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2012年03月号特集

Vol.168 | 幼児期に身につけた英語力は消える!?

あなたはどれだけ知っている?ひと目でわかる「今の受験」

written by 船津 洋(Hiroshi Funatsu)



プロフィール

船津 洋(Funatsu Hiroshi)

1965年生まれ。東京都出身。株式会社児童英語研究所・代表取締役。上智大学外国語学部英語学科卒業後、言語学の研究者として、日本人の英語習得の在り方を研究中。35年以上、幼児・児童向け英語教材開発の通して英語教育に携わる経営者である一方、3児の父、そして孫1人を持つ親として、保護者の視点に立ったバイリンガル教育コンテンツを発信し、支持を得ている。著書に20万部のベストセラーを記録した『たった80単語「読むだけで」英語脳になる本』(三笠書房)をはじめ『子どもの英語「超効率」勉強法』(かんき出版)など多数ある。


 幼児期の英語教育とは切っても切れない関係にある「絵本」ですが、なぜ絵本がそれほど重宝されるのでしょうか。例えば日本語の絵本。お子さまに何冊与えましたか?100冊?200冊?それほど大量の絵本を与える方は極めて少数派でしょう。大抵は多くても50冊程度ではないでしょうか。しかし、英語の絵本となると、100冊以上与える方は逆に珍しくありません。なぜ母語である日本語で書かれた絵本より、多い量の外国語の絵本を与えるのでしょうか
 おそらく絵本に「言語の入力」において重要な一端を担わせるイメージがあるのではないかと思います。もちん絵本も入力にはなりますが、実際のところ絵がある分、入力の効率は非常に悪いのです。パルキッズの1ヶ月分の入力を絵本で実践しようとしたら、それだけで10冊や20冊分になってしまいます。1ヶ月に20冊だと、1年間で240冊。そんな大量な絵本を与えるのは現実的ではありません。絵本は大量入力、つまり言語回路を育てるのに必要な情報量を入力するツールとしてはあまり適していないことが分かります。
もちろんパルキッズの英語獲得法でも「暗唱」という取り組みで絵本を使っています。しかし、本質的な絵本の使途は、英語回路構築ではありません。ある「重要な目的」のために絵本の暗唱をおこなっているのです


| 幼児期に身につけた英語は消えるのか

  皆さんはこんなことを耳にしたことがありませんか。
 「小さい頃に英語を習っていたけど、全然役に立たなかった」とか「簡単な英会話まではできるようになったけれど、気付けば今では全く英語ができなくなってしまった」とか・・・。つまり、幼児期に身に付けた英語力は消えてしまう、そんな体験談や論調です。
 もっとも、お遊び程度の英会話教室に通ったところで、そもそも何も身についていないわけですから、消えてしまったと言えるほどの英語力は初めからありません。一体どこまでの英語力をもって「英語力」と定義しているのかは分かりませんが、上記のような「幼児期の英語は消えてしまう云々」を目や耳にすれば親が不安になるのは当然でしょう。
 ただ、事実として幼児期の英語は消えてしまうのです。私が小学生の頃、仲の良かった帰国子女の友達がいました(当時の私の中では日本以外は全て外国でしたのでどこの国だったかは失念しましたが)。彼は幼児期を海外で過ごしていたので現地の言葉はできるはずなのに、当時、彼から外国語を耳にすることはありませんでした。彼自身「忘れてしまった」と言っていた記憶があります。
 考えてみれば、仮にその国の言葉を覚えていたとしても、日本語以外理解しない日本人の私に対して、彼が外国語を披露するのはとても不自然な気分ではあったことでしょう。それで「忘れた」と軽くあしらったのかも知れません。
 しかし、一度身につけた外国語をすっかり忘れてしまうケースが実際にあるのです
 ここにアメリカで2年間過ごした小学2年生の姉とキンダー(日本でいう幼稚園)の弟の姉弟がいます。彼らは普段、学校や幼稚園では英語で、家庭では日本語でコミュニケートします。そんな彼らの生活に変化が訪れます。父親の仕事の都合で日本へ帰国することになったのです。
 アメリカでは6月には学校が終わります。ですから、6~8月が夏休みになります。この期間を利用して各種キャンプなどの課外活動やレジャーを楽しみます。この姉弟は8月に日本の学校への編入準備のために帰国します。もちろん母語である日本語は話せますので、日常生活に置いては何の支障もありません。まれに姉弟間では英語で会話することありますが、日常のほとんどは日本語で生活をしています。そして9月になり2学期が始まります。
 上の子は小学校へ下の子は幼稚園での新しい生活が始まります。もちろん学校では英語で話すことなどありません。そして2学期のスタートと同時に子どもたちは家庭でも英語を話すことを止めます。
 このようにして、英語との関係がとぎれて1年が経ち、上の子は3年生、下の子は1年生となります。そんなある日子の2人に再び「英語」と触れる機会が訪れます。父親の友人のアメリカ人が来日することになるのです。
 子どもたちもよく遊んでもらった人なのですが、実際に再開すると不思議なことが起こります。姉はすぐに英語で話し始めるのに対し、弟はついには最後まで、まるですっかり忘れてしまったかのように、ひと言も英語を話さないのです


