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2014年06月号特集

Vol.195 | ずばり!10年後の未来予想

オバマスピーチからわかる未来の教育スタンダードとは

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1406/ ‎
船津洋『ずばり!10年後の未来予想』(株式会社 児童英語研究所、2014年)


| 怖い世の中になりました

 バブルの頃のポケベルが携帯電話に取って代わられ、いまでは携帯電話の普及率は120%以上。台数だけみれば、0歳児すら持っている計算です。また、私が留学していた30年ほど前には、電子辞書さえ一般的ではなく、分厚い紙の辞書を使っていました。それが電子辞書に取って代わられ、いまでは、その間に急速に普及したインターネット上の辞書が一般的に使われるようになってきました。一時期流行ったレンタルビデオは、いつの間にかDVDに代わり、それがブルーレイとなり、今日では、ディスクすら不要なオンデマンド放送が広く一般的になりつつあります。
 パルキッズの指導でも同じです。最初はカセットテープと紙のフラッシュカードでした。フラッシュカードはビデオになり、DVDへと移り変わっていき、カセットテープもCDになりました。当時は「毎日テープを流しましょう」でしたが、それが「CDを流しましょう」に代わりました。現実はどうなのでしょう。そもそもCDラジカセすら過去のものとなりつつあり、mp3プレイヤーでのかけ流しが主流ではないでしょうか。このような変化や進化は、例を挙げればきりがありません。あっと言う間に、古いものが新しい技術に取って代わられてしまう時代になっているのです。


| こんなことまで

 そんな生活の変化の中で、大きな影響力を持っているのがインターネットでしょう。そのインターネットの普及やIT技術の進化によって日々生成される「ビッグデータ」と呼ばれる、膨大な量の情報の活用が様々な物議を醸しています。
 2012年には、アメリカでこんなことが起こりました。高校生の娘に、とある大手量販店からベビー用品のクーポンが送りつけられてきたことに腹を立てた父親が「娘に子作りを勧めているのか!」とその店に抗議を入れました。ところが後日、お嬢さんが実は妊娠していたことが分かったのです。
 そのエリアではベビー用品店の競合が多く、公開された出生記録を確認してからクーポンを送っても、ママたちには同様のクーポンが大量に送られてきます。店側は購入してもらえる確率を高めようと、出産前の少しでも早い時期にクーポンを送れるように、顧客データの研究に取り組んだのです。その結果、特定の商品の検索、ブラウズ、購買行動が、妊娠の兆候と結びついていることが分かり、そのデータに基づいて、妊娠を予測し顧客にクーポンを送っていたわけです。
 そして、この例の場合には、父親はもちろんのこと妊娠している当の本人すらも気付かないうちに、妊娠していると判定されクーポンが送られました。しかも、父親の怒りとは裏腹に、このデータを元にした予測が、ピタリと的中していたのです。
 これは、IT先進国アメリカに限ったことではありません。日本でも、昨年JR東日本がスイカ(Suica, IC乗車カード)のデータを販売することで問題になりました。スイカの利用者から収集されたデータを活用して、様々なサービスに役立てようというものです。例えば、駅での乗降データだけでなく、スイカを利用した買い物データを分析し、午前中は水やお茶などの飲料が売れ、夕方には甘いものが売れる傾向にあるとか、女性より男性の方が甘味飲料を購入する傾向にある、といった顧客の購買動向を効率の良い販売へと結びつけようという考え方です。
 日々使わないことはない携帯電話やスマートフォン、パソコン、そこでブラウズするインターネットの画面には、いろいろな広告が登場します。検索結果のページにも、覗いているネットショップにも、ブログやツイッターなどにも広告が現れます。そんな中には、思わずクリックしてみたくなるような、自分の関心にあった広告や、過去の検索キーワードに関連する広告があるのではないでしょうか。もはや、TVCMのような時間帯別、コンテンツ別、地域別というような、ある意味ランダムな表示ではなく、端末ごと、つまり、パソコンに向かっている「個人ごと」に別々の広告が表示されているのです。私たちが日々入力する検索キーワードや、ブラウズするページ、またはネットショップでは、購入履歴などから関連商品を表示させることで、私たちひとりひとりを購入へ導こうとしているのです。
 どうです?怖いと感じられるかも知れませんが、集積されているデータを活かすことで、すでに上記のようなことが可能な世の中になっています。そんな世界に、我々は身を置いているのです。


