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2013年7月号特集

Vol.184 | 100年前に完成していた英語習得の王道

夏目漱石が大きな成果を出した英語教育法3つのポイント

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1307/
船津洋『100年前に完成していた英語習得の王道』(株式会社 児童英語研究所、2013年)


特集イメージ1 英語の学習法にはそれこそ「一人一党」。日本人は、英語が出来る人はもちろんのこと、英語が出来ない人までも、英語を身につけるには「こうだ」と言う持論を持っているようです。
 持論というと少し大げさな感じがしますが、「小さい頃の方が英語学習に適している」とか「留学をすれば英語は身につく」とか「やはり単語をたくさん覚えるしかない」、「生の英語に触れなくてはいけない」、「とにかく積極的に話してみると良い」などなど、漠然とはしているものの英語学習に対する感慨を持っているのです。言い換えれば、このような感慨をまるで持っていない日本人は、それこそ皆無でしょう。
 無理もありません。中高と6年間、大学へ行けばさらに数年間にわたり付き合ってきた外国語です。日本語の文法用語を忘れてしまった人でも、英文法のことなら覚えている。それくらい勉強してきたのですから、ある意味「一億総評論家」です。学習メソドについて、何らかの意見を述べるのは全くもって当然の権利でしょう。
 また、そんな国民性を反映してか、日本にはありとあらゆる英語学習法が氾濫しています。実用書や参考書、リスニング教材や発音の教材、そしてそれを実践する英会話教室や、最近ではオンラインレッスンなども随分と安価に提供されるようになっています。
 学習法の傾向としては、従来型の文法学習ではなく、リスニングや会話型、実践型のものがもてはやされているようです。おそらく、大学受験用の文法偏重教育に対する反省や嫌悪感から、そのような会話重視へと偏向しているものと思われます。
 さて、それだけ多くの「評論家」が、プロの開発した教材やメソドを活用して英語教育に励んでいるわけですが、日本人の英語力が向上しているという話は寡聞にして知りません。それどころか英語のニーズは高まるばかりの今日、学生ばかりではなく社会に出てからも、相変わらずTOEICやTOEFLに悪戦苦闘の日々が続いているようです。


| 4つの技能

特集イメージ2 日本語では、まず身につけなくてはいけないのが「読み・書き・そろばん」と言われます。日本語の場合は母語なので「聞いて話す」部分は、もちろんそれ以前の幼児期に自然と獲得されます。そこで日本語の場合には自然と身につく「聞く・話す」を除いた、「読む・書く」を身につけましょう、となるわけです。しかし、英語の場合には「聞く・話す」も全く出来ないわけなので、「聞く・話す・読む・書く」の4つの技能をマスターすることが必要となります。
 しかし、現実問題、話はそう単純ではありません。実は、聞き取れたり読めたりしても、「直感的に理解」できないと本当の意味での英語のマスターにはならないのです。この点に関しては後述するとして、まずは、英語修得に必要とされる4つの技能と私たちの関わり方を検証していくことによって、私たち日本人が英語を身につけるためにはどんなことが必要なのかを考えていきましょう


| どれを身につけたい?

