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2018年12月号特集

Vol.249 | ことばのルール

ルールが分かれば,英語が分かる,聞き取れる、きれいに話せる

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1812/
船津洋「ことばのルール」(株式会社 児童英語研究所、2018年)


特集イメージ1 物事や行動の規範を「規矩準縄」などといいます。規範と言えば、国には法律があり、学校には校則があり、ご家庭には言明されないまでも暗黙のルールがあったりします。ルールというと「こうしなくてはいけない」とか「こうあるべきだ」とか,何かと堅苦しく窮屈な印象が強く、その反動から「自由になりたい」と感じる人も少なくないでしょう。
 しかし、ルールというものは何事にもついて回るもののようでして、スポーツではルールを守らなければ失格になりますし、ゲームもルールという制約があるからこそ、その枠の中で楽しめるわけです。社会的には法律を破れば罰則があるわけで、すると、ルールに抵触しない範囲でずるをする人も現れたりします。ルールというのはあればあるで面倒で、なければないで不便という、大変やっかいな代物のようです。
 そもそも、ルールから外れて自由に生きることができるのかといえば、なかなかそうはいきません。人間は社会的生き物です。どれほどアウトローを気取っていても、水やガスや電気を使う限り、公共料金は支払うわけですし、携帯電話を使う限り利用料金を払わなければ、サービスを止められてしまいます。どんなに自由だと思っている人でも結局は何らかのルールに縛られて生きているわけで、逃れることなどできないのです。
 さて、そろそろ「今回は何の話だろう?」「これ『パル通』だよね?」と不安に感じている方もいらっしゃるかと思いますが、心配はご無用です。ちゃんと『パルキッズ通信』のルールに則って(果たしてそんなものがあるのかどうかは知りませんが・・・)書いていますので、もう少しお付き合い下さい。


| コミュニティーによってルールは異なる

特集イメージ2 自然の摂理とか物理法則などからはもはや誰一人として逃れることはできませんし、人間社会の最小限のルールからも逃れることはできません。ルールにはヒトが決めたものもあれば、何となくそこに存在するものもあります。そして、ルールがなければ、社会生活はおろか、極端な話、ひょっとすると思考すらもできなくなってしまうのです。
 社会にはいろいろな暗黙の決まり事があります。日本人なら「恥」をひとつの基準に据えて衝動をこらえたり、子の頭をなでて褒めてみたり、手のひらを下にしてそろえた指を手前に動かすことで相手を招いたり、あるいは年長者には同輩とは異なるやり方で話したりします。このような倫理感やジェスチャー、言語の使い方は文化により異なり、それらは同文化内で共有され、そこからはみ出すことを一般的には避けようとし、それに従わない人を異端として受け入れない、または排除しようとする心理が働きます。
 その社会で生きるために必要な様々なコードの中でも最も便利なものに言語が挙げられますが、この言語もルールに則って運用しなければその役を果たしませんし、規則に則って使わなければ、そのコミュニティーの中では奇異の目でもって見られてしまいます。
 このように考えれば、ルールというものは、自然の法則のような人知の遠く及ばないものや、法律のように明文化されて罰則が加えられるものから、スポーツやゲームのルールのように守られることが前提のものもあります。また、社会コードのような暗黙のルールもあれば、言語などルールを守らなければ役を無さないものまで、様々なものがあることが分かります。そして、今回は言語のルールについて考えていくことになります。いかがでしょう。『パル通』らしくなってきましたでしょうか。