| 怖い一方で、とっても便利

 しかし、ビッグデータの活用はこれには留まりません。上記のように「個人の行動パターン」を分析するところから、さらに一歩進んだ活用がなされています。
 例えば、グーグルの「インフルトレンド」では、ビッグデータを使ったインフルエンザの流行予測を行っています。検索キーワードとインフルエンザの患者数を調べたところ、特定のキーワードが入力される時期とインフルエンザの流行する時期・地域がピタリと一致したのです。これにより、地域別のインフルエンザの流行予測が行われています。
 従来の調査方法だと、行政が病院へ患者数の報告を依頼し、そこから地域の保健所へ患者数の報告が上がり、それが上位の自治体へと集積され、ようやく流行している地域が判明します。このアナログ式では、だいたい1週間から2週間遅れで流行が分かるのですが、ビッグデータを活用するとわずか1日のタイムラグで、いまどこでインフルエンザが流行しているのかを把握できるのです。
 ネット通販大手のアマゾンでも、データの活用は個人に対するおすすめ商品の提案だけに留まりません。なんと、注文すら受ける前から出荷の準備を開始しているのです。
 このシステムでは、「商品と個人の購入履歴」との関連ではなく、「商品と別の商品」との間に相関関係を見いだします。そして、とある商品が一定量販売された地域の発送センターに、その商品と相関関係にある「別の商品」を、注文を受ける前から集積していき、実際の注文に備えるのです。
 「ロングテール」だの「free」だのと斬新さを持って一時期世間を賑わしたインターネット用語も、あっと言う間に「そんなの当たり前」になってしまい、次々と新しい技術やアイデアが生み出されています。今日の技術が明日使えるとも限らない、そんな時代なのです。


| インターネットとは切れない

 インターネットだけではありません。パソコンの普及と性能の向上に、アプリケーションのシンプルな手軽さも手伝って、いまや誰でもコンピュータを使う時代です。
 社長自らタイプを打ち、飛行機や新幹線チケット、はたまた宿泊先のホテルをネット予約する…。つまり、「社長」兼「タイピスト」兼「秘書」、こんな人は大勢います。なぜなら、人にタイプを打たせたり、秘書を雇ったりしていた、そんな社長はどんどん引退して行き、逆に「自分でできることは自分でする」のが当たり前のこととして、パソコンやインターネットと共に育った人たちが、今では社長になっているのですから。
 そればかりではありません。発信する内容、つまり「コンテンツ」を持っている人で、タイプを打てて、SNS(Social Networking Service)を使える人なら、もはや誰でも「文筆家」です。文章とは、一部の物書きの専有物ではなくなっているのです。
 映像もしかり。ひと昔前までは、大きなハンディカムを背負ったプロのカメラマンがいましたが、今ではディレクター自身がデジタルビデオで撮影してしまいます。カメラの性能も上がったので、照明さんの手を借りることもあまり必要ではなくなっています。しまいには、スマートフォンで撮影したビデオを編集してYouTubeやSNSで発信してしまう時代です。技術の発達と共に、情報や作品の創造や発信が、誰にでも手軽にできるようになりました。
 しかも、コンピュータは我が家の電源や電話線から飛び出してインターネットと繋がっています。
 ここ5年ほどで急速に普及し、現在では携帯端末シェアの半分を占める「スマホ」によって、機動性まで得ることになったのです。あまりにも急速に普及したので、使用する側にも「歩きスマホ」など問題はありますが、それもあっと言う間に「あの頃はねぇ…」と懐かしむようになるのでしょう。


