordsの220語をベースに書かれています。
 次にメジャーなものがFry Sight Wordsです。こちらは1980年に最新版が発表されました。このリストには小学3年〜高校1年生までの教科書で頻出する1000単語がまとめられています。この1000単語を覚えると、あらゆる英語の本、新聞、ウェブサイトの「90%以上」が読めると言われています。
 オーストラリア(イリギス英語)の小学校でよく使われる単語をまとめたものがOxford Wordlistと呼ばれる500単語のリストです。このリストのオリジナルは2007年に発表されましたが、2017年にアップデートされており、現在最も新しいサイトワーズリストです。以上のリストはインターネットで無料公開されていますから、興味ある方は検索してみてください。


PBS Kidsのウェブサイトで好きなキャラクターを見つける

「The Cat in the Hat」「Daniel Tigers」「Curious George」「Moly of Denali」「Arthur」「Sesame Street」「Splash and Bubble」「Martha Speaks」「Super Why!」など、アメリカの子どもに大人気のキャラクターたちが登場する番組を提供している教育チャンネルが「PBS Kids」です。
 子どもがPBS Kidsの番組から「お気に入りのキャラクター」を見つけることができれば、その後の「リーディング学習」がスムーズに進むようになります。というのも、子ども向けのリーダーズやチャプターブックにはこれらのキャラクターが登場するシリーズがたくさんあるからです。お気に入りのキャラクターが登場する本であれば、子どもが自分から手にとって読むようになります。
 PBS Kidsのウェブサイトは宝の山です。最大限に活用しましょう。「PBS Kids/pbskids.org」と検索すれば見つかります。このサイトでは、人気キャラクターの番組はもちろん、キャラクターたちが登場するゲーム、塗り絵、クラフトなどを「無料」で提供しています。ライブストリームでPBS Kidsの番組を一日中見ることもできますから「かけ流し」として活用することもできます。
 PBS Kidsのウェブサイトを親子で探検して、お気に入りのキャラクターを見つけてあげましょう。子どもが気になるキャラクターが見つかれば、その番組の動画を見せてあげます。
 PBS Kidsのウェブサイトでは、全ての(過去)番組が見られるわけではありませんので、YouTubeで番組名(キャラクター名)を検索してみましょう。PBSがアップロードしているたくさんの無料動画を見つけることができます。しばらくはそれらの音声をかけ流してください。音声をかけ流してから動画を見せると、子どもは強く興味を持つようになります。
 PBS Kidsの他にも、日本の子どもたちに人気の「機関車トーマスとなかまたち」(play.thomasandfrieds.com)や「ディズニー・チャンネル」(disneynow.go.com)のウェブサイトの中から「お気に入りのキャラクター」を見つけてあげましょう。好きなキャラクターが見つかれば、「やる気」が求められるリーディング学習へ向けてのモチベーションが一気に高まります。


キャラクターが登場するリーダーズリスト

Arthur「Step into Reading Level 3」
Barbie「Step into Reading Level 1〜Level 3」
Berenstain Bears「Step into Reading Level 1〜Level 2」
Elmo, Grover「Step into Reading Level 1〜Level 2」
Thomas & Friends「Step into Reading Level 1〜Level 2」
Sponge Bob「Step into Reading Level 2」
Paw Patrol「Step into Reading」
Biscuit「My First I Can Read」
Pete the Cat「My First I Can Read」
Little Critter「My First I Can Read」
Tug the Pup & Friends「My First I Can Read」
Amelia Bedelia「I Can Read Level 1」
Paddington「I Can Read Level 1」
Clark the Shark「I Can Read Level 1」
Fancy Nancy「I Can Read Level 1」
Berenstain Bears「I Can Read Level 1」
Danny and the Dinosaurs「I Can Read Level 1」
Paddington「I Can Read Level 1」
Pinkalicious「I Can Read Level 1」
Splat the Cat「I Can Read Level 1」
Flat Stanley「I Can Read Level 2」
Daniel Tiger「Ready-to-Read (Ready to Go/Pre-Level 1)」
Miffy「Ready-to-Read (Ready to Go/Pre-Level 1)」
Olivia「Ready-to-Read (Ready to Go/Level 1)」
Otto「Ready-to-Read (Ready to Go/Pre-Level 1)」
Batman「Ready-to-Read (Ready to Go/Level 2)」
Curious George「Green Light Readers Level 1」


ハワイイメージ1【編集部より】
船津徹先生の新著『失敗に負けない「強い心」が身につく 世界標準の自己肯定感の育て方』(KADOKAWA)全国書店にて発売中。困難に負けない「心の強い子」の育て方を詳しく紹介する一冊です。ポストコロナを生き抜くたくましい子どもを育てる知恵が満載です。ぜひご一読ください。▶︎詳細・お申し込みはこちらをクリック
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ブログはこちら▶︎https://ameblo.jp/tlcforkids/

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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2308年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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