| 言語毎に異なるルール

特集イメージ3 言うまでもありませんが、日本語には日本語の、英語には英語のルールがあります。言語のルールなどというと直感的に文法を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。もちろん言語の規則と言えば文法が最初に挙げられますが、今回は「文法」には軽く触れながら、主に日本語や英語の「音声」のルールに着目して、子どもたちが母語を身につけていく様子を眺めつつ、外国語を身につけるためのヒントを探ってみることにしましょう。
 日本語の音声も英語の音声も、人間が発しうる、また知覚しうる音声という大きな枠で見ると、両方ともヒト言語のルールに則っています。しかし、日本語と英語はヒトの言語の中では両極端といえるほど、異なる振る舞いを見せます。語の並び順を見ると日本語は動詞が最後に位置しますが、英語では動詞は主語の次に位置します。英語では of, for, from などの前置詞はその名の示すとおり名詞の前に置かれますが、日本語では英語の前置詞に相当する助詞は名詞の後ろに置かれます。このようにならびの順序が違います。
 それだけではありません。英語の名詞には可算名詞と不可算名詞の区別があり、大半を占める可算名詞には ‘a’ や ‘the’ などの冠詞をつけるか複数形にするかしなくてはいけません。日本語には可算と不可算の区別はありませんので、日本人は英語でのその区別にとても苦労します。逆にアメリカ人などは日本語の助詞に苦しみます。「は」と「が」の違いは、英語の ‘the’ と ‘a(an)’ の違い、つまり知っているものは英語の ‘the’ に相当する「が」を、また未知のものや初出のものには英語の ‘a’ に相当する「は」を使うなどと説明されたりもするようです。
 また、日本語の名詞には単数と複数の区別がありません。一匹であろうが二匹であろうが「猫」は「猫」で「猫s」などとはなりません。また、英語の場合には複数であれば、’two cats’, ‘two men’, ‘two houses’ など数詞の区別はありません。しかし、日本語では名詞毎に異なる助数詞(二匹、二人、二軒など)を選ばなければいけません。このように、言語間でルールが異なるのですが、その言語間の差異は、例えばスペイン語とイタリア語の間では方言くらいの小さな差であるのに対し、日本語と英語では電極のプラスとマイナスのように極端に反対の性質を備えているのです。このことが日本人が英語を遠い存在として感じ、いつまで経っても直感的に英語を理解できない大きな理由でしょう。


| 音の違い

特集イメージ4 ヒトの言語使用の歴史はざっと十万年前に遡りますが、文字使用の歴史は数千年程度です。つまりヒトは言語を「音声」を中心に変化・分化させてきました。また、そんな音声も使用される地域やその環境に合わせるように変化してきました。本当かどうかは分かりませんが、東北の人たちはその寒さ故か、口をあまり開かず話すなどといわれますし、母音もそれに合わせて発声の仕方が独特であると井上ひさしさんの小説に現れたりします。また、琉球方言も母音が少ないことで有名です。このように、日本国内で使われる同じ日本語でも音声や語彙に差が出てきます。言語が異なれば,その差が大きいのは当たり前です。
 では日本語と英語ではどれほど差があるのでしょうか。日本語の音素は母音が5つで、子音が20ほどです。英語は二重母音も合わせれば母音も子音もそれぞれ20ほどずつです。この数を見ただけでも、英語の方が母音の種類が多いことが特徴的です。日本語と英語で全く同じ子音もあれば、異なるものもあります。では、このあたりを更に詳しく見ていくことにしましょう。