| 米では幼児期からコンピュータサイエンス教育

 さて、このようにインターネットや、インターネットと私たちを繋ぐパソコンやスマホとの新しい付き合い方を避けられない今日、IT先進国のアメリカでは新しいムーブメントが起きています。
 昨年12月に、オバマ大統領のスピーチを合図に「コンピュータサイエンス エデュケーション ウィーク」が始まりました。こんな名称を目にすると、「なにやら専門家やオタクのためのイベントかな?」と感じるかも知れませんが、そうではありません。対象はアメリカのすべての子どもたちで、全米の学校などで専門家による体験授業やワークショップなどが行われました。特筆すべきは、対象が高校生とか、中学生以上ではないことです。小学生にはもちろんのこと、幼稚園児までもがその学習の対象となっている点でしょう。
 ――コンピュータ サイエンスは、一部の限られた人たちのものではなく、文章を書くようにどんな人もできるようになる必要があるものである。また本来、誰もが学ぶべきコンピュータ サイエンスを学校が教えていない。すでに今日、さらに今後は、読み書きと同じようにプログラミングの知識は必要であり、それを積極的に学ぶべきである。――そんな趣旨のもと、このムーブメントが始まったのです。
 オバマ大統領はそのスピーチで、「この新しい道具と技術を学ぼう。新しいゲームソフトを買うのではなくそれを作ろう。アプリをダウンロードするのではなくデザインしてみよう。ケータイで遊ぶのではなくプログラムしよう。誰もが生まれつきコンピュータサイエンティストなのではない。ちょっとした努力と数学と科学の助けで誰もがコンピュータサイエンティストになれるのだ。」そして「コンピュータサイエンスを学ぶことは君たちの未来のためだけでなく、この国の未来のために必要だ」とも言っています。つまり、国を挙げて本格的なIT教育へと乗り出し始めたのです。


| 日本はプログラマーが少ない?

 米国では、プログラマーの供給数が圧倒的に需要に追いついていない現状があります。これは日本でも同様で、優秀なプログラマーを見つけるのはなかなか困難なようです。しかし、世の中が既述のようなビッグデータ活用をはじめとした「コンピュータプログラム」で動いている以上(仮に、コンピュータを動かす電源や通信網が遮断されたら、もはや日本では1日たりとも経済活動は成立しません。交通・通信・物流を始めすべてのインフラがインターネットなしでは成立しない時代になっています。)これからはさらにプログラマーのニーズが高まるでしょう。しかし、どうにも「なり手」が少ないようです。なぜでしょう?
 それは、簡単な理由です。特に、日本にプログラマーが育たない理由は明白です。
 プログラム言語は基本的には英語です。英語嫌い・英語コンプレックスの日本人は、ただでさえ英語がわからない。長文を見ると、試験の嫌な記憶しか思い出せない。そんな具合に英語が苦手な上に、さらにその英語に加えて、いろいろな記号で記述されているコンピュータプログラムと格闘するなど、できればごめん被りたいという人が多いのでしょう。
 また最近では、ハッキングやプログラマーによる犯罪なども大きく報じられますが、なかなかその背景や仕組みまでを理解することは難しいものです。それによって「コンピュータ」や「インターネット」というもの自体に悪い印象を抱いたり、必要以上に恐れたりする傾向も見受けられます。しかし我々、とくにこれからの子どもたちはコンピュータやインターネットとうまくつきあいながら社会生活を送ることを迫られます。わからないからといって、必要以上にその技術から子どもたちを遠ざけるのではなく、うまく付き合えるように教育することが必要になるでしょう。
 繰り返しますが、コンピュータプログラムは英語がベースで作られています。英語がわからないのに、英語で書かなくてはいけなくて、さらに暗い印象がある。しかも、これほど生活に浸透している科学でありながら、学校ではきちんと教えてくれない。これでは、プログラマーを目指す人は生まれにくいでしょう。
 余談ですが、先日、雑談の中で友人が「大学の第二外国語、あの選択肢にプログラミング言語があればいいのにねぇ。プログラムも外国語みたいなものだから…」と言っていたのが印象的でした。コンピュータサイエンスは、もう立派な学問なのだから学校で教えればよいのです。一昨年度から中学校の技術・家庭科の授業の一環でプログラミングの時間が設けられるようになってはいますが、小学校の英語と同様に、おざなりな印象がぬぐえません。学校教育の現場で、コンピュータサイエンスの授業が、英語・国語・数学、または社会科・理科のような重要さをもって導入される様子は、いまのところ無さそうですから、日本のプログラマー事情は、企業の牽引力に、その改善を委ねる以外なさそうです。