| なぜか弟だけ消えてしまった英語力

 このケースでは年齢の差こそあれ、同じように英語を話せるようになった姉弟の英語力が、一方は保持され、もう一方は消失してしまったのです。言語習得の面では弟の方が年少の分吸収力に長けていて、帰国した段階では姉よりもネイティブに近い英語力を身につけていたことは容易に察せます
 しかし、わずか1年の間に両者の英語力は完全に逆転したのです。正しくは、姉の英語力も帰国時よりは低下していましたが、弟に関しては姉の英語力の劣化を追い抜いて、まるでゼロになってしまったのです。
 この弟に起こったことが、よく言う「小さい頃の英語は消えて無くなる」ケースに該当するのです。
 この2人の間にどんな違いがあったのでしょうか。実はその違いこそが日本の英語教育、特に幼児期の英語教育ではあまり重視されていない点なのです。そして、それに気付かずにいると、せっかく幼児期に英語を身につけても、気付けばまるで何もしてこなかったかのように跡形もなく英語力が消え去ってしまうことになるのです。


| 秘密は右脳期と左脳期

 子どもは日々成長しています。ハイハイから歩けるようになり、走り回るようになります。言葉も喃語から二語文、幼児期から小学校へはいる頃までには、語彙も増え、本を読めるようになり、学年が進むにつれて文章を書けるようになります。
 言葉を理解しなかった子が、日常的な具象的なことを理解できるようになり、ルールや教科などの抽象的なことも徐々に理解するようになるのです。これをひと言で「成長」と呼んでしまえばそれまでですが、何も分からない赤ん坊から、聞き分けの良い子どもになるまでには、ある大きな進化を遂げているのです。
 その進化とは脳に関わるものです。幼児期には「右脳」と呼ばれるイメージを司る脳が主に機能しています。この段階では「左脳」と呼ばれる言語や論理性を司る脳、我々成人が通常主として使っている脳は未発達です。その左脳が徐々に発達して、小学生くらいになるころにはいつの間にか右脳の機能を追い越して、左脳が主に働くようになるのです。もちろん小学生以降も右脳は働いてはいるのですが、左脳の方が優位になっているので、右脳の能力はあまり発揮されることはありません。つまり右脳しか機能していない幼児が、左脳が主に機能している小学生へと成長していくわけです。
 ここで先ほどの姉弟にはなしを戻しましょう。姉は帰国した時点で小学2年生でした。つまり日常的に左脳優位の状態で英語を使えたのです。それに対し弟の方は左脳が未発達な状態なので、右脳で英語を処理していたのです。
 右脳の能力は左脳が優位に働くようになると発揮できなくなります。つまり幼児期に右脳的に獲得された能力は左脳でも処理できる状態にしておかないと、成長とともに左脳の優位性に覆い隠されてしまって、その能力を発揮することができなくなるのです
 このように、左脳で英語を処理できるようになっていなかった弟の方は、年齢とともに左脳が優位になるにつれて右脳で処理していた英語の回路にアクセスできなくなり、英語ができなくなってしまったわけです。逆に左脳で英語を処理していた姉は、ブランクがあってもすぐに英語の回路にアクセスすることができたわけです。


