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2014年05月号パルキッズ塾

Vol.13 | 英語は教えられない?!

written by 小豆澤 宏次(Hirotsugu Azukizawa)


※本記事のテキストは引用・転載可能です。引用・転載する場合は出典として下記の情報を併記してください。

引用・転載元:
http://palkids.co.jp/palkids-webmagazine/palkids-juku-1405/
小豆澤宏次『英語は教えられない?!』(株式会社 児童英語研究所、2014年)


 4月から新年度がスタートし、晴れて入園・入学をしたお子さまも新しい生活のリズムに慣れてきた頃でしょう。掲示板をはじめ、お母さまからいただくお問合せの内容も、心新たに、はちまきを締め直して取り組みをやっていこう!というものが多いようです。
 そこで今回は、取り組みに対してポジティブになっている今の気持ちをこれからも継続していけるよう、英語教育をおこなう上での「前提」について考えてみましょう。


| 英語教育に失敗しない3つのルール

 『パルキッズ通信』2013年9月号の本コラムでもご紹介しましたが、英語教育をおこなう上でこれをすると失敗するという3つの法則がありました。
 1つ目は「やめる」ことです。
 英語でも日本語でも言語を身につけるために必要不可欠なのが「言語環境」です。『パルキッズ』でのCDのかけ流しですね。これを「やめる」ということは、お子さまは唯一の英語の言語環境を奪われてしまうということになります。英語環境がなければ英語を身につけることはできません。
 2つ目は「試す」ことです。
 子どもたちは試されることを嫌います。「‘りんご’を英語で言うと何?」「さっきトシオ君が何って言ったかわかる?」最初は無邪気に答えてくれるか、質問の意味がわからずポカ~ンとしているかのどちらかでしょう。しかし、お子さまが間違った答えを言ったり、わからない素振りを見せると、お母さまとしてはがっかりしてしまいます。時には叱ってしまうこともあるかもしれません。お子さまはその様子を敏感に感じ取ります。お子さまは自分が失敗したという意識を持ち、そのことでストレスを感じるようになり、「試される=ストレス」が次第に「英語=ストレス」へと変わります。終には英語自体を拒否することになりかねません。ちょっとした出来心から「試す」ことでこのような失敗を招いてしまうのです。
 そして、3つ目は「教える」ことです。
 「やめる」「試す」で失敗してしまうことは比較的簡単におわかりいただけると思いますが、なぜ「教える」がいけないのか、ここはお母さまだけでなく、英会話スクールの先生もよく陥りやすいポイントですので、今回はここを掘り下げて考えてみましょう。


| なぜ、英語は教えられないの?

 実は言語というものは教えられて身につくものではありません。まったく教えられない、とまでは言いませんが、教えられることと、教えられないことの2つがあることをまず知る必要があります。
 日本語で考えてみましょう。学校の科目である国語、ここで習うことは「教えられる日本語」です。ひらがな、カタカナ、漢字といった文字の学習、主語、述語の関係などの文法学習、作文の書き方などの表現方法の学習が国語の時間に習う代表的なところでしょう。こういった読み・書き中心の言語を「学習言語」と言い、これらは学校や家庭で教えることができます
 一方、3歳までに完成期を迎えると言われる話し言葉中心の「生活言語」はどうでしょう。この日本語の「生活言語」を身につける間、お母さまはお子さまに日本語を教えているのでしょうか。遊びの中に知育としての「ちえ・もじ・かず」を入れることはあるでしょうが、基本的にはお母さまの語りかけや家族間の会話を無意識のうちに耳にしているだけで子どもたちは「生活言語」を身につけているのです。
 英語でも同じで「フォニックス」に代表される文字の学習、中学校から習う「文法」は「学習言語」を習得する過程のひとつと言えます。しかし、「生活言語」は日本語同様、環境から身につけるしかないのです。
 また「生活言語」は意味の幅の広い単語(スモールワード)を中心に構成されています。例えば「run」という単語には辞書を見ると、50以上の意味が記載されています。それを「run」=「走る」というひとつの意味で教えてしまうことで、単語の持つ意味の幅を狭めてしまうという危険性があります。だからと言って50以上もの意味を教えることも現実的に不可能です。このことから「生活言語」としての英語は教えることができないのです。


| 英語の先生も教えられない?