| ピンチはチャンス

 ところが、そんな事情は逆に言えば一部の人たちにとってはチャンスです。特に、パルキッズで学習しているお子さまたちです。
 英語がベースなのですから、プログラム言語は、彼らにとって恐れるに足りません。パルキッズで育った子たちは英語に対するアレルギーがありませんから、プログラムを見ても、一般的な日本人のように、目を背けたくなるようなことはないでしょう。
 そんな彼らに、英語に加えてもうひとつ、おすすめがあります。それは「キーボード操作」を身につけさせることです。
 日本では小学校3年生で、パソコンの授業がようやく始まります。それとセットで、「ローマ字」も教わることになります。2年前までは3年生でキーボードの「かな入力」を学んで、4年生で「ローマ字」だったのですが、これを一緒にしてしまったのです。つまり、日本の子どもたちは、放っておけば、「かな入力」を覚えるチャンスを失ってしまうのです。
 パソコンの出始めの頃は、性能の問題で「かな入力」が困難でしたので、代用として「ローマ字入力」をする以外ありませんでした。しかし、今日ではパソコンの処理能力も著しく向上していますし、どんなキーボードにも「かな」が振ってあるはずです。
 日本語を入力するのに最も適していて、さらに効率がよいのは、言うまでもなく「かな入力」です。頭の中で無意味で無駄な「ローマ字変換」をせずに、思いつくままに打てるのですから、入力スピードも段違いに速くなります。つまり、日本語を入力する場合には「かな入力」をすればよいのです。我々親の世代とは異なり、子どもたちはおそらく、一生涯とは言わないまでも、かなりの間キーボードとは付き合うことになるはずですので、早いうちにこの技術を身につけておくメリットは図り知れません。
 そして、同時に「アルファベットの配列」も教えてしまいましょう。英文を入力したりコンピュータのプログラムを入力する場合には、こちらを使います。
 ちなみに、かな配列もアルファベット配列も、10時間も練習すればできるようになります。学校で教わるまで待って、ローマ字入力しかできない子にわざわざ育てる必要などありませんので、早い段階にキーボード操作は覚えさせた方がよいでしょう。
 ちなみに、我が家では倅たちが幼稚園のうちに、仮名とアルファベットの両方を覚えさせました。今、大学生と院生ですが、やはり入力には便利なようです。
 さて、今回はコンピュータやインターネットについての話ばかりでしたが、これが実は英語と無関係ではありません。英語ができることによる「思いがけない効果」として、過去にも本誌上で「ロジカルシンキング」について書きましたが、実は理系頭の「プログラムの技術」を身につけるにも効果を発揮するのです。
 インターネットやコンピュータ。これからの時代を生きる子どもたちは、一生付き合い続けることになると思います。新しい技術に「使われる側」になるのか、「使う側」に育てるのか…。学校でそれらコンピュータサイエンスの技能・知識を教えてくれない以上、日々のご家庭でのインターネットやパソコンとの付き合い方が子どもたちの将来に大きく影響しそうです。
 昭和は遠くになりにけり。我々大人は「英語は苦手」「コンピューターは苦手」「情報発信は苦手」でも、なんとかごまかすことができました。しかし、これからの時代を生きる子どもたちは、そこから逃げられないでしょう。ノスタルジックな尺度ではなく、未来を見据えた新しい尺度でお子さまの将来を創造していくことが大切です。


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プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

株式会社児童英語研究所 代表。幼児英語教材「パルキッズ」をはじめ多数の教材制作・開発を行う。これまでの教務指導件数は6万件を越える。卒業生は難関校に多数合格、中学生で英検1級に合格するなど高い成果を上げている。大人向け英語学習本としてベストセラーとなった『たった80単語!読むだけで英語脳になる本』(三笠書房)など著書多数。

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