| 本当の「読解力」とは

 右脳で身に付けた能力を左脳へと移していく。ここが大切なのです。しかも、この作業はそれほど難しいものではありません。むしろ簡単です。耳からのぼんやりとした情報を、視覚からのくっきりとした情報、つまり「文字」に置き換えてあげればよいのです。リスニングから英語をイメージできるようになったら、今度はリーディングから英語を理解できるように育ててやればよいのです
 読解力を育てる。そこまで達成すれば、「一生消えない英語力」として子どもの脳に残るのです。
 「読解力」ということばは、ひょっとすると辛くて退屈だった学校英語を彷彿とさせるのかも知れません。そんな理由から「幼児英語=英会話」。幼児には読解力よりも楽しい英会話を、と感じてしまうのかも知れません。ただ、ここでひとつ注意していただきたいのは、我々が学校で習った英語の読解力と幼児が身につける英語の読解力は全く別物であるということです
 実は我々が学校英語で身につけたのは読解力ではなく、英単語をひとつずつ日本語に訳し、それを意味の通る日本語に並べ替える技術なのです。この方法では英語を完全に理解することは不可能です。試してみれば分かりますが、小学低学年向けのペーパーバックを読んでも、日本語に訳していたのでは完全には理解できません。それどころか時間ばかりかかってしまって、本を楽しむことなど叶いません。
 幼児はまず、日々の英語のかけ流しから、耳にした英語をイメージ化することができるようになります。さらに、幼児が読解力を身につけると、目にした文章も即座にイメージ化できるようになるのです。
 この様に読解力が身についていれば、英語力は消えることはなく、それどころかその後の読書を通して限りなく質を向上させることができるのです


| 読解力育成のための様々な方法

  幼児に読解力を身につけさせる方法はいくつもあります。アメリカ人の子どもたちが必ず幼稚園で学ぶフォニックスや絵本のライミングから読解力を育てる方法もあります。また、日本でもまだ文字読みのおぼつかない小学生に音読をさせますが、これもひとつの有効な方法です。この他にもサイトワーズで覚えさせる方法などがあります。このように様々な読解力育成法の中で、最も手軽で自然で幼児に適しているのが「絵本の暗唱」なのです
 つまり、冒頭で書いた絵本の暗唱の重要な目的とは実は「読解力育成」だったのです。  これは示唆に富んでいる事実です。
 そんなところに絵本学習の本質がかくれているのです。
 絵本の暗唱が得意な子がいれば苦手な子もいます。長子は絵本の暗唱が苦手な傾向にあり、逆に末子は絵本の暗唱が得意な傾向にあります。また男子よりも女子の方が得意な傾向もあります。
 絵本の暗唱に取り組んだとして、運良く順調に取り組むことができれば親も安心できるのですが、男子であったり、長子であると、なかなか暗唱が上手くいきません。こんな時絵本の暗唱」の本来の機能が数ある読解力育成手段の中のほんのひとつであることを知っていれば、暗唱が上手くいかなくても、他の手段で読解力を育てればよいことに気付きます。しかし、運悪く「絵本の暗唱」という言葉に縛られてしまえば、それに囚われるあまり子どもに暗唱を無理強いしたり、終いには親の方が参ってしまい子どもの読解力育成を諦めてしまいかねないのです。
 重要なのは読解力の育成であって、絵本の暗唱ではありません。絵本の暗唱ができない子は、フォニックスやサイトワーズで読解力を育てていけばよいのです
 と言うところで紙数が尽きました。絵本の暗唱を含む読解力育成の具体的な方法に関しては、次回に譲りたいと思います。まずは、パルキッズのかけ流しで英語の回路作り。同時に2年目以降、特に3年目のパルキッズキンダー以降は「読解力育成」を念頭に置きながら取り組みを進めましょう。


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※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
https://www.palkids.co.jp/palkids-webmagazine/tokushu-1203/
船津洋『幼児期に身につけた英語力は消える!?』(株式会社 児童英語研究所、2012年)

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