| 母音と子音の違い

特集イメージ5 『パルキッズ通信10月号』で日本語と英語の母音のマッピングの違いについて触れました。日本語では単に「あ」で済んでしまう色々な音を、英語では何種類にも聞き分けなくてはなりません。
 例えば、「坂田さん」という時に「(え~、マジであの)さかたさん(にやらせるつもり?)」という時と、「(なるほど)さかたさん(なら納得です)」では/sakatasan/の/a/の音が音声学的に違うのです。懐疑的に/sakatasan/という時には舌が前方に押し出されて英語でいうと、 ‘hat, pat, tan’ などの/æ/の音に近い音になります。逆に後者の場合には舌が喉の方に引っ込んで、米語でいうところの ’hot, pot, ton’ などの/a/に近い音になります。英語では意味が変わってしまうほどの音の違いですが、日本人は同じ「あ段の音」と知覚します。そして、これが日本人の英語の聞き取り、特に母音の聞き取りを苦手にしている理由のひとつなのです。
 日本人の歌い手さんが気持ちよさそうに英語の歌を歌っているのを、たまに目にします。皆さん歌の方は、つまりメロディーは上手にとれているのですけど、発音の方となると様々です。「何と言っているのだろう」とまるで聞き取れない発音の方もいれば、とても上手に英語の音を再現している方もいらっしゃいます。でも、どんな上手な方でも大抵一二カ所は「ん?」と気になるところがあります。ほとんどの場合、それは母音です。特に気になるのは弱母音の /ɪ/ や /ə/ を強く発音したり、日本語の「えー」に聞こえる音で発音するケースです。英語(少なくとも米語)には「えー」という音はないので、特に気になってしまうのかもしれません。
 このように、発音するのも聞き取るのも大変な英語の母音なのですが、英語の母音は日本語の母音と異なるとのか、というと必ずしもそうではなく、日本語の母音に含まれてしまっていると考えた方が良いかもしれません。つまり、日本語では5つに分類する音を英語では10個ほどに細かく分類しているというわけです。言い換えれば、菜種油とひまわり油とオリーブオイルなどを「植物油でしょ」とおおらかに分類している、トビウオもカツオもイワシも「出汁でしょ」と、まぁ、分けない文化の中ではすべて出汁ではありますが、分ける文化の中では、それらは違うものなのです。


| 子音の方が分かりやすい

特集イメージ6 次に子音を見てみましょう。子音は母音に比べて特徴的なので音の違いを区別しやすいのです。「ば」や「た」や「か」は破裂している音です。口の中で一度空気の閉鎖を作って、それを一気に破裂させて出る音です。「す」とか「ふ」などは破裂させるのではなく摩擦音と呼ばれます。これらの音が違って聞こえるのは、破裂とか摩擦させる場所が異なることによります。また「ば」と「ぱ」、「た」と「だ」などの違いは破裂したあとに声帯を震わせるか、破裂する前から声帯を震わせるかの違いです。
 ついでに書けば「ま」とか「な」とか「ん」は口だけではなく鼻からも息が抜けているので、鼻音と呼ばれます。アナウンサーの人たちが鼻濁音などと呼んでいる「が」の音も鼻音です。鼻をつまんで「ま」とか「な」と言ってみると分かりますが、少し発音しにくいはずです。これらの音は鼻腔で共鳴しないと「ば」とか「た」と同じ音になってしまいます。それと同じように「が」の音を鼻に抜くと鼻濁音の「が」になります。発音記号で書けば /ga/ と /ŋa/ となりますが、日本語の表記ではこれを分けて書くことができません。これらの子音は英語では異なる音です。ギャング /gæŋ/ とギャグ/gæg/ くらい違うのですが、母音の時と同じように、日本語では一緒くたになっているわけです。
 そのような例もありますが、子音は破裂させたり、擦ったり、鼻に抜いたりと音の特徴が分かりやすいのです。/l, r/ も口の中ではほとんど同じ場所で音が作られますが、/l/ の方は舌先が上の歯の歯茎の裏にくっついて作られる一方で /r/ は舌が上あごに触れることがありません。この点、日本語のラ行は舌が上あごに触れるので、英語の /l/ に似ていて、一方の /r/ の音は日本語にはありません。それ故、発音が難しいのかも知れません。しかし、母音は違うことに気づかない一方で、子音は違うことは気づけるのです。「気づける」ということは、それは「分かる」ということの始まりですから、身につける事ができるのですが、気づかないことには、何事も始まりません。


