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2021年1月号ハワイアン子育てジャーナル

Vol.115 | 自分で勉強する子どもに育てる

written by 船津 徹(Toru Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/hawaiian-journal-2101
船津徹「自分で勉強する子どもに育てる」(株式会社 児童英語研究所、2021年)


 子どもに「勉強しなさい」「宿題しなさい」「本を読みなさい」と毎日怒鳴るのは親にとっても子どもにとっても楽しいことではありません。親からガミガミ言われなくても「自分で勉強する子」に育てるには、自分の力で学習を推進していく土台である「読書力」をつけてあげることが先決です。


自分で本が読める子に育てることがスタート

 日本語であれ、英語であれ、自分で勉強する子には「読書力」が身についています。自分の力で教科書やテキストを読み解ける力が育っていれば、他者を頼ることなく、自学自習で学力を積み上げていくことができます。
 「そんなのは当たり前だ」と思うかもしれません。しかし日本の学校教育では生徒の「読書力」を客観的に評価する基準も、「読書力」を育成するカリキュラムも存在しないのです。つまり読書力の発達については「ほぼ100%」家庭任せなのです。
 小学生になった子どもが一人で本を読んでいる姿を見て、多くの親は「うちの子は自分で本が読めるから大丈夫」と思うでしょう。しかしそれだけで「子どもに十分な読書力が身についている」と判断することはできません。
 アメリカの小学校では「読書スピード」と「読みの流暢さ」によって子どもの読書力を評価します。1分間で何文字読めるか、読みミスがどのくらいあったか、流暢さは伴っていたか、を総合評価して子どもの読書力を判断するのです。以下は学年別「1分間に音読できる単語数」の目安です。

 小学1年  53単語
 小学2年  89単語
 小学3年  107単語
 小学4年  123単語
 小学5年  139単語
 小学6年  150単語

 実際のテストでは「読みミス」がマイナス評価されますので、やみくもに早く読めばいいのでなく「正確に早く読む」ことが要求されます。さらに付け加えれば、リズムやイントネーションなどの抑揚が伴っているか、感情表現ができているかなども評価対象となります。


読書力をつける最高の方法とは?

 NPR(National Reading Panel)は、子どもに読書力をつける「最高の方法」を調査、検証することを目的に米国連邦政府によって1997年に設立されました。科学者、現役教師、教育研究家などの教育専門家と米国教育省が共同で調査・研究を行い、2000年に最終報告書を提出しました。
 NPRは子どもに読書力をつける「最高の方法」は、以下の6つの指導法の組み合わせであると結論づけています。

 1)フォネミック・アウェアネス(歌や言葉遊びによる音素指導)
 2)フォニックス(文字の正しい読み方の指導)
 3)フルエンシー(読みの流暢さを育てる指導)
 4)音読(口頭で抑揚をつけて読む指導)
 5)単語(新たな語彙を増やす指導)
 6)読解力(論理的、多面的、批判的に読む指導)

 上記は「英語」の読書力をつけるための「最高の方法」ですが、そっくりそのまま「日本語の読書教育」にも応用することができます。
 1)しりとりなどの言葉遊びでフォネミック・アウェアネスを育て、2)ひらがな・カタカナを教えて文字が読めるようにし、3)4)簡単な本の音読で文章が流暢に読める力を鍛える。さらに、5)多読で漢字力(ボキャブラリー)を増やし、6)精読や批判的読書で読解力を高めていく。
 残念ながら日本の学校(国語)教育では「読書力」に割く時間はほとんどありませんから、家庭において上記のような読書教育を実践し、本をストレスなく読み解ける力を育成する必要があるわけです。


音読をさせると子どもの読書力が分かる

 読書力は放っておいても(保育園や幼稚園や小学校に通わせていても)自然に育つことはありません。(稀に教わらなくても育つ天才もいますが)ですからNPRの報告にあるように、科学的に検証された方法で、家庭で読書教育を実践することが重要です。
 中でもNPRの6項目の1〜4までの「初歩の読書指導」が将来の読書力を左右するポイントです。本を読み始めの時期に「読む訓練」が足りないと、読書に多くの時間がかかるようになります。すると活字に対する心理的抵抗感が抜けず、本を集中して読めなくなります。この状態が解消されないまま学年が上がり、難易度が高まると、子どもは「本を読むこと自体」を嫌がるようになります。
 また自分で本が読める子でも、どれだけのスピードで読めているのか、どれだけ内容を理解しているのか、それらを外見から正確に判断することはできません。子どもが「自分で本を読んでいるから大丈夫」と思うのは危険なのです。
 子どもに読書力がついているのかを判断する簡単な方法が「音読」です。子どもに学年レベルの教科書や本を「音読」してもらうのです。あまり長い内容だと嫌がりますから、国語、社会、理科などの教科書を「学校の予習」として音読してもらうと良いでしょう。
 読み方がたどたどしかったり、リズムが悪かったり、イントネーションがおかしかったり、読み間違いが多かったり、二度読み・戻り読みが多い場合は要注意です。フルエンシー(読みの流暢さ)に欠けると、読解力が発達せず、教科学習に遅れが出るので早急に対処してください。


