おうち英語FAQ | かけ流し効果, 個人差, 可塑性, 幼児英語, 英語学習法, 英語環境, 言語習得, 音声知覚
「英語のかけ流しをしているのに、うちの子はまったく聞いている様子がありません。遊んでいるだけ、走り回っているだけ、別のことをしているだけです。うちの子には、かけ流しが合っていないのではないでしょうか。」
このようなお悩みを持つ保護者の方は、少なくありません。
せっかく家庭で英語を流しているのですから、子どもが少しは耳を傾けたり、英語らしい言葉を口にしたり、歌をまねしたりしてほしいと思うのは自然なことです。
ところが、子どもは音源の前に座ってじっと聞くどころか、積み木で遊んだり、絵を描いたり、部屋の中を走り回ったりしています。
ご飯を食べる、着替える、おもちゃを片づけるといった日常生活の中で、ただ英語が流れているだけに見えることもあるでしょう。
すると、保護者は不安になります。
「本当に聞いているのだろうか」「ただのBGMになっているのではないか」「そもそも、この子には向いていないのではないか」と考えてしまうのです。
子どもの反応が見えないことと、
人は、周囲の音声に触れながら言葉を身につけます。
赤ちゃんは、日本語を教科書で学ぶわけではありません。
母親や父親、家族の声、周囲の会話、生活の中にあるさまざまな音声を聞きながら、日本語の音、リズム、語の切れ目、文の流れを少しずつ身につけていきます。
もちろん、赤ちゃんが「今日は助詞を覚えよう」「動詞の活用を勉強しよう」と考えているわけではありません。
それでも、繰り返し音声に触れる中で、脳は次のような規則性を捉えていきます。
意識して文法を勉強していなくても、脳は音声の中にある繰り返しや分布を手がかりとして、言語の仕組みを少しずつ整理していくのです。
Saffran、Aslin、Newport(1996)は、生後8カ月の乳児が、連続した音声の中にある音節同士のつながりを手がかりとして、語に相当する音のまとまりを見つけられることを示しました。
GómezとGerken(2000)は、人工言語を用いた乳児研究を概観し、乳児が入力の中にある音の並びや文法的な規則性を学習できる可能性を示しています。
このように、入力の中にある頻度や音の組み合わせを手がかりとして規則性を学ぶ働きは、「統計的学習」と呼ばれています。
また、Kuhl(2004)は、乳幼児が音声入力の統計的・韻律的な特徴を捉えながら、母語の音韻カテゴリーや語を発見していく過程を説明しています。
かけ流しでは、子どもを机の前に座らせ、音声だけへ意識的に集中させる必要はありません。
日常生活の中で繰り返し英語音声に触れることによって、英語の音、リズム、頻繁に現れる音のまとまりへ接する機会を確保します。
英語のかけ流しを始めたからといって、子どもが最初から英語の意味を理解できるわけではありません。
まずは、英語にどのような音があり、どのようなリズムで、どのような音のまとまりが頻繁に現れるのかに接していきます。
その後、オンラインレッスン、絵本、場面、文字などを通して、蓄積してきた音声が意味と結び付いていきます。
かけ流しから意味理解へ進む流れ
かけ流しの初期段階は、目に見える成果をすぐに引き出す期間というより、後の意味理解や読みにつながる音声経験を蓄積する期間です。
「うちの子には、日本語が合わない」と考えることは、通常ありません。
日本語の発達が早い子もいれば、ゆっくりな子もいます。早くから多くの言葉を話す子もいれば、理解を蓄えてから、ある時期にまとめて話し始める子もいます。
そのような違いはあっても、子どもは周囲の日本語に接しながら、それぞれのペースで言葉を身につけていきます。
英語のかけ流しも、すべての子どもが同じ時期に、同じ反応を示すわけではありません。
歌をすぐにまねする子もいれば、長い間ほとんど反応を見せない子もいます。オンラインレッスンを始めてから、聞いてきた表現への理解が見えてくる場合もあります。
そのため、「かけ流しが合わない」と判断する前に、取り組み方や保護者が期待している反応を見直すことが大切です。
子どもがブロック遊びに夢中になっている場面を考えてみましょう。
親から見ると、周囲の音などまったく聞いていないように見えるかもしれません。
それでも、「おやつだよ」「出かけるよ」と声をかけると、子どもがすぐに反応することがあります。
遊びに注意を向けていても、意味を知っている日本語は、ある程度自動的に処理されているからです。
英語は、最初から日本語と同じように意味を持って聞こえるわけではありません。