 私の話になりますが、私が英語講師になったばかりのころ、子どもたちに英語を身につけさせるために、「どう教えよう」とばかり考えていました。子どもたちの興味を引くようなおもちゃやゲームを使おう、毎回数フレーズずつ基礎的な会話表現を覚えて帰ってもらおう、など考えられる工夫を色々と実践しました。さらに、英語圏の文化も学んでもらうことが大切なんだ、と考えた時期もありました。とにかく週に1回、1時間ほどのレッスンの中で英語学習を完結させようと思っていたわけです。
 しかし、色や形などの基礎概念や、簡単な会話のやりとりなどはある程度身につけることはできますが、それだけです。すぐに子どもたちの成長も頭打ちになり、私が望んでいるような成果はなかなか出ませんでした。
 そんな時、出会ったのが『パルキッズ』でした。幸いにも『パルキッズ』の生みの親である船津先生から直接指導を受ける機会に恵まれたのです。そこで「子どもたちは環境から自然に言語を身につける」という、ごく当たり前のことですが英語教育に携わるからこそなかなか見えないことに気づかされたのです。
 そして私は「英語は教えられないものである」という前提の下、英語講師としての3つのルールを決めました。

1)子どもではなく母親の先生になる
2)目標を具体的に設定する
3)子どもの様子を見ることを最優先する

 子どもに「生活言語」としての英語を教えることはできません。できることは環境を与えることでした。その環境を与えるのは、お母さまです。先生の役割はお母さまが正しい英語環境作りを継続できるように導くこと、これが1つ目のルールです。
 次に私は読解力育成にポイントを置く『パルキッズ』だけに、英語教育の目標を「洋書で読書できるようにする」と設定しました。『パルキッズ』では「小学生で英検準2級レベルに達する」ことも目標のひとつとなっています。
 このように目標を具体的にすることで、そこに至るために、いつまでに何をしなければいけないかという道のりが見えてきます。その道のりを逆にたどると、今の位置が見えてきます。これで、今すべきことがはっきりとわかり、取り組みにも優先順位をつけられ、必要な取り組みだけに集中できるようになるのです。
 最後のルールは英語講師がよく見逃してしまうところです。幼児のレッスンは、飽きさせないためにも、素早いテンポで様々な取り組みをこなしていくことが必要です。するとどうしてもレッスンをすることばかりに集中してしまい、子どもたちの変化を見逃してしまうのです。
 1つ目のルールでもご説明したように、子どもたちに1番必要なのは英語環境です。レッスンは先生が子どもの様子と変化を見る場とし、お子さまの変化をお母さまに伝えながら、正しい英語環境作りに導くことで、成果を上げることができるのです。


| お母さまができること

 これまでは英語講師としてどのようなスタンスで英語教育をおこなうかを述べてきましたが、実はお母さまがこのルールを実践していただくことで、お子さまの英語教育で大きな成果を上げることができるのです。
 まず講師同様「英語は教えられない」ということを前提に考えます。そして、お子さまにとってお母さまは先生ではないことを意識します。次に、目標を具体的にし、そこに至るまでの過程も具体的にイメージします。そうすることで、今どういう取り組みが必要なのかを明確にします。そして、英語環境を作ることに集中しながら、お子さまの様子をしっかりと見て、文字読みがはじまったり、語彙化している兆候があるなどの変化を見逃さないようにします。ここに意識が向けば、お子さまの些細な変化に驚くことができ、褒める回数も増えていきます。それがお子さまの自信となり、成果へとつながります。するとその成果に驚き、褒めるというプラスの循環で英語教育ができるようになるのです。
 今回は英語教育をおこなう上で、「英語は教えられない」という英語講師にとっても、お母さまにとっても、根幹となる前提について話を進めてきました。これから『パルキッズ』をはじめる方、すでに取り組まれている方、中断していたけれど再開した方、すべての方がもう一度この基礎となるルールを再確認していただき、これからの取り組みを楽に、そしてより成果が出るように進めていただけることを願っております。


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プロフィール

小豆澤 宏次(Azukizawa Hirotsugu)

1976年生まれ。島根県出身。同志社大学経済学部を卒業後、米国ボストンのバークリー音楽大学に留学し、音楽家として活動。帰国後は幼児・児童向け英語教室にて英語講師を務める。児童英語研究所所長・船津洋氏に「パルキッズ理論」の指導を受け感銘を受ける。その後、英語教室の指導教材を「パルキッズ」へと全面的に変更。生徒数を大きく伸ばすことに成功する。児童英語研究所に入社後は、年間1,000件以上の母親への指導を行うとともに、パルキッズのオンラインレッスンのプログラムの制作ディレクションを行う。また大人向けの英語素読教材の制作ディレクションも行う。

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