特集イメージ3 さて、それでは英語の「4つの技術」のうち、どれが私たちに欠けているのでしょう。読みでしょうか?書きでしょうか?リスニング力、それとも話す力?「英語を身につけたい」と感じた時、以上のうちどの能力を身につけたいと思われますか?
 おそらく、まずは「リスニング」という方が最も多いでしょう。なぜなら、聞き取れないことには何も始まらないからです。言語の最も原始的な交換方法は音声によるコミュニケーションです。つまり、相手の言っていることを聞いて理解できなければ、何事も始まらないのです。だから、リスニング力が不可欠なことは自明です。
 「リーディング」という方もいるでしょう。特に研究や仕事で必要な情報というのは、日本語よりも英語の方が量が豊富で、しかも優秀なものが少なくありません。世界的な規模で活躍する人たちには、英語を読み解き、情報を収集する力は不可欠です。
 ただ、この点に関して、日本人はひとつ大きな勘違いをしています。日本人は「大学くらい出ていれば、ひと通りの英語の読み書きは出来る」と漠然と感じている方が少なくありません。確かに、昔の日本人たちは大学を出ていれば、読み書き程度は出来たでしょう。昔というのは、明治・大正から昭和初期にかけてのことです。今の日本人は大学を出ても(専門の学科でもなければ)英語の読み書きなど出来ません。ものは試し、洋書のペーパーバックでも読んでみてください。おそらく、数ページで投げ出してしまうことでしょう。
 つまり、「英語を読んで理解できる」と思っているのは幻想で、実は日本人の多くは「英語を読んでも理解できない」のです。そんなことに気付いた人たち―日本スタンダードではなく世界標準で頑張っている学者やビジネスマンたち―が、英語の読解力を身につけなくては、と考えるのは当然のことでしょう。
 次に、「スピーキング」の力を磨きたいという方もいらっしゃるでしょう。日本で英会話教室の人気が衰えないのは、英語で「話す」場を求める日本人が多いからでしょう。おそらくこういった方は、充分な「リスニング力」があるにも関わらず、話せないという人ですね。なぜなら、リスニングが出来ない状態でスピーキングだけ出来てもほとんど意味がないからです。相手の言っていることなどはどうでも良くて、とにかくこちらの想いを伝えたいという状況は、実践の場としてちょっと想像できません。
 また、スピーキング力を身につけたいというのが、英語に限らず「発信力を身につけたい」と言うことであれば話は別です。その場合は、英語で発信する練習の前に、まず日本語で発信する練習から始めた方が、どう考えても効率的でしょう。
 そして、最後に「ライティング」、英文を書けるようになりたいケース。これもリーディングと同様です。英語で情報を受け取る必要に迫られている人たちは、同時に英語で情報を発信することも要求されるでしょう。英語で論文や提案書を書いたりするのであれば、当然、文章英語力が必要とされます。
 つまり、以上を簡単にまとめると、英語でコミュニケートするためには、まず「リスニング力」が必要で、自分の意見を言う段階になれば「スピーキング力」が必要となる。さらに、高度な情報収集には「読解力」が不可欠で、自分の持っている情報を英語で発信する必要がある人たちには、英語で「書く力」が必要となる。…といっても、具体的に何も解決されていないので、問いを設定して、そこから問題を紐解いてみましょう。


| 「実践あるのみ」?

特集イメージ4 「発音など気にせずに、ただひたすら話せば英語は身につく」「ただ実践あるのみ」などという学習法もあるようですが、このような方法はどうなのでしょう。
 英語が出来る人たち、特に苦労して英語を身につけた人たちの多くは「実践派」ですね。とにかく英語を使え!と言うご意見をお持ちの方が多いようです。もちろん、これは結構なことです。彼らもそのようにして英語を身につけてきたのでしょうから、その方法で確かに英語は身につくのでしょう。ただし、これは大変な思いをして学習し、さらに実践して、英語を身につけた人たちの言です
 私を含め一般的な凡人にはなかなか、道行く外国人に話しかける度胸はありませんし、実際に行動に移せる人も少ないでしょう。しかし仮に、英会話スクールに通ったり、短期留学をするなどの行動に移したとして、発音なんか気にせず「とにかく話せば」英語が身につくか?と言えば、これまたはなはだ疑問です。なぜなら、聞き取れないことには会話が成立しないからです。
 私は、英語のリスニングを身につける方法は2つあると考えています(もちろん幼児期は除く)。ひとつ目はとにかく語彙を増やすこと。もうひとつはアルファベットをしっかり学習することです。
 私たちが英語を聞き取れない理由は、話されている文章の中から「単語」を発見できないことに他なりません。つまり、英語を耳にしても、それらが単語の連続には聞こえず、単なる英語らしい雑音としてしか認識できないからなのです。英語の語彙を2000~4000程度しか有していない一般的な日本人は、英文の中でたまに発見することの出来たいくつかの単語を何とか組み合わせて、発言者の言わんとするところを「探ろう」とします。これでは英語の理解には至りません。
 しかし、英検1級を持っている人は、英文が聞き取れます。なぜなら、彼らは耳に入ってくるほとんどの単語を「知っている」から。知っている単語を発見するのは比較的容易なことなのです。一方、英検2級レベル(高校卒業程度)の英語力では、知らない単語があまりにも多すぎる。畢竟(ひっきょう)、未知の単語は発見も、認識もできないのです。
 聞くところによれば、専門家同士で会話する時には、言語の壁を越えて会話できるそうです。つまり、共通の常識、共通の語彙があるので、単語の羅列でも通じてしまうのです。ビジネス英語などは、これに当てはまるのでしょう。
 そして、一般社会で大人が使うような語彙をたくさん持っていて、英検やTOEICで高得点を取れるような人たちであれば、専門的な「ビジネス会話」よりも余程難解で、豊富な語彙と多岐にわたる知識が必要とされる「日常会話」すら出来るようになるのです。
 この「とにかく話す」「実践あるのみ」の体当たり式学習法は、「豊富な語彙」という基礎知識があって始めて成り立ちます。語彙の少ない学習者が、闇雲にこの学習法を実践しても、時間と体力がかかるばかりか、当方にも先方にもストレスをかけてしまうわりには、実りは少ないでしょう。