| ルールは文字で確定させる

特集イメージ7 さて、幼児は最初の言葉を身につける時に文字を知りません。そんな幼児たちは1歳前後まではなかなか言葉らしい言葉を口にしません。しかし、それでも黙っているわけではなく、ちゃんとおしゃべりはしています。それらは総じて喃語とも呼ばれます。
 喃語は「アッアー」とか母音が多いのですが、次第に「バブー」「パッパー」のような音を出します。つまり、唇を破裂させる子音と母音の組み合わせです。この喃語は意外とバリエーションは広く、唇を使うだけではなく、「ダーダ」のような舌先を使ったタ行やダ行の音も出しますし、「クック」のようなカ行とかガ行といった口の奥の方で作り出される音も出します。さらに上手になると「マンマ」の様に鼻音も使いこなすようになります。これは発声練習のようでもあり、また、実際に何かを訴えているようでもあります。
 ところで、この喃語が発話に変わる時期があります。スイッチのオンオフのようにいきなり切り替わるのではなく、喃語に発話が混じるようになります。ご家庭によって赤ちゃんが口にする言葉は違いますが、あるいは「マンマ」と言ったり、「パパ」と言ったり、「おっぱ」と言ったり、何かに頷いて「うん」と言ったりします。
 さて、その赤ん坊ですが、どんな母音を口にするのでしょうか。赤ん坊がいらっしゃるご家庭では,よく観察してみて下さい。またもう大きくなってしまったご家庭では、昔を思い出してみて下さい。「あ」とか「う」に聞こえる音が中心ではないでしょうか。これは普通に口を開けて、舌の位置も意識せずに声帯を震わせた時に出てしまう音です。少し顔を上げれば口の中が広くなって「あ」の様な音になりますし、少しあごを引けば「う」の様な音になります。
 自然と出てしまう「あ」とか「う」に比べて、「え」は口の中を狭めなければ出ませんし、さらに舌を前の方に押し出さないと「い」の音は出せません。反対に口の中を丸くしないと「お」の音は出せないのです。このように、最初は偶然出る「あ」とか「う」を中心に、上手になるとそれ以外の母音も出せるようになるのです。
 しかし、ここで繰り返しますが、幼児は文字を知りません。また、ひらがなを教えない限りは五母音も知りません。つまり、自分の口にしている音がどの母音に属するのか分類ができていないのです。同時に、どこからどこまでが「あ」で、どこからどこまでが「う」なのか「え」なのかも分かりません。口を開いて「あー」と言いながら、少しずつ口を閉じていくと「うー」になり、舌先を緊張させると「いー」になりますが、その境目は線が引いてあるわけではなく、極めて曖昧なのです。しかし、2歳にもなれば「あいうえお」をどこかで学ぶのでそれぞれの違いは分かりますが、それは “勘” で、なんとなく使い分けているだけなのです。すると、ある時には「おっぱい」が「うっぱい」だったり、「えっぱい」だったりするのです。
 子音は破裂させたり擦ったりすることで、はっきりと異なる音質の音が出ます。また、音を作り出す場所によっても「バ行」や「ダ行」や「ガ行」の異なる音が出ることもくっきりと分かります。しかし、母音は境目が曖昧ではっきりとしていないのです。この点、英語の10の母音を5つに分類していることと相通じていますが、その日本語の母音を、「ここからここまでが “あ” だよ」という具合に、ある程度特定してくれるのが「あいうえお」という五母音の概念と「あいうえお」というかな文字なのです。
 この考え方を敷衍すると、英語の発音の学習の仕方も分かります。さすがに幼児に詳しく発音記号を教える必要はありません。しかし、綴りと音の関係は教えてあげた方が良いでしょう。つまり、フォニックスの学習です。もちろん、パルキッズで育つ幼児たちは、英語の母音も日本語の母音のように、教わらなくても自分たちでちゃんと分類します。しかし、それはあくまでも “勘” です。それをしっかりと特定させるのが、日本語の時と同様に、アルファベットの概念と文字なのです。但し英語の場合には必ずしもアルファベットの読み方と、単語の中で現れる時の読み方が一致しないので、その両方を学べるフォニックスが有効だということになります。