しかし、英語音声に繰り返し触れ、オンラインレッスンや絵本などで意味と結び付けることで、これまで背景音に近かった英語が、少しずつ意味を持つ言葉として捉えられるようになります。
反応が見えないからといって、すぐに「この子には英語が向いていない」「かけ流しが合わない」と考える必要はありません。
まずは、次の点を確認してみましょう。
Ellis(2002)は、音韻、語彙、文法、文理解など、言語のさまざまな処理に入力頻度が関係することを整理しています。
同じような音や表現へ繰り返し接することで、言語処理に必要な経験が蓄積されていきます。
ただし、頻繁に聞かせれば、それだけで必ず理解や発話が完成するわけではありません。音声への接触に加えて、絵、場面、文字、読み、対話などを通して、意味へつなげることも必要です。
音に強い不快感を示す場合は、無理に続けないでください
音源を流すと強く嫌がる、耳をふさぐ、苦痛そうな様子が続く場合は、音量を下げる、再生時間を短くする、時間帯を変えるなどの調整をしてください。
日本語を含む呼びかけへの反応や聞こえ方について心配がある場合は、かけ流しへの適性とは分けて、小児科や耳鼻咽喉科などへ相談することも大切です。
小学校や中学校で行われる英語学習では、「英語が苦手」と感じる子どもがいます。
単語の暗記が苦手、文法の説明が分かりにくい、テスト勉強が好きではない、人前で英語を話すことが恥ずかしいなど、理由はさまざまです。
しかし、それは英語という言語そのものが、その子に合わないことを意味するわけではありません。
苦手なのは、学校で行われている学習方法や、机に向かって覚える形式かもしれません。
幼児期のかけ流しは、単語を暗記したり、文法問題に答えたりする学習とは異なります。
生活の中に英語音声を置き、無理のない形で接触量を積み重ね、英語の音やリズムに親しむための取り組みです。
かけ流しは、子どもをスピーカーの前へ座らせ、音源へ集中させる取り組みではありません。
また、聞いた英語をその場で復唱させたり、「今、何と言った?」と確認したりする必要もありません。
子どもが遊ぶ、食事をする、着替える、絵を描く。そのような日常生活を続けながら、家庭の中に英語音声がある状態を作ります。
そして、かけ流しで触れてきた英語を、オンラインレッスン、絵本、読み、文字などへ結び付けていきます。
かけ流しの効果は、子どもが音源を見つめている時間ではなく、
子どもが遊んでいる、走り回っている、英語をまねしないという様子だけで、かけ流しが合っていないと判断する必要はありません。
かけ流しは、子どもを集中させ、その場で目に見える反応を引き出すための学習ではありません。
生活の中で英語音声に繰り返し触れる機会を作り、英語の音やリズム、よく現れる音のまとまりへ慣れていくための取り組みです。
もちろん、学習の現れ方や進む速さには個人差があります。音量、再生環境、継続期間、音源の安定性、意味理解への接続などによっても違いが生じます。
まずは、子どもへ集中や復唱を求めず、無理のない音量で、日常生活の中に英語を置いてください。そのうえで、オンラインレッスンや絵本などを通して、聞いてきた英語を意味へつなげていきましょう。
「聞いているように見えるか」だけではなく、長い期間の中で英語音声への接触を積み重ねられているかという視点で見守ることが大切です。
うちの子には、かけ流しが合わないのでは?
聞いている様子が見えなくても、すぐに合わないとは判断できません
音声がまったく処理されていないことは同じではありません。
子どもは、音声に触れながら言葉の仕組みを見つけます
乳児は、音の並びにある規則性を学習できます
保護者から見える様子
そのときに起きている可能性があること
おもちゃで遊んでいる
遊びを続けながら、周囲の音声にも接している
音源を見ようとしない
かけ流しは映像やスピーカーへ注目させる取り組みではない
英語をまねしない
音声の蓄積が、すぐに発話として現れるとは限らない
日本語で遊び続けている
日本語の活動を妨げず、生活の背景で英語に接している
反応がまったく見えない
表面に現れる反応だけでは、音声処理の有無を判断できない
最初から意味が分かるわけではありません
日本語も、最初は生活の背景にある音声でした
「おやつだよ」には、遊びながらでも反応します
見直すべきなのは「適性」よりも、取り組み方です
学校英語の得意・不得意とは別の話です
かけ流しは、集中して聞かせる取り組みではありません
長期的な音声経験の積み重ねで考えます。
結論:反応の少なさだけで「合わない」と判断しないことが大切です