| 「正しい発音」は必要?

特集イメージ3 しばしば「体当たり英語」とペアで語られる学習法として「英語の発音などは気にする必要がない」という意見があります。逆に、英語の発音にこだわる人もいます。この点はどうなのでしょう。
 結論から言えば、発音なんぞはめちゃくちゃでも英語は通じます。これを証明するのは簡単で、私もしばしば余興でご披露します。
 アメリカ人を相手に、全ての ‘r’ を ‘l’ や単なる長音に置き換えて話すのです。さらに、’th’ は ‘d’ や ‘s’ に、’f’ は ‘h’ に、 ‘v’ は ‘b’ にといった具合です。さらに、全ての単語の最後に母音を付け加えて「日本語風」に発音します。
 例えば、”I have never seen anything like that.” という文章を「アイ ハブ ネバー シーン エニシング ライク ザット」という具合です。これでも全く問題なく通じます。そうと聞けば安心される方もいらっしゃるでしょう。そうです、結構です。べたべたの和風カタカナ英語でも100%通じます。
 ただし、少し注釈が付きます。通じる和風英語には「英語発想の文章」であることと、「ある程度以上、文法的に正しいこと」が必須なのです。
 フランス人やドイツ人、ヨーロッパ語圏の人たちであれば、程度の差こそあれ、英語と似たような発想や語順でものを考えます。ですから、発音が全く異なっても、通じ合うことが出来ます。
 しかし、日本語は、英語とはまるで異なった言語体系で、発想が英語とは真逆です。文法も有るようで無し、主語に至ってはまず言わない。さらに、言い切ることを避け曖昧に文章を濁らせる。このような発想の日本語の文章を、そのまま英語にしてもなかなか通じないのです。
 これに関しても、たまにご披露しますが、「日本語発想の英文」をどれ程正しい英語の発音で口にしてみたところで、アメリカ人たちには全く通じないのです。英語発想であれば発音がめちゃくちゃでも通じる。その逆は全く通じなくなるのです。
 日本人が英会話をして相手にものが伝わらない時、「自分の発音が悪かったのではないか」と発音を直して繰り返し言うことがしばしば見られますが、実は、発音が悪いからではなく、英語発想の文章でないから通じないのです。

 ここまでを少し整理すると、リスニングに関しては、英単語を10,000語も知っていれば大抵のことは聞き取れる。しかし、4000語程度の語彙では単語が発見できないので、リスニングが出来ない。また、スピーキングに関しては、英語で考えることが出来、文法も正しく使いこなせれば、発音は悪くても通じる
 以上のことが分かりました。言い換えれば、英語をある程度以上に身につけた人々、つまり、豊富な語彙があり、英語で考えることが出来、文法が分かっている人ならば「とにかくがむしゃらに話す」を実践すれば英語が上達するということなのです。(もちろん留学という手もありますが、これも後述します。)


| では「どうすれば良いの?」

特集イメージ3 なんだ。結局、文法じゃないか、と言われそうですが、もう少しご辛抱あれ。とどのつまり、残念ながら文法は避けて通れません。しかし、大学受験用の複雑怪奇な文法を学ぶ必要はありません。当面は、中学レベルの完了形程度までざっくりと分かっていれば十分でしょう。
 さて、その上でどうすればよいのでしょうか。
 先に、「英語で発想する」必要があるということと、「英語のリスニングを身につけるための2つの方法(語彙を増やす・アルファベットの正確な発音を知る)」について述べましたが、この2点について考えてみます。