| 音の並びのルール

特集イメージ8 さて、ルールの話から始めて、音声の分布まで話が降りてきました。そこで、最後に音に並び方のルールについて触れておきましょう。
 人は何か喋る時、もちろん単語単位で話すこともありますが、大抵は文で話します。日本語は主語や目的語、はたまた動詞まで省略できる便利な(外国人取っては不便な)言葉なので、特に会話では、単語単位がポツリポツリと話されることもあります。これは動詞の形や文脈から内容が推察できることから可能となります。しかし、英語は主語がなくてはいけないし、日本語のように代名詞を落とすこともできません。従って、省略されずにちゃんとした文で話されることが日本語よりは多くなります。
 このように文として音声になった言葉を、聞く方はまず単語単位に切り出さなくては意味を理解できません。そのように一連の音の塊から単語を切り出す方法は言語によって異なります。日本語と英語では単語の切り出し方が違うのです。
 単語を切り出すのに一番有効なのは、その単語を知っていることです。大人たちはたくさんの語を知っていますが、言葉を学んでいる最中の幼児たちは多くの言葉は知りません。1歳半で50語位です。しかし、そんな彼らも単語を切り出すことができています。そこには、様々な方略が使われているのです。
 そのひとつに「目立つものを探す」という方法が考えられています。英語の場合には最初に来るのが主語で次に動詞が来て、その後動詞の種類によっては目的語が来たりします。語の並び方がはっきりしているので、その点、英語を身につけている最中の幼児たちは、並び方をヒントに単語を切り出すことができます。一方の日本語は語順におおらかで、主語や目的語が落ちることがあるので、並び方を手がかりにすることはできません。しかし、名詞の場合には様々な助詞が付くことで、それが主題(「~は」)なのか、主語(「~が」)なのか、目的語(「を」)なのかの見当がつきますし、「~する」とか「~なさい」が出てくれば、それは動作を表す語であることにも気づけます。
 また、音の並び方の確率やルールによって語を切り出すこともできます。例えば「ごはん」の場合、「ご」の次に「は」が来たら、ほとんど100%の確率で「ん」が続くので、並び方からひとつの語であることが予想できます。
 また並び方のルールの例を挙げると、英単語の場合、語末の音節なら ‘p’ の前に ‘s, m, l’ が来ることが可能だけれども、語頭の音節では ‘p’ とか ’t’ の前に来られるのは ’s’ のみと決まっています。このルールに従うと、「英語ではなさそうな音の並び」が排除されて正しく切り出せるようになるのです。
 このようにして、子どもたちは最初は音素を身につけて、それを “勘” で使用しつつ、音の並び方のルールや、確率なども駆使しながら、単語を探していきます。そして、ある程度の語彙を身につけると、そこからは聞き取りには問題なく、毎日10語とも言われるものすごい勢いで、次々と単語を覚えていくようになるのです。

 以上を日本人の英語学習に当てはめると、極めて重要なことが分かります。まず、英語の正しい音を身につける機会がほとんどないのです。‘l, r, th, f, v‘ などの日本語に存在しない際だった英語の音は目立つが故に、学習の対象になりますが、日本語の「あいうえお」に包括されてしまっている地味な母音はあまり顧みられることがありません。
 また、英語を学ぶ時に「単語単位」で学ぶ癖がついてしまっている日本人は、単語単位で読む癖がついてしまっていて、さらに、子音には必ず母音をつけなくてはいけない日本語のルールに縛られているので、英文を読む時に正しく読めていません。正しく読めていないというのはアメリカ人など英語圏の人々が読むように読んでいないという意味です。つまり、自分が「英語だ」と思って口にしている英語はアメリカ人たちの英語とは違う、日本人の英語なのです。そして、その日本語化した英語の規矩準縄でもって、英語の音を聞き取ろうとするのですからうまくいくわけがありません。
 日本人は英語にどんな音があるのかを知らず、英語の音はどんな規則で並んでいるのかを知らないまま、”勘” で英語を聞き取ろうとしているのです。
 英語の音には限りがあります。日本語と異なる母音の分類の仕方と、日本語と異なる音の並びのルールを理解してしまえば、英語の聞き取りなど簡単なのです。英語圏に生まれる生後半年の子でもできることを「できないできない」と悩んでいる背景には、以上のような「学習ポイントのちょっとした見落とし」があるだけで、日本人の言語能力の問題ではないのです。

 さて、今回は音のルールの話を中心に進めましたが、紙数が尽きてしまいました。日本語に無い音、日本語にある音、日本語に似た音の聞き取りの話など、もう少し書きたかったのですが、またの機会に譲ることにいたします。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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