家庭で読書力を強化する方法

 家庭で読書力を育てる上で大切なのが「流暢さ/フルエンシー」にフォーカスすることです。内容理解はひとまず横に置いておき、文章がスラスラとストレスなく読めるようにサポートしてあげてください。フルエンシーをつけていくステップでは以下に配慮してください。

 1)簡単な本を音読する(学年レベルよりも低い簡単な本を読む)
 2)同じ本を繰り返し読む(同じテキストを何度も繰り返し音読する)
 3)興味に合った本を多読する(お気に入りを見つけて多読する)


 読書が苦手という子どもの多くが「実力よりも難しすぎる本」を読まされています。読書力を育てるには簡単で短い本を「多読」する訓練が最も効果的です。学年レベルよりも低い、簡単に読める本を与えて読ませることで「本を一冊読めた」という成功体験を積み重ねることができます。また同じ本を繰り返し読むことで文脈理解を伴いながら早いスピードで読む力が育ちます。
 簡単な本に加えて、子どもの興味や関心に合った本を探してあげることも大切です。動物や魚が好きな子、スポーツが好きな子、絵画や造形が好きな子、音楽や楽器演奏が好きな子、パズルや図形が好きな子、人と関わることが好きな子、世界の文化や不思議なことが好きな子、偉人伝が好きな子、それぞれの興味に合った本を選んであげましょう。
 小学生低学年くらいの子どもは、自分で自分の読書レベルに合った適切な本を見つけることができません。ですから本選びを子ども任せにせず、親が子どもと一緒に図書館や書店に行き、ページをめくりながら、子どもの興味と読書レベルに合った本を探す手伝いをしてあげてください。
 日本語でも英語でも、親が読書教育をしてあげられる期間には限界があります。一般的には「10歳前後」になると、親が「音読しなさい」「本を読みなさい」と言っても子どもは素直に従ってくれません。そうなる前に読書教育を施して、子どもが自学自習できる力を育ててあげてください。


演劇を経験すると「読書力」が伸びる

 最後に「読書力を劇的に伸ばす習い事」をご紹介します。
アメリカ大学入学共通テストを実施する「カレッジボード」が2001年から2005年にかけて実施した調査によって「演劇経験者」は、未経験者に比べて英語(読解力)のスコアが平均で65ポイント高いことが分かりました。
 米国ジョージア州アトランタで子どもに演劇教育プログラムを提供する「アライアンス・シアター」が行なった調査では、教科学習と演劇教育を組み合わせることで、子どもの英語力、特に単語力、文章構成力、感情表現力などが向上することが分かっています。
 演劇では、単にセリフや動きを覚えるだけでなく、この人物はどんな性格だろう、どんな表情や仕草をするのだろう、どんな言葉使いやアクセントで話すのだろうと、想像力を働かせながら台本を読む作業が要求されます。演劇を経験することで、言葉や文章に対する感性が磨かれ、より深く、多面的にテキストを読み込む力=読解力が向上するのです。
 アメリカの学校では子どもたちの英語(国語)教育に「リーダーズシアター」「ロールプレイ」「ドラマ」など、演劇の手法が広く活用されています。子どもの「読書力」を高める手法として「演劇」が役立つことをぜひ知ってください。


ハワイイメージ1【編集部より】
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プロフィール

船津 徹(Funatsu Toru)

1966年福岡県生まれ。1990年明治大学経営学部卒業。教育コンサルタント。米国法人TLC for Kids代表。大学卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。「パルキッズ」「パーフェクトイングリッシュ」など、しちだ式英語教材制作に従事。2101年ハワイ州、ホノルルにて移民のための学習塾TLC for Kidsを設立。2015年にはTLC for Kidsカリフォルニア州トーランス校を設立。アジア諸国からの移民子弟を中心に4000名以上の子どもの教育に携わる。同氏が手掛けたフォニックス教材は全米で25万人の教師が加盟するアメリカ最大の教育リソースサイト「OpenEd」による「最も効果がある教材部門」で第2位にランクイン。音楽と演劇を組み合わせた独自の教育メソッドは全米で注目されている。著書に『アメリカ最先端の英語習得法』(現代書林)。一男の父。一人息子は日本語・英語・中国語を操るトリリンガル。バラック・オバマ大統領の母校ハワイのプナホウスクールを卒業。ドナルド・トランプ氏の母校であるペンシルバニア大学ウォートンスクールに在学中。

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