 まずは「英語で発想する」という点。これは極端に例えると、日本人の2歳の幼児が、日本語の二語文を話す感覚です。2歳児はもちろん、日本語の文法など知りません。語彙もわずか250語程度しか有していません。ところが、彼らは、片言ながら、大人たちが話す語順で単語を並べて話すことが出来るのです。まずはこの程度で良いのです。
 英語に例えれば、’enough’, ‘even’ などの単語がどこに置かれるか、こんなことは文法的に理屈で覚えるのではなく、感覚的に何となく分かっていればよいのです。
 そして、そのためには、たくさんの文章に触れて、英語の語順の感覚を身につければよいのです。
 ただ、どのように大量の文章に触れるのかという問題が残ります。
 日本語を身につけている段階の幼児たちは、もちろんまだ文字は読めないので、目からではなく「耳から」大量の文章に触れていきます。しかし、耳からのインプットには、学習の臨界期があって、6歳までに少なくとも1年間程度はその言語を耳にする必要があります。
 つまりそれ以降は、耳から聞いているだけでは英文を「単語の連続」として聞き取ることが出来ないのです(英語上級者は豊富な語彙を持つことで、この点を改善できることは触れました)。そこで、耳からのインプットは当面諦めて、「目から」のインプット=「読書」に切り替えれば大量の英文に触れることが可能となるのです。
 つまりは「多読」です。ある程度の文法を修めたら、あとは多読で英語の語順を繰り返し身体に覚えさせ、英語で発想する感覚を身につけていけば良いのです(ちなみに、単位や学位取得を目指し高校や大学で学ぶ留学生たちは、毎日出される大量の宿題を読むうちに、英語の語順の感覚を身につけてしまうのです)。


| 語彙か?アルファベットの学習か?

特集イメージ3 中学校で習った「文法」に加えて、英文の多読で「英語発想」を身につけることは出来ますが、これだけでは片手落ちでしょう。相手に自分の考えを伝えることは出来るようになっても、「リスニング」が出来なければ、相手の言っていることが分からないのですから、これまたコミュニケーションにはなりません。相手の言っていることを聞き取るために、リスニング能力の涵養(かんよう)もまた避けて通れません。
 そこでその方法ですが、当たり前のようで意外と誰もが素通りしてしまっている学習があります。それが「アルファベットの学習」なのです。
 アルファベットは、たった26文字しかありません。’th’, ‘ts’, ‘ng’, ‘sh’ など組み合わせることで新しい音素が生成されますが、それでも大した量ではありません。母音が20あまりと子音が30弱しかないのです。
 英文を構成するのは単語ですので、単語を知っていることがリスニングに有利ですが、さらに、それらの単語を構成するアルファベットを知ることで、リスニング力は一層向上させることが出来るのです。
 逆に言えば、アルファベットを知らずに闇雲にリスニングするというのは、何を探しているのか知らずに探し物をしているようなものです。少なくとも何を探すのかその対象(この場合には音)を知らなければ、リスニングという探し物は成立しないのです。
 しかも、繰り返しますが、アルファベットはたったの26文字です。リスニング力を高めるために、「10,000の語彙を身につける」のと「26文字のアルファベットの記憶」、どちらが楽か、どちらが効率的か、改めて問うまでもないでしょう。
 「何で今さら、アルファベットを…」、とお感じの向きもあるかもしれませんが、これが意外と知らないのです。たとえば、‘hat, hot, hut’‘coat, caught, court’ または ‘color, collar, caller’ などを正確に発音できる日本人がどれ程いるでしょうか(ここでは紙数の関係で深く触れることはできませんが、英語講師向けの講座でも少なくとも半日、NHK文化センターなどで開催している講座では1.5時間×5コマをかけるほどの内容なのです)。
 アメリカ人の幼児たちには、10,000もの語彙はありません。彼らはわずか1,000にも満たない語彙しかありませんが、英語を聞き取れます。これは偏に、英語の音を構成する音素を自然と身につけてしまっているからに他ならないのです。そして、大人になると消えてしまう、この幼児の「言語の音に対する敏感性」が、幼児期の英語学習の最大のメリットなのです。


| 考えるのではなく感じる

特集イメージ3 冒頭で英語の4つの技能、「聞く・話す・読む・書く」だけでは、本当に英語を身につけたとは言えないと書きましたが、この点に関して少しご説明しましょう。
 コトバとは生き物です。時間の経過と共に、現れては消えていく代物です。「言葉のキャッチボール」とも比喩されるように、テンポ良くやりとりするのが会話。つまり会話をするのであれば、相手の言っていることを直感的に理解し、こちらも直感的に言葉を発しなくては、お互いに共通の話題を深めていく、という会話の本来あるべき姿にはならないのです。
 また、読書の場合も同様です。一文ずつ日本語に訳して理解しているようでは遅すぎます。このように時間がかかるのであれば、効率の良い情報収集とは言えません。読んだ瞬間に、英語のまま理解できるようにならなくては、本当に使える英語力とは呼べないのです。
 「そんなのは無理」と感じる方も少なくないとは思いますが、全くもってこれは無理な話ではありません。
 それどころか、英語が出来る人たちというのは、もう英文をいちいち日本語に訳したりせずに、英語は英語のまま理解しているのです。つまり、英語が出来るということは、すなわち、日本語に訳すことなく英語のまま理解できることと同義なのです。
 そして、英語学習者たちは、英語を学習しているうちに、もちろん最初は日本語に訳しながら理解していますが、いつしかこの一線を越えて、「その先」つまり英語を日本語に訳さず理解できるようになっているのです。
 例えば、「昨日の晩ご飯何を食べましたか?」と問われて、昨日の夕食が瞬時に思い浮かべられるのと同じようにして、”What did you have for dinner last night?”と問われて、昨晩の夕食が思い浮かぶようになるまで、英語を自分のものとしていけば良いのです。


| 素読

特集イメージ3 『英語を修むる青年はある程度まで修めたら辞書を引かないで無茶苦茶に英書を沢山と読むが良い、少し分からない節があっては飛ばして読んでってもどんどん読書してくとには解かるようになる。』
 これは夏目漱石先生の言葉ですが、まるで現代の英語教育のあるべき姿を、指摘しているかのようです。
 比較してみれば、今日の英語教育はまるで未開帰りをしているのではないかと思われるほどに、当時の学生たちの英語力は優れていました。もちろん当時、大学まで進学する学生はほんのひと握り。一部の優秀な学生たちが英語を修めていたので、学生の質自体も今より高かったのでしょう。
 しかし、彼の時代から100年。科学技術の進歩はめざましく、生活様式も様変わり、便利な世の中になりましたが、英語学習法だけは、まるで置き去られたかの如く、進化どころか風化しているかのような様相を呈しています。
 明治後半から昭和初期にかけて、もうすでに「英語修得への王道」は確立されていたのです。少なくとも漱石翁によって提示されてはいたわけです。何事にも近道は無し。日々淡々と取り組む以外に上達への道はないのです。
 一人一党も大いに結構ですが、ここはひとつ先人の知恵を拝借して、そろそろ「英語が出来ない日本人」からは卒業の潮時かも知れません。
 中学レベルの文法をマスターしたら、あとは簡単な英文を、日本語訳など考えずにがむしゃらに読む。望むらくは、加えて正しい発音で読む。
 この学習法は、中学生向けの塾や大人の英語講座でも実践していますが、相当な成果を上げています。真面目に2ヶ月も取り組めば、どんな人でも英検の準2級はクリアできるでしょう。そして、それをクリアする頃には、もう、英語をいちいち日本語に訳すことなく理解できるようになっているのです。
 あとは、さらに上級の読み物を大量に読む。それにより語彙を増やしていく。語彙といっても、単語帳方式の「英単語=日本語訳」ではなく、英語のまま意味がイメージできるような語彙になるのです。
 また、ものの本によれば、漱石先生は「先生の英語は明瞭で正確で、聞いていて心地よかった」と学生が回顧するように、相当キレイな英語を話されたようです。
 アルファベットの発音を学び、正しい発音を心がけながら声に出して読んでいるうちに、リスニング力の向上に繋がります。
 寺小屋で行われていた「論語の素読」宜しく、「英語の素読」を実践する。古くて新しい学習法の素読。日本の英語教育からすっぽり抜け落ちている部分を、補ってあまりあるのです。

 生き馬の目を抜くようなめまぐるしさで、生き方が変化していく現代。10年単位で技術が風化していく程の変化のスピードに付いていくためには、まず必要なのは情報です。しかも、日本のマスメディアから得られる「平和ぼけの情報」ではなく、「本当のところ」を見極めながらどんどん収集し、未来を生き抜くためのツールとしなくてはならないのです。
 英語の評論家ではなく、英語の専門家になる。そのためには、少々気合いと根性が必要な学習法ですが、英語の素読。一人でも多くの方が実践して、英語を身につけてくださることを願ってやみません。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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